2010年2月6日土曜日

暗黒街・・・・・今の日本の夜はどこもやけに明るい。

    京橋フィルムセンターで、アンコール特集:1995ー2004年度の上映作品より
    58年日活鈴木清順監督『暗黒街の美女(43)』
   夜道を歩く男の影がある。あるマンホールの前に立ち止まると、蓋を開け中に入る。通りかかったトラックの乗務員(長弘)が車を停め降りてくる。「絶対何かが動いた。」「錯覚じゃないのか」「このマンホールだ」乗務員は蓋を開け、中に入ってみるが、何かの死体を見つけて逃げてゆく。男(水島道太郎)は、下水道の煉瓦を抉じ開け、中に隠してあった拳銃と皮の小さな袋を取り出す。革袋には三つ大粒のダイヤが入っていた。
   とあるナイトクラブ、今宵も若者が踊り騒いでいる。クラブに下水道にいた男が入って来る。ボーイ(加藤博司)は男の姿を見つけると、グラスを乗せた盆を落として逃げ出した。このクラブを仕切っている組の連中は殺気立つ。音楽が切れクラブが静まり返る。男はジュークボックスにコインを入れる。重苦しい曲が流れ始めた。支配人室に入る。そこには大沢(高品格)がいた。「よう」と声を掛けられ怯える大沢。「宮本の兄貴・・・。」「いつ出て来たんです」「今朝だ。大矢根はいるか」「今日は本部の方に」「本部か・・・。すげえじゃねえか。南町でトルコ風呂を経営していて、そちらにいます」「三原はどうしてる?」「あいつは、ちんばになって、足を洗い、おでんの屋台を引いていますぜ」「大矢根に、ちょっと会いたいんだ」
   トルコ風呂「ニュートルコ」、女(三田蓉子)が電話を取る。「はい、会長慰安室です・・・・。会長、大沢さんからです」「こっちに回せ」大沢「コーナロックに宮本さんがお見えです」「野郎、いつ出て来たんだ?」「今朝らしいです」「石のこと何か喋ったか?・・・そうか、石のこと話すんじゃねえ」
   ニュートルコに宮本を案内する大沢。「会長室は4階です」大矢根(芦田伸介)「お帰り、いつ出て来たんだ」「今朝だ」「連絡をくれれば誰か迎えにやらせたものを・・。大沢!!何ぼやぼやしているんだ!兄貴に何かお出ししろ!!!俺もなかなか、事業の方が忙しくてな」「そうらしいな・・・。頼みがあってやってきたんだ」「水臭せえじゃねえか。お前には、あの時随分借りがある」「例の石のことだが、処分したいんだ」「持っていたのか」「あの石を捌いて、その金を三原にやりてえんだ。あの時の出入りで、俺は3年食らったが、口を割らなかった。三原は、撃たれてびっこになって、貧乏籤引かせちまったからな。だからおめえも泣いてくれ」「勿論だぜ。で、石は今日そこに持っているのか」「捌ける時にもってくるぜ」「ちょうど、近々、船が入るぜ。おい宮本!良かったら一風呂浴びていかねえか」「今日は遠慮しておくぜ」帰って行く宮本。大矢根は、大沢に後をつけるよう目配せする。
   三原(安部徹)のおでん屋台。妹の亜紀子(白木マリ)「あんちゃんをびっこにさせた奴は今も務所かい?会ったら私がぶっ殺してやる」そう言って去っていく亜紀子。「有田の野郎と付き合うんじゃねえ!」刑事の渡辺(二谷英明)が顔を出す。「どうだ?」「いや景気はよくないです」「でも頑張るんだぞ。妹も危ない年頃だ気をつけてやるんだぞ」「へい」
   渡辺が去ると、隠れていた宮本が顔を出す。三原の顔がほころんで「宮本の兄貴!!!」「今のはデカの渡辺か?」「ええ」「おめえには、悪いことをしちまった。お前を誘わなければ、びっこにならなかったものを・・」「俺が希望したんでさ。それに、まだ足は1本残ってますぜ」「そういえば、妹さんが国から出て来たんだったな」「あいつ、すっかりぐれちまって・・・。」
   亜紀子は、有田(近藤宏)のオフィスに来て、「さあ、仕事しよう」と服を脱ぎだす。有田は、マネキンの塑像を作っているのだ。デッサンをする有田に甘えて、「あ~あ、くたびれちゃった」「駄目だ!!ワンモー!ワンモー!」有田が亜紀子の彼氏なのだ。電話がなる「もしもし、有田です。分りました。すぐ電話します。今日は仕事だからここまでだ!帰ってくれ!!」「遊ぼうよ」我儘を言う亜紀子を部屋に閉じ込めて外出する有田。
    
   ヒロイン白木マリを美女じゃないだろと誰も突っ込みたくなるだろうが、前作の「拳銃と裸女」に続く水島道太郎、鈴木清順、白木マリ作品。清順はタイトルを会社に変えられても、表立って騒がなかっただろうし、清順と作品を責めるのは違う気がする。でも、イタリア映画全盛期、日本にあんな肉体派女優は貴重だったと思うよ(笑)。

   もう何本か観ようかと思っていたが、プチ幸せなメールが入り、少し浮かれて、西荻に帰り、博華で餃子とビール。

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