2009年5月3日日曜日

丸根賛太郎を賛美。

   神保町シアターで、昭和の原風景
    58年松竹大船野村芳太郎監督『モダン道中 その恋待ったなし(283)』
   東京丸の内の野村銀行の行員・鶴川松夫(佐田啓二)は、数字とにらめっこの無味乾燥な毎日。今日も下宿に帰ると鰺の干物の夕飯、手取り1万8千円では、結婚どころではない。食事の後、一杯飲もうかと安いバーに入る。店内でかかっているテレビ番組では、3万円の抽選をしている。2853人の応募者のうち正解者2852人、幸運なお一人は文京区の鶴川松夫さんです!びっくりして椅子からひっくり返る鶴川。
   鶴川は、その賞金で、東北・北海道の周遊券を買い、青森行きの急行列車の三等客室に乗っている。偶然前の席に座っていたのは、自動車整備工の亀野竹彦(高橋貞二)。彼は給料をコツコツ貯めて、やはり東北・北海道周遊券を買い、出発するところだった。車掌の検札で偶然知り合った二人は亀野のウィスキーを酌み交わす内に一緒に回ることにする。鶴と亀、更に松と竹で、「明るく楽しい松竹映画」と字幕が出る(笑)。
   一泊目は、福島の飯塚温泉だ。旅館はすみれ会という熟女の団体が入っていて、大層賑やかだ。鶴川と亀野が帳場に電話をしても、手が足りず、なかなかビールを持って来ない。やっと来たのはおすがと言う婆さん(若水ヤエ子)だ。お酌をしてくれるが、二人は嬉しくない。部屋付きの若い女中さんの名前を尋ねると自分の名前を聞いて口説いてきたのかと勘違いしておすがと答える。女中の娘の名前は東北弁を何度も聞き返して、弘子(川口のぶ)だと分かる。亀野は少し気があるようだった。一階のすみれ会の宴会を覗くと、芸者の楽団の演奏で、飲めや歌えや、踊れやで盛り上がっている。すみれ会の婦人(清川虹子)と踊っている男(桂小金治)が、良かったらこっちに入って呑みましょうと言う。酒を注いで貰いながら、男にすみれ会と言うのは大層凄いですが、どういう団体ですかと尋ねると、男は自分も飛び入りなので、知らないんですと答える。鶴川と亀野は、女性とのロマンスを夢で見ながら眠っていると、手拭いで頬被りした男が忍び込んで来る。足を踏まれた鶴川が飛び起きると、慌てて男は逃げ出す。
    2日目は、松島だ。鶴川と亀田は遊覧船に乗っている。高級な服を着た姉妹らしい二人がこちらを見続けている。何だろうと思ったら、妹が、鶴川の座っているところにお弁当を置いていた筈だと言う。立ち上がって見ると、弁当は下敷きになって、潰れていた。遊覧船を降り、姉の海老原ゆり(岡田茉莉子)と妹のトシ子・トンちゃん(宇野賀世子)の二人と、展望台から海を眺める。鶴川と亀田は、昼を食べようとおにぎりを出したが、姉妹の弁当は鶴川が潰してしまっている。お嬢様の二人におにぎりを食べさせるのは失礼にあたるのではと心配したが。トシ子は、これが猿蟹合戦に出てくるおにぎりというものなのねと、ユリに言い、二人は、初めて食べたおにぎりはおいしいと言った。
    姉妹が泊るホテルは非常に高級なホテルだ。ちょうど通りかかった飯塚温泉の宴会場で会った男に4人で写真を撮ってもらうことにする。鶴川と亀田は男と三人で旅館に泊ることにする。男は、富士山梅吉と名乗った。梅吉は、貴重品を預かるので温泉に入ってきたらどうかと言う。梅吉に従って、財布と時計を預け風呂に行く二人。隣の部屋は新婚だったが、警視庁の刑事の時化田三吉(坂本武)が捜査上の都合で部屋を変わってくれと言う。時化田は、隣の梅吉を見張っている。
to be continued.

   65年日活鈴木清順監督『刺青一代(284)』
   昭和初年、雨の中、戸塚組の貸元、戸塚岩松(嵯峨善兵)の乗る人力車に大和田組の番傘をさした男が近づいてくる。男は、白狐の鐵と呼ばれる流れ者村上鐵太郎(高橋英樹)。大和田組から頼まれ、浮き世の義理で、戸塚を斬り、草鞋を履く前に、美術学校に通う弟の健次(花ノ本寿)の下宿を訪れたが、生憎外出中だったので、金だけ託したところに、大和田組の正吉(小林亘)が駅まで送るよう親分から言いつかったと迎えにくる。to be continued.

   67年日活野村孝監督『拳銃(コルト)は俺のパスポート(285)』
   殺し屋の上村周治(宍戸錠)を案内する大田原組の幹部?。島津(嵐寛寿郎)の殺しを依頼したのだ。島津はとても用心深く、車も事務所も防弾硝子を入れていて、また、四六時中用心棒の船木(深江章喜)が付いている。島津は、明日1日日本にいたら、出国してしまうと言う。to be continued.


  39年日活京都丸根賛太郎監督『春秋一刀流(286)』
   鱗雲が浮かぶ高い空が映る。このいいお天気に、建師ヵ原に血の雨が降る。やくざ同士の大がかりな喧嘩だ。 千葉道場を破門になった平手酒造(片岡千恵蔵)は、ヤクザの用心棒としてその日暮らしをしていた。ある日の出入りで、相手方の用心棒になっていた、同門の只木巌流(原健作)と再会する。たかが1両ぼっちの用心棒代、馬鹿馬鹿しく高みの見物をしていた二人だったが、もっと支払いの良さそうな親分のところに、行こうと抜け出した。
    飯岡の助五郎が、お上から十手まで預かって羽振りがいいらしい。とりあえず歩いているうちに、巌流は草履擦れで足が痛くなる。ふと見ると、橋の上で、男女が揉み合っている。止めに入り、造酒は、男の頬を打つ。てっきり男が女をいたぶっていると思いきや、女が身投げしようとしていたのを止めようとしたら、抵抗されたのだと言う。男はやはり浪人で、釜の白兵衛の用心棒をしている多聞重兵衛(志村喬)。女はおみね(比良多恵子)と言い、早くに二親に死に別れ、育ててくれた叔父に、白兵衛に売られてきたが、堪らなく死のうとしたのだと言う。
   巌流は、泣くおみねに優しく慰める。余りにケチな白兵衛を見限って、鞍替えしようとしていた重兵衛と一緒に4人で、どこかに行こうと宿屋に泊まった。酒造、巌流、重兵衛さ、酒を酌み交わすうちに意気投合する。巌流が歌でも歌おうかと言い出したところで、向かいの部屋の渡世人が、 歌うのはいいが、隣の部屋には響かないようにしてもらえないかと頭を下げにきた。そいつぁ済まなかった、まずは一杯と酒を勧めた。
    渡世人の名前は須賀山の多駄平(田村邦男)。親分の笹川の繁造(沢村国太郎)は、まだ売り出し中だが、たいそうな男振りらしい。おみねを入れた4人で、ぜひ親分を訪ねてみようということになる。まず、おみねを田駄平の妻、お菊(香住佐代子)が営む茶屋で小女として働かせることにする。
そして、繁造のもとに行く。繁造は、いくら欲しいか忌憚のないところを話してくれと言う。造酒は、北辰一刀流の使い手として、喧嘩一件毎に10両、千葉道場で、酒造の5枚ほど下の巖流は5両、特に名前はない重兵衛は3両と言ってみたところ、ひと声で請け負う繁造。繁造の妹のお勢似(轟夕起子)の美しさに三人は、目を奪われる。to be continued.

  目黒ブルースアレイで、ブラスロックグループブラフのライブ。

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