2011年10月1日土曜日

モテキはいつ来る?

   映画ファーストデイだし、新宿バルト9で
   大根仁監督『モテキ(19)』

    深夜のコンビニで、雑誌のエログラビアを腑抜けた顔付きで眺めている藤本幸世(森本未来)。店員の「お弁当お待ちの方」という声に、「あっ、はい!」と返事をして、慌ててエロ本を棚に戻す。
    自転車での帰り道、ビルや道路に、恋愛に関する格言が流れる。『復讐と恋愛にかけては、女性は男性よりも野蛮である。 ニーチェ』『恋愛に関して、女はプロだが、男は、素人だ。三島由紀夫』『恋やセツクス以外にも、重要なものはあるんだ。ボブ・ディラン』いちいち毒づく幸世。
   太子堂の幸世の部屋は、汚い。テンガに足を滑らせ、倒れる幸世。

    翌日、履歴書を前に、能弁に語る幸世。「ナタリーさんは、Twitterとの、連動が速くて、SNS として優れています。僕もTwitterやっているんですけど・・・」(っていうか、何で墨さんがここに社長として、俺の面接をしているんだ?)ナタリーのCEOは、墨田卓也(リリー・フランキー)だった。「俺は、ソーシャルネットワークのザッカーバーグ見て、お前みたいなオタクでサブカルの童貞から金巻き上げようと、ナタリー立ち上げたんだ。」唐木素子(真木よう子)三浦(伊達暁)たち面接官は「フォローは、数千、フォローされてるのは二桁、ツィート数数万!ってか、呟き過ぎだろ!完全にサブカルオタクのドーテー!」「童貞臭スゲー!」「いいえ!!」「素人童貞?」「違います!」「セカンド童貞だ!!!図星?」(何なんだ!この会社は?)「えっ?悪いんですか?」「童貞臭撒き散らす奴が、編集部にいるだけで、キモいんだよ!」既に幸世は涙目だ。
その時、編集部で、悲鳴が上がった。包丁を持った女(内田慈)が泣きながら編集部を彷徨っている。逃げながら遠巻きに囲む編集部員たち。「おい千草!お前熊本に帰ったんじゃ?」墨田。「墨ちゃんが一度帰ったらっていうから。でもいつまでたっても迎えに来てくれないから、上京したら、変な女と結婚するって、向こうの両親に挨拶したって。あたしが、両親に会ってと何度言っても熊本に来てくれなかったのに・・・。」そこに、もう一人の女(東加奈子)が入って来て「墨田さん、私のうちに来たこの変な女は、誰?」「カオリン!これは」千草「殺してやるバイ!」幸世心の声(えっ?二股?)
   そんな修羅場に、ミネラルウオーター業者の女(傳田うに)が作業着で入って来て「墨田さん、そんな」(え?)編集部のバイトのミキちゃん(上田遥)までが「社長・・・・」と言って泣きだす。墨田は、手当たり次第やっていたのだ。
    千草が包丁を手に墨田に近づく。墨田「何だか、モテちゃって、俺はモテキ?」そう呟くと、包丁から、身をかわす。すると、後ろに立っていた幸世の腹に刺さり、着ていたTシャツに血が広がっていく。(あぁ、俺の勝負Tシャツが!?いや、そんなことより、好きな女の子とエッチせずに、死んでいくのか?俺!)

    数ヵ月後、傷が癒えた幸世がナタリー編集部で働いている。神聖かまってちゃんのインタビューをしたり、前から大好きだったバナナマンの二人を前に、熱弁を奮う幸世。何だか、業界人としてイケてきているような気持ちになる幸世。
   今日の取材は、大好きなフェスTAICOCLUBだ。在日ファンクのステージだ。ご機嫌な幸世に、女(祖父江唯)が声を掛けてくる。「タイムテーブル見せてくれますか?」「あっ、はい」「関係者の方ですか?」「取材です」「えーっ、雑誌ですか?」「ナタリーです」「えーっ、マジいつも見てますよ!!凄いですね」(この女は、やれるかもしれない・・・来たか?!)「僕パス付けてるんで、バックステージとか入れますよ。一緒に見ますか?」下心丸見えの幸世がナンパしたところで、女の彼氏(丸尾丸一郎)が戻って来る「おい!どうしたんだよ!?」「何だか、バックステージで一緒に見ないかって声掛けられて・・・」はるかに力の強そうな男に「そうっすよね。すみません・・・」とタジタジになる幸世。(俺には、あの二人が言っていることが解る!!「下っ端が業界人面して、ナンパするんじゃねーっうの!」「キモい!」「ドーテーじゃね?!」)大江千里の『格好悪いふられ方』のタイトルがバーンとスクリーンに出る。その場から逃げるように、必死に走りだす幸世。「格好悪いふられ方」の曲と歌詞が流れる。途中、長澤まさみらしき女とすれ違うが、まだ二人は出会っていない。無様に転び、周り中の男女に侮蔑交じりの苦笑で見られる幸世。
  ナタリー編集部。「えーっ!!!写真撮ってねえってどういうことだよ!!!取材の意味ねーだろ!!!」思いっきり罵倒する唐木素子(真木よう子)と編集部員たち。凹んで、心が折れ、非常階段で、ipodのスイッチを入れ、TM NETWORKのセルフコントールを聴いて、必死に心を落ち着けようとする幸世。twitterで呟くと、マツオという髭面のアイコンの男が、「チョー、気持ちわかるっす!俺も、上司に怒られて、泣きながらTM聴いてるッす。フォローします」更に「TM NETWORKのTMは多摩出身だから。でもTMレボーリューションは、TタカノリMAKE レボリューション(笑)」少し救われた気持ちになる幸世。
  その後も、マツオとのやり取りは続く。「ユキヨさんの、趣味かなりいいですね」男から褒められても嬉しくないが、なんせ友達の少ない幸世、twitterをやり取りする相手はいないのだ。少し嬉しい。そんなある日飲むことになり、下北のヴィレッジ・バンガードの前で待ち合わせる。直ぐにOKしたものの、初対面の男との二人飲みに、明日が早いからと言って軽く飲んで、家で過ごそうと心に決める幸世。
     しかし!!現れたのは、信じられないくらい顔もスタイルもいい松尾みゆき(長澤まさみ)だった。EYESCREAMの編集をしているという彼女。「幸世くん、自分をブサイクといってたけど、悪くないよ」と言ってくれるみゆき。夢のようなカワイイ女の子との二人飲み、音楽や漫画(進撃の巨人だっ)、趣味も合う。酔った勢いで、「みゆきちゃん!彼氏いるの?」と聞いて見ると「うん。年上の」という返事。(そりゃそうだ!!そんなウマイ話しがあるわけじゃない!!)と心の中で叫びながらも、みゆきちゃんのTシャツから見える胸の谷間に、心躍る幸世。途中から、みゆきの友だち綾海(山田真歩)も加わって3人で飲んでいるうちに、吉祥寺に住んでいるみゆきの終電はなくなり、3人で幸世の部屋へ。サブカルのDVDなどで盛り上がり、気がつくと綾海は、涎を垂らしながらいびきをかいている。酔ったみゆきと手を繋いで、いい感じになって、酔いも冷め、ドキドキする幸世。みゆきのとろんとした目があい、(キスやれる!!)と唇を近づけるとみゆきは目を閉じる。その瞬間、お約束のように、綾海が寝ぼけて起き上がる。不自然な体勢で、飛び上がるように、みゆきから体を離す幸世。
  既に始発も動いていると言って、寝てしまったみゆきを残して、綾海は帰っていった。幸世は「風邪引くから、ベッドに寝たら」と声をかけると「一緒に寝る?」と言うみゆき。幸世の心臓は飛び出しそうだ。シャワーを浴びるので、Tシャツと短パンを貸してというみゆき。シャワーから出てきたみゆきが着ているTシャツには『LOVE ME TENGA』と描いてある(笑)。みゆきに年上の彼氏がいるということが気になってしょうがない幸世。みゆきの寝顔に我慢できなくなった幸世が、抱きしめてキスをしようとした瞬間、またもやみゆきが目を覚まし、退避体勢を取ったものの、幸世の右手は、みゆきの右胸をわしづかみに。「えっ?」みゆきの視線に耐えられなくなった幸世の返事は「セックスごっこ・・・」二人の間のしばらくの沈黙。でも、みゆきは幸世を抱きしめキスをしてくれた。「幸世くん。この近くにスタバある?」「うん。あるよ」「じゃあ、少し眠ってから、コーヒー飲んで仕事に行こう。でも、私はカフェインだめだけど」
   翌朝、スタバで朝食を取り、「じゃあ、またね!」と言ってハグしてくれるみゆき。何だこれは!?恋人同士みたいじゃないか!!一番好きな人が出来ました!!!幸世のステップは軽やかで、周りの通行人もステップや手拍子を打ち始める。来たーっ!!パフュームの「Baby cruising Love」だ。ショッピングモールで、パフュームの3人と一緒に軽やかに踊る幸世。


桝元るみ子(麻生久美子)愛(仲里依紗)島田雄一(新井浩文)山下ダイスケ(金子ノブアキ)

  バルト9でバイトする教え子に、「10月1日じゃ混んでますよ」と言われたので予約して行く。満杯だ。若い男女が圧倒的に多いが、53歳でも中2男子のままな自分には、ドラマ時代からド壺。サブカルオタクに、進歩と成長はないからなあ。だし、セカンド童貞オヤジ。
   森山未来の動きのキレは、さすがダンサー出身。少しあざとい動きも柔らかい。映画と女優に関する心の師匠小林信彦さんが、週刊文春で、「映画は女優で見る」と断言しつつ、「モテキ」を絶賛、試写だけでなく、公開されたら、劇場に行くと書いていたが、女優に関しては、今まで役に恵まれなかったというか、アイドル女優でしかなかった長澤まさみがエロ可愛かったのと、麻生久美子の「重たい女」ならではの30女の穢い泣き顔と寝起き顔、少ししか出ない仲里依紗のヤンママっぷりがかわいかったので大満足だ。何度でも観たいなあ。それと、リリー・フランキーの4股の中で唯一美人役で出ていた東加奈子。かっての木村多江のように、最近気になっている女優なので大根監督の女優セレクトに呻る。
   そうそう、上映後の客席で、客席を眺める坊主頭の中年男、ひょっとして大根監督だったろうか。15年くらい前に、猿岩石に関わっていた時に、プロモーションビデオを1本撮っていただいたのを思い出す。声を掛けて、おめでとうと言いたかったけど、別人かも?と躊躇。次の作品楽しみにしています!!『モテキ2』も『モテキ3』も勿論!!

