2009年9月29日火曜日

ペ・ドゥナ!!!!

   午前中は、大門の睡眠障害クリニック。

   渋谷に出て、シネマライズで、是枝裕和監督『空気人形(553)』
   夜、レインボーブリッジを走るゆりかもめの客席に秀雄(板尾創路)の姿がある。コンビニで、シャンプーの香りを確かめる秀雄。雨の中走って古いアパートのドアを開ける。部屋で、コーヒーを手に、働く店の同僚の噂をしている秀雄。向かいの席に座っているのはラブドールだ。
  その後、ベッドで、ラブドールを抱きながら、「のぞみ・・・きれいや・・・。」と声を出す秀雄。かっての彼女の名前らしい。翌朝、ラブドールの取り外し式のあの部分を丁寧に洗う秀雄の姿が浴室にある。「のぞみ、行ってくるで。」と秀雄が出掛けて行く。ベッドに横たわっていたラブドールがゆっくり揺れている。息使いが聞こえる。いつの間にか人形は立ち上がる。全裸のまま、開いた窓の外にある手すりの水滴に手を伸ばし、「キ・レ・イ・・・キ・レ・イ・・・」と呟く。窓の外を見ているノゾミ(ペ・ドゥナ)。
  ノゾミは、そこにある服を着てみる。セーラー服、スパンコール付きのブルーのビキニ、掛かっているメイド服を着てみて満足そうに鏡に映す。外に出るノゾミ。何か開発から取り残されたような一角だ。目の前にゴミの回収場所があり、通勤、通学途中の近所の人々がポリ袋を捨ててゆく。目の前に老婆千代子(富司純子)が、擦れ違う人や、印刷屋の中に、挨拶をしながら歩いている。後ろを歩きながら、老婆の動作の真似をしているノゾミ。老婆は交番に行き、巡査轟(寺島進)相手に、テレビでやっていた事件の犯人は自分だと自首するのだ。あの犯人は、もう捕まったよと答える轟。保育園のお散歩のあとを歩くノゾミ。園児がノゾミの伸ばした手を握るが、「冷たい!!」と走って列の戻る。・・・私は空気人形・・・。空っぽな、性欲処理の「代用品」・・・。
   ノゾミは、レンタルビデオ屋シネマサーカスの前に立つ。自動ドアが開いて中に入るノゾミ。カウターに店員の純一(ARATA)を見つめる。「心」を持ってしまった・・・。持ってはいけない「心」を持ってしまった。


   ペ・ドゥナ主演。何だか変な顔なんだけど、好きなんだな。この話は甘ったるいなとか、この登場人物は少し薄っぺらいなとか、途中思うことは沢山あるのだが、ペ・ドゥナが出ているだけで、全てオッケーだ。メイド服姿が、オールヌードがとかもあるが、空気が抜ける時と、空気を吹き込まれる時の切ない表情を見るだけで最高だ。素晴らしい!!自分の今年の主演女優賞は、勿論ペ・ドゥナで決定だが、ペ・ドゥナが出ているだけで、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、技術賞…全部門独占させてもよしと言う気分だ。痩せてるなあ。何か美味しいものを食べさせてあげたい気持ちだ。

   シネマヴェーラ渋谷で、追悼、長谷部安春
   71年日活蔵原惟二監督『不良少女 魔子(554)』
   渋谷のボーリング場、魔子(夏純子)が男に勝負しないかと声を掛ける。魔子を見た男は勿論オッケーだ。意外な程の強さで魔子が勝つと、魔子の仲間のズベ公たちが現れ、男を裏に連れて行く。大して金を持っていないチンケな男だと悪口を言うズベ公たち。ユリ(戸部夕子) ナナ(相川圭子春美(美波節子) 早苗(太田美鈴)おカズ(原田千枝子)。
   魔子は、仲間と別れ一人で渋谷の街を歩く。途中、子犬を拾う。可愛がる一方、子犬を放り投げたり、魔子は気まぐれだ。最後には、車のブレーキ音がして、子犬の悲鳴が聞こえるが、顔をしかめただけだ。再び魔子と合流するズベ公グループ、歩きながら、みんなで「タンタン、たぬきの金玉はかーぜもないのに、ブーラブラ」と合唱する。何だか可愛らしい(笑)
   ディスコで、ズベ公の仲間たちと踊り狂う魔子。そこに、不良青年たちがやって来る。その中の秀夫(清宮達夫)が、魔子に目を付ける。一緒にどこか行かないかと声を掛けると、マリファナが手に入る所があると言う魔子。オープンカーの助手席に魔子を乗せ、言われるままに行くと、人気のない行き止まりだ。秀夫が不審に思うと、ズベ公たちが現れる。秀夫を殴り有り金を巻き上げ去る魔子と仲間たち。
   女子高生のスケ番たちが、婦人下着屋で万引きをしている。宮下公園で、魔子たちと擦れ違う。かっぱらった下着に魔子が気付き、スケ番たちを袋叩きにして、万引きしたものをカツアゲする。意気揚々と山手線のガードをくぐり抜け、今のタワーレコードのビルの横に出ると、徹(小野寺昭)や洋次(岡崎二朗)たちが、秀夫の仕返しをしようと待ち伏せしていた、みんなズベ公たちは殴られ、魔子は徹たちの車で拉致られる。
   サブ(清水国雄)のオヤジ(河上喜史郎)が経営する自動車整備工場が、彼らのアジトだ。徹は、魔子を秀夫と二人部屋に閉じ込め、昨日の仕返ししてやりなと言う。秀夫は、お前ら汚いぞと言いながら、魔子を殴る。



