2009年9月30日水曜日

哀しい邦画を見た。

     二日酔いではないのだが、飲み過ぎたせいか腹を下し、朝を抜き二度寝。昼も抜こうかとも思ったが、昨日の朝食の浅利の味噌汁が冷蔵庫に入っていることを思い出し、温めて飲むと消化器系も生き返り、軽いご飯と納豆、いい塩梅に漬かっていた根菜類のピクルス。
    酢で完全復活し、携帯の謎のメモを発見。昨日のプロダクションI社長の所に、同世代の放送局新規事業室長になったT氏が来ると言う話だと確認して出掛ける。そういえば、元の会社で関わった作品を 持って来てくれと頼まれていたことを思い出し、学校の講師室に寄って、CDやDVDをピックアップして大橋に。残念ながら、T氏は来られなくなったが、IさんとMさんとこれからのことの打合せが出来て良かった。

     新宿へ出て、角川シネマ新宿で、森岡利行監督『女の子ものがたり(556)』
    多摩川らしき土手を歩く葵出版の漫画誌の編集者、財前静生(福士誠治)。古い一軒家の玄関を叩く。「あの、誰かいませんか?」「いないよ」返事が後ろからする。犬の散歩の帰りのような漫画家の高原菜都美。「葵出版の財前です。上がっていいですか。」散らかった室内。赤字で寿と書かれた金色の丼にドッグフードを入れ子犬に食べさせる菜都美。「部屋片付けていいですか?」返事を待たず財前はゴミを纏め始める。「漫画好きなの?」「僕、中学の時に高原先生のファンだったんです。」「だったんですか・・・。」「こころの中の箪笥好きでした。」「ああココタンね。全然売れなかったね。」と言って缶ビールをごくりとやる菜都美。「えっ、ビールですか?」「ゼンザイクンも、飲む?」「いや財前です。」菜都美の机を見て、「全然描けていないじゃないですか・・・」「まあ、そのうちやります。」と言って、ソファで昼寝をする菜都美。
    ・・・子どものころ、大きくなったら、家を出て、遠くに行かなければ幸せにはなれない。ここでないどこかに、きっと自分がいてもいい場所があると思っていた・・・・。
 田園風景、小型トラックが走る。荷台には、そんなに多くはない引越しの荷物。運転席には、高原菜都美(森迫永依)、父房蔵(板尾創路)、母光代(奥貫薫)、古びた一軒家で荷物を下ろしている房蔵。部屋では片付けをしている母に、菜都美は、「私がお腹にいた時に、お母さんは海苔が好きだったでしょ。私は、お腹の中で、海苔を枕に眠っていたの・・・。」「アホなことばかり言っていると、新しいお父さんに怒られるよ。外でしばらく遊んでいな。」近くの原っぱに行く菜都美。トタンの小屋の前で、ケンケンをしている二人の女の子がいる。近くに菜都美が行くと「どこの子?」「ねえ、どこの子?知ってる?」「知らない。遊んであげんからね。」「それと、ここウチらの原っぱだから勝手に入らんどいて。」
    菜都美が困った顔をして離れると、草むらに子猫が捨てられているのを見つける。菜都美が抱き上げると、二人が寄ってくる。「あんた名前は?」「なつみ」「触らせてなっちゃん。」「チエちゃん、抱き方いかんわ。」「みさちゃん、取らないで」菜都美は、きみこ(三吉彩花)とみさ(佐藤初)と友達になった。子猫のエサをどうしようかということになり、みさの家に行くが、みさの母親は、うちは団地だから飼えない。父ちゃんの稼ぎもなくて、子供も沢山いるのに、これ以上食べられないと怒って、みさをぶった。きみこの家に行くが、きみこの家は輪をかけて貧しい。家が汚いからと言ってみさは土足で上がる。近所の子供はみんなキミちゃんの家に行くと汚れるから行っちゃいけんと言われているとミサ。冷蔵庫を覗いたきみこは、牛乳なんてハイカラなものはないと言う。原っぱにおいて、明日学校終わりで食べ物をやろうと言うことになった。学校帰りに原っぱに行くと子猫は死んでいた。黒猫は祟ると婆ちゃんが言っていたとみさ。急いで埋めて拝む三人。ふときみこが犬の糞を踏んでしまった。えんがちょだと騒ぐみさ。逃げようとして転ぶみさを、みさちゃんはドン臭いと言うきみこ。三人はとても仲良しになった。