2011年9月23日金曜日

アジョシ(おじさん)は、娘の涙に弱い。

  イ・ジョンボム監督『アジョシ(18)』
  ステージで、女性ダンサーが一人で踊っているソウルのクラブ。近くに、麻薬課の課長キム・チゴン(キム・テフン)刑事のチームが、麻薬取引の現場を押さえるべく張っていた。見張りの刑事からの通信「親鳥動きました」
  「よし!押さえるぞ!さっさと終わらせて飲みに行くぞ!起きろ!」「もう4日も張っているんですから、早く終わらせましょう!」金属バットなどの武器をそれぞれ手に取りワゴン車を降りる。
  巨体の男が、クラブの前に車を停め、後部座席に置いてあるボストンバックを手にして、店に入る。「親鳥が、エサを持って入りました」「よし!」
男が、席に座り、足許にバッグを置く。バーテンの男が近づき、オーダーを取る格好で、足許のバッグを手にする。「子鳥が餌を取りました」「よし、いくぞ!」動きはじめる刑事達。入口の男に止めれるが、押しのけて店内に入る。 
  バッグを手にしたバーテンが、更衣室に入り、自分のロッカーを開け、着替えを始める。先ほどまで踊っていたダンサーが、吊るされた衣装の間から男の後ろに迫る。女の手にはスタンガン。上半身裸のボーイの首筋にスタンガンを当てると、男は失神した。鞄を手にする女。
  「子鳥動きません!」「何?・・・」「親鳥、動きます」「しょうがない!行くぞ!」刑事達が、巨体の男に掛かる。「オ社長はどうしてる?」しかし、巨体の男は、想像以上の力で、刑事達を叩きのめす。最後には、キム班長が男を捕獲した。
   ダンサーの女が、クラブから逃走する車の助手席の窓から半身を乗り出して、叫んでいる。
   コンビニエンスストアの棚に、魚肉ソーセージがある。ボサボサの髪をして虚ろな眼差しの男、チャ・テシク(ウォンビン)が、目にとめ、手にして、パックの牛乳と一緒に買う。
  裏町の「質屋」と看板の架かった古いビルに、テシクが入り、半地下の暗がりに「出てこい!出てこないと殺すぞ!」と声を掛ける。暫くして、少女ソミ(キム・セロン)が出てくる。
  
  

2011年8月15日月曜日

お盆

 結局、ダラダラとした週末。今日は、新宿で独身美人OLと映画デート。
 新宿ピカデリーで、夫婦50歳割引。なぜか、ここは2名で2500円なんだよなあ。

 張芸謀監督『サンザシの樹の下で(17)』
 文化大革命のあらしが吹き荒れる、1970年代初頭の中国。農民こそ素晴らしく、学生は彼らから学ぶべきだという毛沢東の教えのもと、都会の高校生は農村に派遣されていた。
   バスが山村の町に停まる。停留所の前には「歓迎 宣昌八中」と言う紙を持った青竜村の村長(リー・シュエチェン)が立っている。バスから降りたルオ先生(チェン・タイシェン)が声を掛け、降りて来た高校生たちと村に向かう。山道を歩く一行。女子3名、男子5名、これから農村学習に向かうのだが、村長がかなりの荷物を背負ってくれているのだが、慣れない山道に女子の足許は覚束ない。1本のサンザシの木がある頂きで休憩となる。村長「ここは、皆さんにとって大事なサンザシの樹です」ルオ先生「ああ英雄の樹ですね!抗日闘士たちの伝説の!!日本軍がこの一帯に侵攻した時に、抗日闘士たちを、この樹の下で銃殺した。それ以来、このサンザシの樹は、本来白い花が咲くのが、赤い花が咲くようになったと言われている。そうですよね」村長「ええ、そういう言い伝えがあります・・・」その話しを一生懸命、ノートに書いている少女ジンチュウ(チョウ・ドンユイ)
  村に着くと、村人たちは拍手で迎えてくれた。村長「みんな二人ずつ、家に泊まって貰います。きみたちは、こっち、きみたちは、○○さん・・・。先生は、一人でこちらに。ああ。君は一人残ってしまったか・・じゃあ、ウチに来なさい」ジンチョウは、村長の家に滞在することになった。
  村長一家の末娘ホアンホアンと、食事の支度が出来たことを三男に伝えに行くことになる。地質調査隊にいるという。調査隊のテントの中から、歌声が聞こえる。サンザシの花の歌だ。テントに入って行ったホアンホアンは、アコーディングを弾く青年を連れて出て来た。スン(ショーン・ドウ)だ。スンは飴玉を取りだし、ホアンホアンに上げ、「君にも」と言ってジンチョウに差し出した。「子どもじゃないわ」「大人だって、飴は食べるよ。ほら」躊躇いがちに、スンの掌から飴を受け取るジンチョウ。



  予告編を見て、チョウ・ドンユイが気になって、ずっと見ようと思っていた。いやー、やっぱり、可憐、ピュア、この子に手を出す奴は人間じゃねえと思いながら、もらい泣き。でも、映画としては、チャン・イーモウの中では失敗作ではないのか・・・。ツッコミ所は満載だ。せっかく、プログラム買うも、キャストや各シーンの背景に関しての記述少ない!!GAGAだからかなあ。中国版「世界の中心で愛を叫ぶ」が、GAGAのコンセプトみたいだけど、岩波ホールの上映作みたいな楽しみ方も出来たんじゃないかなあ。まあ、120分の割には、全体に人物描写は薄っぺらい。でも、ここは声を大にしていいたいが、中国13億人と僕の妹、チョウ・ドンユイの初主演映画としては最高だ!!!。あえて、66年前に玉音放送が流れた日に。

2011年8月13日土曜日

銀座シネパトスで梶芽衣子。

   銀座シネパトスで『日本映画レトロスペクティブ ~ Part24 ~「梶芽衣子スタイル その魅力にはまる」

  72年東映東京伊藤俊也監督『女囚さそり 第41雑居房(15) 』
  地の底に繋がるような階段と鉄格子。さそりーと呻くような声が聞こえる。松島ナミ(梶芽衣子)が地下牢に投獄され一年が経った。後ろ手に手鎖を掛けられで、足鎖でエビぞりのような姿だが、口に加えたスプーンを口にくわえて、床で擦っている。いつの間にやら、スプーンはメスのように鋭利なものになった。ある日、辻(小松方正)尾形(阿藤快)2名の看守がやってくる。「おー寒い!やけに冷えるな。松島、狂っていないか?狂っていなければ教えてやる。巡察官が来るので、一年振りに日の光を拝ませてやる。あっ!いけねえ、所長のお出ましだ」
郷田所長(渡辺文雄)がやって来た「おい!どうだナミ!ここにお前を隔離して1年、この刑務所では悪い事は起こっていない。私たちにとって、お前はペスト菌だ。おい!松島!いい話しを聞かせてやる。俺は東京管区長に昇進して、本省に異動になる。ただ、お前が片目を潰したことは絶対に許さん!!それまでに、絶対発狂させてやる!そして、一生この地下牢にいるのだ!」巡察官の訪問の為に、一年分の垢を落として身体をきれいにしてやろうと、加圧消火ホースを持って来させ、激しく、ナミに水を浴びせ掛けた。水流により呼吸も出来ず激痛呻くナミ。
   巡察官(戸浦六宏)の歓迎式典が行われている。女囚たちの楽団が演奏する。巡察官は郷田に、凶悪犯たちをよくこれだけ大人しくさせたものだと言って、本省の東京矯正管区長に栄転しても、更に囚人たちの更生のために尽力してほしいと言った。その時、女囚たちが、連れられてきた女を見て、小さなつぶやきが生まれ、次第に広がっていった。松島ナミ、マツ、さそり…。度重なる逃亡歴、最後には地下牢に繋がれ、誰も姿を見ないまま一年が経った。女囚たちの間では伝説化されているのだ。1年間地下牢で横たわっていたナミは、一人で立っていることも出来ない。
    巡察官ナミにも「罪を償って、早く社会に復帰してください。」と声を掛けた。その時、立つことも出来ない筈のナミが想像を絶する跳躍で、隠し持った鋭利に尖らせたスプーンで、郷田の残った方の目を刺そうとした。掛けていた眼鏡にあたり、頬を傷つけただけであったが、巡察官は、恐怖のあまり腰を抜かし、失禁する。ズボンから床を小便の水溜りを広げた。大人しくしていた女囚たちは、嘲笑し騒いだ。巡察官を取り囲み、ズボンを、服を脱がす。今まで殊勝に演奏をしていた女囚楽団も、ジンタを演奏する。面目を丸潰しにされた郷田は、看守たちに指示をし、威嚇射撃をさせると、「絶対許さん。全員懲罰!!!!」と叫ぶ。
   炎天下の中、採石場で、石を引かされる女囚たち。ナミは、キリストのように、十字の大きな木を背負わされている。その光景を見た郷田は、「沖崎!!!あれでは駄目だ。松嶋ナミは、どんな懲罰も効かん。耐えるマツの姿は、女囚たちに神格化させるだけだ。女囚たちに、松島もしょせん女だと思い知らせてやる。こうするのだ。」と言い。沖崎(室田日出男)に命じて、茶色の服を着た4人の看守を集めさせ、彼らにストッキングを顔に被らせて、ナミを輪姦させる。辻が、最初に圧し掛かると、ナミは顔を食い千切ろうとする。しかし、他の男たちに取り押さえられ、次第に遠い目をするナミ。その姿を見る女囚たちの中には、涙を流す者もいる。
   法務省と書かれた黒く塗られ、窓もない囚人護送車が何台も、採石場から刑務所に戻っていく。助手席に座る辻(小松方正)は、「あんなハクいスケを抱けるとは、今日はヤリ得だったぜ。」と舌なめずりをしている。護送車の中には、ナミを含め7人の女がいた。リーダー格の大場ひで(白石加代子)、及川君代(荒砂ゆき)野田朝子(伊佐山ひろ子)、我妻春江(八並映子)、安木富子 (賀川雪絵)都ローズ(石井くに子)。大場や野田が、「いきがりやがって!!」とナミを蹴り始めると。都(以降、愛称のチビを使用)を除いて全員がナミに暴行する。
   失神したナミを死んだと思って、チビは、「マツが死んだ!!!」と半狂乱になる。運転席側の壁をガンガンなぐり喚くのに気が付いた辻たちが、車を止め、荷台の鍵を開け覗く。奥でナミは倒れている。近づいた辻に、突然起き上がって、手枷についた鎖で首を絞めるナミ。銃を持った尾形には、大場が飛びついて銃を取り上げる。7人の女たちは、逃亡した。
郷田、沖崎、古谷(堀田真三)が見つけたのは、横転して燃え上がるトラックと、全裸で、股間を丸太で串刺しにされた辻の死体だった。
    7人の女囚たちは、荒野を走り続けた。無人の部落を見つける。3匹の野犬を追い込み、焼いて喰う女囚たち。ナミは黙って、竹を細かく裂いている。大場ひでがナミを睨み「何を見ているんだ?!どうせ、どうせ、あたしゃ、人間の顔(ツラ)してねえよ!ケダモノだよ! 夫が私許せなくて、そいつの血が流れているガキを二人殺したんだ!! 見てみろ!」囚人服を捲りあげると、腹に大きな縫い跡がある。「稚児を鍋で煮て殺し、さらには腹の中の胎児を切腹して始末したんだ!!」連れ子いびりの男を殺した及川君代、不倫相手の妻を毒殺した色情狂、我妻春江、レズビアンの放火魔、野田朝子と、売春婦の安木富子、てて親殺しの都ローズ・・。
他の女たちも、不倫相手の妻を殺害したり、凶悪犯罪を重ねた不幸な女たちばかりだ。突然、風が吹き、あばら屋が倒れ始める。
    松明に火を付け、部落の外れまでいくと、1つのあばら屋が解体する。中には、包丁を手に震える老婆(田中筆子)が座っている「恨んでやる・・殺してやる・・・」低く呻いている。「化け物だ!」「こりゃ、姥捨てじゃねえのか?」
   老婆は、ナミに出刃包丁を残し、枯葉の中に消えた。
    犬を連れた刑務官たちは、無人部落を突き止めた。しかし、一足違いで、女囚たちには逃げられ、哀れ、犬はナミがつ作った竹のギロチンの罠に掛って死ぬ。
    走り続けた女囚たちは、ようやく山を下り、街がもう少しのところまで辿り着いたが、夜になるまで、山小屋で時間を潰すことにする。しかし、息子会いたさに、及川君代は無断で山を下り、息子を育てている両親の家に行く。
   しかし、既に沖崎(室田日出男)と?(三重街恒三?)の二人は、先回りをしていた。仲間の居場所を白状しろと、二人は、泣き叫ぶ子供を放り投げ、君代をいたぶる。沖崎は、自分が連絡に行くので、君代を尾行するように命ずる。しかし、君代の態度が気になり尾行していたナミは、男を捕まえ、包丁で脅しながら山小屋に戻った。
    ぶっ殺してやると大場ヒデがライフルで撃とうとすると、揉み合いになり、暴発し、我妻春江の腹部が血に染まった。沖崎たちが、山小屋に着くと、中には惨殺された仲間が逆さにつりさげられていた。
   その頃、観光バスに『若い正直の会』の一行が温泉旅行に行くところだった。酒の入った若い男たち(小林稔侍、高月忠、伊達弘)は、やりたくてしょうがない。中年の男は「今の若いやつらは可哀想だな。俺らの若い頃は、
行軍中にやりたくなったら、近くの女を攫って、強姦し放題だった。背負った飯盒が、腰の動きに合わせてカタカタ言ったもんよ!!」
たまらなくなった男たちは、バスガイドに触りまくり。
   渓谷を走る女囚たち。チビが河でパンツを下し、小便をしている。ふと見ると、観光客の男児2名も立ち小便だ。「おねえちゃん!どこから来たの?」「悪いオジサンたちから逃げて来たんだ」
   しかし、バスの若い男3人は、チビを見つけ、輪姦してしまう。悲鳴を上げるチビ。滝の水が赤く変わった。チビの悲鳴を聞いた女囚たちが男たちを追う。

