2009年6月1日月曜日

日本映画1924年から2009年。

   ヒューマックスシネマ渋谷で、
   三木聡監督『インスタント沼(320)』
   沈丁花ハナメ(麻生久美子)はついていない。母の沈丁花翠(松坂慶子)のところに久しぶりに顔を出すと、翠は、あなたは宇宙人やUFOを信じないからだ、今も、庭に河童がいると言うが、勿論ハナメには見えない。編集長を務める女性誌のハテナ?の部数は下がる一方だ。西大立目部長(笹野高史)に呼ばれ、テコ入れしますと言うが、事態はもっと深刻だと言われる。ライターの一ノ瀬千(ふせえり)と、スカンクラーメンと言うニンニク丸ごとラーメン屋の取材に行く。激しく臭いだけで不味かった。そのまま直帰するつもりだったのに、部長に呼び出され会議だ。ハナメと一ノ瀬がいるだけで会議室は悪臭に満ち溢れている。最後に一発心霊特集をすることになる。
   笑える、笑える。久しぶりに大笑いする。三木作品面白いが笑えないこともあるが、今回は何だか壺に嵌ってゲラゲラ笑ってしまった。好きな女優が出ているコメディは、それでなくても顔がニヤニヤだらしなくなるのだが、麻生久美子がコメディエンヌかどうかは意見もあるが、何だか、8ミリ映像のオープニングから、最後の空から降ってきたものの直撃まで、なんて身体を張って、頑張っているんだ。もう本当に愛おしい。

   シネマヴェーラ渋谷で、シナリオライター小國英雄のすべて
   38年東宝斎藤寅次郎監督『エノケンの法界坊(321)』
   永楽屋の手代洋助に、家宝の鯉の掛け軸を探し出し、吉田家再興のために、道具屋にお世話になっているのだから、弱気にならず辛抱して欲しいと説得する?の姿がある。店先には、源右衛門が訪ねてくる。番頭の長九郎に、おくみに会いに来たと言う。そのおくみは、源右衛門がやってきたことを知り、裏口で洋助と白髭神社にお詣りに行こうとしていた。
ちょうど、店先に、法界坊(エノケン)が、鐘を引いて現れ、鐘突き堂建立の布施を集めていると言う。主人は金を包もうとしたが、店の小僧が、この法界坊はインチキだと告げ口した。


   24年衣笠貞之助監督『花咲爺(322)』
   ご存知、ココ掘れワンワン。何だか実家で飼っていた雑種にそっくりで、切なく…。我が家の駄犬は、小判も何も見つけなかったが。

   63年大映京都池広一夫監督『雑兵物語(323)』
   戦国時代、広い原っぱをよろよろ歩く足軽(勝新太郎)がいる。南と書かれた幟を、背負った荷を、刀を捨てると、向こうから早駆けの馬が二騎やってくる。慌てて逃げ隠れる足軽。村に入り農家の中に入る。竈にも、囲炉裏にも食べ物らしきものは無い。しかし突然、「泥棒!!」と言う大声がして足軽は逃げようとするが、寝たままの男(船越英二)だった。村の者たちは、寺に集まっていると言い、自分は、食うものもないので、寝たままだ。者を盗もうとする奴を脅かすと、慌てて何か落としていくのだと説明したが、懐からトウモロコシを出し、半分食えと投げて寄越した。足軽の名は茂平、村の男は弥十。村の了心寺では住職(柳家金語楼)が、いよいよ織田様が戦をするので近在の村に足軽の求めがあり、この村は15人となった、自分が交渉して一日20文の日当が前金で出させると言った。銭は欲しいが、若い男が15人などいない。

   渋谷シアターTSUTAYAで、清水祟、豊島圭介、川野浩司、山口雄大、オースミユーカ、深川栄洋、塚本連平、各監督
   『非女子図鑑(324)』
ニューシネマワークショップと言う映画プロデューサーのセミナーで作った実習映画だったんだな。そのせいかスタッフ・クレジットがやけに何回も繰り返される(笑)。特にプロデューサーが多いこと。作品毎に、十数名クレジットがあるので、よっぽど出資社の多い製作委員会かと思うと、実際に出資社も多いんだな。プロデューサーとして企画を立ち上げるモチベーションは、あくまでも卒業制作。各監督は、発注を受けて結構悪くないものを作っているが、企画そのもののモチベーションがどこにもないので(表現にもエンタメにもビジネスにも)、何だか感動的短編映画競争になっているだけのオムニバスだ。プロデューサーを育てるなら、もっと日本映画史の宝を味わって成功と失敗を学ばせるか、製作担当として現場で叩き上げるかが、必要なんじゃないだろうか。
やっぱり、ウェルメイドな映画を作ることは難しいんだな。思いっきり嫌な言い方をすると、安い製作費だけど僕たちセンスいいでしょうと言う顔が見えてしまう。地上波の深夜ドラマか、無料配信サイトのドラマだと書いて、ふとテレビを点けると、CXで「トリハダ」という深夜ドラマをやっている。たぶん、非女子図鑑も、テレビで見ると、かなり贅沢に楽しめる作品だったんだろうな。