   家で、房蔵の身体を揉む菜都美。房蔵は、菜都美が揉んでくれると気持ちがいいと言う。そして、「なつみ、お前は違うで・・・。お前は人と違う人生を送るかもしれん。」と言って頭を撫でてくれる房蔵。翌日学校の帰り、男子がきみことみさを苛めている。貧乏!貧乏!と言って、ランドセルに貧乏人と書いた紙を貼る男子たち。少し離れたところで、菜都美が困っていると、クラスで背も高く美人なマナちゃんが菜都美に声を掛ける「なっちゃんどんなシール持っている?」あんまり持っていないと答えると、かわいいシール買って貰ったから、今度あげるねと言われる。苛められている二人が気になりながら、マナと一緒に歩いて行く菜都美。
   その後、トタンの小屋の前で、話している菜都美、みさ、きみこ。マナちゃん胸大きいな。ブラジャーしとったな。ブラジャーすると大人になれるんかな?バスに乗って街にブラジャーを買いに行こうということになる。着ていく服がないきみこに自分のワンピースを貸してやり、バスに乗る三人。街のデパートの下着売り場に行くが、紫色のブラジャーを見て、お互いの胸に押し付けあって、逃げ出す三人。翌日、やはりきみことみさが男子に苛められている。そのことに胸を痛めている菜都美を見て、マナは男子をやっつける。マナのグループが怒ると男子はタジタジだ。「なっちゃんに貸しを作った」というマナに、菜都美は「マナちゃん!みさちゃんも、キーちゃんも嫌いだけど、あんたのことが一番嫌いだ!!」と言って、走り出す。呆然と見送る。マナたち、みさ、きみこ・・。
   その夜、布団で寝ている菜都美。房蔵と光代が言い争いをしている。房蔵の会社が潰れたらしい。「そんなもん。潰れたんやから、しゃあないやないか。出て行きたいなら、出て行けばええやろ!!」「なつみと私で、どうやっていけばいいんですか。」「どうもこうも、やる気があれば、どうにでもなるやろ。」「あなたは、私に水商売をやれと言うんですか。」「お前じゃ、水商売は務まらん。」
両親の喧嘩を聞きながら、私は幸せ、私は幸せ。私は可愛がられていると呪文を唱え続ける菜都美。
   光代と菜都美が歩いている。「なっちゃん、お友達を選ばんとあかんよ。そして、いい学校に入りなさい。でないと、おかあさんみたいになってしまう・・・。」「なつみ、おかあさんみたいになりたい。」「アホなこと言うんじゃないの。私は、どれだけなっちゃんのために辛抱しているか・・・。」「おかあさんも、私みたいに呪文を唱えればいいのに。私は幸せ、私は幸せ、私は可愛がられている。」菜都美が絵を描いている。みさときみこが何を描いているのと言う。「あたしの好きな空と海。」「空なのに、青だけじゃなくて、色々な色があるね。」菜都美は、二人に自分宛の手紙を書いて海に投げると自分の夢が叶うと言う。三人で自転車に乗り海まで走る。菜都美は、「どこかに、私のことを全部好きになってくれる友達がいますように!!」と言って手紙の入った牛乳瓶を投げる。みさ、きみこも投げる。
  ・・・・・・私たちは、本当に大人になったら、幸せになれないと思っていた。失敗したコケシみたいな顔の私たちは、不安でいっぱいだった・・・・。
   「先生、今回も恋愛ものですか・・・。先生の作品って、最近恋愛ものばかりですね。交通事故で恋人が亡くなって・・・。」と編集者の財前。「編集さんの希望よ。交通事故がなんだったら、難病ものに変える?」「・・・・。」「ゼンザイクンって名前は?」「静生です。」「ぜんざいしるこ?」「財前静生です。」「ゼンザイクン。クーちゃんの散歩行ってきてよ。友達になってあげてよ、クーちゃんと」土手を犬の散歩をする財前。「ダメ犬、ダメ漫画家、ダメ編集者・・・・・」
   