   走る観光バス。女囚たちにバスジャックをされている。

田所(佐藤京一)鳥居(安藤三男)風間(久地明)落合(林宏)稲村(宮地謙吉)警官(相馬剛三)若い女(笠原玲子)

   74年東映京都中島貞夫監督『ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派(16)』

   夜の空き地、早川(室田日出男)に命じられて穴を掘るチンピラ、片桐次郎(渡瀬恒彦)。近くに車が走って来て停まる。「次郎!来たぞ!早く掘れ!!」運転席から石松(川谷拓三)が降りて、後部座席から本郷(内田良平)が中川(北村英三)を引き摺り下し「中川さん・・・俺たちだって、あんたに恨みはないんだ。でも借り過ぎですよ。俺たちも金貰っちまったから」スコップを持った早川が殴りかかる。「助けてくれ!!金ならやる!!お願いだ!マリー!!」マリー(加納えり子→橘真紀)「私も分け前くれるのんでしょうね?だから誘い出すの手伝ったんだから」本郷「ああ、こいつを埋めたら、次郎も埋めるぞ。分け前は多い方がいいからな」!」逃げる中川を追いかけ回す早川、石松。
   スナックでゴーゴーを踊る女たち。挿入される新聞の紙面。女たちを、冷めた眼差しで眺める聖子[ひじりこ](梶芽衣子)。男の客(北川俊夫)が入って来て、金を出し「ママ!奥いいだろ」と声を掛け、勝手知ったようにスナックの奥に入って行く。サングラスを掛けたマスター(菅貫太郎)がレジを開け、札を掴んで「出掛ける・・今日は帰らない・・・」出て行く。
  しばらくして、先ほどの男が「ママ。一人足りねえんだよ」と誘うが、聖子は「そんな気分じゃないわ」と冷たく断る。暫くすると、一人の和服姿の年増の客(葵三津子)が、店に入って来て「マスターに聞いて来たの。退屈だから仲間に入れて」と奥に入って行く。店の電話が鳴った。聖子が受話器を取ると「今、和服の女が行っただろ!あいつ金持ちの人妻だ。お前好みのいい男は来たか?今日はやっぱり帰らない」受話器を置く。奥では、乱交が行われている。
  再び夜の土手、殴り殺される中川。本郷の懐から紙包みが落ちる。それを手にした次郎は、中身を見て「これだけありゃ・・・」次郎を殺そうと近付いていた3人は、襲いかかるが、必死に走って逃げる次郎。本郷たちの車に飛び乗って土手を走り、遠くなる車を悔しそうに本郷「クソっ!!必ず取り返せ!!」
  聖子はカウンターにあった車のキーを手に取り、レジを開け残った札を手にすると、店の有線のチャンネルをいきなり軍歌に変える。驚いて顔を上げる客を残し店を出て、車を出す。人気の無い土手沿いの店を飛ばしていると、脇から次郎の載った車と衝突する。
  「やいやい!!何しやがるんでえ」と降りて来た次郎は、聖子を見て、その美しさに少しビビリながら、「金は持っているんだ。俺は、今人一人ばらしてきたところなんだ。」と粋がって、煙草に火を付け、マッチを捨てると、追突で漏れていたガソリンに引火して、2台の車は大轟音とともに爆発する。それを眺めていると通りがかった車から男(福本清三)が「事故だ!!」と降りて来た。その車を盗んで発車しようとした次郎は男を轢いてしまう。男が死んだと思いこんだ次郎は、サイレンが聞こえて来たので、慌てて2万円を男の懐に突っ込んで車を出す。
  「俺は、片桐次郎。おめえの名前は?」聖子は答えない。「そうだ!何か喰おうぜ!!」レストランに入り、食券売り場で「ビール!!それと、ここで一番高いもんは何だ?」「神戸牛のビフテキです」「じゃあ、それを二つ!!」

   
主題歌

百合子(堀越陽子)瀬川(川浪公次郎)堀田(山本麟一)豊子(丸平峰子)ウェイトレス(美川麗子)ハンター(曽根晴美)スタンド店員(奈辺悟)警官(山田良樹)運送会社係員(畑中伶一)丹後半島。映画「スティング」風の帽子とチョッキ。

2011年8月3日水曜日

1勝2敗。

阪本順治監督『大鹿村騒動記(12)』

南アルプスの山間の村。大河原町のバス停に、バスが停まる。運転手の越田一平(佐藤浩市)が、先に降りて老婆の手助けをする。「ばあちゃんいくつになったの?」「97歳です」「婆ちゃん、今度薬持ってきてやるよ」「ありがとうございます」その後に、茶髪の若者。更にサングラスを掛けた年配の男女がおりる。
一平、二人を目で追う。橋の上でサングラスを直す二人を見て、「あれ、治さんと、貴子さんじゃないか・・・」
橋の上の二人。「善ちゃん!!懐かしい!!」「俺は善じゃねえ。治だって・・・」無邪気に笑う貴子(大楠道代)と、途方に暮れる治(岸部一徳)。
バスを降りた茶髪の若者が地図を見ながら歩いていくる。その先に「ディアイーター」と白地に黒く書かれた看板を見つけて、うなずく。小鹿が2頭入った檻の中にいるテンガロンハットを被った男に声を掛ける。男は、歌舞伎のせりふらしいものを喋っている。「すみません・・・」「何だ?」「その鹿食べちゃうんですか?」「小鹿に気がつかずに母鹿を撃っちまったんだ」「長野のタウン誌に」「ああアルバイト」テンガロンハットの男は風祭善(原田芳雄)。シカ料理屋の主人である。「僕、働きたいんです」「若い奴はつづかねえぞ。ここには若い奴なんていねえ」「何にもねえぞ」「ハァ、テレビもめぇ、ラジオもねぇ。車もそんなに走ってねえ。おら、こんな村やだ~、おら、こんな村やだ~。でも芝居はある。」「僕、自分のことを誰も知らないところで働きたいんです」「名前は?」「大地です」「下の名は?」「雷音です。雷に音」「立派な名前だな。芝居をやれ。役者をやらねえ奴は、嫁の来てもねえ」しかし、善は、一人で店をやっているようだ。

村内放送のアナウンスをする村役場総務課の織井美江(松たか子)。「本日、午後五時半から役場2階の会議室でリニア新幹線に関する公聴会を開催します・・・・」

大浴場に、治と貴子が入っている。入り口から覗いている大塩館の主人山谷一夫(小野武彦)。「おい、やっぱり貴子じゃねえか!?」「覗きはまずいですよ」「入ってきた時は、よくわからなかったから確認さしたんだ。善は知ってんのか?」「まずいでしょ」「まずいってたって、知らせねばもっとまずいだろ。でも、何で今頃帰って来たんだ?」「俺だって知らないですよ」
そこに、善たちがやってくる。
役場の会議室「んだから、リニア新幹線が走れば、若いもんだって帰ってくるから」土木業を営む重田権三(石橋蓮司)。「農業を捨てる奴が増えるだけだろ」白菜農家の柴山満(小倉一郎)「白菜農家が!!」「白菜農家を馬鹿にしたな」「まあまあ、二人とも落ち着けって。芝居の練習しよう」食料品屋の朝川玄一郎(でんでん)。「だって、東京と大阪が50分だ!!50分!!な、美恵だってうれしいだろ」「わたしは・・・・」表情の曇る美恵の彼氏の?は、東京に行ったきり、戻って来ないのだ。「でも、ここに駅なんか出来る保証ないんだろ」「このあたりは、糸魚川静岡構造線の大断層帯が走っているし、難しいと思うよ」「リニアって、線路はあるのか?」間の抜けた質問をする一平。「リニアだから!!!」「村長はどうなんだ?」権三。「私は、みなさんのご意見をまとめさせていただいて」「リニア新幹線の開業は、2027年。みんないねえんじゃないの?芝居の練習すっぺ」一夫。「そうだ、まずは芝居の練習だ」と話を切り上げ、立ち上る善。

舞台上で練習をする村人たち。題目は、大鹿歌舞伎の「六千両後日文章 重忠館の段」源頼朝役の玄一郎、台詞に詰まる。畠山重忠役は権三。道柴役は女形の一平だ。主人公の悪七兵衛景清役の善に、満の三保谷四郎国俊が斬りかかる。しかし、どうも上手く息が合わない。芝居まで、あと5日しかないのだ。更に、満と権三は、リニアのことで喧嘩になり、満はもう辞めると言い出した。舞台から、貴子と治の姿が見える。「まずい!!何で来るんだ?!」と一平と一夫。18年ぶりに現れた妻の貴子と駆け落ち相手で、友達の治を見た善は絶句し、一度舞台の幕を閉じ、再び幕を開けてから、二人に声を掛ける
「何で?!」

善の家の前、「鹿牧場はどうした?」「お前たちが居なくなったから、断念したんだ」「俺が困った時に、相談に乗ってくれたお前がいなくなったから、困ったんだ。貴子と俺が喧嘩した時に仲裁するのは、お前だったし、俺とお前が喧嘩した時に、中に入るのは貴子だっただろ。だから、本当に困ったんだ。」
二人をよそに、家の玄関にスタスタと入っていく貴子。「?」「記憶がどんどんどん無くなっていくんだ」「えっ?」「俺のことも、善と間違えている。どうしようもない。だから返しに来たんだ」「だから返しに来たって?!」治を殴る善。「いてえなあ」

   原田芳雄の遺作という看板は余計だ。役者も揃って、このところ残念な感じの作品も多かった阪本順治監督も面目躍如、じゃなかった名誉挽回。笑えて、少し泣けるいい映画。こういう90分の尺の丁度いい、普通の映画が少なくなった。


  宮崎吾朗監督『コクリコ坂から(13)』
  朝目をさます少女、松崎海。身支度をして、階段を降りて、台所、お釜のお米の水加減を確認して、マッチでガスに火をつける。コップに水を汲み、写真立ての前のコッブと取り替え、花瓶の花を直す。
庭に出て、信号旗を揚げる。台所に戻り、フライパンでハムエッグを作りながら、キャベツの千切りを作る海。
「広小路さん」



   スタジオ・ジブリのブランド力で、劇場は入っているけれど・・・。うーん。もう一つだなあ。日活の青春映画を時代考証の参考にしたらしいけれど、もっと本数見てほしかったなあ。

     デイビッド・イェーツ監督 『ハリーポッター死の秘宝PART2【3D】(14)』
 3Dらしく奥行きあったのは途中まで(苦笑)。PART1と2を分けて公開したのは、制作日程の問題だったのかあと思う。何だか物足りない。ハリポッターだけは観てきたけれど、これで完結というのは・・・。

