神保町シアターで、日本文芸散歩。
67年創造社大島渚監督『日本春歌考(660)』
赤い布に、黒い墨が垂れて丸い円になり広がって行く。赤地に黒い日の丸のようだ。
雪の大学キャンパス。入学試験のようだ。前橋第一高校の中村豊明(荒木一郎)、上田秀男(岩淵孝次)広井克巳(串田和美)丸山耕司(佐藤博)は連れ立って受験に来た。高校の先輩で浪人生の藤原が、試験が終わった時の気分はいいだろう、そのために3年も浪人しているのだ、自分はこれから新宿のロレンスに行くと謎を残して去った。他の大学を受験していた広井と丸山が合流する。
上田は、同じ教室の受験番号469番が美人だったと言う。ちょうど、ベトナム戦争反対の署名とカンパ集めをしている大学生がおり、そこで署名をしようとするセーラー服姿の469番(田島和子)を見つける。隣に並んで、彼女の署名を見ようとする中村たち、藤原マユコと書いたようだ。君たちも署名をしろと言われて「丸出だめ夫、チビ太」などと書いてふざけるな!!と怒られる。雪の東京をブラブラする4人。どこかの大学から、先頭に「紀元節復活反対」の墓標と卒塔婆を下げ、白地に黒い日の丸と黒旗を掲げたデモ隊が、静かにやってくる。いつしか4人が先頭を歩いているかのようだ。「何も言わないんですか?」と尋ねると「紀元節復活反対」とシュプレヒコールを上げるような静かなデモだ。ふと気がつくと、デモ隊の後部から、自分たちの引率教師大竹(伊丹十三)が金髪の女(小山明子。金髪と言っても、今の感覚では、ブルーネット(栗毛色?)という感じだ。)と列を抜けるのに気が付き、後を付ける。地下鉄の駅で二人は別れ、女の後を付けるとパレスサイドビル(毎日新聞が入っているビル)に入り、エレベーターに乗る。同じフロアで降り、中村が声を掛けようとすると、女は「誰?ずっと後をつけていたでしょう。」と声を掛けられ、「大竹先生の・・・」としか言えない中村。
結局4人は、同級生の女子が受験している女子大にやって来て、手当たり次第に「前橋の智子さん!」「前橋の早苗さん!」と声を掛けまくる。里見早苗(宮本信子)池田智子(益田ひろ子)金田幸子(吉田日出子)はやってきたが、大竹と約束をしていると言って、相手にしてもらえなかったが、結局、女子について、大竹と一緒に食事をする。軍歌酒場のような場所で、大竹は酔い、春歌は虐げられた民衆の抵抗の歌だと言い「一つ出たホイのヨサホイのホイ、一人娘とやるときは、ホイ…。」と歌い出す。男子学生たちにとって強いインパクトのある歌だ。結局徘徊しているうちに、前橋行きの下りの列車を逃し、大竹の世話で、大竹の下宿の近くの旅館に学生たちは泊まることになる。
前橋第一高校の中村豊明(荒木一郎)、上田秀男(岩淵孝次)広井克巳(串田和美)丸山耕司(佐藤博)谷川高子(小山明子)藤原眉子( 田島和子)
シネマート新宿で、井土紀州監督『行旅死亡人(661)』
朝の洗面所で、不機嫌そうに歯を磨きながら、手櫛で髪を解かす娘(藤堂海)。
(本人のNA)私の名前は滝川ミサキ、ノンフィクション作家を目指す24歳。薬害エイズや、食品偽装、セックスボランティアなど現代社会にメスわ入れるような文章を書きたいと思っているが、原稿を持ち込んでも、二番煎じだといつも言われている。つまり、私は単なるフリーターだ。でも、今朝は何かが書けそうな予感がしている…。自転車を漕ぎ、バイト先のスーパーに急ぐミサキ。
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