2009年1月6日火曜日

少年A、寺島まゆみと寺島しのぶ。

   午前中赤坂のメンクリ。独身美人OLに惣菜の差し入れ。かぼちゃの煮物に柚子を隠し入れたことをアラフォー美人OL軍団は果たして見破ったか(笑)。元同僚とフィッシュで豆のカレー。
  渋谷に出てヒューマントラストシネマ文化村通り(ネーミングライツ売るにしてももう少し覚えやすい名前に出来なかったものか(苦笑))、
  ジョン・クローリー監督『BOY A(6)』。少年時代に犯罪を犯した若者が仮釈放になり、社会に出てくる。保護官のテリー(ピーター・ミュラン)との話し合いで、ジャック(アンドリュー・ガーフィールド)と言う新しい名前を付け、生まれ変わったのだ。彼は一緒に罪を犯したフィリップ・クレイグの墓に行く。ケリーは自殺したと言うが、ジャックはリンチに遭い首を吊られている悪夢を見る。時には、吊られているのは自分だ。
  ジャックの新しい人生は、とても順調だ。運送会社の上司はとても理解があるし、配送の相棒のクリス(ショーン・エバンス)もとてもいいやつだ。ミッシェル(ケイティ・リオンズ)という彼女も出来た。ある日、配送の途中、崖から車が転落しているのを発見し、クリスと一緒に少女の命を救う。社内の朝礼で皆から拍手され、地元紙から取材も受けた。
   テリーは、ジャックとビールを飲みながら、彼の話を聞くのがとても幸せだ。ジャックの更生プログラムはうまくいっている。ミッシェルとの交際が心の深いつながりになり、自分の犯した罪を告白したくなったジャックに、どんなに信頼している人間にも言ってはいけないと言う。実は、仮釈放になった少年Aには、多額の賞金がかかっている。罪を犯した少年は死んだのだといい聞かせるテリー。
  ジャックは、かってエリック・ウィルソンという名前だった。病の母親からは顧みられず、学校でもいじめられっこだったエリックは、ある時フィリップという少年に会う。家庭で虐待されているフィリップとエリックという二人の孤独な少年はお互い生まれて初めての友達になった。ある不幸な事件が起きてしまうまでは・・・。その事件は、イギリス中の注目を集め、悪魔の少年たちの犯罪と騒ぎたてられ、10年を経てようやく仮釈放となったのだ。
  テリーは仕事にのめり込みすぎて離婚している。別れた妻のもとで育った息子が、同居させてほしいとテリーのもとにやってくる。しかし、息子は家に引きこもり自宅で酒浸りだ。ある夜、テリーは酔い潰れ、ジャックは自分の誇りだと言ってしまう。
  ある日、ミッシェルが姿を消した。更に、運送会社からも首を宣告される。クリスからも絶交だと言われる。テリーの携帯も繋がらない。家の前にはマスコミたちが、張っていて、フラッシュを浴びせかけ、マイクを突き付ける。実は、ジャックが実は悪魔の少年の一人だと密告したのは、テリーの息子だった。問い詰めるテリーに、自分の息子のことは捨てておいて、犯罪者の方が大事なのかという息子。テリーは言葉を失う。ジャックは、何とか家を脱出し、町を彷徨う。しかし、自分の名と写真の載ったタブロイト紙が街中で売られている。ジャックは惹きつけられるように、鉄道に乗り、海辺の終点の町へ。そこで、ミッシェルに会う。彼女は愛していると言ってくれた。しかし、周囲とのことで、前の関係に戻るには、すこし時間がかかるかもしれないと言う。テリーとクリスの留守電に、メッセージを残し、寒い海に身を投げうようとしているジャック。   
  自分の犯した罪を償うことは死ぬことしかないのか。それも特に少年犯罪の場合だ。最近は、加害者の人権よりも、被害者や遺族の人権を唱える声が大きくなっている。目には目を、歯には歯をという理屈は分かりやすい。しかし、それだけでいいのか。とはいえ、自分が被害者遺族だったらと考えると、簡単に罪を憎んで人を憎まずとは言い切れないだろう。しかし、本当の真実はどこにあるのかを、神ではない人間が把握することの難しさ。それを、異質な人間を排斥する快感で、社会が白黒を決めつけることだけは危険だ。そんないろいろなことを考えさせる素晴らしい映画だ。2009年にこぼれてしまったが、2008年洋画に加えなければいけない作品。
     渋谷シネマヴェーラで官能の帝国ロマンポルノ再入門2
     83年日活森田芳光監督『ピンクカット 太く愛して深く愛して(7)』城南大学法学部の4年生友永明(伊藤克信)は、就職試験に連戦連敗中。彼女の女子大生のユカ(井上麻衣)は、恋人に条件が厳しく、友達の彼氏がみんな就職が決まっているのに明だけ決まっていないことに不満顔だ。ある日リクルートカットにしようと近くの床屋のアズサに行く。自分についたマミ(寺島まゆみ)も含め理髪師は皆若い女の子で、制服は超ミニのテニスルックだ。友人の江川巧(佐藤恒治)に勧める明。さっそく江川は、アズサに出かけ、お店のミドリと付き合うことに。明は偶然下北沢の駅でマミに再会。店の2階に住んでいると言う彼女と電話番号を交換する。ある夜、江川がミドリと一緒に明の下宿にやってきて部屋を貸してくれと頼む。断れずに追い出された明は、マミの家に。両親が亡くなり自分が店を継いでいると言うマミ。思わずマミに抱きつくが、拒まれ、ごめんと言って帰って行く明・・・。これ以上書くのは馬鹿らしくなってきたのでやめる(苦笑)