2011年7月10日日曜日

各所にご迷惑を掛けている言い訳。

  ずっと住んだ部屋の更新を期に引っ越しを決めた。平成5年入居ということだから、18年だったのか。2週間前の引っ越しは困難を極めたが、友人や学生の手伝いのお陰で、昨日、最後の粗大ごみ回収とブラウン管テレビの回収で終わった。しかし、前の部屋から徒歩3分の新居には100を超える段ボールの山のままだ。隣近所のご挨拶にも伺えていない。更に、18年選手の洗濯機の給水ホースが、どうやっても激しく水漏れして、洗濯も出来ない。昨夜、近所の銭湯に洗濯を兼ねて出掛けると、改装中で、8月まで銭湯も入れないことが判明した。
   元の会社の1年後輩が3年の闘病の末、7月2日に亡くなった。会社や友人にも一部の人間にしか病気のことを伝えず、最後まで出社して仕事を続けていたのが、彼らしい。出社が辛くなったとメールを貰い、病院に何度か見舞いに行ったが、仕事や会社の休みのことを気にしていて、亡くなった日に、自宅にお邪魔したら、前日も仕事の問合せのメールを息子に打たせていたと聞いて言葉が詰まった。通夜、告別式は7日、8日だったが、7日の夜遅くにしか参列来なかった。5月下旬から元の会社からイベントホールの立上げを業務委託を受けていて、プレオープンが7月7日、8日という2日間だったからだ。この仕事を受けた時に、一番喜んでくれた一人が彼だったから、仕事をきちんとすることが供養だと思いながら、通夜・告別式に、随分沢山の弔問客が来たと聞いて、一緒に彼のことを話したかった。今日、少し涼しくなったら、荻窪の彼の家に、自転車で行って、お線香を上げて来よう。
  

2011年3月18日金曜日

facebookから

 明日は計画停電回避か。明日は暖かいからなのか、企業が休みだからなのか。しかし、何だか各家庭での節電はあまり大きな影響がないということなのか?この後に及んで、東電の各事業所が休みだからということはないよな。福島の原発では、必死の作業が続いているわけだし。
 万が一、この3連休計画停電が回避されるのであれば、発電量は夏場のピークへの余裕はないにせよ、原発の有無が、現代の快適な生活か敗戦後の困窮生活かという二者択一の議論ではないような気もする。保温便座付きウォシュレットトイレや、オール電化の生活は捨てなければならないかもしれない。ウォシュレットが無くなると、日本人の脆弱化した肛門はしばらく厳しいだろうな。
  しかし、エアコンや冷蔵庫、TVなど家庭での省電力化は、皮肉にもこの数年のエコポイントでかなり進んだことだし、企業も生産拠点のかなりを海外に移している。国内産業の空洞化で下がった産業界での電力需要を補うための、家庭でのオール電化。そう思うと、あの大量の広告出稿も頷ける。ガスパッチョにも頑張って貰って、電力一本被りを転換することはできないだろうか。
 それこそ、日本のマスメディアが恐れているタブーかもしれない。(23:00)

  夕方近所のスーパーに行くと、生鮮食料品以外、棚がカラ。生鮮食料品買えよ!!という感じ。牛乳と豆腐と納豆が本当に無い。だったら"豆乳”の方が長持ちもするしいいのになあ。でも、こんなに物がないスーパーを見ていると、母親たちの世代は、自分の息子や娘の家庭も困っているだろうと、あるだけ買ってしまうだろう。単純に自分の家に溜めこむだけじゃないと思い始めた。全ては、スーパーなどの物不足を煽りたてるメディアが元凶じゃないだろうか。近所にあるおばあさんがやっている豆腐屋に行ったら、何でもなく普通に豆腐が買える。そういうことなんだなあ。(20:40)
 
  菅さん!!長くてくどい!!何を言いたいんだ!!具体的な一言と大丈夫と、目を見て言ってくれ!!会見場にいる記者クラブの人じゃなくて、テレビの前の国民だ!!テレビ中継途中でCMに(涙)。俺も喋りが回りくどくて、分かりにくいと、学生にいつも言われているのだ・・・。(20:30)

  どうでもいいけど、警視庁武蔵野署から処分保留で出て来た。これって刑務所じゃないから出所でもないし、保釈でもなくて、起訴できなかったということだ。海老蔵といい日本のメディアは視聴率と発行数が稼げるうちは褒めるか吊るしあげるかして直ぐに忘れる。しかし大手事務所や大クライアントはタブーだ。まあ小向の場合は、あれだけ大騒ぎする必要は全くなかったということだ。  小向美奈子が出所 21日ぶりに (20:00)

ああ、NTVで「ダイナミックプロ野球!25日開幕です」というSPOT入ってしまった。原監督たちのせいじゃないんだけど・・・。(19:40)

午前中、外苑前スタバで打合せの後、粥屋喜々に行く。客誰もいなく暇で暇でと言っていたが、私の後立て続けにお客さんが入り、俺のお蔭だと、胸をはるが、店主の後輩は全く有り難みを感じていないようだ。昔から失敬な奴だ(苦笑)(18:45)

しかし、その後輩が言った言葉「mさんのウチは何年か前の集中豪雨で床上浸水して、床にあったもの全て駄目になった。今度は高いところに置いておいたものが落ちただろうから、真ん中に置くしかないんです」確かに羹に懲りて鱠を吹くとはよく言ったものだ。

知恵があるものは知恵を!体力のあるものは力を!金があるものは金を!何もないヤツは元気を出せ!!松山千春だったかな?よし、俺は元気を出す!!(9:30)

切通理作さんのtwitterで、radikoでは、音楽を除外して配信していると言う。せっかくjasracが被災地の使用料未徴収を決めたのだから、音楽を流せ!!(9:10)

どう考えても、セリーグ開幕強行は納得いかない。それも東京ドーム。戦後復興のシンボルとして、夢よもう一度であれば、せめて関東での開催は、屋外球場でデーゲームでやり、チャリティをやれ。(8:45)

2011年3月9日水曜日

今日は日本の悪魔を見た。

朝イチで、大手町のクリニック。糖尿病の経過観察。数値は体重と肝臓系以外は改善。

テアトル新宿で、ようやく、園子温監督『冷たい熱帯魚(8)』
スーパーマーケットで、冷凍食品やカップ味噌汁などを乱雑に籠に放り込む女(神楽坂恵)。帰宅し電子レンジに放り込み、スイッチを押す。カップ味噌汁をお椀に移す。女の名は社本妙子。夫の信行(吹越充)、娘の美津子(梶原ひかり)と3人で、食卓を囲む。会話のない夕食。漫画雑誌を見ている美津子。美津子の携帯が鳴る。「オレオレ」「あー」「もう店の前にいるよ」「じゃあ直ぐ行くね!!」美津子、店を通って外に出る。前には、悪趣味にペイントされたムスタング。
妙子乱雑に、食洗機に食器を突っ込みスイッチを押す。ダイニングの隣の和室のラブチエアに並んで腰を下ろしテレビの安っぽいメロドラマを見る夫婦。
信行、妙子に手を伸ばし、抱き寄せようとするかが、拒まれる。「あの子がいつ帰って来るかわからないから」妙子、店の前で、寒そうにタバコを吸う、激しく雨が降っている。店の看板は社本熱帯魚店とある。信行、電話が鳴っていることに気がつき妙子を呼ぶが外にいる妙子には届かない。
  
   魂が揺さぶられると絶賛され大ヒット中、今年の邦画で一番期待が大きかった映画。ただ、40年近くエログロナンセンスの映画を見続けてきた私は心がねじ曲がって汚れてしまっているのか、「身じろぎも出来ない」「あまりのエグさに退場者続出」という感想は全くない。しかし、それ「冷たい熱帯魚」を評価しないのではなく、昨年の「告白」「悪人」よりピカレスク映画として、かなり面白かった。「悪魔を見た」とどっちが好き?と聞かれると少し迷う。あとは、ラースフォントリアの「アンチクライスト」だな(苦笑)

   青山一丁目のレコ ード会社で打合せ、好反応。

   京橋フィルムセンターで、よみがえる日本映画
   56年東映京都内田吐夢監督『逆襲獄門砦(9)』
    雪山猟師の親子が歩いていると、雪を掘り返している猪を見つけた。息子の二郎(植木基晴)に音を立てぬよう合図をして、照造(片岡千恵蔵)は、弓を引く。銃声がしたが、矢を二本射って、猪は倒れた。二郎が駆け寄ると、叱責する侍の声がする「こら!!何をする!!猪を仕留めたのは手前だもだ!」「違うやい!とうちゃんだい!」「こちらにおわするのは、この度天領の代官に着任された公儀の脇群太夫さまだ」伴侍は威圧的に凄んだ。案内の猟師2人は、猪を改め、弾が当たっていないことを告げたが、代官の機嫌を考えて「照どん、手柄を譲るんじゃ」「それがええ」と照造を説得しようとした。「待て!!下賤から施しを受ける群太夫ではないわ」と脇群太夫(月形龍之介)は切り捨てた。
    猪を背負った照造と二郎が山を降りてくると、和平次(高堂国典)おとき(松浦築枝)夫婦が畑仕事をしていた。「あっ!じいちゃんだ!!じいちゃ~ん」「わっはっは二郎」「じいちゃん、でっかい猪とったぜ!」照造「じい、寒いのに精が出るな」「お前こそ。今年は何頭仕留めた?」二郎指を折りながら「1頭、2頭、3頭・・・4頭、5頭・・・・6頭だ!!!」「なあ二郎、とうちゃんに何を買ってもらうだ?」「米に・・・、味噌に・・・鷹の矢羽根をこうて貰う!!」「照どんよかったな」その時あぜ道を馬が駆けてくる。馬に乗っているのは、平田辰馬(伊藤久哉)だ。実家の神社に着くと、父親の神官平田信胤(水野浩)に声を掛ける「父上!!いよいよ薩長に倒幕の勅命が思し召しとなりました」「そうか、早く姫にお伝えするのじゃ・・・。お姫さま!!辰馬が戻りましてございます」美鈴姫(高千穂ひづる)「入るがよい」平田鶴乃(八汐路恵子)「辰馬!お姫さまが先ほどからお待ちじゃぞ」「薩長に倒幕の勅命が思し召しとなりました」美鈴姫「中納言様よりの密書を、父上大殿にお伝えするのじゃ」「姫には、さっそくお帰りあそばされたく思いまする」
   天領地に隣する江州野沢藩城中、藩主野沢右亮介(清川荘司)「あい分かった!倒幕に賛同する書面を、姫が直々に持って行こうというのじゃな」「父上!!美鈴、京に行って参りますわ。辰馬、一緒に行っておくれ!」「はっ!!命に換えましても」
   天領の街道を、「幕府御用」の旗を下げた長い行列がる。照造と二郎たちは、小休止している一団の中にいる。「おとう!!こんな沢山の荷物、どこへ持って行くんだ?」「京に持て行くっちゅうだ」しゅっぱ~つ!!と声が掛り、大きな荷を背負い立ち上がる照造。
   その時五騎の馬がすれ違い、代官所へ向かった。脇群太夫たちである。代官所につくと、門前に多くの侍が土下座をしている。草鞋を脱がせた群太夫に前任者大場主膳(河部五郎)が「では、引き継ぎを」群太夫「いや、引き継ぎは無用!さっそく大倉に案内してもらおう」蔵の中に山のように積まれた米俵。「ざっと五百俵はあるな」「いや・・これは飢饉などの折に、領民に配る蓄えでして・・・」「いや無用!!全て京に送るぞ」世はまさに、勤皇、佐幕の対立激化する幕末の動乱期。京二条城には徳川慶喜が上洛し、薩長連合軍と一色即発の事態にいたっていた。

大庄屋平田辰右衛門(薄田研二)ふく(毛利菊枝)芹沢采女(有馬宏治)殿村雄之進(加賀邦男)瀬川三郎兵衛(吉田義夫)内藤新助(楠本健二)乾文五郎(加藤嘉)板倉帯刀(市川小太夫)久兵衛(梅沢昇)善助(村田宏二)甚兵衛(高松錦之助)おゆき(戸田春子)彌七(片岡栄二郎)仙吉(江原真二郎)仁平(玉島愛造)五郎作(沢田清)しづ(赤木春恵)平作(葉山富之輔)坂本(百々木直)勘兵衛(山口勇)市兵衛(尾上華丈)

スイス独立の英雄ウイリアムテルの翻案。『当時ハプスブルク家は、神聖ローマ皇帝アドルフの時代に強い自治権を獲得していたウーリの支配を強めようとしていた。ヘルマン・ゲスラー(ウーリのアルトドルフにやってきたオーストリア人の代官)は、その中央広場にポールを立てて自身の帽子を掛け、その前を通る者は帽子に頭を下げてお辞儀するように強制した』の帽子の代りに、代官が上様より拝領された“陣笠”、息子の頭の上の林檎の代りに蜜柑。終盤、領民たちが立ち上がり、代官を追い詰める一揆のモブシーンは圧巻。凄いなあ。当時の日本映画の凄さを思い知らされる。また月形龍之介が悪代官を演じているので、類型的ではなく、能吏で尊大な大物感が出ている。やはり内田吐夢だな・・・。

