2009年8月8日土曜日

夏の映画

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロインたち【第48弾】星由里子
   62年東宝川島雄三監督『箱根山(455)』
   運輸省で唐沢運輸大臣(藤田進)出席のもとで、箱根地区の道路に関する聴聞会が開かれている。外では雷鳴が轟き、中での激しいやりとりと呼応しているかのようだ。南部急行の篤川安之丞(小沢栄太郎)は、自分たちが私費を投じて建設した箱根観光道路を、近藤杉八(中村伸郎)の西郊鉄道傘下の箱根横断鉄道バスが勝手に使わせてくれと言うのは乗っ取りに会ったようなものだと口汚く罵った。篤川傘下で、大浜銀次社長の(上田吉二郎)が経営する函豆観光バスと、西郊鉄道傘下で千葉雄次郎社長(浜田寅彦)の箱根横断鉄道バスは、箱根の観光事業で激しく争っていた。
    箱根観光道路を締め出された箱根横断鉄道バス側は、道路の遥か上を行くロープウェイを施設した。函豆観光バスは、芦ノ湖に、初の双胴船を導入、更に箱根横断鉄道側は、豪華遊覧船を建造した。実は2社と別に、床原園と言う大型温泉施設を持つ氏田観光の北条一角(東野栄次郎)は、独自に芦ノ湖スカイラインを建設中であった。しかし北条は、工場現場の視察をしながら、小さなところで足を引っ張り合っていてもしょうがないので、喧嘩に巻き込まれるなとにかく完成を急げと、床原園の総支配人の塚田肇(有島一郎)に、激を飛ばしていた。
     床原園に民政党の大物議員の大原泰山(森繁久彌)が北条に呼ばれやって来た。しかし、大原は虫に刺され体が痒いので、薬効のある温泉に行きたいと言い出し、芦刈にある老舗旅館の玉屋に宿泊することになった。芦刈には、玉屋と道を挟んで若松屋と言う旅館があり、玉屋から暖簾分けをした親戚だったが、その時のゴタゴタで150年に渡ってライバル関係にあった。
    今日も、若松屋の跡取り娘17才の森川明日子(星由里子)と、玉屋の使用人の乙夫オットー(加山雄三)もそれぞれの泊まり客の子供同士が「箱根の山は天下の険」か「喧嘩の険」と言う喧嘩に巻き込まれて喧嘩をしている。乙夫は、玉屋の女中の子供だったが、産後直ぐに亡くなった母親に代わって自分を育ててくれた玉屋の女将森川里(東山千惠子)に感謝し、尽くしていた。
    明日子が帰宅すると母親の森川きよ子(三宅邦子)が、学校から英語と物理の成績が下がったと電話があったと心配顔だ。明日子は、国語と作文はすこぶるよいのでいいでしょうと全く気にしていないが、女と言うものは、どれも平均的に80点位な方がいいのだと言う。その頃明日子の父親の幸右衛門(佐野周二)は、ちょうどロケで泊まっていた映画監督の川口豪(藤木悠)に、箱根の古代人についての自説を語っていた。芦刈、足柄、芦ノ湖など箱根一帯にアシと付く地名が多いが、アシは明日の意味で、縄文時代よりも前の石器時代の原人たちは、野生動物たちから身を守るために最も早く陽が登る場所に住み着いたからだと言う。箱根山の外輪山の東の切れ目から陽が差す場所は朝日ヶ丘と呼ばれていると言う。そこで、石器などの遺跡を発見すべく、研究をしているのだと言う。更にアシの地名に因んで、娘に明日子と名付けたのだと誇らしげに語る幸右衛門。
    大原泰山は、乙夫に身体を洗って貰いながら、彼の女将への忠誠心の強さと、相撲取りになっても良さそうな体つきと、聡明さに、とても好感を持った。風呂上がり用意された女将の?が板場を仕切って出された食事がある。大原が、乙夫に目を付け、自分の秘書兼ボディガードにしようと思っていると話すと、北条もぜひとも自分の会社に迎えたいと思っていたと言い出し、俄かに険悪になる二人。
     最近若松屋に押され気味な玉屋は起死回生に、番頭の小金井寅吉(藤原釜足)が温泉井戸のボウリング工事をやっていた。しかし、金が掛かる割にはなかなか簡単には出てくれない。職人気質の親方(西村晃)に、くどくど言い過ぎて怒られてしまう。里は、そんなに簡単に温泉が出る訳はない、自分は5年位掛かると思っていると言うが、資金繰りに困っていた。里は、寅吉に乙夫に、三島の親類の茗荷屋の末娘フミ子(北あけみ)と結婚させ、旅館を継いで貰おうと芦ノ湖祭りにフミ子を手伝いに越させて、人柄を見ようと思っていた。
   寅吉は、大原泰山の宿代を床原園の総支配人、塚田のもとに受け取りに行く。塚田は、北条からどうしても乙夫を連れて来いと厳命されており、乙夫の出生の秘密を寅吉に尋ねる。乙夫の父親は、横浜に寄港したドイツ巡洋艦のフリッツ兵曹だった。巡洋艦は故障し、修理が終わるまで、主人がドイツ語を理解する若松屋が宿舎となった。フランツは玉屋の女中のお留と親しくなり、乙夫が産まれたのだ。しかし、難産だったお留は数日後亡くなり、フリッツ兵曹は帰国しなければならなくなった時に、本国の嫉妬深い妻がいて、乙夫わ連れて帰ることは出来ないが、くれぐれも宜しく頼むと里に頭を下げて帰国したのだと言う。寅吉は、ドイツ人の父親も女中の母親も容姿は特によくなかったと、余計な話までしている。

