2008年10月22日水曜日

東京国際映画祭 ニッポン・シネマ・クラシック

    渋谷イメージフォーラムのモーニングショーで『春琴抄(209)』。しかし今何故谷崎春琴抄?観ても謎は解けない。著作権切れたから?没後50年にはもう少しだよなー。更に長澤奈央がヒロイン。忍法戦隊ハリケンジャー出身、今年は『芸者VS忍者』の忍者、『ロックンロール☆ダイエット』のロックギタリスト。で今回は、盲目のお琴のお師匠さまツンデレの春琴。何の役でも体当たり(笑)。更に佐助は、今風のイケメン、斎藤工。自分以外は見事に彼目当ての女子高生から30代の女性。何故か眼鏡をかけた娘多く、メガネっ子萌の自分は、少し幸せな気分に。佐助は、もっと貧相な感じじゃないと倒錯感でないよう気もするが、2人とも頑張っている。ただ、確か船場のお嬢さんだった筈。商家の離れというより、かなり鄙びた山の中にある別宅という感じ。畳もかなり古い。こういう映画を撮影する苦労が偲ばれる。更に、何だか古い関西弁みんな消化しきれていない。基本的には商家なんだから、口調ちょっと違うんではないのか。田中絹代や京マチ子版どうだったかなあ。更に欲を言えば、せっかく佐助を主人公においたのだから、春琴に対するカメラ、倒錯的に、もっと主観的な迫り方あったんじゃないだろうか。エロチックとは裸や絡みがなくとも成立する。
    昼からル・シネマで東京国際映画祭のニッポン・シネマ・クラシックで66年大映増村保造監督『陸軍中野学校(210)』クールで“歌舞伎役者のように(笑)"顔立ちの整った市川雷蔵主演。帝大を卒業文武両道に優れた陸軍幹部候補生次郎は、母親と婚約者雪子(小川真由美)残して入隊したが、配属先は、出来たばかりの非公式なスパイ養成学校だった。徐々に、国家と学校の為に学友や婚約者の死を選択出来るように変化していく陸軍中野学校一期生たちの一年間を描く。婚約者を探す為に陸軍暗号本部の英文タイピストとなったことを、英国のスパイに利用された挙げ句、次郎と再会し、最高の幸福を感じた途端毒殺される雪子が哀れ。最期と知らず、女としての喜びを肉体全てで表している彼女だけが体温を感じる。増村保造監督情緒的に走らず、時代を非常に客観的に描くことで、人間の選択の不条理さなどを浮かび上がらせている。
    67年東宝岡本喜八監督『日本のいちばん長い日(211)』。鈴木貫太郎首相(笠智衆)阿南陸軍大臣(三船敏郎)米内海軍大臣(山村聡)他、当時の日本映画男優陣正にオールスターキャスト。なんせ女優のクレジットは首相の家人役の新珠三千代のみだ。昭和20年の暑い夏、日本がポツダム宣言を受諾して敗戦を迎えるまでの各自にとっての“とても長い一日"を描く。青年将校役の黒沢年男や、鈴木首相を襲撃する横浜警備隊長天本英世たちの振りきれている演技。精神が壊れるほど苦悩した人々。狂気を美化せず、客観的なカメラが冷静にとらえている。東京国際映画祭の関連上映なので、最初に品田雄吉先生の講話があるのだが、この映画と『肉弾』は岡本喜八の太平洋戦争に関して対になる作品だと話していたが、確かに、同じ監督が作った作品とは思いがたい。しかし、岡本監督は、本当にレンジの広い監督だったんだな。
    元会社の後輩Kと同い年の某FM東京支社室長Kと更に同居人4人で、有楽町で飲む。ワイン飲んでいたら、結構ベロンベロンに。あー、帰りはかなりエネルギー必要に。今家でブログ打ちながら結構やばいっす。

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