  


   東銀座で、無門塾。ずいぶん久しぶりの参加。リーダーをしている高校同期のIが来週から福岡に転勤してEVを作るから送別会がわりに来いと呼ばれたのだ。確か、我々の同期に自動車メーカーのエンジニアが何人もいた筈なので、放送機器やデジタルサイネージをやっていた人間がこれから車のベンチャーの役員をやる時代なのだと、確か「社長島耕作」で読んだ話しを思い出す。
   とはいえ、今日の講師はまったく関係なく、不登校、高校中退者を支援するフリースクールの「学力会」を運営している杉浦孝宣さん。現在日本国内で不登校(小中学校)12万人以上、高校中退者が6万人以上、また高卒就職後1年以内での離職率が70%というショッキングな話しを次々聞く。小学生にさえ生きにくい世の中なんだなあ。

2011年3月6日日曜日

花粉日和。

  昨日、今日とクシャミと鼻水と目が痒く、駄目過ぎて引き籠り。アレグラ朝晩1錠づつでは駄目なのか・・・。

2011年3月5日土曜日

久し振りのフィルムセンター。

 
    朝イチで、N 氏と元の会社。N 氏が売買契約書を交わすのに立ち会い、

    京橋フィルムセンターで、よみがえる日本映画
    46年大映京都森一生監督『槍おどり五十三次(6)』
  よいとまけ(重い棒を引っ張り、土を固めている)をする男たち。権三(市川右太衛門)が歌い、それに合わせ、皆が綱を引いている。権三は抜けて、柄杓で水を汲み、ごくごくと飲んでいると、口入屋井筒屋の番頭が走って来て「おい!!助十!!権三はいねえか?」。大店の娘の嫁入りの先ぶれで、槍の依頼だ。権三と助十(羅門光三郎)は、駆け出し、奴さんの格好に着替え、花嫁行列の先ぶれを追い払い、入れ替わった。
  野次馬たちが盛り上がり、権三に喝采を送る。「成駒屋!!」「日本一!!」娘たちからも黄色い声がかかる「権ちゃ~ん!!」「権三さ~ん!!」ちょうど湯屋から出て来た粋筋の女たちも「あら、権ちゃんだわ!!」と駆けよって、「ちょいと~!!」玉簪を投げる女や、櫛を投げる女もいる。「女殺し~!!!」「後家殺し~!!!」
  内職の団扇を下げた千鶴(喜多川千鶴)が、人混みから顔を出し、眩しそうに権三を見つめると、権三も気がついて、一層張り切って槍を振った。



槍の権三(市川右太衛門)助十(羅門光三郎)亀公(上田寛)三吉(島田照夫)竹松(三浦志郎)安長(月形龍之介)井筒屋伝兵衛 (村田宏寿)お弓(江原良子)お米(香住佐代子)伊志井寛 原聖四郎

   神保町シアターで、文豪と女優とエロスの風景
   67年今井正監督砂糖菓子が壊れるとき(7)』
   「PHOTO STUDIO」と描かれたドアの前で、少しためらう千坂京子(若尾文子)。決心して、ドアをノックすると、カメラマンの吾妻(根上淳)が顔を覗かせ、京子を招きいれた。「気が変わったのかい?」「今何時?」「三時半頃かな」「電話貸して・・・」「そこだ」吾妻が石油ストーブに火を付ける。京子、電話を掛ける。「栗原監督のお宅ですか?夜分遅く申し訳ありませんが、私、千坂京子ともうしますが、先生いらしゃいますか?・・・私、今お金に困っているの、今しようとしている仕事のことで、先生に伺いたかったんです・・・。明日ですか?・・はあ・・・」受話器を置く京子。
    吾妻の妻(田中三津子)が「京ちゃん、スープ飲む?」「ええ・・・」吾妻「なあ、京ちゃん、金に困っているんだろう。そんな毛皮売っちまえよ」吾妻の妻スープを持ってきて脱衣籠を示し「京ちゃん、ここに脱いで・・・」「いいの、これしか着ていないの」ミンクのコートを脱ぐと、一糸まとわぬ姿の京子、カメラの前に立つ。
   吾妻の車で帰宅すした京子。階段を登り、アパートの2階の自分の部屋のドアを開ける。中に入るなり、ハンドバックから白封筒を取り出し、中に入った紙幣を数えだす。一万円札が1枚と千円札が10枚弱入っている。電話を掛ける「浪花病院ですか?会計課をお願いします・・・。今井つねの娘です。催促していただいた入院費、今日お送りしましたわ」疲れた顔で、毛皮をはおったまま、ベッドに横になる京子。暗くなっている。眠ってしまったようだ。ドアがノックされ、起き上がり駆け寄る京子。「栗原さん?」「工藤プロのものです。社長から言付かりました」「今何時でしょう?」「20時です」「手紙を読んで下さい。そして社長が電話が欲しいと言っていました」ドアを閉め、工藤からの手紙を読む京子。
  撮影所で木田監督を待ち続ける赤いワンピース姿の京子。退屈した京子が窓まで歩いて行く。その後ろ姿の色っぽさに、後ろの男(谷謙一)がじろじろ見ていたのに気がついた京子は赤面する。制作部の中から男(成瀬昌彦)が声を掛ける。「待ちぼうけだね」「木田先生は?」「今日は見ないなあ。工藤さんが呼んだんだろう。」そこに、出前持(三夏伸)がホットサンドを持ってくる。男は「君も昼飯抜きだろう。半分食べたまえ」遠慮する京子に、尚も勧める男。そこに工藤俊平(志村喬)が現れる。「木田さんは来なかったのか?今どうなってい?」「あと1ヶ月で新映と契約が切れます」「何で端役しか出来なかったんだと思う?」「多分、私に合うような、頭の悪い役が無かったんだと思います」「こちらは、石黒監督だ」サンドイッチを勧めてくれたのは監督の石黒だった。石黒は、1冊の脚本を差しだし「正月に島田髷を結う魚屋の女房の役がある。三輪トラックに乗るのに、髷が崩れるのを嫌がってショールを被るような女だ。この本を読んで、明後日もう1回来てくれ」撮影所をあとにし、「木田くんは現れず、石黒さんが仕事をくれたのは運命の引き合わせだ。工藤プロダクションに入りなさい」
  2日後、石黒やスタッフの前に立つ京子。台詞をうまく喋れない。「あたし、ベッドの上に座って、髪をくしゃくしゃにして、タオルを被って台詞を覚えたんです。座って、もう一度やっていいですか」「やってみたまえ」椅子を借りて、髪のセットを崩して台詞を喋る京子。石黒に、作家の五来克己(田村高廣)を紹介される。「先生の小説は、○○も××も読んでいます・・・」
  料亭で仲居に案内される京子。部屋に入ると、工藤が座っている。新聞を差しだし「あたしのことが載っているの」工藤の紹介で石黒監督の「櫛」に主演した京子は、話題になった。「本当にありがとうございました。これお礼のつもりです」京子が差し出した包みを開け「これが似合うほど、僕は若くないよ」とネクタイを取り出す工藤。口ぶりとは反対にまんざらでもなさそうだ。「いえ、とってもお似合いだと思いますわ。中央映画と契約できて、わたし本当に嬉しかったわ・・・。私、眼鏡を掛けている人が本当に好きなの・・。頭がよさそうで」
「僕は、映画の世界のことは何でも知っている。君を「櫛」の主役に出来るくらいの力は持っているつもりだ。悪いようにはしない。僕と結婚しなさい。僕は君が好きなんだ。こんな気持ちになったのは、初めてなんだ。君の素晴らしさを、世間は知らないし、世間は君が打算で、私と結婚したと噂するだろう。しかし、暫くの間、一緒に暮らしてくれるだけでいいんだ。今夜から、熱海の私の別荘に行こう」
   翌朝、別荘から海を眺め、喜ぶ京子を幸せそうに眺める工藤。しかし、工藤はその直後倒れる。急性心筋梗塞だ。医者(伊東光一)と看護婦(天池仁美)が帰って行ったあと、工藤は秘書の川田(仲村隆)に結婚届けを持ってこさせた。「わたしには、1億円ほどの財産がある。しかし、それをあの親類の連中に渡したくはないのだ。このお金を君に残したいんだ」しかし、京子は、工藤への気持ちを遺産相続というかたちでは受けたくないと言う。そこに、会社からすぐ来るよう電話が入る。その緊急性を感じた工藤は、自分は死なずに待っているから行きなさいと言う。  
   東京に戻った京子を待っていたのは、各務常務(大山健二)小川プロデューサー(花布辰男)だった。無名時代の京子のヌードカレンダーを示し、記者会見でこれが他人のそら似だと否定するよう強要した。京子は工藤の熱海の別荘に電話をし、秘書の川田に工藤に意見を聞いてくれと頼む。しかし、瀕死の状態だった筈の工藤は電話口までやってきて、「正直に話しなさい。嘘は、君を更に苦しめることになる」と告げた。
   京子は、沢山の取材陣を前に、各務と小川とともに座った。しかし、そこに工藤が他界したというメモが入り、泣き崩れる京子。焚かれる取材陣のフラッシュ。もみくちゃにされる京子に近寄り、「とにかくここを出よう」と車に乗せる男がいた。京子が我に返ると、車の助手席に座っており、運転しているサングラスの男(津川雅彦)は知らない男だった。男は、大東新聞芸能部記者奥村豊と名乗った。「少し人のいないところに、姿を隠した方がいい」といって、男は姉夫婦の別荘に連れて行く。
   工藤の葬式に京子が現れる。棺にすがって、行かないで!!と泣き崩れる京子。数日後、撮影所に京子の姿がある。出番無しという所に、京子の名札がある。もう一人酒井春江という札が並んで掛っている。「あたし、あなたが辞めてくれたらと思うのよ」と話す春江と意気投合する京子。工藤の死後、奥村と春江が京子の支えとなった。
  京子は自分が馬鹿な女の役ばかり来ることが自分の学歴のせいだと、コンプレックスになっていることに、女子大にでも通ったらどうだと言う。マネージャーになっていた春江に、工藤から貰った100万円があるから進学すると言う。京子は一生懸命勉強をする。しかし、他の女子大生たちの中で、京子の姿は目立った。必死に勉強する姿に、天木教授(船越英二)は優しい眼差しをくれた。しかし結局、ある日天木教授は、食事に誘い、その個室で京子を抱くのだった。尊敬していた天木も京子の体だけを見ていたことに傷心の京子。
  そんな京子に、奥村と春江は仕事を勧め、新星映画で再スタートを切ることになった。「顔より足」の完成披露パーティ。


酒井春江(原知佐子)東京バナリースのホームラン打者土岐久夫(藤巻潤)五来夫人(山岡久乃)
撮影所の男佐藤(武江義雄)青年(飛田喜佐夫)フロント係(森矢雄二)ホテルのボーイ(篠田三郎)フロント係(佐原新治)小唄の師匠(角梨枝子)

モンローのような女が嫌いなのは、原作の曽野綾子なのか脚本の橋田壽賀子なのか監督の今井正なのか・・・。モンローの人生をケネディ以外そのままなぞったストーリー、96分に纏めたので、かなり薄っぺらに。もったいないなあ。


  渋谷で、元の部下2人と飲む。調子にのって飲み過ぎる。
   

2011年3月3日木曜日

横尾忠則さんのレコードジャケット問題勃発。

   twitterで横尾忠則さんが、かって自分が関わったLPが無断でCD化され、連絡もなければ、実物を送っても来ないと怒っている。横尾さんが関わったジャケットは相当数あるだろう。