  銀座シネパトスで、「日本映画レトロスペクティブ-PART2-」~戦争と人間 良心の重さ~。
   68年ATG岡本喜八監督『肉弾(456)』
   海に浮かぶ魚雷に繋がれたドラム管から、"あいつ"が顔を出し、第二あけぼの楼と書かれた番傘を広げる。昭和20年の夏のことだ。"あいつ"は21歳6ヶ月だった。硫黄島、沖縄と奪われたことで、お臍まで見られてしまったような恥ずかしさがあると、砂浜で出会った中年女が言っていた。広島に、新型爆弾が落とされ全滅、次は九州に上陸され、本土決戦だ。強い閃光は新型爆弾だろうか。ドラム缶に飛び込んできた小魚を
   

   59年東宝橋本忍監督『私は貝になりたい(457)』
   
   橋本忍さんの脚本家としての功績は本当に素晴らしいものだと思うが、自身で監督した作品は、どれも、どうもシャキっとしない感じがしてしまうところはとても残念だ。しかし、清水豊松が初めて巣鴨プリズンに入って眠れぬ一晩を過ごし、翌日の木曜日に、同室の大西三郎(中丸忠雄)が、処刑のために、部屋を出されるシーンの緊張感は格別だ。
   音楽は、よさこいをオーケストレーションしたものが何度もリピートされ、ちょっと耳障りだ。

   COOL&WILD 妖艶美 反逆のヒロイン 梶芽衣子
   74年東京映画藤田敏八監督『修羅雪姫 怨み恋歌(458)』
   荒廃しきった寺で、疲れ果てた表情で座り込む鹿島雪(梶芽衣子)の姿がある。目の前の墓は、父親と母親の名が、また雪に剣を教え込んだ元旗本の道海和尚の墓もある。気が付くとドスや長ドスを下げた着流しの男たちに取り囲まれている。墓地内で、石段を下りながら斬り捨てる雪。最後に斬られた男が池に落ちた。その池の水をすくい飲む雪。フラフラと立ち上がり、山門を開け外を見ると、日露戦争から戻った兵士たちが行進している。明治38年9月、日露戦争は勝利に終わったが、戦死者37万にも及んだ。
   雪は気が付くと、馬上の丸山警部(山本麟一)に指揮された警官たちに取り囲まれていた。凶悪犯として指名手配されている雪は、逃亡を続けるうちに焦燥しきっていた。何とか斬り捨て、丸山の乗る馬を奪って逃走する。海岸で馬から降り、よろよろと歩き始める雪。警官たちの呼び笛に追われるように、しばらく行くと焚火を見つける。そちらに歩き出そうとしたところで、雪はトラバサミの罠に足を挟まれる。苦痛に歪む雪。疲れきった雪に罠を外す力は残っていなかった。そこに、野兎を下げた長髪のマタギのような姿の男(原田芳雄)が現れる。足の傷を手当てし、2,3日で治るだろうと言う男。食事を勧めてくれるが、逃亡生活の中で、神経を酷使しすぎた雪は、松ぼっくりが落ちた音にさえ反応してしまう。そんなに気をつめていると参ってしまうぞと男は声を掛ける。
   翌朝、日の出ととも、雪が目を覚ますと、自分には毛布が掛けられており、食事とコーヒーが目の前にあった。しかし、おとこの姿は見えない。手が昨日の戦いの血で汚れている。砂浜に降りて、海の水で手を洗う雪。気が付くと、半端ではない人数の警官たちに取り囲まれている。紫紺の傘から仕込み刀を抜き、二人ほど倒すが、離れてる場所に立っている昨日の男と目が合うと、覚悟を決めたように、刀を宙に投げ、大人しく逮捕された。
    雪は、自分が生まれおちた女囚のみが収監される特別監獄に入れられた。明治39年3月14日大審院の丹野静一郎判事は、殺人請負人として、37名もの人間を殺し、逃亡を続けていた凶悪犯として、絞首刑が相当だと判決した。雪の死刑執行の日がやってきた。二頭立て馬車で護送される雪。気が付くと洋装だが、おかめの面を被った男たちが護送車を襲撃し、雪を奪取した。この男たちは、特別警察を率いる菊井精四郎(岸田森)に指示された蜍(南原宏治)たちだった。
    菊井は、命を救う代わりに無政府主義者の徳永乱水(伊丹十三)に近づき、乱水の元の”あるもの”を探し出して手に入れることと、乱水の命を奪うことを要求した。承諾する雪。
雪は、乱水の家に女中として住み込んだ。乱水は、妻のあや(吉行和子)と二人暮らし。本来は女中に来て貰うような暮らしではないが、あやの身体が弱いからだと言う乱水。乱水とあやの濃厚なセックスを覗いてしまう雪。乱水の書斎を探すが、目当ての物は見つからない。
   ある日、叛逆事件一周年と言う原稿を書いていた乱水は外出するので、雪に同行して欲しいと伝える。家を出た途端特別警察の尾行がついた。何とか刑事をまくと、乱水は、雪を犬猫の墓に連れて行き、修羅雪姫と呼ばれる鹿島雪だろうと言う。乱水は、雪の正体と自分の家に来た訳を知っていた。一年前、たまたま入院していた乱水を除き、同志12名を叛逆事件と言うでっち上げで殺され、この犬猫墓地に葬られたのだと言い、自分のボディガードをやってくれないかと頼む乱水。元より菊井に恩義を感じている訳ではない雪は承諾する。更に自分に万が一の場合は、四ッ谷鮫ヶ橋の貧民窟にある診療所に、菊井たちが探している秘密文章を届けてくれと雪に預ける乱水。

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