2009年3月29日日曜日

色と欲

シネマヴェーラ渋谷で、昭和文豪色欲大決戦
    59年大映増村保造監督『氾濫(195)』。
    三立化学の研究者真田佐平(佐分利真)は、金属でも何でも接着出来る画期的な接着剤のサンダイトを発明、小さな化学工場に過ぎなかった会社を大企業にし、その功績で、学術賞を受賞、会社の重役にもなった。しかし、真面目にコツコツと実験、研究をするタイプの真田には、調子のいいだけの役員たちの会話には付いていけないものを感じている。また、今までの貧乏生活を取り返すつもりのように、豪邸を建て、華道を習い始めて、師匠(伊藤雄之助)有閑夫人たちに混ざって遊び歩く妻文子(沢村貞子)や大学生活を謳歌する娘貴子(若尾文子)には辟易している。   
   また、昔の知り合いや、学部を出て就職せざる得なかった真田とは違い、大学時代の高分子化学教室の学友で学位を取ったことで官学の教授になっている久我(中村伸郎)が、愛人のバーのママへの手切れ金の工面のために、恩師の還暦祝いや生活苦への援助のために金の無心をして来たり、生命保険や寄付金の勧誘にくることばかりで、気持ちが暗くなるばかりだ。
恩師の還暦祝いの集まりに、私立の東方大学の研究者の種村(川崎敬三)は教授に無理を言ってつれてきてもらう。私学を蔑視し、適当に相槌を打つ久我とは違い、真田は種村の論文を着眼点がよく、実験も的確にしていると励まし、英訳してくれば、学会誌に掲載するよう久我教授に推してあげようと約束をする。
   そんなある日、会社に女性から電話がある。会ってみると、戦時中、真田のいる工場に、勤労動員の女学生を引率してきていた教師の西山幸子(左幸子)だった。実は、工場が空襲を受け焼夷弾が降り注ぐ中、真田は幸子を助け逃げ惑う内に、抱き合い、妻が疎開先の広島から戻ってくるまでの間同棲していたのだ。彼女は、真田と別れて直ぐに結婚、しかし3年前に夫が亡くなり、10才になる子供を育ててきたのだ。かっての研究に没頭し、公私ともに充実していた頃を思い出し、関係を復活させてしまう真田。子供の父親が真田だと言う幸子に、密会の度に、生活費を、更に子供が病気だと言われると治療代を渡す真田。

     67年日活蔵原惟繕監督『愛の乾き(196)』
     松本悦子(浅丘ルリ子)は、夫良輔の死後も婚家に同居し、義父の杉本弥吉(中村伸郎)、長男の謙輔夫妻(山内明、楠侑子)、二人の子供を連れて出戻ってきた浅子(小園蓉子)と、女中の美代(紅千登世)、下男の三郎(石立鉄男)と暮らしている。悦子は、年老いた弥吉に夜毎愛撫を受けている・・・。

    その後の姿とは別人のような石立鉄男・・。to be continued.


   ユーロスペースで、フィリップ・コーリー監督『マリア・カラスの真実(197)』


   渋谷で散髪し、博華で同居人と、餃子でビール。

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