  伊藤克信だし、「の・ようなもの」の習作のようなものだと思って見ていたら、公開年は逆なんだな。「の・ような」の二番煎じの出涸らしということか・・・。「家族ゲーム」と同じ年。忙しかったんだな(苦笑)。
   76年日活田中登監督『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者(8)』。大正末期、郷田三郎(石橋蓮次)は、親の遺産を継ぎ生活には困っていないが、東栄館と言う下宿で退屈な毎日を送っていた。ある日、郷田は、屋根裏に上がり、下宿の住人たちの生活を覗き見る快感に取り憑かれた。ピエロ姿の道化師のもとには、洋装の貴婦人清宮美那子(宮下順子)が訪れ、道化師を自分の性欲の道具にしている。また救世軍の牧師遠藤(八代康二)は、人には道を説く癖に、下宿の女中銀子(田島はるか)に懺悔しろと言って、女郎屋にいた事や、下宿の主人に金を貰って関係していることを言わせて自ら着物の下に手を入れている。また男装の女流画家美幸(渡辺とく子)は、モデルに怪しい格好をさせ持て遊んでいる。
    貴婦人は、成金の娘で、父親の書生だった夫に変態的な行為を仕込まれた。美那子は、道化師と関係している際に、天井の節穴から覗く郷田の目に気がつき、その視線は彼女の快楽を高めさせ、遂には太ももで首を絞め殺す。郷田は、節穴が、眠っている遠藤の口の上にあるのをいいことに、毒を落として殺すことを思いつく。美那子の運転手蛭田に案内され、清宮邸に行った際に砒素を貰う。美那子は、夫の飲むワインに少しずつ入れていたのだ。蛭田は、人間椅子の中に入って、美那子の体温を感じている。美那子は、椅子の中に油を流し込み焼死させる。遠藤の毒殺も成功、遠藤は聖職者なのに自殺をしたインチキだということになる。
   夫も毒殺した美那子と郷田は、美幸に自分たちの体をキャンバスにして絵を描かせる。二人の異様さにおびえる美幸を郷田は犯し、美那子は太ももで首を絞めて殺す。屋根裏で抱き合う二人。その時、関東大地震が起きる。下宿から見える浅草の十二階も半壊する。東栄館に関わった者は女中以外皆死んだ。廃墟となった東栄館の井戸を汲む女中。いつの間にか、井戸から出てくる水は、血の色になっている。
   銀座シネパトスで三十路オンナの知られざる愛と葛藤の日々
   03年シネカノン廣木隆一監督『ヴァイブレータ(9)』
   雪のホワイトデーの夜。31歳のライター、早川玲(寺島しのぶ)は、コンビニにいる。彼女は、アルコール中毒で食べ吐きになっていた。今日も頭の中で沢山の言葉が渦巻いて、白ワインとジンを買おうと思いながら、コンビニの中を何周もしている。最後には、女性誌の中の牧瀬里穂が話し掛けてくる。玲は人に触れたくなっていた。その時、金髪の男が入ってきて、焼酎と氷を買った。男が、玲の横をすり抜けた時に、玲の革ジャンの中の携帯が振動した。心のスイッチが入ったように、フラフラと外に出る玲。
   トラックの運転席にいる男の手招きに、助手席に乗り込む玲。酒を飲みたいと言う玲に、男は焼酎のロックをくれた。その時警官が来る。トラックのアイドリングが五月蠅いという通報があったからと、すまなそうに言う警官。免許証を出す男の名前は、岡部希寿(たかとし)(大森南朗)。翌朝、建築中のマンションにドアを納品する予定の希寿は、近くにトラックを移動させる。希寿に触りたいと言う玲。見ず知らずの男に恐怖感も感じたが、あくまでも優しい希寿と抱き合う玲。翌朝早くトラックから降りて吐く玲。焼酎とスナック菓子しか出ない。ふと思いついて、希寿を起こし、道行きさせてくれと頼む玲。
   トラッカーの希寿の話は、初めて聞くことばかりだ。トラックの仕事の話、やばい仕事の話、妻子の話、ストーカーの話、トラック無線の話、ぐれていた頃の話。中学途中で組事務所で準構成員になり、悪いことをし続けてきたが、真面目に働こうとトラックを買って、6年が経つと言う。
   新潟への道、酒を飲まずに眠れるようになっていた。しかし、帰路で突然、玲の心身に異変が起きる。身体はOKでも、気持ちが希寿を拒んでしまう。また、急に声が再び聞こえてきて吐き気が玲を襲う。そんな玲にも、希寿は優しかった。定食屋で食事をしながら、玲のことを好きだという希寿。妻子とストーカーの話は嘘だと白状する。
   最初に出会ったコンビニの前で、トラックを降りる玲。「食べるつもりが、食べられてしまった。しかし、自分は少しはいいものになった気がする」玲は、白ワインとジンを買った。コンビニを出た玲の表情は、清々しかった。
  公開当時に見た時は、実は、中盤眠ってしまった。退屈というより、何の映画を見ても寝ていたから、病気だろう(苦笑)。荒んだ表情と肌をした玲が、トラックに乗ってどんどんきれいになり、かわいくなったなあと思ったら、眠ってしまい、次に起きた時は、とても重苦しい表情で定食屋で向き合っているところだった。男が金髪というのを忘れて、髪が真白になったと錯覚して、どんな恐ろしい出来事があったんだろうと思ったくらいだから、今日初めてちゃんと見たことになる(苦笑)。廣木監督うまいなあ。音楽もいいし。しかし、やはり、寺島しのぶが素晴らしい。結婚以来、テレビが多くなって寂しい。

0 件のコメント: