2009年12月20日日曜日

ひし美ゆり子全力疾走。

   午前中は宅急便やら、新聞の集金やら、出汁を取り、洗濯をしたり、昼寝したり、いい天気の週末を満喫。午後になり、

   池袋新文芸坐で、名匠・清水宏
   43年松竹下加茂清水宏監督『サヨンの鐘(717)』
   常夏の華麗島台湾…。椰子の木、水牛、農村風景、日の丸の掲揚、山岳地帯、段々畑、高砂族の部落“蕃社”の風景、民族衣装を着て、素足で山を駆ける部落民たち。そこに駐在する日本人巡査は、時に医師となり、時に教師であり、軍事教練の教官であり、土木監督である。
   美しい娘サヨンハヨン(李香蘭)が高い声で飼っている黒豚を呼んでいる。集まってくる豚。柵の中に追い込んで戸を閉めるが、見ると一匹足らない。サヨンが何度呼んでも戻って来ない仔豚は、ナミナ(三村秀子)たち米を搗く娘たちの近くにいた。「ほら、サヨンが呼んでいるから早く行きなさい」「いくら呼んでも帰ってこない!!こらっ!!」逃げ出す仔豚。サヨン「待て~!!」逃げ出す仔豚。「みんな~!!私の仔豚を捕まえて~!!」ガキ大将のサヨンが呼ぶと、部落の子供たちが全員やってくる。追い掛け廻すが、逃げ回る仔豚。すばしっこい仔豚は山に逃げていく。子守りをしていたターヤは騒ぎに、子供を背負ったまま、山に駆け出す。途中、面倒になったターヤ(中村実)は、赤ん坊を木にくくりつけて、追い掛けた。ターヤが、弓を取り出して仔豚を討とうとしたのをサヨンが、体を張って制止した。仔豚は、大きくなるまで育てて売るのだ。 
    捕まえた仔豚を引き連れて部落に戻る途中、ターヤがサヨンに謝罪する。高砂族の言葉で謝るターヤに、サヨンは「もう一回!!」と命ずる。日本語で、「サヨン、僕が悪かった」と言うターヤに「国語をちゃんと使わないと駄目だ」とサヨン。子供たちに「今日は何曜日?」「今日は何日?」と日本語の問い掛けをするサヨン。子供たちの中には、名前を日本名に変えたものもいる。「そうか、太郎に変えたんだ。立派だね」と誉める。
突然、ターヤが「忘れた!!」と叫んで走り出す。「どうしたの?ターヤ」赤ん坊を木にくくりつけたままだったのだ。「みんな一緒に探してあげて!!」しかし、ターヤがくくりつけた木に、赤ん坊の姿は影も形もない。困るターヤ。
    その頃、村井部長(大山健二)のもとに拾われた赤ん坊が届けられていた。武田正樹(近衛敏明)に「道端に落ちていたと言うんだが、どこの子だろう?」と尋ねる村井。「いや蕃族には、随分赤ん坊がいますからね…」「そうだ、お前心あたりはないか?蕃族の赤ん坊はほとんど、お前が取り上げているからな」と妻(若水絹子)に尋ね、「ターヤのうちじゃないかしら」「そういえば、似ている気がするな」仔豚ではなく、母豚を売る日がやって来た。子供たちは母豚を売ったお金で、野球道具を買って欲しいが、サヨンは、山羊を買って、その乳を赤ん坊たちに飲ませようと考えていた。しかし、実際に豚買い(水原弘)が連れて行く日、別れが辛くて泣き出すサヨン。部落の外れまで、母豚を送って行くサヨンと子供たち。
   蕃社で一人内地の学校に進学していたサブロ(島崎徹)が、卒業して、戻って来ることになった。サヨンは子供たちを連れて部落の外れの吊り橋まで、サブロを迎えに行く。

武田正樹(近衛敏明)サブロ(島崎徹)モーナ(中川健二)ナミナ(三村秀子)ターヤ(中村実)豚買い(水原弘)

    41年松竹大船清水宏監督『みかへりの塔(718)』
     大阪市を遠く離れた山あいに白亜の塔が立っている。修徳学院である。
     草間先生(笠智衆)が見学の父母たちに学院の説明をしながら、案内している。「200余名定員の特異児童を収容するこの学院は、教職員を含め300名以上が4万坪の広大な敷地内で全ての生活を行い、一つの社会を営むのです。10数名ずつに分かれ、家庭と呼ばれる16の家で暮らします。各家庭には、教師と保母が付きます。この二人は原則的に夫婦であります。女子の家庭には保母が一人ずち付きます。保母はお母さんと呼ばれ、本当の母親のように生徒の面倒をみるのです。学院での起床は朝5時の鐘と共に始まります。自分で布団を上げ、寝小便をした生徒は自ら干すのです。素行の悪い児童には寝小便の癖が多いのです。昨年は、全児童で、2315件報告されています。朝の炊事も、交代で行います。新婚の奥様方より、手際よいと思われます。毎朝体操をし、掃除を致します。全生徒が集合し、礼拝を中央講堂で行います。誓司を唱えるのです。その後、授業が行われますが、学年は能力別に分けられ、16歳でも、尋常小学校3年の授業を受けたり、また逆の場合もございます。学科は、午前中4時限のみで、午後は職業訓練を行います。木工では、自分たちが使う机、本棚、戸棚などは自分たちで作っております。時々見学にお見えになったから注文を受け作らせて頂くこともあります。洋裁はミシンを使って、殆どのものは作れます。実は私が今着ております背広も生徒が作ったものです。
畑仕事も、完全に時給とは言えませんが、殆どの野菜は園内でまかなわれます。特に南瓜は味がいいと評判であります。」

    院長(奈良真養)のもとに、保母の夏村(三宅邦子)が呼ばれた。脳波検査などの結果を見ていた院長は「また、新入生をお願いします。」
    別室に、多美子(有為子)が父親(坂本武)と話している。「とても面白い機械が沢山あったわ。科学博覧会みたいね。私、夜遊びがいけなかったわね」「お小遣いも使い過ぎたね」
    院長が「保母の夏村です」と紹介する。「坂田多美子です」と自己紹介する多美子。「では、夏村先生お任せします。」夏村と多美子を送り出した院長は父親に向かい「多美子さんは、今までの女中さんに囲まれ我が儘放題の生活は出来なくなります。厄介払いが出来たと思わないで下さい。これからが大事なのです。お忙しくても出来るだけこちらにお越し下さい。また出来るだけ手紙を出して下さい。」「分かりました」
   多美子をこれから暮らす家に案内する夏村。「ここには12人の女の子が生活しています。あなたも早く慣れて下さいね。」夏村に話し掛ける直子「お母さん!!みっちゃんが私の簡単服を勝手に着ているんです。みっちゃん自分の服が乾かないものだから…。あの洗い方を見ていて、そうじゃないかと思ったわ。全然絞らないんですもの」夏村、直子を連れ美枝子?のもとへ行く。「みっちゃん、その服直ちゃんのもの?」「告げ口したのね。いいわよ。返せばいいでしょ」着ていた服を脱ぎ捨てる「ちゃんと洗濯して返して頂戴。」「あなた今着たばかりでしょ」「直ちゃん、小汚いんですもの。お風呂に入っていても、ちゃんと石鹸で体を洗っているの見たことないんですもの」「うるさいわね。洗って返せばいいんでしょ」


草間先生(笠智衆)保母(森川まさみ)喜雄(横山準)信一(古谷輝雄)岡本(緒方喬)朝田先生(日守新一)保母(忍節子)正雄(大塚紀男)川辺先生(西村青児)保母(岡村文子)春男(津田晴彦)河野先生(河原けん一)保母(雲井つる子)水野先生(近衛敏明)保母(草香田鶴子)鈴木先生(大山健二)保母(出雲八重子)功司(末松孝行)津村先生(仲英之助)保母(高松栄子)夏村保母(三宅邦子)多美子(野村有為子)多美子の父(坂本武)信一の母(吉川満子)正雄の母(若水絹子)

    銀座シネパトスで、魅惑の女優列伝Part1 ひし美ゆり子
    75年東映京都関本郁夫監督『好色元禄(秘)物語(719)』
     竹林を呉服屋の丹波屋の若旦那世之介(中林章)と西念寺住職の愛妾お夏(ひし美ゆり子)が逢い引きをしている。「若旦那はん、若旦那はん、どこにいてます?」「えらく待たせるやないか」「イケズ!これでも住職さんの目を盗んで来たんでっせ」胸に手を入れ揉みしだく与之助。「お夏の体が燃えている」「跡をつけたらあきまへんえ。和尚はんに見つかったら、またむごい折檻受けなあきまへんえ」「お夏っ」「不義の現場を見つけられたらどないことになりますのえ」
   西念寺本堂では、住職清海(汐路章)が読経中だ。竹林を追いかけっこをする二人。「ねえ、若旦はん、約束しておくれ、うち、あんさんの嫁にしておくれ」「わかった。この櫛は、死んだお袋の形見だ。これをやろう」「嬉しいわあ」
    夕暮れ、小坊主金鶏(山田政直)が、鐘をつく。風呂場で、住職の体を洗うお夏。「お前も裸におなり」「本堂の片付けが済んでおへん」「そんなもん、金鶏にやらせたらええやないか。わしのあそこもこんなんなっておる」突然吐くお夏。「今まで、何度もしゃぶったり、くわえたもんやないか」「そないこと言っても、わてややこが出来ましたんえ」「えっやや子が!」
   数日後、門前、「ワシかてお夏を手放しとうはない。ただ寺で産むとなったら、檀家もウルサいやさかい。里に帰って、丈夫なやや子を産んでやってや」「これは少ないけど、やや子の着物でも買うてやって…。ところで、気になっとんのやが、そのやや子は、本当にわての子か?」お夏、寺に戻って行こうとする。「おまえどこ行くんか」「そんな疑うんやったら、やっぱりこちらで産みます」「おいおい、それは勘弁してや」
   荷物を持った金鶏を伴ってお夏は、実家に帰る。「何や、えらい臭いですな」「元々古い沼を埋めた場所だが、蛭やら鼠やらしかいない最低のところだす。他の住人はみんな逃げ出して、あてとこしか住んでいないんよ」
   家の戸を開けると、父親の棺桶職人の弥市(北村英三)が顔を上げ「どないしたんや今時分。」「見たら分るやろ。お寺を出て来たんや」「夏!お前孕んどるんか?」「あんな生臭坊主のやや子なんか誰が孕むもんか。あー暑い、暑い」着物を脱ぎ始めると、お腹に籠が結わえられている。「あんた見たんか」金鶏が覗いていた。「お前、和尚に言うんか。」「いえそんなことあらしません。仏とあてだけが見ていたんどす」弥市「西念寺さんとは、随分お世話になってるんや。今作ってる棺桶だってあっこの仕事やで」「大丈夫や、そんなヘマはせんよ。あらお七、久松はどないしてはるん」妹のお七(橘麻紀)「商いにでてます」「小間物屋の歩き商いをまだやっとるんか」「小さくてええので、お店を持ちたいと思ってます」「そんなん持てる訳あらしませんで・・・」お七は、久松(川谷拓三)を婿として迎え、この家で暮らしていた。
   薬種問屋の店先にお夏の姿がある。若旦那喜兵衛(名和宏)が驚いている。「店に来たらあかんと言うとるやないか」喜兵衛に抱かれるお夏。「あんたとの浮気がばれて、寺を出されてしまったんよ。町で暮らすと銭もかかって・・・」財布から少なくない金を出して渡す喜兵衛。翌朝、井戸端でお七が洗濯をしていると、お夏が起きてきて、洗い桶に腰巻を投げ込む。「でも姉さん、呉服屋の丹波屋の若旦はん世之介はんと薬種問屋の若旦はん、どっちと結婚しはるの?」「結婚なんてせんよ」「?」そこに、酔っ払った弥市がご機嫌で帰ってくる。「お父はん、こんな時分から酔ってはるの?ええ御身分や」「ただ酒や。祝言があって振る舞い酒やで」「どこで祝言あったん?」「丹波屋はんや、丹波屋はんの若旦はんが嫁を取るんや」「えっ!そんな阿呆なことあるか?」走るお夏。
  丹波屋の前で、店のものたちと押し問答をするお夏。「これから祝言なんや。お前誰や?」「若旦はん!若旦はんに逢わして!!」無理矢理中に入り、世之介に「若旦はん、わてだす。夫婦にしてくれはるという約束は嘘だったんどすか。これ頂いたお母はんの形見の櫛だす。」世之介の父の大旦那忠兵衛(坂本長利)が「もう花嫁御寮が来よるで。何やこのきちがい女」「わて知りしません。狂った女が入って来たんどす」「追い出してしまえ!!」店の者たちがお夏を取り囲み、河原まで運んで放り出す。「一思いに殺せ!殺せ!!」「殺したろやないかい。」顔色が変わった男たちから逃げようとするお夏。「死んだろやないか」川に自ら飛び込むお夏。川に浮かぶ小舟に、金鶏とお夏の姿がある。「あんた何で助けたんや。」「仏の御心だす」
  世之介が新婦のお新(三井マリア)との初夜を迎えている。「未通女(おぼこ)いなあ。お前、こんな男と女のこと知っとるんか?」恥ずかしそうに「枕絵を見ました」満足そうに愛撫する世之介。「ここはもう濡れてるやおへんか」感じ始めるお新。「指1本、指2本・・・わしのものを入れたる・・・。」よがり始めるお新。1匹の蛇が二人の布団に入って行く。突然激しくよがりはじめたお新。ふと我に返った世之介が、布団の中を覗くと、1匹の蛇がお新のホトに入り込んでいる。驚いて飛び起きる世之介。お新も自分の身体に入って来ているのが蛇だと知り、逃げ回る。一度は腰を抜かした世之介、部屋から逃げ出す。
「ああ、おもろかった。かなへびが新婦の中に入って行ってよがっとるんでっせ。」お夏、「勝手なことするな。あてが何時仇を討ってくれといいましたんや。するときは自分でしますどえ」
  喜兵衛がおせん(窪園千枝子)の股間を広げている。京随一の枕絵の画家栄斉(笑福亭鶴光)に描かせているのだ。おせんは当代一の名器を持っているのだ。おせんを抱きながら、栄斉に一斗樽を持ってきてくれという。栄斉が不審に思いながら、奥から盥を借りてくると、おせんは潮を吹く。激しく噴き上げる愛液を番傘を差しながら「これがほんまの春雨じゃ」と言う喜兵衛。
  誰との逢引か、出会い茶屋を出ようとしたお夏は、妹のお七に会う。「あんた、ここがどんなところか知ってるの?」「ウチの人にこの簪をお客さんに届けるよう言われたんどす」「おなごに買ってやろうという男でもいるんかな。先に帰っているで」「では、姉さん。」しかし、お七を待っていた客(室田日出男)は、10両を放り投げ、簪だけでなくお七も買ったんだと言う。夫のある身ですと抗っても、その夫が持ちかけた話よと男。抵抗空しく、凌辱されるお七。
  お夏が家に帰ると、久松は昼間から酒を飲んでいた。「あんた、お七を売ったね」と久松を問い詰めるお夏。
  


西鶏→西鶴(山田政直)手代(唐沢民賢)出合い茶屋の船子(志賀勝、岩尾正隆)船饅頭(丸平峰子)手代(奈辺悟)お七の客(片桐竜次)

   田中陽造脚本だが未見だった。傑作だ!!!
どうも東映ピンクはB級感で見ていたので、日活ロマンポルノよりも下に見ていたが、こんな掘り出し物もあったんだな。

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