2009年4月30日木曜日

昨日も今日も晴れ、あした晴れるか

  明日の講義の準備をする筈が、参考資料にする筈の本をめくっているうちに、本気で読み始めてしまう。直接関係ないのに・・・。気が付くと、家を出ないといけない。途中で昼食べるつもりが、時間が無くなったので、途中で食べようと、ちゃちゃっとおにぎりを作る。形は悪い。炙った明太子、山椒昆布、オカカ、自画自賛したくなるほどの美味だ。こりゃいい。コンビニお握りよりも圧倒的に美味い。ちょっと、嵌りそうだ。
  中目黒に出て、ある映画の公開に関して手伝ってもらえないかという話。ちょっと、いくつかの偶然が重なって縁がある。お役に立てればいいなあ。そのあと、新宿に出て、ジュンク堂で本を仕入れ、
  
  阿佐ヶ谷ラピュタで、孤高のニッポン・モダニスト 映画監督中平康
  60年日活中平康監督『あした晴れるか(280)』
  神田秋葉原の青果市場(やっちゃば)で叔父の宮下満(三島雅夫)が専務をする青果卸の八百政を手伝う三杉耕平(石原裕次郎)がセリを仕切っている。吉田のおっちゃん(嵯峨善兵)がそろそろ時間だよというが、夢中な耕平は気が付かない。叔父が、後ろから時計を見ろと合図を出してやっと気が付く。家に戻り、カメラをまとめ、スーツやワイシャツ、ネクタイを抱えて、三輪トラックの荷台に乗る。   
   荷台の上で、着換え、サクラフィルム本社に到着する。しかし、走ってきたカメラを持った男と交錯すると、追いかけて来た娘(中原早苗)にネクタイ泥棒と捕まえられる。ネクタイ屋で、店主たちが、耕平に謝っている。そそっかしい娘が万引き犯と耕平を間違えたのだ。娘がお詫びのしるしに一本ネクタイを選ばせてと言う。何かいちゃもんをつけたみたいでタダで貰うのは嫌なので、お金を払うと言うが、900円と言われて驚く、耕平が付けていたネクタイは150円だったのだ。更に財布を持ってくるのを忘れていた。ポケットを探しまくり、やっとくしゃくしゃの1000円札を見つける。
   やっとサクラフィルムの宣伝部の部長室に飛び込む。しかし、中には眼鏡をかけた若い娘がいるだけだ。間違えたと思って一旦外にでるが、ここが部長室だと聞いて再び入ると、先程の娘が三杉耕平さんですねといい、プロフィールを確認し、更に小難しい写真理論を語り始める。耕平は何のことやらわからない。しかし、自分を宣伝部のニューフェースの矢巻みはる(芦川いずみ)と自己紹介するので、宇野部長はどちらですかと尋ねると、東京第一楼で昼食をご一緒するつもりでお待ちしていますと言う。宇野部長(西村晃)は、東京探検というテーマで写真を撮って欲しいと言う。
自由に撮って貰っていいと言われたが、助手として、みはるが同行すると聞いて、女は嫌だと耕平。泣きだすみはる。仕方なしに同意すると、宇野は、各社とタイアップしているので、挨拶廻りだ。トヨタとは、ニューコロナを提供して貰って、足代わりに使わせてもらい、他にもオーシャンウイスキー、森永製菓・・・。
   やっと、9社を回り30人位の人に会って、銀座のバー・ホブノブにやってくる。そこで、朝ネクタイ屋で泥棒扱いした娘が抱きついてきた。彼女の名前は、梶原節子。ネクタイ屋の店員より、こちらの方が見入りがいいので、前から移ることにしていたのだと言う。みはるは、耕平にベタベタする節子が気に入らない。結局、節子とみはるは、耕平を間に、喧嘩になってしまう。険悪な雰囲気に、宇野は、耕平に目配せをして、酔っ払ったので、帰ると言って、店を出る。
     宇野部長と一杯飲んで別れると、路地が騒がしい。みはるがチンピラ達に取り囲まれて、一緒に飲みに行こうと脅されているところだった。耕平は、機転を利かせ、みはるがチンピラに強烈なピンタをくらわしたところを、人混みの後ろからストロボを焚いた。チンピラ達が、耕平を追い掛けるが撒いて、みはるのところに戻る。金を10円しか持っていないと言うと、私が奢るから、飲みに行こうとみはる。みはるは酒豪だ。ウォッカなどの強い酒をぐいぐい飲む。いつのまにか、二人は、ご機嫌で酔っ払ってハシゴ酒た。実は、その光景を、チンピラ達は見ていた。〆てやろうとするところを、みはるの弟の大学生昌一(杉山俊夫)は、あのアベックの女は、自分の姉なので、代わりに殴られてやると止めに入る。5対1で、正一は殴る蹴るされて、泥だらけに。