   レコード会社はジャケットデザインは一時金で解決、ジャケットに関しては自分たちに著作権があると考えているだろう。ただ、この場合の著作権は財産権としての著作権で、著作人格権は別である。
   ミュージシャンも、自分たちに全く連絡もなくCD化され、出来あがったものを送っても来ないと怒ったり、嘆いたりの話しは多かった。知らない間に、コンピアルバムに入れられいるのは、数え切れない。
   音源に関しては、道義的な問題はともかくも、百歩譲って原盤権はレコード会社にあるんだし、一度公表されたものなので法律上の問題はないとしても、アートワークはかなり微妙ではないだろうか?(最近よくある、アウトテイクなどの未発表音源のボーナストラックは微妙な気がする)
   LPのジャケットをCDにする時点で、リデザインが必要で、サイズを小さくするだけならともかく、横尾さんのジャケットは凝った作りのものが多く、同一性保持とは言えないのではないのだろうか。
   今のレコード会社には、当時の担当者など残っていないだろうし、著作人格権不行使の契約書が残っているならともかく、口約束で済ませるドンブリ勘定の業界慣習、レコード協会は、早く頭を下げて和解したほうが傷も浅いと思うが・・・。
   パッケージがこれだけ売れなくなった今、自分たちの財産は今までの膨大なアーカイブやジャケットなどのアートワークだ。声高に自分たちの権利を叫ぶだけではなく、クリエーターへのリスペクトと彼らの著作権は絶対忘れないで欲しいものだ。

2011年3月1日火曜日

今年はいい年になりそうだな。

  朝イチで、3月の自宅居酒屋について、facebookにアップしつつ、メールでも同時発信。
渋谷でN氏と待合わせ、渋谷のレコード会社にトレジャーブックのプレゼン。その後別れ、青山のレコード会社に。こちらはかなりの好感触。今日は、元の会社の友人からメールをもらったり、元同僚に久し振りに会ったり、人の縁のありがたさを痛感する一日。

2011年2月28日月曜日

「悪魔を見た」を見た。神と悪魔の戦いを見た。

  朝、通勤時間帯に地元西荻駅で人身事故あり。ホームに現場検証のチョーク跡が…。こんな時間に出掛け、通勤に迷惑がかからぬ中年フリーターの自分だからの感想だろうが、どんな人だったんだろうと考えると切ない。
     元会社に顔を出し、独身美人OLに惣菜差し入れつつ、人から頼まれていたSHANTIの音資料預かる。
   六本木シネマートで、
   キム・ジウン監督『悪魔を見た(5)』
   夜、雪が降っている。フロントガラスを間欠ワイパーが動いている。一度警告灯が点滅するパトカーとすれ違った後は、ライトに映るのは、ガードレールと枯れ草と山肌だけだ。一台の白いステーションワゴンが停止している。
    中で若い娘チャン・ジュヨン(オ・サナ)が電話をしている。「今日神父さまと会ったの。とても素敵な教会だったわ。ああいうところで結婚式を挙げたいわ…」車に近づく男の影、ガラスを叩き「パンクですか?」「ええ、でもレッカー車を呼びましたから…」「雪道たがら時間が掛かるだろう。タイヤを見てこよう」返事も聞かずに後輪を見に行く男。娘の電話の相手、国家情報院捜査官のスヒョン(イ・ビョンホン)、ホテルの一室で同僚たちとスタンバイ中だ。「断ったのに、タイヤを見るって!?しつこく言ってるのはおかしいんじゃないか。あっ、ちょっと待って…、これから仕事なんだ」ドアを開け「このままで!~♪愛は~甘くて~母のように~♪えっ!?タイヤを交換するって?毎年誕生日が仕事でゴメン!?」電話を切るスヒョン。雪の中、「これ、完全に潰れているよ」ジュヨンきっぱり「ありがとうございます。でもレッカー車を待ちます」男は車に戻って行く。黄色いバンには、「塾生」「送迎車」
と描いてある。何故か動かないバンに、不安げな表情のジュヨン。
    突然大きなスパナでフロントガラスを叩き割る男。逃げようとするジュヨンに襲いかかる男。激しく抵抗するジュヨンの顔を殴り続ける男。
   フロントガラスが割れたステーションワゴンから、気絶したジュヨンを引きずっている男。雪の上には、大量の血痕がある。男の車が動き出し、残されるステーションワゴン。
   ビニールの袋を開ける男。中には全裸で血だらけのジュヨンが入っている。腕に鎖を捲き、包丁を選ぶ男。ジュヨンが衰弱しきった小さな声で「ちょっと・・・、ちょっと・・・、待って・・・・・・・・・どうしても殺す・・ん・・・・・です・・・・・か・・・・・」「なぜ」「わたし・・・・お腹に子供がいるんです・・・・助けてください・・・・・お願い・・・・・・・・」包丁を振り下ろす男。
   物体を解体するように作業する男。もちろん、少し前までスヒョンの肉体だった肉塊。婚約指輪が転がり落ち、排水溝に落ちる。床に水を掛け、床をモップでこする男。一仕事終えたように、平然とゴムカッパを、ゴム手袋を脱ぐ男・・・・。
   枯れ草を叩きながら河原を歩く子供。黒いビニールを見つけ、棒で拾い上げる。中を覗き、「ドンス兄ちゃん!!!」「何だ?」「早く!こっちに来て!!!」焚火をしていた二人の男の子が駆け寄る。
   同じ場所で夜になっている。河原を、川の中を捜索する警官たち。100人を超える警官が動員されていた。元上司のチャン(チョン・グックァン)が近寄って来るのを見て、凶悪犯罪課のオ課長(チョン・ホジン)「どうしてここに!?家で報告を待っていて下さいと言ったじゃないですか」「わが娘はどうした!?」そこに、スヒョンも駆け付けてきた。取材陣や警官で大騒ぎになっている。
  川の中を探していた一人の警官が、水中に漂う黒髪を見つけた「チョ刑事!!!」黒髪がついた丸い球状の物体。思わず、腰が引ける二人、鑑識を呼ぶ。オ課長が部下に叫ぶ「チャン班長を頼む!!」しかし、チャンは「ジュヨン!!」と叫んで駆け寄った。フラッシュが焚かれる中、取材陣とそれを遠ざけようとする警官たちでもみくちゃだ。段ボールを抱えた鑑識官が突き飛ばされ、段ボールの中の頭部が転がりだす。凍りつくスヒョン。周りの騒ぎが遠くなっていく・・・。
  山の中の斎場、崖の上にあるベンチの上に、死んだジュヨンの父、チャンが座り込んでいる。そこに礼服姿のスヒョンがやって来て、隣に座る。チャン「天が助けてくれたんだ。でなければ遺体は見付からなかったろう」「お義父さん・・・」「許してくれ・・・わたしは、30年間重犯罪(凶悪犯罪)の刑事だったのに、娘を守ってやれなかった・・・」煙草を吸おうとするチャン「お義父さん、煙草はやめて・・・」「すまない・・・ほんとうに・・・すまない・・・君にも・・・ジュヨンにも・・・」泣き崩れるチャン。二人の後ろにコーヒーを両手に持った、ジュヨンの妹セヨン(キム・ユンソ)が立ち尽くしている。
   火葬されるジュヨン。彼女の友人たちが号泣している。スヒョン「ごめんよ。約束していたのに・・・。約束する。君の苦しみを犯人に倍にして返してやる。泣きながら遺影に誓う。
国家情報院で上司を前にしているスヒョン「で、どれくらい?2か月くらい休むか?」「半月もすれば戻ります」「わかった、手続きをしておくから休んで来い!!」部屋を出て行くスヒョン。上司の二人が話している「婚約してから1ヶ月足らずで、こんなことになるのか・・・」「ひどい世の中だ」
  情報院の地下駐車場。車の中にいるスヒョン。後輩が回りを気にしながらやって来る。封筒から小さなものを出す。「これが、GPSとマイクが内蔵されたカプセルです」「ありがとう」「これは別の部署から、こっそり持ち出したんですから、何かあったら、僕だけでなく先輩も大変なことになりますよ」「大丈夫だ」
チャン家、チャンが手配書をスヒョンに見せている「警察は、その4人を有力容疑者と見ている」その時、妹のセヨンが帰宅する。慌てて手配書を隠すスヒョン。セヨン「お義兄さん!夕飯を、今から作ります。食べて行って下さい」「いや、もう出かけなければならないんだ」見送るチャン。
  帰宅したスヒョン、壁に4人の手配書を貼り、スマートフォンで撮影をする。
  4人の容疑者の一人の家の前、覆面パトカーが止まり二人の警官が張っている。「あいつ、じっとしてやがる・・・」警察無線を盗聴していたスヒョンが車から降り、裏から男の部屋の前に行き、中の様子を窺う。日本のAVを見ながら自慰をしている男。射精した途端、PCの電源が落ちる。トランクスを腰まで落としながら男が床の電源コードを探す。ふと後ろを見ると、スヒョンが電源コードを持って立っている。男の首にコードを回し、首を絞めるスヒョン。雪の中に乗り捨てられた白いステーションワゴンの写真を見せ「見覚えは?!」泣きながら必死に首を横に振る男。「そうかい・・・」スヒョンは近くの金属バッドを掴み、男の股間を強打する。失神する男。
  病院に駆けつけるオ課長。部下たちから報告を受けている「えっ?自首してきたのか?2か月前の女子中学生殺害を・・、それだけではなく、数年前の女子高生失踪事件もか?!・・・」ベッドで瀕死の状態の男。凶悪班の刑事たち笑いをこらえている。恐怖にかられたままの男「た・・・助けて・・・くだ・・さい・・・」「誰の仕業なんだ!!!ハンマーであそこを潰されたなんてックックッ・・・」
  バイクに乗った男を追跡する車。バイクが一時停止をすると、そのまま追突する。吹っ飛んだ男の下に駆け寄ってスヒョンは、殴る蹴るの暴行を加える。男「誰だ!?・・・」
   その夜、壁に貼った手配書のうち2枚を破り捨てるスヒョン。3人目の男の写真を手にする。ギョンチョル(チェ・ミンシク)だ。スヒョンの部屋は、高層ビルの中のスタイリッシュな高級マンション。夜景にカメラがパンする。
   ひと気のない停留所に、若い娘が立っている。車が近付く。あの黄色い進学塾の送迎用バンだ。女の前に車が停まる。ギョンチョル「おやおや。バスはもうないだろう。どこまで帰るんだい?ソンミンマンション?回り道ではないので、送って行こう」「いや、大丈夫です」「でも、車も通らないよ」辺りを見渡し、女は助手席に乗り込む。「塾の車なんですか?」走りだす車。ギョンチョルがしきりと、後部座席のあたりを探している。突然車を止める。不安そうな女。右手に鉄パイプを持っているギョンチョル。「これが何かわかるか?」いきなり頭を強打する。女の頭は陥没し、血が流れている。
   ギョンチョルの家、殴られ暴行を受けた女の首を大きな鉄板で切り落とすギョンチョル。入浴をすませたのか、寝室で、頭を櫛で梳かし、顔にローションを塗り、ギターを弾くギョンチョル。
   田舎のとある家の様子をうかがっているスヒョン。不審そうに老婆が声を掛ける「どなた?」家の中、老婆「保険金の支払いにこんなものがいるのかい?」「ご契約者と同一人物かどうか確認をしなくてはならないんです。チャン・ギョンチョルさんは、どちらにお住まいですか」「わたしは知らないけれど、孫は知っているよ。サンウォン!!サンウォン!!さっきまでいたんだけれど・・ヤンピョンだか、チョンピョンだか言った筈だけど・・・」横になっていた老人が毒づく「あんな出来そこないが保険なんてありえないね。親も息子も捨てて行ったような奴だ」老婆「そんな言い方をするもんじゃないよ」スヒョン、手配写真を老婆に見せる「これは、チャン・ギョンチョルさんですよね」「そうだけど・・・ああ、こんな恐ろしい顔になってしまったのかい」家を出ると、外でギョンチョルの息子サンウォンがサッカーボールを蹴っている。サンウォンに尋ねるスヒョン。
   ギョンチョルの家、忍び込むスヒョン。ベッドマットの下などを探る。南京錠が厳重に掛けられている引き出しを抉じ開ける。中には、ギョンチョルが殺害した女たちの靴やバッグ、装飾品が入っていた。ドアの音がする。ギョンチョルが戻って来た訳ではなかった。ドアの中の倉庫のコンクリートの床は血のあとがある。スヒョンは排水溝に、血みどろの婚約指輪を見つける。これこそ、チョンジョルがここでジュヨンを殺害した証拠だ。涙するスヒョン。
  入試専門塾の前、ギョンチョルが運転する黄色いバンに女子中学生たちが乗り込む。女教師「回り道しないで、必ず帰らせて下さい」バンが出発すると、警官たちが入って来る。「ギョンチョルはどうした?!」「たった今、生徒たちを送って行きましたよ」「しまった!!」オ課長が携帯で部下たちを罵っている「ギョンチョルを見失ったと?お前たち、何を見張っていたんだ!?」凶悪犯罪班の刑事たち「ギョンチョルの携帯に電話をしてください」
  ギョンチョルの車には、眠った女生徒が一人だけ残っていた。塾からの呼び出しがかかっているのを見て、警察が嗅ぎつけたことにギョンチョルは気がつく。「くそ!!」
  ビニールハウスが並ぶ畑の畔道に、ギョンチョルの車が停まっている。
   

  目をそむけたくなるシーンの連続だ。ただのシリアルキラーものかと思っていたが、
そんなものではない。「悪人」の百倍濃い映画だ。「悪人」は、誰が悪人なのか、性善説、性悪説、両方から解釈できる余白を残していたが、悪魔を見てしまうこの映画は、人間の善悪、神と悪魔、神学論の世界に入って行ってしまう。神による完全なる復讐は可能か?死刑は誰の救済なのか?凡人は、ただただ神と悪魔の戦いを見続けるしかないのか・・・。


    矢崎仁司監督『不倫純愛(6)』
    鉛筆を削る女(嘉門洋子)。変わって、瀟洒な一戸建て住宅(本当はただの建売住宅だけど・・・)、夜から朝に変わる。表札は辰波となっている。玄関を開け主婦真知子(中村優子が出てくる。朝刊を取り、皿を手に持ち「ノラ~、ノラ~、ノラちゃーん!!」と野良猫を呼ぶ。書類封筒が地面に置いてあるのに気がつく、手に取りながらも首をかしげる真知子。
   台所、真知子がたどたどしく(苦笑)胡瓜を切っている。二階から夫の辰波京介(津田寛治)が下りてくる。ダイニングテーブルに座る。テーブルの上には、ベーコンエッグ。「はい」書類封筒を差し出す真知子。「なんだい?」京介。「家の前にあったの」「開けなかったのか?」「だって気持ち悪いもん。あなたの浮気現場の写真が入っていたらやだし・・・」「ばかだな」京介が開けてみると、黄色いバラが一輪入っている。受け取った真知子「うーん、いい香り」花瓶に生けようとして「痛いっ」棘を指に刺したようだ。バラ以外には、原稿が入っている。「白と黄色の薔薇の花」岡セイジと書いてある。「岡セイジって、あのベストセラー作家の?」「創刊10周年のパーティで紹介しただろ」「あの時は随分人がいたから・・・。どういう人」「写真嫌いで有名だけど、まあもったいないほどの美男子だ。覚えていないのか」「あの時は、副編集長の西井さんしか覚えていないわ。あの人、ニヤニヤしていて、気持ち悪いんだもの・・・」
  新世紀文学編集部、岡セイジの原稿を手に、正にニヤニヤしている西井。「大手出版の編集者にざまあみろと言いたいですね。さすが、編集長!あの岡セイジの連載を取ったんですから・・・」「その原稿がまだ岡セイジのものだと確認が取れたわけじゃない」「でも、編集長の家の前に置いてあったということは、ウチで連載してくれということでしょ」「ちょっと、行くか?」西井を誘い喫煙所に行く辰波。途中会った女性アシスタントに「松下くん!岡セイジ事務所に連絡してみてくれ」
   喫煙所、「本当に、岡セイジの原稿ですって・・・。川島麗子が主人公ですし・・・」松下がやってくる「編集長!岡セイジ事務所、ずっと留守電なんですが・・・」
   自ら岡セイジ事務所に向かう辰波。古い大理石のビルの前に、車が停まる。サングラスをかけた女が降りてくる。中に入って行く女。女のあとをついて階段を上る辰波。岡セイジ事務所という名札が架かっているドアの前に女は立ち止まる。辰波「あの・・・」「何?」「どこかでお会いしましたよね」サングラスを外す女「何か?」「岡先生にお会いしたいんですが」「もしかして、あいつ死んでんじゃないかと思って・・・」ドアの鍵を開け中に入り、机の上に気怠く、腰を下す女。「どうぞ入って」中には誰もいない「あいつ、どこ行ったんだろ」「心当たりないんですか?」「別荘に行ってみる?」
  女の車に乗り山梨にある岡の別荘に向かう辰波。トンネルの前で女が車を停める。編集部に電話をする。「不思議だな、やっぱり、あなたとは初めて会った気がしません」「どういうこと?」「あたし、川島麗華」

川島澪/ナツコ(嘉門洋子)香岡セイジ/神埼/ハルヲ(河合龍之介)トモミ


多分、2011年度のベストとワーストの2本立て。

2011年2月26日土曜日

北区から帰宅(仮)


道産子ジャズ歌手SAYAKA嬢と、フレンチイケメンアレックスの愛の巣にお邪魔。途中の北区の商店街に惚れる。やっぱり西荻から北区に引っ越すか…。
写真はSAYAKA嬢のblogから無断転載(苦笑)。ボルボ社のトラック部門で働くフランス人に流暢な英語(笑)で、映画について熱く語るワシ。

2011年2月25日金曜日

自宅居酒屋




マンスリー自宅居酒屋。 ご来店のみなさま、ありがとうございました。
メニュー;てっちり~ふく雑炊、鶏牛蒡、合鴨挽肉と大根と白滝炒め煮、筑前煮、向田邦子赤坂ままや風トマト、藤沢周平風ピリ辛玉蒟蒻、香菜(パクチー)サラダ、ポテトサラダ、秋刀魚梅煮、蛸と茗荷サラダ、ラタトゥイユ、玉子と鶏レバのウスターソース漬け、牡蠣の大蒜オリーブオイル漬け、自家製ピクルス、鶏砂肝皮炒め、二種のチーズ(ブリー、ロックフォール)、西荻窪もぐもぐ謹製ハム盛合せ・・・。

2011年1月23日日曜日

嗚呼朝日。

  昨年末で朝日新聞を取るのを止めたが、それ以来我が家への来客は増えた。それは朝日新聞を名乗る人々だ。朝日の販売店の前任者、前々任者には全く不満はない。むしろ色々お世話になった。月末給料日前の集金には、何度も再訪をお願いした(苦笑)。特に自宅が床上浸水した時に、床に浸み込んだ水を吸い取るために、古新聞を貰いに訪ねたら、その後、わざわざ、新聞の束を持って様子を見に来てくれたことにも恩義は感じている。それに、済まなそうに、契約を止めたことの理由を尋ねている姿には、何だか申し訳ない気がしてくる。
  しかし、最初に訪れた人間は違った。スーツ姿の30前後の高橋と名乗る青年は、非常に低姿勢に理由を尋ねたあげく、名前、住所、電話番号を聞くと、手元の黄色い用紙に書き込んでいる。ああ、会社への報告書を記入しているのかと思って、彼の手元を覗くと契約書だ。リボーン・グループ、そして何故か彼が名乗った“高橋”と違う名前が記入された用紙には、○○新聞とは半年契約だと言った翌月の7月からしるしがついている。「何ですか?契約書とは?7月から○がついているし、おかしいんじゃないか」と言うと、「いえ、○○新聞さんの半年契約後、もし朝日をお取りにならない場合は、お電話いただけば取り消せますから」と言う。その時点で、その用紙を破かせ、名刺を貰えばよかったが、夜9時過ぎに帰宅し、寒い外でのやりとりだったので、再契約するつもりも、その予約をするつもりもないと抗議し、逃げるように帰って行く“高橋”を見送った。
  リボーングループという名称のセンスの無さも失笑だが、かって、勧誘の質の悪さで別の新聞社は“押し売り”だと非難されていたと思うが、これは、押し売り以上の訪問販売詐欺だ。
  貧すれば鈍す。朝日新聞の質の低下は、記者が書く紙面だけではなく、全社的な問題だったのだ。オーナー一族と経営陣の不毛な権力闘争は、一切読者のことなど考えたことなどない。元の会社のボスが、「新聞業界ほど、顧客満足という視点に欠ける業界はない」と断言していたが、本当に実感する。朝日新聞にとって、契約者≒読者は、高邁な自分たちが、知性で導く愚かな大衆でしかない。
   契約者≒お客さまという意識は、下請けの販売店にとっては切実であるが、新聞記者と新聞社の経営者にとっては、自分たち“ジャーナリスト”の正義(笑)を支える下々の衆愚である。だから、こんな時代になっても、未だに政財官と並び君臨する第4権力だと特権意識を持っていられるのだろう。金融機関、JALに続いて、新聞、テレビの経営状況の悪化を、我々の税金で救済することだけは阻止しなければならない。早く沈んでしまえ!!朝日タイタニック。

2011年1月7日金曜日

咳が抜けない。

新文芸坐で、大雷蔵祭
    
   63年大映京都森一生監督『新忍びの者(2)』
三条河原に引き立てられる石川五右衛門(市川雷蔵)。秀吉の暗殺に失敗した五右衛門は釜煎りの刑に掛けられるのだ。見物の群集の中には、服部半蔵(伊達三郎)の姿がある。燃え盛る炎の中に据えられた大釜。突然小爆発が起こったが、五右衛門は大釜に入れられ、苦しみながら焼け死んだ。
 六角の辻に、五右衛門の首が晒されている。見物の町人(志賀明・大杉潤)が噂話をしている「夜中に五右衛門の首が喋ったらしいな」「太閤殿下に祟ると言ったそうな」
   洛東南禅寺の山門に半蔵の姿がある。周りを伺い、綱を山門の上に放り投げ、するすると昇る半蔵。薄暗い中を窺っていると声が掛かる「この位の闇で目が見えぬようでは忍者とはいえないな。家康に仕官してからめっきり腕が落ちたのではないか、半蔵」「何とでも言え、五右衛門。ほら飯と酒だ。神仏に何を祈っていたんだ」「腕は鈍っても、口は減らないな。妻子を殺され六角の辻に首を晒された俺が、何を祈ると言うのだ…半蔵!なぜ俺を助ける?お主の主(あるじ)の命か?」「違う!俺の一存だ。伊賀が、才賀が潰され、忍者が無くなるのが、俺は惜しいのだ」「身代わりで死んだ男に申し訳ない」「もともと獄門に上がる奴だったのだ。多すぎる金を貰って、女房はホクホクだったぞ」
   六角の辻、五右衛門の首が、見張りの下役人に声を掛ける。驚いて逃げ出す下役人。その隙に、五右衛門は首を盗みだす。身代わりとなった男の首を無縁仏の墓地に埋め、手を合わせる五右衛門。五右衛門の首が盗まれたと京都所司代の前田玄以(藤川準)に報告された「何?五右衛門の首が盗まれたと?所司代の威信にかけても探し出せ!!」
   その夜、五右衛門は所司代に忍び込む。女御たちの寝所に、沢山の蛙を放り込むと、直ぐに大騒ぎとなった。その隙に、金蔵から500両を盗み出し、前田玄以の枕に金五百両の借用書を残し、身代わりの首を埋めた墓に金を撒いて、所司代からの見舞金だと書を残したのだった。その話しは、たちまち京都中の話題となり、天狗の仕業ではないかと噂をする町人たちを市で聞いて、ほくそ笑む五右衛門。