    金子功監督『ケータイ小説家の愛(325)』
    高校2年生の愛(田代さやか)は、大好きだった母親が亡くなってから強い孤独を感じ、HIDEKIの携帯小説に嵌っていた。彼の携帯小説は、暴力、ドラッグ、セックスなど過激なシーンの連続だが、作者自身が体験したというリアルな表現で、女子中高生たちの間で大評判だった。愛が読んでいた過激なセックス表現をクラスの女子は携帯を取り上げ、大きな声で読み上げる。小学校から同じクラスだった田村(木村啓太)が止めろと叫ぶ。田村は、愛に自分でも携帯小説を書くことを勧める。キスもしたことの無い私には恋愛小説は書けないと答える愛。
   その夜、ニュース番組にHIDEKI(谷口賢志)が初出演。誰でも、自分の体験で携帯小説を書けるのだと言うのを聞いて、決心する愛。さっそく、「今日からはじめる携帯小説」と言うハウツー本を読み始める。ERIKAと言うペンネームで、携帯小説家と言うタイトルでページを登録した。愛は、クラスメイトがHIDEKIに似ていると噂をしていた2年4組の友樹を見に行く。友樹(三浦悠)と目が合う。帰り道、いきなり不良グループが愛に襲いかかってきた。そこに、友樹が現れ、不良たちを追っ払う。家まで肩を貸して送ってくれる友樹。他の女子がみな同じ化粧なのに、違っている愛が気になっていたと告白される。
   週末デートに出掛ける。ゲームセンター、ビリヤード、カラオケ、あまり遊んだことの無い愛には、初めてのことばかりだ。アベックたちが激しいラブシーンを交わす夜の公園で、ビールを飲み、初めてキスをし、更に友樹にバージンを上げた。愛は、さっそく携帯小説を書き始める。学校の体育館の倉庫や、秘密のアジトで会う度に愛を確かめ合う二人。段々気持ちがよくなってきた愛の声を偶然聞いてしまった田村はショックを受ける。
    ある日、秘密のアジトで会っている時に、友樹は、エクスタシーの錠剤を取り出す。あまりの気持ちの良さに頭が真っ白になっていた愛の上に乗っているのはいつかの不良たちだった。ショックのあまり翌日学校を休む愛。しかし友樹が家に訪ねてくる。公園に呼び出し、最初の事件は愛とのきっかけを作るために不良たちに頼んだヤラセで、それをバラすと脅されたのだと土下座して謝る友樹。その姿に愛は、友樹を許す。しかし、暫く後、愛の妊娠が分かる。誰の子供だか判らないと言う愛に、友樹は、家出しろ、子供を産め、自分は働いて一緒に暮らそうと言う。
   しかし、待合わせしていた秘密のアジトに、友樹は現れない。実は不良たちに待ち伏せされ、ボコボコにされ、気絶していたのだが、愛は絶望からか、このまま死んでしまうのだろうかとアップする。そこに田村が現れ、衰弱した愛を自宅に連れ帰り、風呂に入れた。自分は床で寝るので愛にはベッドで眠れと言った田村に、愛は一緒にベッドで眠る方が暖かいよと誘った。私を抱きたければ抱いていいよと愛は言ったが、田村は何もしなかった。しかし翌朝田村が目覚めると愛はいない。朝まで気絶していた友樹が電話をしてきたのだ。二人は、古ぼけたアパートの二階で、愛の巣を築いた。    ままごとのような生活は始めは幸せなものだったが、友樹のバイトがなかなか決まらず、また愛がERIKAという名前で、携帯小説を書いていて、そこに出てくるTOMOが自分のことで、二人のことが全て書かれていることを知ってしまい、岩田村という登場人物に嫉妬をし田村を恫喝し、徐々に二人の溝は深まっていく。友樹は、愛に手を上げ、お腹を蹴ってしまう。翌朝早く、友樹は出て行った。
   
   今年上半期の金返せ大賞確定作品だ。エロVシネと思えば腹も立たないが・・・。レンタル料は安いからな。映画ファーストデイの1000円でも、かなりの真逆お徳感のある映画だ。主演の田代さやか。うーん、良く言うと、往年の美保じゅんか日野繭子、普通に言って西原理恵子、微妙な言い方をすると倉田真由美。正直、嫌いなタイプではないんだが(苦笑)

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