2008年9月24日水曜日

親父のくどい説教を聞いてくれるお嬢さんにお金払うと、援交か。

   アミューズCQNで、マキノ雅彦監督の『次郎長三国志』。想像してた以上に楽しい映画だった。法印の大五郎役の笹野高史は勿論、森の石松役の温水洋一が頑張っていて良かった。あと三馬政の竹内力。マキノ監督、男の役者のせるの巧いなあ。後半泣かせるところが少し長くて、個人的にはちょっとダレたが、劇場内はお年寄りを中心にすすり泣いたり、鼻をかんだり、盛り上がり、最後に一家で殴り込み、バッタバッタと斬りまくって大満足。衣装に『メタル侍』のスタッフが入っていて少しうれしい。
   お客さんは、予想はしていたが、朝一番の回で半分以上の入りで50の自分が断トツに若輩だった(苦笑)。水曜割引なのに、ほとんどシルバー割引。テーマもテーマだけど、映画館は、完璧にシルバー層の娯楽場になったな。その世代全員誰もがお金と暇と都心に出て来る体力はないだろうし、自分も目前だから、このことをどうのというつもりはないが、本来彼らは映画を見に行くのが青春だった。映画産業は、本気で10代の映画鑑賞習慣つけに取り組んだほうがいい。シルバー割引だけじゃなく、高校生まで三人なら一人千円なんてセコいこと言わず、2人で二千円にすりゃいいじゃないか。三人じゃデートにならないよ。暗い映画ファンだった映画業界人は、彼氏彼女もいなく、一人で名画座周りをしていたので、そんな発想ないんだろうか(笑)。テレビ局がせっかく斜陽し始めたんだから、企画と金だけ彼らから出させつつ、今のうちに、映画館へ行く習慣を若者につけて、映像業界のイニシアティブを取り戻さないと駄目だ。携帯や作品のせいや同業のコンペティターのせいにしていてもしょうがない。邦画が注目され絶好の機会なのになあ。
   シネアミューズで『アキレスと亀』北野監督はどうも最近自分は駄目だった。ただ今回はよかった。麻生久美子から樋口可南子という妻、菩薩だな。芸術とは何だという結論の出ない問い。アキレスが亀に永久に追いつけないパラドックスと一緒だ。絵描きになりたいという亀をいくら追いかけても、絵をいくら描いても、妻以外の誰も評価してくれない。ただ、絵描きに貰った絵描きの象徴のベレー帽を被り絵を描き続けるだけ、そんな主人公を子役、柳憂怜がよく繋いだ。武の顔を見ていてふと考えたのは、最近、浅丘ルリ子の昔の映画随分と観続けているせいか、彼女のふくよかだった当時の顔が、監督と噂があったグラビアアイドルのFの顔が浮かんでしまう。日活アクションファンだったんだろうかと妄想してしまう。
   ユーロスペースで『東南角部屋二階の女』。芸大映画大学院1期生の新人女性監督・池田千尋いいなあ。35mmスタンダードの中に切り取られた役者たちの芝居。殆ど口を訊かない高橋昌也と、実は東南角部屋二階の女だったこの映画の肝の香川京子二人の演技。人間仕事をしながら美しく齢を重ねたいものだと思う。立ち振る舞い今の人間には絶対真似は出来ない。若手も、どうも最近の邦画界で持ち上げられ過ぎている気がしていた(多分嫉妬だろう(笑))西島秀俊加瀬亮の二人もよかった。個人的に竹花梓凄いタイプ(笑)。ちょっと、畳屋の哲学者、塩見三省の台詞が説教臭くて鼻についたが、27歳の若い女性はオヤジの説教を聞きたがっているんだと、自分に都合のいい勝手な解釈を(笑)。
   明日面接があるので散髪。いよいよトップと髭1mm、サイドとバック0.1mmに。渋谷駅迄歩いていくと、25年以上前から通っていた珉珉羊肉館が消滅していた。戦後すぐ渋谷に出来、先代のお母さんが亡くなって、餃子の味も変わったので行く回数は激減していたが爆羊肉が好きで、たまに行っていたが、二度程火事にあったりして、二階がなくなり一階のカウンターだけになって、遂に何もなくなってしまった。切ない。西荻に戻ると、何だか無性に羊肉が食べたくなりインド料理。

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