朝から、新宿ピカデリーで、
ケニー・オルテガ監督『THIS IS IT (631)』
映画を見ながら、イカロスの翼だったかの話しを思い出した。ある日空を飛びたいと思っていたイカロスは、翼を付け空を飛ぶ。より高くと思い太陽に近づくと、翼を付けたノリが溶け、墜落してしまった。マイケルが、このリハーサルを経て掴もうとしていたステージは、人間の領域を超えたものだったかもしれない。エンターテインメントの神になりそうだったマイケルは、生きて実現することは出来なかった。実現していたとして、自分はロンドンでの50公演を見に行かなかったし、DVDか何かを暫く経って見ただけだったろう。万が一、実現していた時に、目撃した人しか、神になったマイケルを語れないと言うと言い過ぎだろうか。世評に捉われず、50公演を目撃しようとチケットを握った人間にしか"奇跡"は、目撃できなかった筈なのだ。
同い年のスーパースター、50年しか生きられなかったのか、50年も生きたのか…。
少なくとも、この公演に全てを賭けていたんだな。凡人である自分は、いつ人生を賭けるタイミングがあるのだろうか?
代々木まで歩いて、学校。二年は就活でもあり、就活への挫折もあり、出席が悪い。大変だよな。2コマ目は、水曜に続き、ゲスト講師を迎えて。先週末の、中学同窓会で頼んでいたCM音楽のプロデューサーK。持って来てくれたプロフィールを改めて見て、なかなかいい仕事しているなあと思う。自分自身が聞きだい話しで、進行してしまったきらいはあるが(苦笑)、とてもいい話をしてくれた。特に学生の顔写真入り名簿を見て、コミュニケーションを取ろうとしてくれたのを見て、勉強になる。恥ずかしい。
マイケル、マドンナ、プリンス、TK(!?)、同じ学年だと言うことで、感傷的になってしまうが、そこに何か意味があるのだろうかと、ふと我に帰る。偶然発見した褒め殺し(笑)、思い入れというものは、個人的なものでしかなく、自分の限界を吐露する行為なような気がする。自分自身、他人を論うことを生業にしているようなもので、目糞鼻糞だが(苦笑)。
ポレポレ東中野で、女優 岡田茉莉子。
60年松竹太秦吉村公三郎監督『女の坂(632)』
京都の老舗の和菓子屋鍵村。跡継ぎが、今は箱根湯本の旅館の女将となっている津川恵子(乙羽信子)の娘明恵(岡田茉莉子)とすると言う話しに、長兄で暖簾分けをし、今では「藤膳」の主人をしている分家の藤崎浩造(澤村國太郎)は不満である。弟で骨董品屋をしている松井太平(殿山泰司)に同意を求めようとするが、鍵村の一枚看板の菓子、京時雨を奪おうと言うのが見え見えで、賛同されない。鍵村の後見人である清水焼きの清井三郎次(中村鴈治郎)も、秋江が継ぐことに文句はないようだ。
三郎次の娘千穂(高千穂ひづる)と太平の娘の由美(河内桃子)と秋江は、仲がよく、秋江がやってくることを喜んだ。母親に連れられ、鍵村にやって来る秋江。先代が亡くなってから、職人の谷次(富本民平)が、先代を悪く言った職人と喧嘩になり突き飛ばしたことで過失致死の罪を問われ、山科の監獄に入ってから、店は畳み、老女中のお静(滝花久子)が一人で番をしていた広い町屋の家はお化け屋敷のようだ。蜘蛛の巣、鼠・・・。赤と青の灯りが交互に写る窓、明恵が、思い切って窓を開けると、ナショナルのネオンが点滅するタワーがある(何のタワーだろうか?)菓子作りの仕事場は、もう何年も使われていない死んだ場所である。
