2009年5月31日日曜日

マキノ雅弘、高倉健、悲しい酒

   池袋新文芸坐で、孤高のスタア 高倉健
   67年東映京都マキノ雅弘監督『日本侠客伝 斬り込み(318)』
   腕斬り真三の異名を持つ流れ者の中村真三(高倉健)は、瀧井組の貸元を斬って、五才になる一人息子の秀男(斎藤信也)を連れて草鞋を履いた。ある小さな海辺の街に流れ着いたが、小さな街で草鞋を脱ぐ博徒の親分はいないという。
     しかし、秀男が熱を出し入院が必要だと言われる。無理矢理田舎医者を脅して入院させ、着物を質入れしたものの宿代にも足りない始末だ。困り果て、香具師の傘屋源藏親分の一家を訪れる。入り口にいた源藏の娘お京(藤純子)が応対する。金が必要なのだと答えると訳を教えてくれと言う。子供の入院費が必要なので、自分の命を買ってくれと頭を下げる。ちょうど戻ってきた子分たちと、筋違いだろうと一触即発になったが、傘屋源藏(石山健二郎)が現れ、気に入ったと札入れを出した。浜の病院に支払いに行ってくれないかと言う真三に、いや自分で行って用が済んだら戻ってくればいいと源藏。真三と秀男は救われた。
   すっかり元気になった秀男と真三の姿が海岸にある。汽車と船を乗り継いで、小倉のおばあちゃんのところに一人で行けと言い、切符と亡くなった妻の位牌を持たす真三。秀男は泣いたが、心を鬼にして、傘屋の一家を訪ねる真三。源藏は子供の古本の表紙を綺麗に張り直していた。こうすれば、金のない家でも安価に子供に本の一冊でも買ってやれるのだ。これを子供にあげなさいと手渡され、実家にやりましたと答える真三。驚いた源藏が子分を駅に走らせようとした時に、娘のお京が秀男を連れ帰ってきた。ひどいおとうちゃんねと言い、私が育てますと言うお京に、返す言葉もない真三。
   ある日、源藏は真三に語り出した。かって自分は東京の新宿で真っ当な庭場を作ろうとしたが駄目だった。おりゃお前さんの生一本な性格に惚れた。神農道に宗旨替えして、俺のケチな夢叶えてくれねえかと頭を下げられた。半端なヤクザから足を洗って一から人生をやり直すことを誓う真三。しかし、お京は反対する。旅烏の香具師生活で、母親を亡くし、また寂しい気持ちを味わった自分の体験を秀男にさせたくないのだと言う。小倉の実家に預けて、単身東京に行くつもりだった真三は、私が拾って来た秀男は自分が預かって育てると言い切るお京に、再び言葉を失った。
   新宿の大宋寺の境内で、真三が絵本を売ろうとしていると、周りの香具師たちが、俺たちは、新宿街商組合に会費を払っているのだと言う。会費を払えば商売が出来ると聞いて、副会長との弁天福(金子信雄)のところに行って会員となる。なかなか売れないのを見かねて弁天福が、立て板に水の口上で売りさばいてくれる。「本の中に一円札が入っているものがある。万が一ハズれても家に持って帰れば子供も喜ぶ」と大声を出すと、あちらこちらから手が伸びて来た。そこにお京が秀男を連れて現れる。おとうちゃんに会ったら帰る約束だったが、勿論秀男は納得しない。お京も、東京に残ると言われ、断り切れない真三。とりあえず二人を連れ食事をしようと食堂に入る。弁天福もやってきたので、お礼にどうぞと言った時に、相州一家が現れ、弁天福を痛めつけようとした。真三は、チンピラたちをのして追っ払った。
   相州一家は板橋を縄張りにしていたが、新宿の庭場を手に入れようと狙っていたのだ。
   to be continued.

   東京街商組合、関東花若一家総長若松幸次郎(大木実)
   
   65年東映京都マキノ雅弘監督『日本侠客伝 関東編(319)』
   大正12年東京の魚市場は、日本橋から築地に移転した、その翌年のこと。
   今日もいつものように活気に満ち溢れている市場だが、築地移転を期に、丸に協のマークの新しい協同組合が勢力を伸ばしていた。東京魚市場協同組合理事長の郷田勢之助(天津敏)は、東京水産局の局長寺岡善次郎(加賀邦男)に賄賂を渡し、裏では、ヤクザの石津組組長石川利三郎(遠藤辰男)を使い、嫌がらせや暴力で、新協同組合に加入をさせ、築地市場を一手に治めることで、魚相場を思うままに操り、大儲けをしようと企んでいた。しかし、地魚市場の老舗江戸一は、先代の東京市民においしくて安い魚を提供する方針で、慕われていたが、石津組の嫌がらせで脱落する卸も現れ始めている。市場で魚を荷揚げし、卸に運ぶ人夫たちを小揚と言う。河岸の気っぷで、喧嘩っ早いが、曲がったことの嫌いな、気のいい連中だ。
to be continued.

長女市川栄(南田洋子)妹の光子(藤純子)婆やおせき(東竜子)江戸一事務員新太郎(丹羽又三郎)丸山(森源太郎)小僧の由(名護屋一)竹(山下義明)東京魚市場協同組合理事長郷田勢之助(天津敏)水産局長の寺岡善次郎(加賀邦男)日南水産森田(原健策)石津組組長石川利三郎(遠藤辰雄)宮下(山本麒一)黒木(鈴木欣也)安田(関山耕司)メリケンの哲(潮健児)ハリケーンのジョウ(佐藤?)
元水天一家幹部江島勝治(鶴田浩二)三郎寿司板前サブ(北島三郎)女店員(西崎さかえ)
小揚組合長三谷加平(大木実)小揚の磯村松夫(長門裕之)東吉(待田京介)ぼうだら(山城新伍)赤目(曽根晴美)太平洋(田中春男)海坊主(加藤浩)アンコ辰(汐路章)
料亭、あけぼの荘、焼津の網元八十川波右衛門(丹波哲郎)

   野毛に出来たアート系のインキュベーションオフィスのオープニングパーティーに顔だけ出し、先日野毛で食事をご馳走になった元会社の先輩の御尊父様の通夜に参列。

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