2008年7月6日日曜日

渋さ知らズな兵庫のおじさん

   元会社の後輩の女の子と、アート三昧デート。 
   渋谷イメージフォーラムシアターで『ドモ又の死』、なんとも不思議な映画だった。麻薬やアルコールの更正施設で治療の一環として有島武郎の戯曲『ドモ又の死』を入所者の女性五人演じることが劇中劇になっているというものだが、今何故有島?白樺派?自分が知っていたのは、キリスト教から理想主義的社会主義に転向して、農場を小作人に解放したインテリブルジョアの人?程度だし、『生まれ出ずる悩み』と『或る女』を、タイトルで惹かれて、読んだような記憶があるようなないような感じだが、全く覚えていないと言う事は、自分には、難しくて理解できなかったんだろう(苦笑)。で、調べると、不倫の末、軽井沢で情死して(心中ですね)、腐乱死体が7月7日に発見されたという。享年46歳。せっかくなので、読んで見ようと思う。映画を、更に分かりにくくしているのは、劇中劇の時はメイクをしていて、その時以外は、みんなすっぴん(それも、江本純子を筆頭に、全員あまりにひどい顔色だ。三輪明日美でさえも男子は驚愕!!)なのだが、途中から虚実の境目が、どんどん無くなっていく。メイクもセリフも、どっちがどっちだか分からんし、藤谷文子に到っては、髪の毛が伸びたり、縮んだり(「今日が最後であるならば」だかなんだかの撮影を挟んだのだろうか?)。最高のサプライズは、更正施設の院長役で萩尾望都さんが出ていることだ。 それも、後でパンフで知ってびっくり。「11人いる」「ポーの一族」「トーマの心臓」・・自分の高校時代には伝説的な漫画家だった。高校生にもなって、妹の「りぼん」「なかよし」などを取り上げて、くらもちふさこや、陸奥A子などには嵌っていたものの(恥)、萩尾望都、大島弓子ら24年組(ということは自分より9歳お姉さんだな)を教えてくれたI氏は、今や大出版社の社長になった。とまあ、理解できなくとも、沢山のことを考えさせられる作品である。恐るべし、奥秀太郎監督(笑)。
   それから四ツ谷荒木町の画廊で彼女の友達の個展をしているというので迷子になりながら、結局電話をして問合せてたどり着く。その後日比谷野音で渋さ知らズオーケストラ他出演のワールドビートというイベント。最後は出演者ほぼ全員によるセッション。予想通り、収拾つかず終了。 同世代の音楽ライター何人かにお会いする。何年ぶりだろうか。
   最後は新宿ゴールデン街。『兵庫のおじさん』というブラックジョークの傑作の脚本を書いた作家さんが日曜だけ、マスターをしているという。狭い店内は既に埋まりかかっていて、トイレの前で飲んでいると、後ろ姿しか見えないカウンターの関西弁の男性がやけに渋くていい声だなと思ったら、兵庫のおじさんの声をやっていただいたMさん!デート気分の最後の盛り上がりが、急に平常心に。あぁ、今日は非常にいい感じだったのに、普通に飲んでおしまいに。残念(苦笑)

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