翌日、洋裁学校に、千穂を訪ね、由美と三人で話しながら歩く明恵。明恵は、菓子屋を廃業し、洋裁学校でも始めようかと思い始めていた。由美は、自分の恋人の矢崎善三(西田智)を、京都市役所で紹介する。矢崎は、かって学生運動の闘士だったが、現在は京都市の助役の秘書をしていた。矢崎との結婚を望んでいたが、矢崎は煮え切らなかった。続いて、由美は千穂のフィアンセを紹介すると言って、千穂の父がやっている清水焼の窯場に連れて行く。千穂の父三郎次は、芸術院の会員になるという野望をもっており、そのために発言力のある会員の息子である修二(北上弥太朗)を養子とし、千穂の許婚としたが、その後修二の父は亡くなった。修二は陶芸家としての才能はあったが、芸術院への野望の役にたたなくなったので、三郎次は急に千穂と結婚させるという熱が冷めてしまったのだ。明恵に窯を案内してくれる修二。
由美の家、骨董屋「松へい」では、沢山の男たちに仕事を割り振る父親松井太平の姿がある。太平は、骨董屋の傍ら配膳組合の会長をしており、冠婚葬祭や行事に人を派遣する仕事をしているのだ。由美の兄の時夫(森美樹)が経営する喫茶店「珈琲・洋酒 くらろて」でコーヒーを飲みながら、四方山話をする三人。時夫も、かっては矢崎と共に学生運動に関わっていたが、逮捕された際に父親が実力者に手をまわして釈放させたことで、仲間と気まずくなり脱落、屈折し寡黙な男になっていた。
刑務所の塀の前を、出所した職人の谷次と歩く明恵の姿がある。鍵村に戻り、風呂に入り今日はゆっくり休みなさいという明恵。谷次は仕事場をゆっくり確かめるように眺め、洋裁学校を開くというのは本当かと明恵に尋ねる。決めたわけではないが、そう思っていると明恵が応えると、京時雨を食べたことがなければ、作らせてくれと言う。綺麗に片付いた仕事場で、キビキビと働く谷次の姿をみつめる明恵。上質な葛を使ったシンプルな京時雨を食べて、おいしさに頷く明恵。
浩造が太平の店にやってくる。「えらいこっちゃ、明恵さんが鍵村を再興させると言いだした。」「聞いたで・・・。兄さんの京時雨と、暖簾を手に入れるという狙いは水の泡になったな。」「そんなことやない。京都の老舗の暖簾を、菓子作りもやったことのない若い娘にでける訳がないと、心配しとんのや。」
鍵村の前に、詰襟を着た応募者が沢山集まっている。小僧さんの募集に集まっているのだ。明恵が面接している。志願者(頭師孝雄)の一人に志望理由を尋ねると「菓子を腹一杯食べてみたくて」「少し経つと、見るのも嫌になるわよ」と明恵。
すらっとしたスラックス姿で、自ら運転をして、小僧(頭師孝雄)と、お茶屋、料理屋を営業再開の挨拶をして周る明恵。「あらまあ、鍵村はんは、随分と威勢のええお方どすなあ。」洋装で溌剌とした明恵に目を見張る京の人々。
店に戻ると、母の恵子が、東京の版画家の矢追三郎(佐田啓二)を連れて来ていた。矢追が、舞妓を描きたいというので案内したのだと言う。部屋数だけは旅館をしてもいいくらいあるので、何時までも泊ってくださいと明恵。
由実が、舞妓の手配をしてくれ、鍵村の二階で、矢追は舞妓(北条喜久)のデッサンをしている。由実は立ち会ってくれた。「先生、一休みしたらどうどす?」「うんそうだな」「コーヒーにします?お紅茶?」「コーヒーを」「あんたはどないする?」「私はごちゃごちゃ」由実は下に降りて近くの喫茶店に電話を掛ける。「鍵村まで、コーヒーと、お紅茶と、フルーツパフェ。コーヒーは熱いんでないとあきまへんえ」由実が明恵を探すと、店の外にある車の下に潜って修理をしている。「今から配達?じゃあ、私もドライブに連れて行って!」「ドライブじゃなくと、配達よ。」
兄晴太郎(真木康次郎) 妻吉野(金剛麗子)娘咲子(樋口美子)
万力のおかみ(和歌浦糸子)京大和のおかみ(高山裕子)
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