2009年1月4日日曜日

三が日はあっという間だなあ。

   正月気分のまま、読書と惰眠。しかし、三が日テレビの編成は酷いな。窮すれば鈍す。お笑いと再放送とスポーツ。安上がりと言う理由だけで使われる生番組でのお笑い芸人たちの顔を見るだけで切ない。何を見ても眠くなるだけだ。遅昼を同居人と地元の蕎麦屋鞍馬。昼ご飯と言うより、2人で酒飲み。かなりご機嫌で、気がついたら1人で、西荻から東西線。乗り換えるのも面倒臭く、
神保町シアターで、女優・山田五十鈴
  新年皮切りは、57年東宝千葉泰樹監督『下町(ダウンタウン)(1)』。終戦後4年目のまだ寒い早春。葛飾辺りの下町を静岡茶を行商する三十前後の女矢沢りよ(山田五十鈴)。朝から一軒しか売れない。どこからか昼のサイレンが聞こえる。昼ご飯を食べようにも、余りに寒い。荒川沿いに屑鉄屋がある。火に当たらせて貰おうと近づくと、男がいて、親切に招き入れ座る所まで用意してくれる。問わず語りにお互いの身の上話になる。リヨの夫は、シベリアに抑留中だ。2年前にバイカルアスーチンという所からハガキが一枚来たきりだ。男は鶴石芳雄(三船敏郎)。やはりシベリアに2年行っていた。りよがお礼に見本のお茶を入れると、鶴石は鮭の切り身を半分くれ、お茶も2つ買ってくれる。
りよは幼なじみのきく(村田知英子)の家に息子の留吉と間借りしている。幼なじみは、私娼の玉枝(淡路恵子)に部屋を貸し、上がりを取っている。玉枝は、夫を療養所に入れて治療費の為に春をひさいでいるのだ。幼なじみは小金持ちの大西(多々良純)に頼まれ、りよと付き合わないかと言う。気が進まないりよは、ある日留吉を連れて行商に出て、お昼を鶴石の分のコロッケを買って、鶴石のもとに寄る。鶴石は、昼ご飯までの間、留吉を近くの白髭神社の縁日に連れて行ってくれた。また、近くの浅草に行ったことがないと留吉から聞いて次の休みに一緒に行こうと誘ってくれた。帰宅すると近所の人たちが騒いでいる。売春防止法で幼なじみのきくと夫と玉江が警察に連れていかれたのだ。
次の休みに、花屋敷の乗り物でご機嫌な留吉に、六区で映画を見ようと言う鶴石。眠ってしまった留吉をおぶって映画館を出ようとすると雨が降っている。このまま別れ難く、どこか旅館で雨宿りをしてお蕎麦でも食べませんかと誘うりよ。旅館で不味くて高い中華そばを食べ、留吉を挟んで川の字に寝ている三人。鶴石は、復員した時に妻には他の男と暮らしていたと告白する。そちらに行っていいかと尋ねられ断るりよ。女でもキチンとした人はいるんだとヘンな感心の仕方をする鶴石。しかし、二度目に声を掛けた時には、抱きしめていた。初めは拒むが、鶴石の背に腕を回すりよ。翌朝、水溜まりの残る道を歩く三人。もしお腹が大きくなったらと考えてしまったと言うりよに、どんなことでも責任を取ると力強く言う鶴石。
   翌日、行商に出ようとすると吉原の病院に入れられている玉枝宛てに夫が危篤だという電報が届く。玉枝に面会し、田無の療養所まで一緒に行くりよ。結局玉枝は死に目には会えなかった。夫の遺骨を持って郷里に帰るという玉枝を駅まで送る。結局、二日ほど、鶴石のもとに行けなかった。
  数日後、留吉をつれ行商に行く。昼ごはんを鶴石と取ろうと思いながら、コンパクトで自分の顔を見るりよ。しかし、知らない男二人が家の片付けをしている。訳を聞くと、昨日、大宮に鉄屑を運んだ帰りのトラックごと川に落ちて鶴石は死んでしまったという。部屋の黒板に、鶴石の字で、二時まで待った。リヨさまと書いてあった。荒川の土手を、留吉を連れて放心したようにあるいているりよ。
  1時間弱の作品だが、本当によく出来ている映画だな。いい脚本といい役者。最近の撮った映像はみんな使わないと気の済まないような2時間を超える貧乏くさい作品は、時間の無駄だ。三船敏郎の存在感。山田五十鈴の、行商で疲れた顔が、鶴石と出会ったことで、女の顔を取り戻していく演技。溜息をつきながら見るのであった。
   凄い人だ。ほぼ満席、こんなに沢山の人がいるなんて。半年以上通っているが、動員多い方に入ると思う。ここは整理番号順に入れていくのだが、行列を作る訳ではないので、オバハンたちは遥かに後ろの番号でも、なぜか前の方に陣取ろうとするので、殺気立つ。しかし、正月テレビを見てもつまらないせいか、こんな昔の映画を見にわざわざ神保町まで出てくる中高年はこんなにいるのだ。東京ではなく、地方にこそ、多い年寄り。エンタテイメント産業の食べていき方あると思うのだが。

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