2009年4月8日水曜日

私は泣いています。ベッドの上で。

    池袋新文芸坐で、熊坂出監督『パークアンドラブホテル(234)』
    白く髪の色を抜いた少女(梶原ひかり)が灰色の空を見上げている。大きなバックパックを背負い、首から下げたポラロイドカメラで、街を撮りながら歩いている。メモを見て、たどり着いた先は一戸のありふれた建て売り住宅だ。二階のテラスで主婦が洗濯物を干している。娘に布団を干しなさいと声を掛ける。その風景を眺めていた少女は、また街へ戻っていく。ラブホテルが並ぶ一角を少女が歩いていると、後ろから小学生の女の子たちか、少女の白い髪を面白そうに見ながら付いて来る。一軒の古いラブホテル“流水”に、三人連れの老人や、小学生の男児たちが「こんにちは」と声を掛けて入っていく。少女の後ろを歩いていた女児たちもそうだ。不思議に思いながら少女も付いて入ってみる。女児から「おばさん」と声を掛けられ、これでも13歳だからと答えると、「やっぱおばさんじゃん」と言われてしまう。男児が名前はと尋ねるが、人に名前を聞くときは、自分が先に名乗るものでしょと言って、美香だと答える少女。
    ラブホテルの屋上は、公園だった。滑り台、シーソー、ブランコ、ベンチには、ストリートミュージシャンや、老人や子供、なかなか賑やかだが、ゆったりとした時間が流れている。夕方になると女主人(リリィ)が、もう終わりだと声を掛ける。髪の白い子は?尋ねると男児たちは、美香は、もう帰ったんじゃないかと言う。誰もいなくなった屋上公園を片付け始める女主人。小さな小屋の中に美香はいた。今日1日撮ったポラロイドにメモを書こうとして鉛筆を出し芯を削ろうとカッターを出したところで、ドアが開き、女主人が入ってくる。思わずカッターを取り上げようとする女主人。何か勘違いしてると思うんですけど、と美香。勘違いも何も、ここを片付けるのは私だから迷惑だと言う。女主人は、手首を切ると思ったらしい。カッターを奪うと、ご飯食べる?と尋ねる。私は何も食べなくてもいいと答える美香。
   美香と女主人は食卓を囲んでいる。おばあさんのご飯はおいしいと言う美香。何度もおばあさんはと言うので、女主人は私は59歳だからおばあさんではないと言う。だったらおばあさんじゃないと言う美香。美香の入浴中に荷物を改める女主人。沢山のポラロイドが入っている。東京の街、人々、特に老婆たちを撮ったスナップが多い。風呂から上がった美香は、女主人の入浴中に、室内を見回す。若い自分の女主人が夫らしき男とこのホテルの前で撮影した写真がフォトスタンドに入れられている。二人で、布団を敷く。赤い方で寝ていい?と美香。電気を消したが、美香は女主人に話し掛ける。
    翌朝、女主人が目覚めると、美香はいない。布団はきちんと畳まれており、礼と自殺しようとしていた訳ではないと、整った字で書かれた手紙が残っている。女主人は、日課であるホテルの前の通りをしている。ウォーキングしている女が朝の挨拶をして通り過ぎる。美香が昨日訪れた建て売り住宅、主人らしい男が狭い庭にいる。外から家の中にいる妻子の写真を一枚撮る。携帯に出ると、美香だ。男は美香の父親らしい。独りで温泉に出掛けていることになっているらしい。何かあったら、必ず連絡しろと言っている。電話を切り、車で仕事に向かう父親。実は、すぐ近くに美香はいて、父親を見ながら電話をしていたのだ。
    美香はホテル流水に戻ってくる。女主人は、美香に布を巻き、髪を黒く染め始める。父親の家に行ってみたら、奥さんも子供もとてもいい雰囲気だったと、涙を流す美香。黒い髪になった美香が、元気に手を振る。ホテル流水の前で美香を見送りながら笑顔の女主人。手には、美香から貰ったポラロイド写真の束がある。最初の一枚は美香と撮ったツーショットだ。
    ひとりの主婦(ちはる)が料理をしている。食卓には、ラップを掛けられた一人分の食事がある。女はノートに数字を書き込んでいる。深夜1時半頃、女が寝室で眠っている。夫が女の隣に潜り込む。翌朝、女はいつものようにウォーキングを始める。ホテル流水の前で、掃除をしている女主人に挨拶をしてラブホテル街を歩いていると、男に呼び止められる。お金を払うので、携帯を貸してくれと言うのだ。携帯を貸し、再び歩き始める。信号待ちしていると、自転車に乗った男に何度も呼ばれる。なかなか気付かない主婦。ウエストポーチが開いていますよと言われ、見ると慌てる女。ノートを落としたのだ。慌てて、今来た道を引き返し、パトロール中の巡査にも探してくれと言う。途中、夫から電話がある。申し訳ないが、落し物をして今から交番に行くので、朝食は出勤途中にしてくれと頼む主婦。
   とぼとぼと帰宅する途中、ホテル流水の前を通りかかると、女主人が午前の営業が終了、午後は2時からという札を下げているところだ。おやと目を止める女主人。女主人は玉城艶子と、主婦は沢村月と名乗り合った。老人たちがホテルの中に入っていく、艶子は、良かったら寄って行きませんかと、戸惑う月を屋上の公園に連れていく。月は「いいですね、ここ」と固かった表情を始めて心の底から緩めて笑顔になった。私は、今までの歩いていた歩数を毎日記録していたのだと言う。16年前、この街に引っ越してきた時に、このホテルの工事をしていたのを拝見したんです、と月。このホテルは実は夫が建てたもので、20年前に夫が失踪、16年前は改装の工事をしていたのだと艶子。手伝ってはいたけど、経営とか分からず大変だった。困ったことがあるたびに夫ならどうしただろうと考えてやってきた。いなくなってからのほうが、夫と会話していたかもしれませんと言った。
   今夜も夫が帰宅するのは、深夜1時27分だ。翌朝も、月はウォーキングで、ホテル流水の前を通りかかる。艶子に挨拶をして、歩き始めるが、立ち止まり戻ってくる。「ここで働かせて下さい。給料とかはいりません」「けっこうきついわよ」「ありがとうございます。直ぐに着替えて来ます」。家へと走っていく月。
   

     横浜聡子監督『ジャーマン+雨(235)』
      まき(藤岡涼音)のもとに、友達が走ってきて、よし子が戻ってきたという。ドイツ人のイケメン植木職人カイ(ペーター・ハイマン)に手を振る女子で鈴なりの窓から見ると、林よし子(野嵜好美)が昔と変わらない姿で、植木職人の助手をしている。よし子は、歌手を目指して東京に出たが、戻ってきた。まきがどうして戻って来たのかと聞くと、かっこいいドイツ人がいると聞いたからと答えるよし子。

    銀座で、友人のNさんから仕事の話。Nさんの人脈というか、面白い人間と知り合う才能は凄いと思う。好奇心と行動力の人だな。
   
    夜は、高校時代の友人が幹事をしている。異業種勉強会に出席。電子マネー・ポイント・エコマネーなどについての話。今立ち上げを手伝っているプロジェクトに関係もあって、とても面白い。もう一度、経済勉強してみよう。

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