2009年4月2日木曜日

全然大丈夫。本当に大丈夫?

   池袋新文芸坐で、ケラリーノ・サンドロウ゛ィッチ監督『グミ・チョコレート・パイン(216)』
   2007年5月、37歳の大橋賢三(大森南朋)は会社をクビになり、転勤で3年働いていた青森から東京のはずれにある実家に戻ってきた。母親(高橋ひとみ)は相変わらずだが、久しぶりに会う父親はアルツハイマーかボケて賢三のことが判らなくなっている。母親が溜まっている郵便物の束を渡す。去年のものまである。その中に高校の同級生だった山口美甘子からの封書がある。甘酸っぱい気持ちになりながら、封を切ると、「あなたのせいなのだから」とだけ書いてあり、驚く賢三。母が学校の近くの空き地から、あなたが埋めたバッグが出てきて、届けてくれたので、机の上にあると言う。addnis(笑)の白いスポーツバッグを開けると、雑誌のGOROやエロ本に混ざって、山口美甘子の赤いブルマーが入っている。賢三は高校時代の友人のカワボン川本良也(マギー)に電話をする。AV監督となっているカワボンは、美甘子が、去年自殺したと言う。撮影中のカワボンと夜待ち合わせて電話を切る。
   1986年5月、黒所高校二年、仲良かったカワボン(森岡龍)とタクヤ小久保多久夫(金井勇太)とは別のクラスになってしまい、話が合う人間が誰もいなかった。その頃の賢三(石田卓也)は、昼飯代を倹約しての名画座通い、家では、おにゃんこクラブのレコードとGOROのグラビアでオナニー三昧、夜は、小久保電機の二階に集まって、タコハイを呑みながら三人で、夜通し音楽と映画の話をするのが常だった。ある日、タクヤが輪ゴムを10分以上噛んでいると、空腹止めに飲む水道水が甘く感じると言い出した。その時、隣の蛇口で水を飲む同じクラスの美少女・山口美甘子(黒川芽以)に賢三は一目惚れする。更に、名画座に行くと偶然美甘子が、ジョン・カーペンタ-監督の「ニューヨーク1997」のポスターを見ているのを目撃し、俄然ボルテージが上がる。

   レコード屋のシーンで、担当していた女性アーティストのアルバムが飾られていたので、この時代は既にレコード会社の宣伝担当だった頃だ。80年代は青春時代というよりもDon't Believe Over 30'sのカウントダウンだっだが、なかなか懐かしい。70年代、飯を抜いての名画座通いも思い出す。周りの人間と自分は違うと自意識過剰に思っていても彼女も出来ず、音楽と映画とオナニーしかない10代の男子、切ないなあ。同じケラの監督作の「罪とか罰とか」も悪くはないが、圧倒的にこっちだな。タイトルは自分の時代は「グリコ・チヨコレイト・パイナツプル」だったが…。

   藤田容介監督『全然大丈夫(217)』
    ホームレスの女が、川でゴミを拾っている。満足そうに自分のねぐらに戻ってくると、集めたゴミでオブジェを作り始める。女のねぐらの周囲はそうしたものでいっぱいだ。アートを作るホームレスと言うか、ホームレスのアーティストと言うか、ヌー(白川加代子)は聾唖者である。ホームレス仲間のナガやん(大久保鷹)が、オジヤを朝食だと差し出した。ヌーは、ナガやんにしきりと丸い物が欲しいとジェスチャーをする。
    植木屋(田口主将)が河原で、たち小便をしていると、近くで、ヌーたちを双眼鏡で観察している女(木村佳乃)がいる。何故か女は竹輪を握りしめ食べながらホームレスを見ているのだ。「バードウォッチング?」と尋ねる声に女が顔を上げると、植木屋の股間は出したままだ。女は異様な声を上げて瞬く間に逃げ去った。しばらく後、アートホームレスの女のねぐらの脇に、大小、各色のセロテープ、ガムテープを何本も置く女の姿がある。女はヌーのサインがセロテープのことだとわかっていたのだ。薄暗いアパートの一室で、クレパスでヌーの絵を書き続ける女がいる。部屋中、ヌーの絵が何枚も貼られている。
     その頃、植木屋は後輩の若い男と昼の弁当を取っている。若い植木職人は、古本屋を営む英太郎(蟹江敬三)の長男で、30歳目前の遠山照夫(荒川良々)である。照夫の幼なじみの小森久信(岡田義徳)は、病院の清掃を請け負う会社デラックリンに勤め、大病院に常駐し清掃員たちのマネージャーをしている。清掃員たちは勤務中も酒臭いアル中の男(鈴木卓爾)や寡婦の豊原(根岸季衣)がいる。豊原は、若い小森に何かと話かけてくる。豊原によれば、やはり常駐の事務員、梅沢(江口のりこ)は絶対小森に気があると言うのだ。
    照夫が帰宅すると本屋で店番をしている父親英太郎の様子がおかしい。鬱々として、何を話し掛けても、上の空だ。具合がよくないので、店番を変わってくれと言う英太郎に、自分は終日肉体労働をしてきたのだから、嫌だとこたえるが、夕食に上寿司の出前を条件に店にでる。 閉店後、照夫の部屋に小森たち友達が来ている。彼らは自主映画を作り、照夫は人を驚かすことが大好きだ。
      小森はバイトの面接をすることになる。履歴書を見ると木下あかり。ホームレスの絵を描いていた女だ。何か履歴書の写真からはマイナスのオーラが出まくっている。しかし、当のあかりは病院に行くまでの間に、東京タワーをバックに写真を撮ってくれと上京カップルに言われ、断ることも出来ず、あれこれ注文されている内に、極度の緊張状態になり、カメラを落として壊してしまう。病院に着いた時には、泥だらけのコートと破けまくったジャケット、鼻血まで流して酷い有り様なあかり。しかし、小森は治療をしてやる。小森は、あかりを採用したが、段ボールを組み立てガムテープで止めることも出来ない。終いには高価な医療器具にぶつかって倒してしまい、即クビだ。

   シネマヴェーラ渋谷で、昭和文豪愛欲大決戦!
   65年東宝木下亮監督『肉体の学校(218)』

   神保町シアターで、浪花の映画の物語
   60年松竹大船大島渚監督『太陽の墓場(219)』
   寄せ松(伴淳三郎)の娘の花子(炎加世子)は、大阪港湾地区で元衛生兵の村田(浜村淳)を使って売血をやっている。一人300円。人集めはヤス(川津祐介)やポン太(吉野憲治)が担当し、このあたりをシマにしているヤクザ大浜組(清水元)や愚連隊の信栄会の信(津川雅彦)の目を盗んでの大胆なシノギだ。花子に使われているのも嫌気がさしたヤスとボン太、タケシ(佐々木功)は信栄会の仲間に入れてもらいに行く。
    ドヤ街に、帝国陸軍の元士官だったと言う動乱屋(小沢栄太郎)が現れた。食うものもすむところもないくせに偉そうに、来たる対ソ戦のための武装資金が必要だと言う動乱屋を仲間に入れ、父親の寄せ松のドヤに住まわせてやる花子。しかし、弁舌巧みな動乱屋は、寄せ松の手下だった桂馬と香車や、村田を手懐け、売血のシノギを乗っ取ってしまう。タケシは、さらってきた女たちに売春をさせている信栄会のシノギがどうも好きになれない。直ぐに逃げ出して食堂の店員になるが、信栄会の副会長マサ(戸浦六宏)や竜(松崎慎二郎)たちに見つかり、愚連隊を抜けることは出来ないと袋叩きにあう・・・。

  夜は下北沢。本当に久しぶり。昔よく行っていた店が無くなっていたり、結構変わっていて驚く。下北沢の駅に降りたのは、一年振りとは言わないが、半年以上、下北沢で飲まなくなって随分たつ。80年代は、よく通っていたのになあ。「兵庫のおじさん」て知り合った作家のSさんの店スロコメ。コピーライターの畏友(田中康夫か(苦笑)…)T氏のお誘い。温泉アートイベントやらG20のサミットやらの涼音堂茶舗星憲一郎さんのトークライブ。といっても居酒屋の隣の席の客たちの話を立ち聞きしてたら、滅法面白くて、聞き入ってしまった感じのユルいシチュエーションとトークにはまった。

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