   高校お制服姿の、きみこ(波瑠)みさ(高山侑子)と菜都美(大後寿々花)がゲームセンターにいる。きみこの眉を書いてあげている菜都美。みさが、あき姉ちゃん(落合恭子)!!!と声を掛ける。最近、彼氏のたかさん(大東俊介)と暮らしているんでしょ。うんまあねと言って、煙草を吹かすあき。こんど家に遊びに行ってもいいですか?とみさが、あきに声を掛ける。  
   あきのアパートの前に三人がいる。嫌がる菜都美を引っ張って行くみさときみこ。声を掛けるが返事はないので、中に入る。1DKの台所から声を掛けても返事はない。覗いてみると、息を呑むきみこ。菜都美とあきも覗いてみると、あきとたかは、騎乗位でセックスの真っ最中だ。刺激が強すぎて、悲鳴を上げて、部屋から走り出す。外に出て、「大人にはなれへん」と言い合っていると、服を着ながら、たかが出てきた。「お前ら、タイミングが悪かったな。また遊びに来いや・・・」そして、きみこを見て「お前かわいいな。愛人にしてやって、店でも持たせてやるわ・・。」
    ・・・・大人になると、この街からみんな出て行く。男の子は、やくざになって得意げに帰ってくる子もいるが、女の子は帰って来ない・・・。「どこへ行ってしまうんやろうなあ。」「香港らしいで。」「香港ってどこ?」「知らへん。」・・・・・・
    菜都美は、みさに手伝って貰って、トタンの小屋に絵を描こうと、白いペンキを塗り始める。すると、自転車に乗って、きみこの母親(風吹ジュン)がやってくる。「きみこが、一昨日から帰って来ないの?」と娘を探している。二人は、たかのアパートに行ってみる。あきは、他の男が出来て出て行ったのだと言う。きみこは、そこにいた。あきは「きいちゃんは、貧乏やから捨てられるで・・・」という。ワシの一月の小遣いは100万円、着ているものは、アルマーニだ。たかさん下着もアルマーニですか?と後輩の男が言う。たかがアルマーニのスーツを脱ぎ始め、それをきみこはたたもうとするが、ただ、折り畳むだけだ。きみこは物心ついた時には父親がいなかったので、男物のスーツのしまい方など知らないのだ。「おまえ、ワシの大事なアルマーニ、しわくちゃやないか。」たかに殴られるきみこ。ごめんね、ごめんねと謝るきみこに、菜都美は、苛立って「何で謝るん?きいちゃん謝るのは違うやろ。」と菜都美。
   ドライブに行くことになる。たかのデカいアメ車のガソリンを近くの車のガソリンタンクからホースで盗む手伝いをしているきみこ。菜都美は馬鹿馬鹿しくて、むくれていると、サイレンが聞こえ、パトカーがやってきた。ホースを持ったままのきみこと、菜都美とみさを残し、たかたちは逃げて行く。「たかさんは、帰ってこない。帰ろう」と菜都美が言っても「きっと、帰ってくるから、待っている」と言い張るきみこ。「待っていたいねん。来なくてもずっと待っている」どんどんムカついた菜都美が行こうと言うと、「あっ、帰ってきた」ときみこ。たかの車は、三人の前を素通りして、パトカーに追いかけられたまま、反対方向に走り去った。
   山の中に置いてきぼりになった三人は、歩いて山を降りる。しかし、歩いても歩いてもバス停さえみつからない。おしっこを我慢していたみさが茂みに走り込む。連れションをして元気が戻った三人は、近道だと歩き始めたが、日が暮れても道もみつからない。河原で焚き火をする(キャンプ場の焚き火のようだ(苦笑))。ガールズトークで笑い合う三人。翌朝、綺麗な滝で、服を着たまま水浴びをする菜都美とみさ。きみこは、すやすやと眠っている。やっとのことで、林道に出る。そこに軽トラが行きすぎる。走って追いかけて、荷台に乗せて貰う。軽トラが銭湯の前に停まる。制止する主人を振り切って、服のまま、お湯に飛び込み、服を乾燥機で乾かす間、バスタオルを捲いて、眠る三人。銭湯を出てきたところに、主人が呼んだ警官がやってくる。逃げだすが捕まった。警察署の廊下、それぞれの母親が迎えに来て帰ってゆく。菜都美は、光代から「だから、ともだちは選びなさいと言ったでしょう。」と言う。急に静かになった廊下に、一人佇む菜都美。
