79年東映セントラルフィルム沢田幸弘監督『俺達に墓はない(80)』
新宿の雑踏を島勝男(松田優作)が歩いている。デパートの婦人服売り場で、爆発物のようなものの導火線に火をつけ、叫ぶ「爆弾だ!!逃げろ!!」店内は大混乱になると、レジから金を盗み始める島。
ふと気がつくと、一人だけ女店員(竹田かほり)が逃げずにしゃがみこんでいる。どうして逃げないんだと聞くと、ねずみを指差し、ねずみが逃げないから爆発しないと言う。女のレジから金を盗んで逃げだす島に、泥棒!!と叫ぶが、他の店員や客は既に逃げ出している。デパートから逃走し、公園の水飲み場で、顔を洗う島。赤い派手な服を着た男(志賀勝)に気が付き、変な野郎だと呟く島。
大人のおもちゃ屋トップポルノで、主人の中井(山谷初男)と話している島。奥からライフルと拳銃を出してくる。ご大層な道具を揃えて、どっかの銀行にでも押し入るのかと聞く中井に、梅川さんじゃあるまいし、トーシローは相手にしねーよと答える島。少年院仲間のヒコ(岩城滉一)がマスターをしているゴールデン街の阿邪馬に入り、ヒコと二人で、銃を確かめている。
今度のシマは、都築興行だ。そこは十日会のフロント企業で、常に金庫には、2000万以上の金が入っている。ヒコと下見をし、近くのビルの屋上から双眼鏡で金庫のダイヤルをチェックする島。ふと気がつくと、近くのビルの屋上に、赤い服を着た謎の男が覗いている。島が阿邪馬に戻ると、デパートの女店員を抱いているヒコ。女店員の名前は、河村ミチ。島が起こした事件で、一人逃げなかったことで、取り調べられて、中卒なのに、短大卒と嘘をついていたことがバレた上、派遣店員だったので即刻クビだったと言う。また、全裸で身体検査をされたというミチ。87万3千円を返すか、警察に行って証言してという。うるさくて面倒くさくなり、ヒコは、シャブ漬けにして、2階に閉じ込めてきたと言う。
翌日、トイレで覆面をし、都築興行に乗り込もうとした矢先、覆面をし拳銃を持った赤い服の謎の男がドアから飛び出してくる。先回りをして、2000万を強奪したのだ。追いかけてきた十日会の組員たちに、ライフルを持ったヒコは捕まったが、島は、赤服の男の乗った車を追いかける。激しいカーチェイスの結果、十日会の組員たちの乗った車は捲かれ、追跡しているのは島だけになる。競り合ううちに、2台の車は河に突っ込んだ。車から脱出した二人は、金の入ったバッグを取り合って、殴り合う。結局勝負はつかず、山分けにしようということになった。男が鞄を開けると、中の金は河に落ちた時に流れ出していて、6万円しか残っていない。二人は、一緒に組んで儲かることをしようという。男の名は、滝田。しかし、仕事をする前に、十日会に捕まったヒコを奪還することが先だと言う島。島が阿邪馬に戻るとカウンターの中にサチがおり、中は客でいっぱいだ。二階に上がった島に付いて来たサチは、寂しかったので、店を開けたら客が入って来ちゃってと言う。手慣れた手つきでジャブを打つサチに、お前初めてじゃないなと言う。中学の時にグレて、少女売春しながらやっていたと言うサチ。ジャブが効いたか、抱いてと寄ってくるサチを邪険に振り解く島。
ヒコが監禁されているのが十日会の養豚場だと分かった。昼間下見し、夜島と滝田は襲撃した。まず事務所にダイナマイトを投げ込み、豚小屋の中に繋がれていたヒコを連れて逃げる。豚の糞まみれで、十日会に捕まれる原因になった奴をぶっ殺すと運転する滝田のことを知らずに叫ぶヒコ。阿邪馬で、サチに水をかけて貰うヒコ。何度洗っても豚の臭いが取れない。サチが用意した食事の中に豚肉があり、思わず吐くヒコ。
