2009年5月2日土曜日

土曜日に月曜日のユカ

   午前中は、昨日の疲れで、かなりの二度寝。
   昼から、阿佐ヶ谷ラピュタで、孤高のニッポン・モダニスト 映画監督中平康
   64年日活中平康監督『月曜日のユカ(282)』
   横浜のナイトクラブサンフランシスコ、そこに18歳のユカ(加賀まりこ)はいる。とてもキュートで、性格もよく、優しく、日曜日には教会に行き、望まれればキスは拒むが誰とでも寝る、しかし、汚れることはない、男たちにとって天使のような娘だ。
   彼女には荷役会社の社長をするパトロン(加藤武)がいる。パパは彼女の住む部屋に来ている。ユカは、隣の子供がジャマイカの混血児で、とても綺麗なコーヒー色の肌をしていると言う。パパはユカの白い肌がとても美しく愛していると言ってくれた。ユカは、パパが喜ぶためなら何でもしてあげたいと思っている。
    ユカには他にも若いボーイフレンドの修(中尾彬)がいる。修と会うときは、いつも横浜港の赤灯台でアオ姦だ。ユカは、修と、パパの家を見に行く。中で家族三人テーブルを囲み幸せそうな一家を見ながら、ここで抱き合おうと修に言うユカ。しかし、警察に公然猥褻罪だと捕まってしまう。取調室で、全て包み隠さず話すユカ。ユカは、教会の懺悔と同じことで、全てを告白し懺悔をすれば許されると思っていたので、警官たちとのやり取りはおかしい。
    月曜日になりパパが家に来ている。家計簿をつけて無駄使いをしないようにしているのと得意げなユカ。しかし、何故か収入が2000円とある。尋ねられて、何だか服から出てきたのと答えるユカ。
    ある日、クラブ・サンフランシスコのショーに、マジシャン(波多野憲)がやってくる。パパがなんとか契約を取り付けようと、貨物船サンフランシスコの船長を接待している。船長をステージに上げて、服を着たままワイシャツを脱がすマジシャン。楽屋で、メイクを落としているマジシャン。ユカが、何で黙って出て行ってしまったの?とても寂しかった、と話している。マジシャンは、ユカのかっての恋人だった。いや恋人だと思っていたのはユカだけかもしれない。ユカは、男に尽くし足りなかったので、出て行ってしまったのかと思っている。ユカは、今の男たちが自分に喜んで貰えていないのではないかと不安になり、かって横浜でパンパンをしていた母親(北林谷栄)に会いに行く。とにかく、男には尽くして喜んでもらおうと、みんなを心を込めて愛してあげた。だからこそ私も昔は本牧あたりでは、知らない男がいないくらい人気者だったと自慢する母親。ユカは、修の先輩で、トラベルビューローに勤めるフランクを訪ね、久し振りに抱かれた。
    ある日、修と街をぶらぶらしていると、妻娘と本牧で、パパが娘に人形を買ってあげているのを見かける、娘の喜ぶ顔を見るパパの顔も本当に嬉しそうだ。ユカは、自分もパパに人形を買って貰うとパパを喜ばせることができるのではないかと思う。月曜日、サンフランシスコの船長と会食をしようと言うパパとの待ち合わせに、精一杯着飾った母親を連れて、高級な会員クラブに出かける。パパと母親と自分の三人で、本牧に買い物に出かけ、人形を買ってもらおうと思ったのだ。しかし、外人客や、上流階級の日本人が集う昼間の会員クラブには、パンパン上がりの老婆は醜悪だ。好奇なというよりも、あまりに意外な醜悪の出現に店内の人々は凍りつく。パパは狼狽して、船長を連れクラブから逃げ出す。取り残されたユカと母親は立ち尽くしている。
    その夜、パパは何事もなかったように、ユカの部屋にやってきた。以前から、サンフランシスコの船長は、クラブでユカを見染めていたので、抱かれてやってくれないかと頼む。パパはこの仕事に命を賭けていると言うので、承諾するユカ。その話を修に話すユカ。その晩眠っていたユカはフランクに起こされる。修が死んだと言う。サンフランシスコ丸の船長を刺しに行ったが、船に上がろうとしたロープに絡まって死んでしまったと言う。修の死体が上がった港に行き、ムシロを掛けられた修と対面するユカ。ムシロを持ち上げ、修の死体に口づけをするユカ。
    サンフランシスコ丸のタラップを上がっていくパパとユカの姿がある。船長はご機嫌で、船長室を案内する。寝室のドアを開け、船長はユカをベッドに誘う。しかし、船長は強引にユカの唇を奪う。キスNO!!とユカの悲鳴が上がる。疲れ果てたユカが甲板にいるパパの所に戻ってくる。やさしく肩を抱き、パパは埠頭に連れて戻る。埠頭で、ユカは踊りましょうとパパを強引に誘う。ダンスというよりも、パパは振り回されている。しばらく踊り続けた末、ユカは手を放す。パパは、海に飛んでいく。しばらくもがいていたが、沈んでいく。その姿を見続けるユカは無表情だ。パパの姿が見えなくなると、ユカは、街に向かって歩き出す。

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