    翌朝、耕平が目を覚ますと、知らない家のベッドに裸で寝ていた。そこに、みはるがやってきて、朝ご飯が出来たので、食堂に来いと言う。みはるを送ってきて、寝てしまったらしい。食堂には、東邦大学の数学の教授をしている、父親の矢巻泰助(信欣三)と母多加子(高野由美)がいた。弟の昌一は、今日も外泊だ。姉のしのぶ(渡辺美佐子)が起きてこないので、起こしに行った母の悲鳴が上がる。枕元には空になった睡眠薬の瓶が転がっている。驚いて救急車を呼ぼうとする耕平を、みはるは止める。悠々と目を覚ますしのぶ。睡眠薬が効いてよく眠れたわと言う。もともと瓶に2錠しか残っていなかったのだ。
   ようやく朝食を取り始めると、窓から泥だらけの昌一が顔を出す。どうしたの?とみんなが聞くと、姉を守るために、身代りにチンピラたちに袋叩きになったのだと言う。耕平を見て、美人局のような真似をして、写真のネガを貰わないと連中との収まりがつかないと言う。耕平は、カメラマンが撮影したフィルムを人に渡すことはできないと断る。耕平と昌一の間に緊迫感が高まった時に、しのぶの「あら触っていたら、蓋が開いてしまったわ」というのんびりした声がする。感光させてしまったのだ。これには、耕平も昌一も苦笑せざるを得なかった。
   やっちゃばに、一旦戻る耕平とみはる。八百政では、妻のお福から耕平の外泊について警察になんか届けるんじゃないと話している叔父の宮下の姿がある。そこに、みはるを連れた耕平がやってくる。みはるを家に送って、泊ってしまったのだと言う耕平の話を、全て分かったと言う顔をして、まあ、野暮なことは言わねえが、男としてちゃんと責任を取らなきゃならねえよと諭す宮下。時間がなく、家に向かった耕平たちに、お福に電話をする宮下。待ち構えていたお福(清川玉枝)は、支度をしに2階の部屋に上がる耕平ににっこり笑って、早く支度をしなさいと命じておいて、自分はみはるを相手に亭主操縦術を伝授し始めるのだ。
    それから、いつものように八百政の三輪トラックの荷台に乗り、サクラフィルムに目指す耕平とみはる。野菜と一緒に荷台に乗せられ怒っているみはるに、これが一番速いんだと宥める耕平だったが、交差点の真ん中でパンクをしてしまう三輪トラック。サクラフィルムの前では、ニューコロナを前に、三杉耕平の東京探検の出発を見送ろうと社員たちが集まっているが、肝心の耕平とみはるがやってこない。やきもきする宇野。ようやくやってきた二人をとにかくニューコロナに押し込んで、万歳三唱だ。どこに行けばという二人に、深川不動尊に行って、この東京探検の無事を祈ってもらえ、話は付いていると出発させる後ろのボンネットに掛けてあった蔽いを外して、にやりとする宇野。
    耕平は運転免許をもっていないので、ハンドルを握るみはると耕平が言い争いをしながら、走っていると、後ろから追い越す車から、おめでとうという声が掛かる。二人は気になりながら、口げんかを続けている。信号で止まった時に、後ろの車にぶつけられる。降りる二人に、気障な男が、いくら新婚だからって、ちゃんと運転に集中しろと文句を言って、修理代だと金を投げて、走り去る。「JUST MARRIED」と書いた大きな紙が車の後ろに貼られているのを見て、ようやく二人は他の車の反応に納得するが、それは、喧嘩を更にヒートアップさせただけだった。交差点に車を止めたまま、言い争う二人に、後ろに車が溜って、渋滞がおきている。
    深川不動尊で、車を前に、祈祷して貰っている間も、二人の口喧嘩は止まらない。坊主からも集中できないと怒られてしまう。東京探検の撮影の第一歩は、深川の近くということで、佃島に行く。撮影をしていると、向こうから節子がやってくる。気さくに声を掛ける耕平。しかし、再び、みはると節子の冷戦は、復活する。銀座まで行くという節子を送ってやるという耕平。車の中で、みはるに対し、運転手は黙っていて頂戴と節子は言って、耕平にベタベタする。みはるの眉がきりきり上がり、運転はどんどん乱暴になる。節子を落とした後に、そんなに女の人が好きならば、いいところに連れてってあげるとみはるが案内したのは、姉のしのぶが経営する近代書道教室だった。
    教室が終わり、しのぶは、耕平に婚約者の役をやってほしいと言う。見合い相手から、何度断っても、結婚を迫られ困っていると言う。今日、婚約者を連れてきたら人物鑑定をしてやると言われていたのだ。そこに、板倉茂夫(藤村有弘)がやって来る。耕平を婚約者だと紹介するしのぶに、こいつはとなりにいる女と今日新婚旅行中だったので、とんだペテン師だ、重婚だと言い出す。耕平も、こいつは人の車にぶつかっておいて、逃げ出すとんでもない野郎だと怒り出し、揉み合いの末、強烈なパンチをお見舞いして板倉を気絶させる。
   しのぶは胸がすっとしたわと言って銀座のバーホブノブに耕平とみはるを連れて行く。そこには、節子と話しをしている下田仁(庄司永健)の姿がある。しのぶは、下田を本当の恋人だと皆に紹介した。しかし、スノッブで女性的な話し方の下田を、耕平はどうしても好きになれない。更に、いつものように、みはると節子は喧嘩をはじめて騒々しい店を飛び出して銀座の街を歩いていると、愚連隊に絡まれている中年男(殿山泰司)に出会う。いらいらしていた耕平は、愚連隊を全員倒す。植松伊之助という中年男と、意気投合し、飲みまくる。植松は、女に苦しめられる古今東西の格言を上げ続けている。
   東京探検の撮影は順調に進む。スタイリッシュなシチュエーションを提案するみはるに対し、耕平は、歓楽街の立ちん坊の女や、夢の島のゴミの中で遊ぶ子供、野犬の処分場で必死に抵抗する捨て犬…斬新で、ショッキングな切り口の写真は、毎週、サクラフィルムの入り口前に掲げられ、人々の注目を集めた。
   変わったところが好きなんであればと、耕平をチャームスクールに連れていくみはる。淑女のたしなみとして、モデル歩きや、美しく見えるキスのやり方などを教える美容教室だ。キス教室の講師は、しのぶの恋人の筈の下田で、生徒とキスをしている。学校の校長室で、社長で、校長の植松クルミ(宮城千賀子)の話を聞いていると、専務の男が現れる。女の大変さで意気投合した植松伊之助だった。驚く耕平、飲み屋での話と仕事は別だと言う植松。そこに、下田が退職届を出しに来た。教師と生徒の恋愛は禁止なので辞めるのだと言う。耕平とみはるが追いかけて行って、下田に君はしのぶの恋人じゃないのかと聞くと、下田としのぶは契約恋愛で、お互いに他に好きな人間ができたら、いつ解消してもいいことになっていると言う。むかついて、一発でノックアウトする耕平。
   みはるの運転する車が、老人(東野栄治郎)が牽いている花を乗せたリヤカーに接触する。老人の表情がよくて写真を撮る耕平。老人が、空のリヤカーを牽いて、花のまちだという花屋に戻ってくる。老人は、車に接触されたが、自分には何もなく、しかし、車に乗っていた男女が全部花を買ってくれたので、大儲けだ。交通事故もたまにはいいものだと笑っている。花屋の主人の町田(宮坂将嘉)が、「清作さん、どうもあの人斬り根津が出所してきて、あんたに復讐しようと探しているという噂を聞いた。気をつけたほうがいい」と言う。
   

   眼鏡を掛けた芦川いずみがめちゃくちゃキュートで可愛い。テンポもいいし、こりゃ面白いなあ。

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