島と滝田が次のヤマの話をしている。俺を恨んでいるヒコは入れずに2人でやろうと言う滝田。今回は分かったと言う島。十日会が主催する東南アジア賭博ツアーを襲って、参加者の金を奪おうと言う話だ。1人所持金は平均300万で20人だから、6000万のゴツいヤマだ。ツアー参加者が乗るバスをジャックし、金の強奪に成功する。バスを降りて奪った車で逃げるが、車を盗んでパトカーに追われ非常線を張られる。金を持った滝田を下ろし、自分ひとりで非常線を突破すると言う島。金を全部預かるのはと言って、パスポートを島に預ける滝田。十日会に面が割れてしまったので、国外逃亡するしかないんだと言う滝田。1人になった島は、何度か、検問の突破を試みるが、うまくいかない。ドライブインにいたアベック(森下愛子)が二人乗りの自転車に乗っているのを見て男を脅し、二人乗りで非常線のすり抜けに成功する。
ヒコは店の近くで、十日会のヤクザが人を捜しているのを見つけ、捕まえることに成功する。男は、6000万を盗んだ滝田という男を追っていると言う。阿邪馬に島が戻ってくると、何で自分を裏切って滝田と組んだんだと詰め寄るヒコ。おまけに昨夜サチに迫ったら断られ、自分が豚に囲われていた時に、島がサキをやっちまったからだと疑っている。滝田から電話がかかり、飛行場はヤバいので、船で逃げるので、沼津港町2丁目にあるバー,キングで金を分けたいと言う。電話番号をメモしたところで、ヒコが店の瓶で島の頭を殴りつけ、メモを奪って沼津に向かう。しばらく経って、気がついた島もヒコを追い掛ける。後ろをつけるサチ。
キングでは、刑務所から三年ぶりに戻ってきた滝田とその愛人のつる子(岡本麗)が激しいSEXをしている。島は何度かキングに電話をするが、滝田たちは気がつかない。トイレから出てきたつる子に、ヒコは仲間がやってきたと伝えてくれと言う。島が来たと思って降りてきた滝田を撃つヒコ。倒れながらも、包丁を取り出し、取っ組み合いになる滝田とヒコ。金を持ち逃げようとするヒコを拳銃で、釘付けにする滝田。銃声を聞いて駆けつけた島に対し、全てお前が絵を書きやがったなと叫びながらピストルを撃ち続ける滝田。ヒコも島も金に手をのばすことはできない。そこにネズミのように現れたサチが金の入った鞄を盗んでいった。銃声への通報で警察がやって来て怪我を負った滝田は捕まった。病室で刑事たち(三谷昇)に尋問されるがとぼける滝田。数日後、看護婦(山科ゆり)が、十日会からの伝言を持ってくる。十日会の幹部の都築(内田稔)の下に連れて行かれ、金のありかを聞かれるが、島ではなく、女が持ち逃げしやがったんだと言う。
金に困った島は、銀行で金を下ろした男(梅津栄)の後をつけ駐車場で奪おうとする。しかし、島たちの養豚場襲撃で大怪我を負った十日会の男(石橋蓮司)に挟みで腹を刺された。男を射殺する島。腹部の怪我はかなり重かったが、失神寸前に通りかかったサチに車に乗せられる。気がつくと、サチのマンションだ。大量出血の島を病院に運び自分の血を輸血してもらったらしい。直ぐに島は拳銃を出した金のありかを言えと脅すが、教えたら私を捨てて出て行ってしまうので、死んでも教えないと言うサキ。その時マンションのチャイムが鳴る。都築ジュエリーと言うが、真相は十日会のジャブの売人だ。あまりに派手な買い方なので、6000万をネコババしたのはサチではないかと目を付けられる。面通しに滝田はマンションに連れてこられたが、サチの顔を見て、全然違う女だと言う。十日会の事務所に戻される車の中で、滝田はヒコが歩いているのを見かける。いきなり車を飛び出し、ヒコを追い掛け始める滝田。慌てて滝田を追うが、見失ってしまう十日会の組員たち。滝田はヒコに追いついて叩きのめし、サチの居場所を教える。
サチのマンションに、現れる滝田とヒコ。金の行方をめぐって、男たちの友情は断ち切られ、滝田とヒコは死ぬ。マンションの下では、十日会の連中が見張っている。島は中井に電話をして、拳銃の弾丸の在庫を尋ねるが無いと言うことなので、ダッチワイフにダイナマイトを隠してマンションまで持ってくるよう頼む。中井と入れ替わりに、十日会の連中がエレベーターに乗った。6階でエレベーターのドアが開くと、ダッチワイフが立っている。島は3発残った弾でエレベーターの中に釘付けにし、十日会の者たちを爆死させた。サチを連れ、サチの赤い117クーペで逃走する。サチを口説いて、後部座席のぬいぐるみに金が入っていることを聞き出すと、車を止め、サチを降ろす。サチはジャブが欲しくなっている。ジャブを捨て注射器を割る島。車を出そうとするとパンクしている。運のいい女だ、ジャブを止めれば連れて行ってやると島は言って、パンク修理材を注入すると、禁断症状で倒れているサチを注入抱え上げ、助手席に乗せ走り出す。
田中陽三の脚本、沢田幸弘の演出、松田優作は勿論、志賀勝、岩城滉一、脇役も、岡本麗、十日会のチンピラたちも、高橋明、石橋蓮司、阿藤海・・・、竹田かほりもようやく女優の卵のような雰囲気を出しており俳優陣、三拍子揃った感じだ。個人的には、竹田かほりが6000万入りのバッグを手に、這って逃げていくのを見た松田優作が、「この桃尻むすめ~」と呟くのが嬉しい。
78年東映セントラルフィルム村川透監督『最も危険な遊戯(81)』島と滝田が次のヤマの話をしている。
ヒコは店の近くで、
キングでは、
金に困った島は、銀行で金を下ろした男(梅津栄)
サチのマンションに、
田中陽三の脚本、沢田幸弘の演出、松田優作は勿論、志賀勝、岩城滉一、脇役も、岡本麗、十日会のチンピラたちも、高橋明、石橋蓮司、阿藤海・・・、竹田かほりもようやく女優の卵のような雰囲気を出しており俳優陣、三拍子揃った感じだ。個人的には、竹田かほりが6000万入りのバッグを手に、這って逃げていくのを見た松田優作が、「この桃尻むすめ~」と呟くのが嬉しい。
財界の要人たちの誘拐事件が多発している。東日電気社長南条も誘拐された。
麻雀をしている男たち。1人の男がボロ負けだ。他の3人から300万払えと言われる。俺は麻雀では負け知らずだから、お前らグルになってイカサマしてるんじゃねえかと言いだすが、反撃されて直ぐに謝り出す男。靴下や、帽子の中に隠していた有り金全部巻き上げられて、叩き出される男。鳴海昌平(松田優作)である。
東日電気会長の小日向(内田朝雄)の秘書と名乗る土橋(草野大悟)から鳴海に電話があり、3000万のギャラで、小日向の娘婿である南条の救出の依頼を受ける。最新防空警戒システム導入で五洋コンツェルンと東日グループの受注合戦の末、東日が勝ったので、五洋側が、日本の大物黒幕の足立精四郎(見明凡太朗)を抱きこんで、激しい巻き返し工作をしているので、他の要人は偽装で、犯人グループの本当の狙いは東日への攻撃ではないかと言うのだ。この事件には、居郷(名和宏)が絡んでいるらしい。仕事を受けた鳴海は早速、居郷の愛人の田坂杏子(田坂圭子)の部屋に押し入り、居郷の行き先を吐かせようとする鳴海。なかなか口を割らなかったが、自分のヤサに連れて行き杏子を抱く鳴海。居郷は、とある病院に潜んでいて、南条もそこに監禁されているらしい。鳴海は病院を急襲するが、激しい銃撃戦の末、南条は射殺され、鳴海も、射撃の名手桂木(荒木一郎)に撃たれる。やっとのことで、潰れたボーリング場にあるヤサに帰る。杏子がそこに居て、鳴海の腹の弾創の手当てをする。料理を作り女房気取りの杏子に帰れという鳴海。
再び、小日向の元に呼び出される鳴海。金を返そうとした鳴海に、南條は亡くなったが、居郷たちの組織も叩き潰したことを評価して、足立を消してほしいと言う。足立の屋敷を偵察している鳴海。自分を監視している気配に気が付くが、4人組の男たちとの闘いの末、捕まる鳴海。男たちは、鳴海を城南警察署の地下に連れていく。桂木は、警察手帳を見せ、今回のことから手を引くよう痛めつけられる。桂木に病院で会いましたねと言う鳴海。
しかし、解放された鳴海は、行方をくらましている足立の情婦が、銀座のクラブ綾のママ綾乃(市地洋子)であることを突き止める。安達邸を見下ろせるビルの屋上から安達の胸を銃撃する鳴海。しかし、鳴海のいるビルは、大人数の警官隊に包囲されている。ヘリコプターに乗っている桂木の指示により、雨霰のように降り注ぐ銃弾の中逃げる鳴海。何とかヤサに戻ると、杏子が桂木たちに連れ去られるところだった。桂木の車を追って、走り続ける鳴海。人気のない港に誘いこむ桂木たち。鳴海を轢き殺そうと向かってくる車に、運転手を撃つ鳴海。停止した車から降りて、向かってくる刑事達を一人ずつ仕留める鳴海。しかし、最後に残った桂木は、杏子を盾にし、鳴海の胸を撃つ。倒れる鳴海。気を失う杏子。ニヤリとした桂木の表情が固まる。鳴海の銃弾が額を撃ち抜いた。ゆっくり立ち上がり、胸から鉄板を抜く鳴海。海を見ている鳴海と杏子。杏子を残し立ち去ろうとする鳴海は足を止め、戻り、長いキスをする。再び、杏子を残し走り出す鳴海。
綾乃の部屋に再び現れる鳴海。足立の居場所を尋ねる。あんたが殺したんでしょという綾乃に、あれは替え玉だと言い、殴って吐かせる鳴海。足立の屋敷に鳴海が現れる。ボディーガードたちを叩きのめし、和室に乗り込む。そこには、足立と小日向がいる。二人は手を握り、防空警戒システムは、五洋と東日が共同して受注することになったのだ。小日向に向かって、まずは依頼通りと言って足立を射殺する鳴海。小日向に謝礼金振り込んでもらいましたよねと確認してから、約束手形ですと言って、小日向の足を撃つ。襖の向こうから狙っていた土橋を殺し、小日向に「素敵なゲームをありがとう。これからもよろしく」と言葉を残し去る鳴海。
明け方のストリップ小屋。酔いつぶれた鳴海しか客はいない。お姉ちゃん仕事終わったらどうだと尋ねる鳴海に、ストリッパー(岡本麗)は、早く帰れ、アタシは、草刈正雄みたいのが趣味なんだと毒づく。ストリップ小屋を出た鳴海の前を一台の高級車が走り抜ける。杏子やっぱり一緒に行かせてくれと言って、追いかけて走る鳴海。全く無人の明け方の渋谷の駅前をフラフラと歩く鳴海。
ストリップ小屋(渋谷OS劇場)で流れる曲は、「蘇る金狼のテーマ」だろうか。杏子役の田坂圭子、美しく素晴らしいプロポーションだが、演技がまずいとかではなく、なんだか華がない。ハードボイルドは男たちの映画だが、美しく哀しいヒロインの存在は不可欠だ。
夜は、元の会社の後輩で辞め同期のSが就職祝いをしてくれるというので。高円寺きよ香へ。調子にのって、泡盛飲みまくり。
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