2009年2月8日日曜日

男と女の間には、深くて暗い河がある。(黒の舟歌)

   新宿武蔵野館、独身美人OLと偽装夫婦50歳割引で、キム・ギドク監督『悲夢(67)』
    印章彫刻師ジン(オダギリジョー)は、別れた恋人の車を追う途中、横から飛び出してきた車に激突する。運転手が怪我をして車から這い出してきたが、恋人が気になり、車を出す。しかし次の信号で歩行者を轢きそうになり急ブレーキを踏んだところで夢から覚めた。しかし、余りにリアリティのある夢に、車で事故現場に行ってみると、実際怪我人が救急車で運ばれるところだった。警官が監視カメラの画像のチェックを指示している。轢き逃げ犯の車が判り、発進するパトカーをつけるジン。イ・ラン(イ・ナヨン)の家の前に事故車が止まっている。警官たちは、家で寝ていたランを叩き起こし、連行する。今まで、ずっと寝ていたと言っても、車の破損と、監視カメラに写った運転するランの姿は、動かぬ証拠だと警官は言う。しかし、警察まで、付いて来たジンが、自分がやったのだと言い張り、次の信号での急停車の事実を証言し、警察も判断に困る。ランは夢遊病の治療を受けていた。心理療法士は、ジンの見ている通りにランが行動していると判断し、被害者との示談を勧め、ジンが車の修理など手配をした。
    しかし、それ以降も、ジンの夢とランの夢遊病は続いた。夢の中で、ジンの元カノ(パク・チア)は、現在ランの元カレ(キム・テヒョン)と付き合っている。ジンは彼女のことを忘れられず、ランは嫉妬心の激しい男を嫌悪している。しかし、ランの気持ちと正反対に、彼女に会いたいジンの夢に操られ男の所に行ってしまう。ジンは彼女と愛し合っている夢を見ている。目を覚ましたジンが見たのは、憎んでいる男に抱かれに行ってしまったことをしり、嘆き悲しむランの姿だった。
   ジンとランは、徐々にお互いの想いを共有し、交互に眠ろうとする。しかし、二人の距離は近付いても、ジンの見る夢はエスカレートし、二人を苦しめるのだ。ジンは、ランを手錠で繋ぐが、ある時、ジンは寝てしまい、ランは男を殺害してしまう。ランは、精神病棟に収監される。同室は、かってジンの愛した女だ。ジンは逮捕される前のランに、自分は眠らないと約束した通り、自ら足を金槌で殴り、頭をナイフで刺し、睡魔と闘い続ける。しかし、ランに面会するジンは日々憔悴する。ランは、鉄格子越しにジンの手を握る。ジンが、橋を歩いている。途中身を投げるジン。凍った河に激突するジン。ランは、シーツを綯い、同室の女に笑顔を見せる。女は頷き、壁際に四つん這いになって、ランの台となる。ランはシーツを結び首を括った。ランが結んだシーツに蝶が止まっている。蝶は、病室の外に飛び立つ。凍った河に倒れているジンの頬に留まる蝶。ジンの頬から手に移る蝶。ジンの手としっかりと結ばれているランの手。
   オダギリジョーは日本語を、他のキャストは韓国語を喋る。なかなか卓越なアイディアだが、違和感は残る。むしろ、オダギリジョーの台詞が、こんなこと武田鉄矢しか言わないだろと突っ込みたくなる感じだ(苦笑)。イ・ナヨンいい!!!。オダギリジョーの元カノ役のパク・チア途中からすっぴんになり、最後はランと精神病棟で同室。加害者と被害者同室どうなんだ?と思いつつ、すっぴん精神病みのパク・チアには、いくらオダジョーだって、百年の恋も冷めるだろーという捨て身の役作り。
   途中、オダジョーの自損シーンの激しさに、出ていく女性もいたりして、やっぱりキム・ギドク(苦笑)。
   地元シンポで同居人と飲む。途中から日本酒止まらなくなり、酒は溢すし、箸は落とすし、金は払うし。

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