新宿ピカデリーで、大森美香監督『プール(550)』
タイ、チェンマイ。ゲストハウスの庭にあるプールに落ちた枯れ葉を掬うタイ人の少年。「ビー」呼ぶゲストハウスの女主人、京子(小林聡美)。「ビー、買い物に行こう、夕飯何がいい? 」「チラシ・ズ・シ…」とビー(シッティチャイ・コンピラ)「ちらし寿司?」と京子。
バンコクの空港、東京からの飛行機から降り立ったらしい、少年のような娘(さよ)。スーツケースを引き、到着ゲートを出てくる。出迎えを探すが見つからないようだ。バッグからタイ語のガイドブックのようなものを出していると、「伽奈さんですよね?」と声を掛ける男(加瀬亮)。「出迎えが男の人だと思わなくて…」と伽奈。「まだ夕食まで、時間があるので、どこか見ますか?」と言うが、何の当てもないようだし、いきなり躓いて転んでしまう全く頼りない男だ。
そこに市尾の携帯がなり、そこに行きますと答えている。案内された先は、涅槃仏のある寺院だ。そこには菊子(もたいまさこ)と言う女性が待っていた。菊子も、今日の夕飯を誘われていると言う。3人が、京子のゲストハウスに戻った。「また背が伸びたね」と京子。「子供じゃないから、もう伸びないよ」「そのワンピース似合っているよ」何かぎこちない伽奈と京子が母娘だと知って、驚く市尾。しかし、伽奈も、タイ人の男の子ビーを、こともなげにウチの子と言う母親に面食らう。「産んだの!?」「9才だから違うよ…」。4年振りに会う母親には、やっぱり打ち解けられないのだ。京子が用意した晩餐を、疲れているからと言って、部屋に戻る。横になって、気がついたら翌朝だった。窓を開けると、綺麗な庭が広がっている。
伽奈が、台所兼居間に行くと誰もいない。テーブルにあったバナナを食べてぼーっとしていると、京子が戻ってきた。パンと卵でいいでしょと京子。私が作ると伽奈。ほうといった表情で、娘の成長を感じて京子は任せながら、自分も野菜を切る。母娘で台所に立つのは何年振りか、初めてなのか、すこしぎこちない。パンとスクランブルエッグとベーコンの朝食をとる母娘。
「みんなは?」「もう働いているわ・・・。菊子さんは散歩、市尾さんは仕事・・・」「あの子は?」「小学校に行っているわ。」「ふーん。」
伽奈は庭に出てみると、プールに気が付く。水辺で足を濡らし気持ちよさそうに揺らしている娘を、遠くから微笑ましく見ている京子。
小学校からビーが帰ってきた。お腹が空いたというビーに、揚げバナナを作ってやる京子。同じテーブルに付くが、話しかけてくるビーにあたってしまう伽奈。再びプールに出てみると、市尾がいる。市尾は、タイの小型の熱気球ロイカトーンを作っていた。「あの子はどの位日本語が分るの?」「えっ?」「何だか大人げないことを言ってしまって・・・。悪いことをしたと思っています。」「ギーなら大丈夫ですよ・。」
始まるまで、「かもめ食堂」「めがね」に続く作品だと思っていた(苦笑)。桜沢えりかが原作で、昔大好きだったのでまあいいけど。「ヒット作『かもめ食堂』『めがね』の製作陣が再結集したこの癒し系ムービー」という惹句は厳しいな。ジェリー・ブラッカイマー製作総指揮(「トップガン」・「アルマゲドン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」)という感覚で監督やキャストが無名な場合はプロデューサーで売るのは映画業界の常識だけど、せっかく、「かもめ食堂」で掘り起こした新しい女性映画ファンに、オーガニックレストランのシェフが、近所のスーパーで買い物しているのを見ちゃったという気分にしているんじゃないだろうか・・。第一、大森美香が可哀そうだし、荻上直子には失礼だ。そういう表現も二人に失礼か(苦笑)
「めがね」は見ていないので何とも言えないが、「かもめ食堂」は、トーンが違う記憶だが・・・。この分では、三谷幸喜の妻が出演とか、「やっぱり猫が好き」の出演者が再結集とか(苦笑)。確かに海外ロケで、テレビ局出資なので、バジェットも多いとは思うけど、製作委員会の各社のプロデューサーたちが、現地に表敬訪問しないだけでも倹約になったのでは・・。というより、試写会呼んで貰ったお礼に、貰ったプレスリリース通りに紹介する映画ライターたちと映画コーナー編集者が最低。
少年のような主人公役さや、小林聡美、もたいまさこ、タイの子供、唯一の成人男性が加瀬亮…。女性、男性、母性など性と言うのかセクシャリティを感じさせない映画だ。こうした映画も決して嫌いではない。
しかし、せっかくスクリーンで観ていても、あまりタイの空気とか風を感じられないのと、時々、言葉が説明的に感じられてしまう。細かい言い方に変えれば、広い絵の時に、ピンがぼーっとしているのは、狙いなのか、撮影の問題なのか、上映の問題なのか、私の視力の問題なのか…。
更にもう少し、テレビじゃないのだから、台詞をもっと切ったほうが、小津や成瀬のように、静かに、映像が語る映画になった気がするのだが…。
ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA★忍法。
68年宝塚映画川崎徹広監督『風来忍法帖 八方破れ(551)』
一作目より続編のほうが各段によいと随分と書かれていたので観るが、比較論だな(苦笑)。ただ、どうも撮影してみたら、長くなりすぎて、切ることができずに、前後篇に分けて公開。起承部分の全編はあまりに評判悪く、転結にあたる後編の公開まで3年開いてしまったという印象だ。
65年東映京都長谷川安人監督『忍法忠臣蔵(552)』
元禄十四年、江戸城に詰める伊賀のお庭番、無明綱太郎(丹波哲郎)に仲間が耳打ちをする。「そんな訳はない。おゆうは私の許嫁だ。お庭お目見えと言ったら、殿のお手つきになってしまうでないか!?」
男子禁制の大奥に忍び込み、廊下を渡るおゆう(桜町弘子)に駆け寄り、声を掛ける。表情を変えず、殿の御意向に従うのが忠義だと言い放つおゆう。将軍綱吉(神戸瓢介)の寝所で、おゆうを正に抱こうとした時に、布団が宙に舞い、這いまわる綱吉を高笑いして無明は消える。(原作では、おゆうを斬り捨てたとなっている)
ちょうど、浅野内匠守の松の廊下での刃傷沙汰が起こり、その隙に、無明は江戸城を脱出し、日光・奥州街道を宇都宮へと逃げる途中、10名程の忍者がつけて来ていることに気づき、誰の命だと言って、斬り捨てる。能登忍者万軍記(佐藤京一)らは、無明の前を行く虚無僧姿の二人の女を追っていたことがわかるが、追っ払う無明。二人の女は、上杉家城代家老の千坂兵部(西村晃)の娘織江(桜町弘子)と侍女卯女(岡島艶子)だった。江戸屋敷で、主君上杉綱憲(五十嵐義弘)が、織江を側女として、夜伽をせよと言い張るので、逃げ出して来たのだと告白した。織江が、おゆうと瓜二つなことに驚く無明は、織江に誘われるまま、千坂家の屋敷に居候となった。
城から戻った兵部は、無明を呼び、蔵に閉じ込める。蔵の中には、くノ一のお琴(阿井美沙子)、お弓(三島ゆり子)、お桐(小島恵子)、お梁(扇町京子)、お杉(弥永和子)、鞆絵(内田高子)、6人がいて、無明を誘惑する。兵部は、卯女に上杉家の大事なので、もし無明が一晩くノ一たちからの誘惑に勝ったら、お家の大事の秘密を明かして重大な任務を頼もうと思っているという。それを盗み聞きしていた織江は、無明はそんな誘惑に弱いお方ではないと言い張る。兵部は、織江が無明を愛していることが分ったが、お前にもお家大事のときには重要な任務が待っていると告げる。
バンコクの空港、東京からの飛行機から降り立ったらしい、
伽奈が、台所兼居間に行くと誰もいない。
「みんなは?」「もう働いているわ・・・。菊子さんは散歩、市尾さんは仕事・・・」「あの子は?」「小学校に行っているわ。」「ふーん。」
伽奈は庭に出てみると、プールに気が付く。水辺で足を濡らし気持ちよさそうに揺らしている娘を、遠くから微笑ましく見ている京子。
小学校からビーが帰ってきた。お腹が空いたというビーに、揚げバナナを作ってやる京子。同じテーブルに付くが、話しかけてくるビーにあたってしまう伽奈。再びプールに出てみると、市尾がいる。市尾は、タイの小型の熱気球ロイカトーンを作っていた。「あの子はどの位日本語が分るの?」「えっ?」「何だか大人げないことを言ってしまって・・・。悪いことをしたと思っています。」「ギーなら大丈夫ですよ・。」
始まるまで、「かもめ食堂」「めがね」
「めがね」は見ていないので何とも言えないが、「かもめ食堂」は、トーンが違う記憶だが・・・。この分では、三谷幸喜の妻が出演とか、「やっぱり猫が好き」の出演者が再結集とか(苦笑)。確かに海外ロケで、テレビ局出資なので、バジェットも多いとは思うけど、製作委員会の各社のプロデューサーたちが、現地に表敬訪問しないだけでも倹約になったのでは・・。というより、試写会呼んで貰ったお礼に、貰ったプレスリリース通りに紹介する映画ライターたちと映画コーナー編集者が最低。
少年のような主人公役さや、小林聡美、もたいまさこ、
しかし、せっかくスクリーンで観ていても、
更にもう少し、テレビじゃないのだから、台詞をもっと切ったほうが、
ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA★忍法。
68年宝塚映画川崎徹広監督『風来忍法帖 八方破れ(551)』
一作目より続編のほうが各段によいと随分と書かれていたので観るが、比較論だな(苦笑)。ただ、どうも撮影してみたら、長くなりすぎて、切ることができずに、前後篇に分けて公開。起承部分の全編はあまりに評判悪く、転結にあたる後編の公開まで3年開いてしまったという印象だ。
65年東映京都長谷川安人監督『忍法忠臣蔵(552)』
元禄十四年、江戸城に詰める伊賀のお庭番、無明綱太郎(丹波哲郎)
男子禁制の大奥に忍び込み、廊下を渡るおゆう(桜町弘子)
ちょうど、浅野内匠守の松の廊下での刃傷沙汰が起こり、その隙に、無明は江戸城を脱出し、日光・奥州街道を宇都宮へと逃げる途中、10名程の忍者がつけて来ていることに気づき、誰の命だと言って、斬り捨てる。能登忍者万軍記(佐藤京一)らは、無明の前を行く虚無僧姿の二人の女を追っていたことがわかるが、追っ払う無明。二人の女は、上杉家城代家老の千坂兵部(西村晃)の娘織江(桜町弘子)と侍女卯女(岡島艶子)だった。江戸屋敷で、主君上杉綱憲(五十嵐義弘)が、織江を側女として、夜伽をせよと言い張るので、逃げ出して来たのだと告白した。織江が、おゆうと瓜二つなことに驚く無明は、織江に誘われるまま、千坂家の屋敷に居候となった。
城から戻った兵部は、無明を呼び、蔵に閉じ込める。蔵の中には、くノ一のお琴(阿井美沙子)、お弓(三島ゆり子)、お桐(小島恵子)、お梁(扇町京子)、お杉(弥永和子)、鞆絵(内田高子)、6人がいて、無明を誘惑する。兵部は、卯女に上杉家の大事なので、もし無明が一晩くノ一たちからの誘惑に勝ったら、お家の大事の秘密を明かして重大な任務を頼もうと思っているという。それを盗み聞きしていた織江は、無明はそんな誘惑に弱いお方ではないと言い張る。兵部は、織江が無明を愛していることが分ったが、お前にもお家大事のときには重要な任務が待っていると告げる。
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