2008年10月21日火曜日

川島雄三と篠田正浩

  午前中赤坂のメンクリ。昼ご飯を元会社の同僚たちと。
  新宿ピカデリーで『ゲットスマート(206)』。70年頃のスパイコメディドラマ『それいけスマート』の2度目の映画化。リメイクコメディならハリウッドは安心。大技小技最高。脇役も、テレンス・スタンプ、ビル・マーレイからヒーローズのマシオカまで。ヒロイン エージェント99のアン・ハサウェイ『プリティプリンセス』『ブロークバック・マウンテン』『プラダを着た悪魔』からパワーアップして(道をはずれて?)、身体を張っての肉感的お色気からアクション、スタントまで。久し振りにハリウッドもので楽しんだ。
   阿佐ヶ谷ラピュタで、60年東京映画川島雄三監督『赤坂の姉妹より 夜の肌(207)』。夏生(淡島千景)秋江(新珠三千代)麦子(川口知子)という3姉妹。長女は、元々新劇の女優を目指していたが、両親を無くし妹たちのこともあり、水商売で生計を立てるうちに、女を武器に男たちを乗り換え乗り換え、のし上がって来た。次女は、姉の元愛人で調子のいいだけの男(フランキー堺)が姉から捨てられるのを見て、彼と家を出る。最後に上京した麦子は、心臓が弱かったが、学校に入り、当時の若者が誰でもそうであるように、社会正義から学生運動に参加、姉の女としての生き方に反発し、より激しい闘争現場に参加するようになる。女好きな保守党の幹事長役で伊藤雄之介。したたかな料亭の女将に山岡久乃、印刷屋の妻菅井きんなど脇役揃っている。更に、学生たちに露木茂や若き日の蜷川幸雄(笑)なども。淡島と新珠の幕末太陽伝を思わせる長回しの姉妹喧嘩や、赤坂料亭や永田町など、さすが職人!川島雄三、巧みに描いている。それよりも東京オリンピック前の赤坂。日枝神社、豊川稲荷、氷川神社、一ツ木通り、ホテルニュージャパン。溜池。ああリアル三丁目の夕日。確かに、TBSテレビは当時テレビ東京だった。ラジオ東京にテレビ東京が出来てTBS(笑)。
   61年松竹大船篠田正浩監督『三味線とオートバイ(208)』。小唄の師匠をしている母(月丘夢路)に育てられた高校3年生の初子(桑野みゆき)は、卒業記念に同級生やボーイフレンド(川津祐介)たち大学生とツーリングに出掛けるが、川津と桑野は、交通事故に遭う。入院した病院の担当医師(森雅之)は、偶然にも初子の本当の父だった。2人は結婚しようと東京に駆け落ちし、初子を妊娠したが、親に捕まった上、医師の出征もあり、生き別れていたのだ。初子の事故をきっかけに出会った2人に、若い時の思いが蘇るが、初子は事実を知らされていなかったこともあり、母親の恋愛を頭では分かっていても、受け入れることが出来ない。母娘の関係がギクシャクしたことに胸を痛めた医師は、九州の病院に転勤することで仲直りさせる方法を選ぶ。医師が去ってから一年が経ち母娘は元の穏やかな生活を取り戻していたが・・・。ストーリーだけ書くと母娘もののメロドラマだが、篠田監督は素晴らしい。母と娘、実の父という3人の気持ちをきっちり情感たっぷりに描きながら、ウェットなだけの映画に終わらせていない。オープニングからタイトルバック、2人が事故に遭うまでのかっこいいこと。桑野みゆきかわいい!だけではなく素晴らしい女優だったんだな。博華で餃子とビールでしみじみと。

0 件のコメント: