角川シネマ新宿で、大雷蔵祭。
60年大映京都伊藤大輔監督『切られ与三郎(724)』
歌舞伎小屋中村座、三味線を弾く与三郎。「上方きっての人気役者だか何だか知らねえがあんな大根、俺は嫌だぜ。明日からは誰か立てくれ」「そんな!!」吐き捨てるように?の芝居を切って捨てた与三郎に、一人の女形が「お師匠さまに何て言い草だ!囃子方風情が!」といきり立った。小屋の者は「相手が悪い。あいつは将軍家御用達の蝋燭問屋伊豆与の若旦那で、道楽三昧で、金も貰わずやってるんだ」となだめようとする、小屋を出て行こうとした与三郎に小刀を持った女形が襲いかかるが、はねのける与三郎。鶴ヶ左仕吉の札が裏返しになり、赤字となる。
婆や(浦辺粂子)に、「だから俺のことを買い被っているんだ、婆やは。」「私は若旦那のことは何でも分かっているんです。大旦那さまが、若旦那を惣領養子とした後に、ご新造さんとの間に、お嬢様とお坊ちゃまがお生まれになったものだから、優しい大旦那さまが勘当しやすいように放蕩三昧してらっしゃるんですから…。」
お源(浦辺粂子)13才~16才お金(富士真奈美)伊豆屋与左衛門(香川良介)お菅(村田知栄子)山城屋多左衛門(小沢栄太郎)10才のお金(浅野寿々子)お富(淡路恵子)ちさ(高野道子)源右衛門(潮万太郎)女歌舞伎芝村あやめ一座かつら(中村玉緒)あやめ(大和七海路)大貸元・佐々良三八(寺島貢)市場鶴(小堀阿吉雄)権九郎(嵐三右衛門)亥太郎(山路義人)蝙蝠ノ安五郎(多々良純)
留公(尾上栄五郎)十返九十郎(天野一郎)松五郎(水原浩一)若芝(高倉一郎)佐野川杜若(五代千太郎)藤八(浅尾奥山)飯沼左仲(原聖四郎)丈助(横山文彦)己之(大丸智太郎)辰吉(三木譲)お里(小松みどり)お吉(種井信子)勘十(清水明)
60年大映京都市川崑監督『ぼんち(725)』
春団子はるだんご(中村鴈治郎)が船場の街を歩いていると、後ろから来たトラックの運転手が「こら!おっさん、気いつけさらせ!!ひき殺してしまうで!!」と怒鳴りつける。呆然とふらふらあるき、河内屋の古びた屋敷に入っていく。中に2番目の子の太郎(林成年)と1番目の子の久次郎がいる。「どちらさんも、お初にお目にかかります。私は、旦さんには随分とご贔屓にしただいておりました。御新造さんが亡くなられたと伺って参りました。」太郎「お父はん、ご祝儀のようなもん、お金ようありましたな。兄さん、もう会社へお帰り」春団子「仏はんは。こちらのお母はんだすか?」「いや、ウチと兄さんの母とも違うんでっせ。お父はんいうたら、何人の女がいたのかようわからんですのわ。」
喜久治(市川雷蔵)が呼ぶ「おときは何しとんのや。おとき!おとき!お茶やで」おとき(倉田マユミ)が現れる。春団子「あの方は?」「あれは、ただの上女中頭でっせ」「上女中頭・・・。へえ、御隠居はん。さすがに五代続く船場の老舗だすな・・。」
時代は遡る。若い喜久治の身体に天花粉をはたくおとき。全裸で仁王立ちし、下帯から全て着せてもらいながら、喜久治は「しかし、船場の伝統やら面倒くさいもんやな。1日と15日には、着ている服全てさらのモンに着替える。そのために、何人かのお張り子が毎日ずっと縫っているんやで、勿体ないもんや。
四代続く船場の足袋問屋河内屋
ぽん太(若尾文子)お福(京マチ子)弘子(中村玉緒)勢似(山田五十鈴)幾子(草笛光子)きの(毛利菊枝)比沙子(越路吹雪)喜兵衛(船越英二)春団子(二代目中村がん治郎)太郎(林成年)
61年大映京都増村保造監督『好色一代男(726)』
池袋新文芸坐で、シネマカーテンコール2009。
ジェームズ・マンゴールド監督『3時10分、決断のとき(727)』
黒く鍔の小さな帽子を被ったベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が、枯れ木に止まる鷹の絵を描いている。
アリゾナにあるダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)の小さな農場。ある夜、大地主ホランダーに命じられたタッカーに、厩に放火をされる。ここを出て行かないと、次は家を焼くぞと言うのだった。ダンは、14歳の長男ウイリアム(ローガン・ラーマン)と必死で馬を逃がすが、飼葉を含めて小屋は焼け落ちた。もともと乾燥した土地は、旱魃が続き、ホランダーは、ダンに嫌がらせをして川を堰き止め流れを変えたため、水を買うにも金が掛かり、借金が膨らむばかりだ。そんな不甲斐ない父親にウィリアムは不信感を持っていた。
翌日、騒ぎで逃げ出した牛を探しながら、ビズビーの町に出てホランダーと交渉しようと、ダンは、ウィリアムとマークを連れて出掛ける。1台の駅馬車が爆走している。装甲され、ガトリング機関銃で厳重に武装されたその馬車は、サザン・パシフィック鉄道の依頼で、ビズビーの町に多額の金を運ぶ途中だった。ベン・ウェイドをボスとする強盗団は、その馬車を狙っていた。一番の子分チャーリー・プリンス(ベン・フォスター)たちと高台から走る駅馬車を眺めているウエイド。
男の映画。護送する側とされる側に結ばれる友情のようなものと、父親への不信感を持つ息子の葛藤。うーむ。いいなあ。
ベニー・チャン監督『コネクテッド(728)』
グレイス・チャン(バービー・スー)は、遅くまでロボットの設計の仕事をしていたので、机で眠ってしまっていた。会社の部下でデザイナーの?から今日のプレゼンの時間確認の電話で目が覚める。グレイスは、6歳の一人娘、ティンティンを車に乗せ、小学校に送って行く。夫を亡くしてから、母娘の暮らしだったが充実していた。娘を学校で下ろし、会社に向かう車。突然右側の道路からRV車が突っ込んで来た。事故かと思うと、バックして再び突っ込んで来る車。車内には黒い服にサングラスを掛けた男たちが乗っている。グレイスは気を失う。
アボン(ルイス・クー)は仕事場に途中、姉から電話を受ける。今日は一人息子のギットが海外に留学に出掛ける日だったが、仕事に追われ、息子との約束を破り続けるアボンに、見かねた姉は自分が空港に連れて行くが、必ず空港まで見送りに来るよう伝える。アボンはギットに必ず空港に行くと約束した。
グレイスは廃屋に連れ込まれ、隠したものを出せと言われる。全く心辺りはないが、教えないと命の保証はしないと言われる。廃屋にあった古い電話を粉々に壊し、男たちはグレイスを閉じ込めて出て行った。
グレイスは、何とか壊れた電話の部品を繋ぎ合わせる。壊れたダイアルの変わりに回線を接触させると「この番号は現在使われておりません」とアナウンスが聞こえる。何とか復活したのだ。何度かトライすると偶然アボンの携帯電話に繋がった。
ちょっと散漫気味なことも含めて、久し振りに香港映画らしい映画だ。公道でのカースタントの出鱈目さも、バトルアクションのテンポも見所は充分だ。
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