    なぜ蔵原惟善の弟の惟二の監督作が、と思ったら、別名で脚本を書いていたのだ。


   69年日活長谷部安春監督『広域暴力 流血の縄張【しま】(555)』
   関東桜会を解散させると、桜会会長で、藤岡組組長藤岡伸作(見明凡太郎)が解散声明を読み上げ、自分に続いて署名をしてくれと言う。警視庁の暴力団撲滅運動の強化により、昭和44年ヤクザの看板を下ろし、"カタギ"の仮面に掛け替え始めた時代のことである。藤岡組代貸で桜会副会長の板倉和夫(葉山良二)が、関東の各親分たちに回す。上村組組長上村覚、遠井組組長遠井隆弥ら次々と署名をするが、三人目の大野木組組長大野木幸次郎(加藤嘉)は、自分の組は解散しないと言う。今まで、何の手入れも受けてこなかった大野木組は別に代貸の矢頭清一(中丸忠雄)も、150人の一家のため、シマの平和のため看板を下ろさないと言う。騒然とする中、組員の小松勇治(小林旭)を呼び、帰って行く大野木組の三人。示しがつかないと騒然とする会場だったが、我々も堅気になったのだとしばらく様子を見ようと言う藤岡。
    組に戻ってきた大野木たち。客分の湊茂夫 (髭のない藤竜也)が黒猫を抱きながら、組を無くしちゃいけねえ、組を無くした自分が一番身に沁みていることです。最近シマ内で、チンピラや愚連隊が小さな騒動を起こしている。今まで無かったことだ。そこに、美しい女(姫ゆり子)が訪ねてくる。クラブ・バッキンガムの岡野道代と名乗り、シマ内に開店したので御挨拶に来たと言って帰ってゆく。菓子折りと一緒に、100万の小切手が入っていて驚く組員たち。
   そこに、連込み旅館から、チンピラ達が嫌がる娘を手篭めにしようとしていると電話が入る。駆け付ける勇治、湊、サブ(岡崎二朗)たち、服を脱がされマワされそうになっていた娘(牧まさみ?)を間一髪で助ける。チンピラたちを叩きのめす。少し前にパチンコ屋で暴れていた男たちだ。一人リーダー格の男を絞め上げて、誰に命じられたと迫る。中々口を割らない男の腕に湊はドスを刺す。あまりの苦痛にクラブ・バッキンガムにいる男に頼まれたという。バッキンガムに行き、男(名和宏)を呼び出す。なかなか胆の据わった男だ。そこに、矢頭が現れ、「陣野さん、あんまりじゃないですか・・」と言い、勇治たちを引き揚げさせる。
   矢頭は女房が女将をする小料理屋に、勇治たちを連れてくる。サブは女将の和江(峰京子)の実の弟だ。陣野は、関西連合会会長の陣野万之助(須賀不二男)の弟の政吉だと言う。関西連合会が大野木組のシマを狙っていると騒然とする組員たちに、軽挙妄動するなと厳命する矢頭。
  その頃、陣野政吉は、クラブ・バッキンガムのママ道代のマンションにいる。おめえは俺の持ち物だと言って、道代を抱く政吉。

    東映の任侠ものとは、少し違う手触りだ。

    夜は、外苑前の粥屋喜々で、20年ほど前にJというバンドの仕事でご一緒したプロダクション社長のIさんと、ハイパー・コピーライターのT氏と、友人N氏とで会食。何だか、かなり酔っ払った。いかんなあ。
  

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