京橋フィルムセンターで、生誕百年 映画女優 田中絹代。
55年日活久松靜児監督『月夜の傘(658)』
郊外の街に、小さな建て売り住宅が建っている。とある日曜日、村井家の一人息子で高校生の健一(茂崎幸雄)がハモニカを吹き「広志ちゃーん」と声を掛ける。隣の小谷家の二男広志(真塩洋一)が小さな庭の石を引っ繰り返している。広志は蟻が好きなのだ。健一のハモニカが野薔薇のメロディを奏で始めると、小谷家の長男高志(渡辺鉄彌)と妹の和子(加藤淳子)が出てきて、歌い始める。母の律子(田中絹代)がおろおろ出てきて、「お父さんは調べ物をしているから静かになさい」と注意する。小谷家の主人小谷耕平(宇野重吉)は中学の数学教師、試験答案の採点をしている。急に歌い止めた高志と和子に「どうしたんだい?」と健一が尋ねると、高志は鬼の角のジェスチャーをする。健一の母の村井かね子(轟夕起子)が「うちに遊びにいらっしゃい」と声を掛ける。
井戸で村井家の婆や(飯田蝶子)が洗濯をしていると、律子がやってくる。「休日は水道の出が悪くなるし、ウチは家族も多くて、お金もかかるので、井戸が一番だわ。」と洗濯を始める。耕平が庭に出てくると庭の石が引っ繰り返っている「また広志だな。広志!!広志!!」と怒り始める。村井家の二階の健一の部屋にいる広志に、「いい加減にしろ!!」と怒鳴る。
井戸端に、かね子がやってきて、洗濯は自分がするので、婆やには家に戻って子供たちに飲み物を出してあげて頂戴と言う。倉田美枝(新珠三千代)が沢山の洗濯物を持ってやってくる。「うちは4人もいるからこんなに多いけど、あなたはご主人一人なのに随分と多いわね。」と律子。美枝は、新婚だが夫の倉田信男(三島耕)は出張が多く、家を空けることが多い。若くして一軒家を買ったので、給料の4分の1は家の借金に充てなければならないのだ。「御主人は今日お休み?」と律子はかね子に言う。「今日はいないのよ。」「今日もお仕事?」「違うのよ、小野さんにいい縁談があると言って、その打合せなの。小野さんには、もう少しはっきりするまで言っては駄目よ。」
そこに噂の主、小野妙子(坪内美詠子)が現れる。妙子は、娘の小野雪子(二木てるみ)と二人暮らしの未亡人。洋裁の仕事で生計を立てている。美枝が下請けしていたものを渡す。「もう出来たの?」「これからも、いくらでも手伝わせて下さい。」「なんだか、本職の私の方が煽られてしまうわ。」
村井隆吉(三島雅夫)鈴木吾郎(伊藤雄之助)鈴木一郎(桜井真)川崎豊(宍戸錠)坂本卓二(杉幸彦)江藤とみ(東山千栄子)小泉なつ子(新井麗子)仲人(加原武門))
健一の友達(高田敏江)(大森曉美)八百屋(光沢でんすけ)女給(須田喜久代)女事務員A(丘志摩子)女事務員B(竹内洋子)宮島彌生
56年東宝稲垣浩監督『嵐(659)』
大正中頃の話である。フランス文学の研究者の水沢信次(笠智衆)は、4年振りに帰国した。7年前に妻を亡くし、自分の子供たちを親類たちに預けていたが、やはり自ら育てようという決意と共に・・。
旅館桜館に住まいを決め、荷物を整理していると、誠心堂主人石井(加東大介)が訪ねてくる。一世一代の仕事としてフランス文学大辞典を出版したいので、水沢に編纂を頼みたいと頭を下げる。「一世一代か・・・ライフワークだな。」「ライフルワーク?そりゃ何です?」「ライフワーク、一生を賭ける仕事だよ。君」「そうです。そのライフワークって奴ですよ。お願いできますか?」「いや、今自分には別のライフワークがあるんだよ。」「何ですか?」「育児だよ。子供を預けてフランスに出かける時には、そんなことを考えなかったが、滞在中、無性に子供のことが気になって、異国の子供の頭を撫でたりしていたんだ。大学の講義もあるし、三つは出来ない。君すまんが・・・。」「そりゃ、血の繋がった親と一緒の方が子供に一番ですが、大変ですよ。」肩を落とし帰って行く石井。
数日前、水沢の義妹しづ江(東郷晴子)の元を訪ねる。「そりゃ、お預かりしているのですから、お返ししますが、育児は大変ですよ。」太郎(武田昭)と次郎(鈴木映弘)が小学校から帰ってくる。4年振りの父親の対面に少し緊張をしている二人。
桜館主人北川(清水元)女中お咲(中北千枝子)雑誌記者宮口(今泉廉)少女時代の末子(中村葉子)お徳(田中絹代)八代教授(江川宇禮雄)
水沢の兄(山田巳之助)少年時代の三郎(平奈淳司)水沢太郎(山本廉)水沢次郎(大塚国夫)水沢三郎(久保明)水沢末子(雪村いづみ)
特高刑事(谷晃)お霜婆さん(馬野都留子)芸者年丸(上野明美)郷里の青年森(松尾文人)森の妹(香川悠子)医者(稲葉義男)
芸者(黒岩小枝子、泉千代)失業者の男(菅大作)その子供(市川かつじ)
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