   夕暮れ時、家の前で、ちょっと煙草を買いに出かけるという義父の房蔵に出会う。「菜都美、お前はどこか違うで。他人とは違う人生を送る気がするねん。」と言って、菜都美の頭を撫でて、坂を降りてゆく房蔵。ちょっと煙草を買いに行く筈だった房蔵はしばらく帰ってこなかった。
  



   IMJ製作の原作モノだったことを忘れていたので、愕然として、後悔した。西原理恵子を生み出した高知の田舎、田舎で貧しく美しくもない女の子たちが、大人になること、幸せになることを美しく描き、考えさせてくれる原作だった筈が、自称オーバー30の女性プロデューサー2人の、自分探しの自己満足に使われちゃった感じの映画だ。なんせ、出来の悪いコケシみたいな私たちなのに、キイちゃん(三吉彩花→波瑠)ミサちゃん(佐藤初→高山侑子)役は雑誌モデルだから、きれいで、都会的で、垢抜けて、カッコいい。ちょっと不細工で、カッコ悪いのは、森迫永依→大後寿々花→深津絵里と成長する主人公だけだ(苦笑)。
    昭和の田舎の貧乏な小学生や女子高生の格好、違うだろう。さすがに、歯並び悪くしろとは言わないけれど、口元殴られたのなら、せめて含み綿くらいやってくれ(笑)。小学生で、男子たちから貧乏人と言って苛められるきみこ(三吉彩花)とみさ(佐藤初)。垢抜けて美人の同級生との差は、胸が大きくて小学生なのにブラジャーをしているという点だけだ。身長も体系もきみことかわらないぞ(苦笑)。高校生になっても三人でゲーセンにいるが、本当だったら、制服は改造しまくり、眉毛は無かったろう。煙草じゃなくて、アンパンだ。ヤンキーで煙草吸い、男と同棲しているあき姉ちゃん(落合恭子)と彼氏のたか(大東俊介)のアパートを訪ねて、二人がセックスしているのを見て驚いて逃げ出すが、貧乏で狭い家子沢山の家庭なんだから、そんなに未通女(おぼこ)い高校生はいないだろ。何だか、都会の女子高生のガールズトーク。一晩外泊して、誰もいない銭湯に服のまま入っただけで、駐在所じゃなくて、街の警察署まで連行して親を呼んで説諭なんてしないだろ。これが、女の子版「スタンド・バイ・ミー」なのか(苦笑)。
   更に、漫画家の仕事場兼自宅、連載こそないものの、読み切りの仕事が継続していると言う設定な筈なのに、漫画家と言うリアリティは全くない。
   プロデューサーと監督は、世代的に、田舎とか貧乏とか生活へのリアリティないんだろうか。それだけに、自分たちは大人になっても幸せになれるとは思っていなかったとか、この街を出て行って、二度と帰ってくるなという台詞が本当に薄っぺらいものになってしまっている。目を背けたくなるばかりの現実の前に、私は幸せだと言う呪文や、私のことをみんな好きになってくれる友達が出来ますようにと叫んで、希望の牛乳瓶を投げているのだ。そして、逞しく処女を捨てて大人になるんじゃないだろうか。アルマーニやら何だか高そうな時計やらスーツを男に買って貰う反面、友達から一万借りるんじゃないのか…。本当は、この街を出るしか明日はない奈津美は、そんな簡単に一万円財布から出して貸しちゃうことは出来ないんじゃないのか。少なくとも今の5万円位の価値があるんじゃないのか?
  プロデューサーと監督は、原作で描かれていること以上のことを想像出来ない。素晴らしい原作と、頑張っている出演者がもったいない。まあ、西原理恵子本人は、どっちでもいいんだろうけど。本人カメオ出演。そこだけ昭和のリアルおばさん。

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