神保町シアターで、川本三郎編 鉄道映画紀行 思ひ出は列車に乗って。
53年松竹大船川島雄三監督『新東京行進曲(600)』
飛行機が東京上空を飛ぶ。機内に安井誠一郎東京都知事(本人)がインタビュアー(増田順二)に話をしている。「こうやって空から眺めると、東京もなかなかのものでしょう。」「しかし、地上に降りると、いろいろごちゃごちゃしたものですよ。」「君、しかし東京は二度、焼け野原になったことを忘れているんじゃないのかい?大正12年の関東大震災と、昭和20年の大空襲。」「なるほど、二度の大きな災難にめげず、不死鳥のように立ち直ったんですね…。」「そうだよ。」
取材の新聞記者の真砂隆(高橋貞二)が、同僚の一ノ瀬文子(小林トシ子)に、「あそこが、自分が出た小学校だ」と泰明小学校を指差す。文子は「江戸っ子なのに、随分おセンチなのね」「田舎者には分からないだろうな」「江戸っ子なんて鯉のぼりよ。威勢はよくても、中身は空っぽだわ。」喧嘩を始めた二人を見て苦笑する都知事。
日々新聞社会部(実際は毎日新聞らしい…。)、真砂が戻って来て、紙面を見て文子に「何だか写真がやけに大きいなあ。整理部は何も分かっていない。」「記事が甘いから、こうするしかなかったのよ。」「何を!」デスクが、「一ノ瀬君、君はミス職場コンテストの取材を頼む。真砂くんは、銀座の賭博クラブを取材してくれ!」「私に賭博クラブやらせて下さい!!」「女には危険だ。男の?君が昨夜危険な目に遭ったんだ。ミス社会部の何かあったら大変だ。」「大丈夫です。女なら女なりの攻め方があると思うんです。」「しょうがないなあ。じゃあ一ノ瀬君頼む。」「ありがとうございます!!」と飛び出て行く文子。「真砂くん!!君も行ってくれ!一ノ瀬くんの護衛だ。」仕方なしに、跡を追う真砂。
文子は配送部で、一人の男(三橋達也)にぶつかる。「すみません。左目が不自由なので見えなかったんです。」と頭を下げる男の顔を見て、「カズちゃん!!」と声を掛ける真砂。「タカちゃんか?」と応える男は、霧山一夫、泰明小学校の同級生だった。再会に喜びあいながら、文子を追う真砂。
文子は友人の勤める洋裁店で着替えて、クラブマンダリンに出向く。そこの別室にある賭博クラブに潜入しようというのだ。ふと見ると、真砂がクラブの女たちに囲まれて鼻の下を伸ばしている。呆れながら、二人の紳士が、婦人用化粧室から出て来たのを見て、駆け寄り、チップを落とし、「私、ここのカジノ初めてなんです。案内して貰えません?」と甘えた声を出す。「いや、私は局長と打合せがあって、出なければならないんです。」と言う紳士は、強引な文子に困って耳打ちをする。
婦人用化粧室の三番目の個室が秘密カジノの入り口だった。中に入り、どちら様でと尋ねられ、中東建設の…と言うところで言葉に詰まった文子は、電気を消し、混乱したカジノで、二発ストロボを焚く。
隠し扉から逃げ出すが、男たちに捕らえられる。そこで、真砂が男たちと乱闘の末、クラブから逃げ出した。銀座の狭い路地を縦横無尽に走り、泰明小学校に逃げ込んだ。
弘兼憲史のキャラクターにホントそっくりの高橋貞二。前から誰かに似ていると思ったが、コミックだったとは・・・。この映画は、表情だけでなく、熱血漢で直線的で、女にもてるところが、まんまだ。島耕作かと思ったが、ハロー張りネズミだなあ。
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