2011年3月5日土曜日

久し振りのフィルムセンター。

 
    朝イチで、N 氏と元の会社。N 氏が売買契約書を交わすのに立ち会い、

    京橋フィルムセンターで、よみがえる日本映画
    46年大映京都森一生監督『槍おどり五十三次(6)』
  よいとまけ(重い棒を引っ張り、土を固めている)をする男たち。権三(市川右太衛門)が歌い、それに合わせ、皆が綱を引いている。権三は抜けて、柄杓で水を汲み、ごくごくと飲んでいると、口入屋井筒屋の番頭が走って来て「おい!!助十!!権三はいねえか?」。大店の娘の嫁入りの先ぶれで、槍の依頼だ。権三と助十(羅門光三郎)は、駆け出し、奴さんの格好に着替え、花嫁行列の先ぶれを追い払い、入れ替わった。
  野次馬たちが盛り上がり、権三に喝采を送る。「成駒屋!!」「日本一!!」娘たちからも黄色い声がかかる「権ちゃ~ん!!」「権三さ~ん!!」ちょうど湯屋から出て来た粋筋の女たちも「あら、権ちゃんだわ!!」と駆けよって、「ちょいと~!!」玉簪を投げる女や、櫛を投げる女もいる。「女殺し~!!!」「後家殺し~!!!」
  内職の団扇を下げた千鶴(喜多川千鶴)が、人混みから顔を出し、眩しそうに権三を見つめると、権三も気がついて、一層張り切って槍を振った。



槍の権三(市川右太衛門)助十(羅門光三郎)亀公(上田寛)三吉(島田照夫)竹松(三浦志郎)安長(月形龍之介)井筒屋伝兵衛 (村田宏寿)お弓(江原良子)お米(香住佐代子)伊志井寛 原聖四郎

   神保町シアターで、文豪と女優とエロスの風景
   67年今井正監督砂糖菓子が壊れるとき(7)』
   「PHOTO STUDIO」と描かれたドアの前で、少しためらう千坂京子(若尾文子)。決心して、ドアをノックすると、カメラマンの吾妻(根上淳)が顔を覗かせ、京子を招きいれた。「気が変わったのかい?」「今何時?」「三時半頃かな」「電話貸して・・・」「そこだ」吾妻が石油ストーブに火を付ける。京子、電話を掛ける。「栗原監督のお宅ですか?夜分遅く申し訳ありませんが、私、千坂京子ともうしますが、先生いらしゃいますか?・・・私、今お金に困っているの、今しようとしている仕事のことで、先生に伺いたかったんです・・・。明日ですか?・・はあ・・・」受話器を置く京子。
    吾妻の妻(田中三津子)が「京ちゃん、スープ飲む?」「ええ・・・」吾妻「なあ、京ちゃん、金に困っているんだろう。そんな毛皮売っちまえよ」吾妻の妻スープを持ってきて脱衣籠を示し「京ちゃん、ここに脱いで・・・」「いいの、これしか着ていないの」ミンクのコートを脱ぐと、一糸まとわぬ姿の京子、カメラの前に立つ。
   吾妻の車で帰宅すした京子。階段を登り、アパートの2階の自分の部屋のドアを開ける。中に入るなり、ハンドバックから白封筒を取り出し、中に入った紙幣を数えだす。一万円札が1枚と千円札が10枚弱入っている。電話を掛ける「浪花病院ですか?会計課をお願いします・・・。今井つねの娘です。催促していただいた入院費、今日お送りしましたわ」疲れた顔で、毛皮をはおったまま、ベッドに横になる京子。暗くなっている。眠ってしまったようだ。ドアがノックされ、起き上がり駆け寄る京子。「栗原さん?」「工藤プロのものです。社長から言付かりました」「今何時でしょう?」「20時です」「手紙を読んで下さい。そして社長が電話が欲しいと言っていました」ドアを閉め、工藤からの手紙を読む京子。
  撮影所で木田監督を待ち続ける赤いワンピース姿の京子。退屈した京子が窓まで歩いて行く。その後ろ姿の色っぽさに、後ろの男(谷謙一)がじろじろ見ていたのに気がついた京子は赤面する。制作部の中から男(成瀬昌彦)が声を掛ける。「待ちぼうけだね」「木田先生は?」「今日は見ないなあ。工藤さんが呼んだんだろう。」そこに、出前持(三夏伸)がホットサンドを持ってくる。男は「君も昼飯抜きだろう。半分食べたまえ」遠慮する京子に、尚も勧める男。そこに工藤俊平(志村喬)が現れる。「木田さんは来なかったのか?今どうなってい?」「あと1ヶ月で新映と契約が切れます」「何で端役しか出来なかったんだと思う?」「多分、私に合うような、頭の悪い役が無かったんだと思います」「こちらは、石黒監督だ」サンドイッチを勧めてくれたのは監督の石黒だった。石黒は、1冊の脚本を差しだし「正月に島田髷を結う魚屋の女房の役がある。三輪トラックに乗るのに、髷が崩れるのを嫌がってショールを被るような女だ。この本を読んで、明後日もう1回来てくれ」撮影所をあとにし、「木田くんは現れず、石黒さんが仕事をくれたのは運命の引き合わせだ。工藤プロダクションに入りなさい」
  2日後、石黒やスタッフの前に立つ京子。台詞をうまく喋れない。「あたし、ベッドの上に座って、髪をくしゃくしゃにして、タオルを被って台詞を覚えたんです。座って、もう一度やっていいですか」「やってみたまえ」椅子を借りて、髪のセットを崩して台詞を喋る京子。石黒に、作家の五来克己(田村高廣)を紹介される。「先生の小説は、○○も××も読んでいます・・・」
  料亭で仲居に案内される京子。部屋に入ると、工藤が座っている。新聞を差しだし「あたしのことが載っているの」工藤の紹介で石黒監督の「櫛」に主演した京子は、話題になった。「本当にありがとうございました。これお礼のつもりです」京子が差し出した包みを開け「これが似合うほど、僕は若くないよ」とネクタイを取り出す工藤。口ぶりとは反対にまんざらでもなさそうだ。「いえ、とってもお似合いだと思いますわ。中央映画と契約できて、わたし本当に嬉しかったわ・・・。私、眼鏡を掛けている人が本当に好きなの・・。頭がよさそうで」
「僕は、映画の世界のことは何でも知っている。君を「櫛」の主役に出来るくらいの力は持っているつもりだ。悪いようにはしない。僕と結婚しなさい。僕は君が好きなんだ。こんな気持ちになったのは、初めてなんだ。君の素晴らしさを、世間は知らないし、世間は君が打算で、私と結婚したと噂するだろう。しかし、暫くの間、一緒に暮らしてくれるだけでいいんだ。今夜から、熱海の私の別荘に行こう」
   翌朝、別荘から海を眺め、喜ぶ京子を幸せそうに眺める工藤。しかし、工藤はその直後倒れる。急性心筋梗塞だ。医者(伊東光一)と看護婦(天池仁美)が帰って行ったあと、工藤は秘書の川田(仲村隆)に結婚届けを持ってこさせた。「わたしには、1億円ほどの財産がある。しかし、それをあの親類の連中に渡したくはないのだ。このお金を君に残したいんだ」しかし、京子は、工藤への気持ちを遺産相続というかたちでは受けたくないと言う。そこに、会社からすぐ来るよう電話が入る。その緊急性を感じた工藤は、自分は死なずに待っているから行きなさいと言う。  
   東京に戻った京子を待っていたのは、各務常務(大山健二)小川プロデューサー(花布辰男)だった。無名時代の京子のヌードカレンダーを示し、記者会見でこれが他人のそら似だと否定するよう強要した。京子は工藤の熱海の別荘に電話をし、秘書の川田に工藤に意見を聞いてくれと頼む。しかし、瀕死の状態だった筈の工藤は電話口までやってきて、「正直に話しなさい。嘘は、君を更に苦しめることになる」と告げた。
   京子は、沢山の取材陣を前に、各務と小川とともに座った。しかし、そこに工藤が他界したというメモが入り、泣き崩れる京子。焚かれる取材陣のフラッシュ。もみくちゃにされる京子に近寄り、「とにかくここを出よう」と車に乗せる男がいた。京子が我に返ると、車の助手席に座っており、運転しているサングラスの男(津川雅彦)は知らない男だった。男は、大東新聞芸能部記者奥村豊と名乗った。「少し人のいないところに、姿を隠した方がいい」といって、男は姉夫婦の別荘に連れて行く。
   工藤の葬式に京子が現れる。棺にすがって、行かないで!!と泣き崩れる京子。数日後、撮影所に京子の姿がある。出番無しという所に、京子の名札がある。もう一人酒井春江という札が並んで掛っている。「あたし、あなたが辞めてくれたらと思うのよ」と話す春江と意気投合する京子。工藤の死後、奥村と春江が京子の支えとなった。
  京子は自分が馬鹿な女の役ばかり来ることが自分の学歴のせいだと、コンプレックスになっていることに、女子大にでも通ったらどうだと言う。マネージャーになっていた春江に、工藤から貰った100万円があるから進学すると言う。京子は一生懸命勉強をする。しかし、他の女子大生たちの中で、京子の姿は目立った。必死に勉強する姿に、天木教授(船越英二)は優しい眼差しをくれた。しかし結局、ある日天木教授は、食事に誘い、その個室で京子を抱くのだった。尊敬していた天木も京子の体だけを見ていたことに傷心の京子。
  そんな京子に、奥村と春江は仕事を勧め、新星映画で再スタートを切ることになった。「顔より足」の完成披露パーティ。


酒井春江(原知佐子)東京バナリースのホームラン打者土岐久夫(藤巻潤)五来夫人(山岡久乃)
撮影所の男佐藤(武江義雄)青年(飛田喜佐夫)フロント係(森矢雄二)ホテルのボーイ(篠田三郎)フロント係(佐原新治)小唄の師匠(角梨枝子)

モンローのような女が嫌いなのは、原作の曽野綾子なのか脚本の橋田壽賀子なのか監督の今井正なのか・・・。モンローの人生をケネディ以外そのままなぞったストーリー、96分に纏めたので、かなり薄っぺらに。もったいないなあ。


  渋谷で、元の部下2人と飲む。調子にのって飲み過ぎる。
   

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