淀君(若尾文子)豊臣秀次(成田純一郎)石田三成(北原義郎)名張の犬八(杉田康)赤目の仙吉(中村豊)豊臣秀吉(東野英治郎)北政所(細川ちか子)徳川家康(三島雅夫)木村常陸介(嵐三右衛門)本多忠勝(水原浩一)真田幸村(原聖四郎)本田忠勝(水原浩一)細川忠興(南条新太郎)前田玄以(杉山昌三九)猿楽師の老人(東良之助)とびの八右ヱ門(舟木洋一)加藤清正(玉置一恵)福島正則(千石泰三)和田吉弥(和泉圭馬)世尊寺中納言(大林一夫)検死役人(藤川準)

   63年大映京都三隅研次監督『新撰組始末記(3)』
     京都三条橋下の河原に晒し首がある。「この者、町人にも関わらず奸賊に追従し、これに依って天誅を加え、死骸を棄てるものである。新撰組」と立て看が添えられている。橋の上の野次馬たちの中に、毛利志満(藤村志保)の姿がある。   
    志満は想い人の山崎蒸(市川雷蔵)が新撰組に入隊すると言うので、問い掛ける。「わかりません。あなたが新撰組に入ろうと言うお気持ちが…。私は勤皇が正しいのか、徳川を護るのが正しいのかも分かりません。ただ街の人々は、壬生狼!壬生狼!と牙を剥いた野良犬のように呼ぶ人殺し集団です。あなたは、人を殺したいのですか?」「いや違うよ、志麻さん。私の武士を殺さないために、…。」突然、二人の部屋に斬り込む男がいる。「三条河原で、お主に斬られた弟の敵だ」「新撰組山崎葵だ。お相手する」斬り合い男を倒す山崎。山崎に抱き付くが、その手には大量の血がつき、悲鳴を上げる志麻。志麻の頬を打ち、抱きしめる山崎。死人の前で、抱き合う二人。
    二人の侍が斬り合っていた。一人は新撰組のようだ。勤皇志士(堀北幸夫)を倒したものの自分も深手を負った隊士の森平八(浜田雄史)に、「見たところ、その深手では助かるまい、一思いに腹を切った方がいいだろう。遺言があれば聞く」と申介錯をし出た山崎を前に、見苦しく、死にたくないと泣き喚いて這いずり周った。武士の情けと介錯する山崎。
    島原の遊廓に、新撰組の幹部たちが集まっていた。酔った局長の芹澤鴨(田崎潤)は、深雪太夫(近藤美恵子)を階段から突き落とした。「芹澤先生、許してやって下さい。局長は酔っておられる。私が謝っておくから」「貴様!局長を悪者にして、女に媚びへつらうどん百姓め!女郎の代わりに謝ると言うか、跪け!!」膝を付き頭を下げる副局長の近藤勇(城健三郎→若山富三郎)に忌々しそうに吐き捨てる芹澤「よう忍耐したな、武士なら出来んことよ!」
   その陰湿なやりとりを目撃してしまった山崎は、芹澤に隊士の森平八の最期に立ち会い、局長に遺髪を渡してくれと預かったと申し出るが、酔った芹澤は取り合わなかった。
    しかし、近藤は、山崎の労を労い、局長の言う通り、自分は武州の百姓の出で、侍になりたいばかりに、天然理心流の道場で、剣術で身を立てようと夢中になったのだと言う。森平八の最期は武士だったかと尋ねる近藤、武士として立派な最期だったと嘘を言う山崎に、近藤は、百姓上がりだからこそ、自分は武士らしくということに拘りすぎるきらいがある、森はそんなに立派な武士ではなかったが、そんな森を庇ってくれてありがとうと言う。山崎は、腑抜けが立派に死ぬこともある、百姓が武士らしく死ぬこともあるようにと答える。近藤は豪快に笑い、これは私のお株を取られた、いつも私は言っているのだ、武士は形ではない、心意気だと。この幕末で武士として生きる意義を苦悩していた山崎は、近藤を好きになった。既に新撰組は、新見錦(須賀不二男)平山五郎(千葉敏郎)ら水戸藩脱藩組の芹澤派と土方歳三(天知茂)沖田総司(松本錦四郎)らの近藤勇のグループが反目していた。
   山崎は志満に言う。「武士とは心意気だと、近藤さんは言った。俺は、あのように澄んだ目を初めて見た。このままでは俺は駄目だ。志満さんは女ながら医術という人の命を救う仕事がある。生きる道がある。俺には剣しかないんだ。他人の男女が6年同居したが、私は手を出さなかった。親同士が決めた許嫁だからこそ、痩せ我慢だったのだ。君は私に捨てろと言うのか…」「捨てて欲しゅうございます・・・」泣く志麻。
   山崎が居酒屋で飲んでいると、飲み逃げする浪人がいる。居酒屋の親父幸助(石原須磨男)に侍たちが「なぜ、追わぬ?」「追っかけても、斬られでもしたら割があいません」「まあ、あいつの刀は竹光だろう(笑)」食い詰めた浪人たちが、京に集まってきていた。銭を払い外に出ると一人の浪人が声を掛けて来た「おいしい話があるのだ。三条河原の首を見ただろう。土佐の奴に頼まれて、あれをやったのは俺だ。酒は飲み放題だ。お主の腕なら、俺が推薦してやる」突然、その男は斬られ絶命した「他言するなと言ったであろう」「お主は、土佐ものか?」「岡本久蔵だ。そいつのようになりたくなければ、他言するな」言い残して去る岡本久蔵(丹羽又三郎)。そこに通りがかかったのは新選組七番隊組長の谷三十郎(小林勝彦)だ「谷さん!!」それがきっかけで新撰組に入隊する山崎。「親子二代の浪人にけりをつけ、侍としての自分を殺さないために、新撰組が待っている」
  新撰組屯所、「一、士道ニ背キ間敷事。一、局ヲ脱スルヲ不許。一、勝手ニ金策致不可。一、勝手ニ訴訟取扱不可。一、私ノ闘争ヲ不許。右条々相背候者切腹申付ベク候也・・・」局中法度を、芹澤、近藤、新見ら幹部の前で読み上げる土方。新撰組の羽織が届いていた。袖を通しながら「鴻池め、軍資金の援助を値切りやがって」新見「あんまり、商家にたかると、近藤や土方がいい顔をしませんが・・」「どうせ、攘夷の連中が押し寄せて集めて行くのよ。?は、千五百両も出したというぞ。俺の新撰組だ」
   新規入門希望者はその後もあいついでいた。芹澤「この程度の剣術では使い物にならん。最近は、少し剣が立てば、侍面をする鈍百姓もおおいがな」耐える近藤。大津の百姓の倅の少年。近藤「面を取れ!どこから来た?」「大津です」「歳はいくつだ」「15」「彦兵というたな。そんなに侍になりたいか?」「ここで駄目なら、倒幕派につくぞ!!」笑い入隊を許す近藤。少年は大津彦平(高見国一)と名乗ることになった。
  新見が山崎と?に、商家に義捐金を受け取りに行けと命ずる。入れ替わりに屯所には、四条呉服町の菱屋の女将のお梅(勝原礼子)が、掛け取りにやってきた。芹澤は居留守を使うが、お梅は、勝手に中に入って行く。?から金の包みを受け取って戻る山崎と?は釈然としない。屯所に戻り、芹澤の部屋に入ろうとした山崎は、満足げに酒を飲む芹澤と、乱れた姿で啜り泣くお梅の姿を目撃し、何が起こったかを知る。憮然と部屋を出て来ると、近藤に会う。金の包みを近藤に手渡し、「中には獣がいます」と吐き捨てる山崎。近藤は、芹澤に、お梅のことと、新見の商家へのたかりを諌める。芹澤は、新見の私行だと言い逃れをする。
  道場に土方が現れ、練習を止めろと言う。物見の席には、芹澤、近藤、新見がいたが、土方は「新見先生は、新撰組を作った時の十三人の仲間であるが、局中法度に背いたので、切腹をして欲しい」と申し渡す。芹澤は「局長のワシに相談もなく!!」と言ったが、沖田や、原田左之助(堂本寛)ら隊士たちの見つめる視線に耐えられず「腹を斬れ」と言わずにおえなかった。庭には、切腹の用意がされている。土方「壬生寺で、芝居があるようだな」沖田「今晩行きましょう」そんな会話に切歯扼腕する芹澤。山崎の介錯で、新見は腹を斬った。


楠小十郎(成田純一郎)山南敬助(伊達三郎)原田左之助(堂本寛)広沢富次郎(香川良介)正木道順(荒木忍)永倉新八(木村玄)大石鍬次郎(薮内武司)佐伯鞆彦(大林一夫)松原忠司(志賀明)内田正次郎(南条新太郎)佐伯亦三郎(矢島陽太郎)池田屋惣兵衛(寺島雄作)会津隊長(嵐三右衛門)浪人(岩田正、沖時男、越川一、小南明)角屋徳衛門(玉置一恵)写真師(山岡鋭二郎)藤堂平助(千石泰三)桔梗屋小栄(毛利郁子)相撲取り(谷口昇)六部(佐山竜一郎)絵草紙屋の娘(高森チズ子)茶屋の女中(三星富美子)柏屋の女中(小柳圭子)婆や(小松みどり)古高俊太郎(島田竜三)北添佶麿(舟木洋一)吉由稔麿(水原浩一)宮部鼎蔵(石黒達也)杉山松助(中村豊)
  

2011年1月4日火曜日

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

    シネマート新宿で、東陽一監督『酔いがさめたら、うちに帰ろう(1)』
    居酒屋で若者たちが飲み会をしている。近くの席で、塚原安行(浅井忠信)が一人で中ジョッキを傾けている。両手の人差し指と親指を組み合わせ、ファインダーにして、飲み会の娘を見る塚原。娘たち「見てる…見てる…。」「チョー見てる」椅子から滑り落ちる塚原。居酒屋の店員たち「また、あのお客さん」
    娘のかおる(森くれあ)「おとしゃん!!おとしゃん」息子の宏(藤岡洋介)「寝ちゃだめだよ。ウチに帰ろう」園田由紀(永作博美)「ほら、帰ろう・・・」これは塚原の夢のようだ。居酒屋の店員たちに抱えられ起こされる。夜の吉祥寺の街を、少しよろよろしながら歩いている安行。下げたコンビニの袋の中には、缶ビール、ウォッカ、いいちこなどが入っている。「塚原」という表札の懸った家に入って行く安行。安行の母弘子(香山美子)が生花をしながら「ちゃんと食べなさいよ、夕飯」あいまいな返事をして、自分の部屋に入る安行。「今日で、酒は終わりです。来週は素面で家族に会うのです」缶ビールの栓を開け、口に運ぼうとして、鏡に映った自分の股間が濡れているのに気がつく、ベッドから立ち上がると失禁をしていることに気がつく、トイレに行き、着替えようとすると突然吐血する。弱った声で母親を呼び、トイレのドアを蹴り続けると母親がやってきて、救急車を呼ぶ。
    救急隊員が来て、母親が掛り付けの病院の連絡先などを教えていると、由紀がやってくる。安行に「大丈夫、まだ死なないよ」と声を掛ける。弘子も由紀も慣れている。救急車に付き添いで乗り込む弘子「子供たちのために帰ってあげて・・・」救急車を見送り子供に携帯を掛ける由紀「心配ないよ。おとうさん病院に行った。あと5分?秒で帰るね」
    病室で眠っていた安行が目を覚まし、隣の弘子に「何日眠っていた?」「丸3日。よく生きていますねって・・・。吐いたの8回目?」「10回目かな。断酒薬を飲むことにする」「由紀さんたち来るわよ。ああ、もう今日だ」そこに、由紀が、宏とかおるを連れてやってくる。弘子「ちょっと、わたしコンビニに行ってくるからいいかしら」「はいどうぞ」
   「俺、病院に入る」「そう」窓にシールを貼って遊ぶかおる。由紀、採尿のパックを見つける。「宏!!おとしゃんのおしっこだ。勝手なおとしゃんの罰に、逆流させてやろう」「やろう!やろう!!」「やめてくれ・・・・」「ほらー」採尿パックで遊ぶ由紀と宏。


  うーん、映画としては、正直なところ穴だらけな感じがする。しかし、タイトルと永作博美と子役だけで、何だか許せてしまう。不思議な小品だなあ。