神保町シアターで、男優・佐田啓二。
64年宝塚映画堀川弘通監督『悪の紋章(523)』
多摩川に女の全裸死体が発見された。バー・シロンの女給立石弘子22才だと判明したが、迷宮入りしそうだった。城南署の捜査一課主任菊地正明警部補(山崎努)は、事件の夜多摩川の河原で、トラックの運転手が、乗用車のヒルマンに接触されたと言う情報を掴んだ。ヒルマンの持ち主は、日進商事の専務の江口泰弘(佐藤慶)。その日、江口は、同社の社長の柴田欣一(戸浦六宏)に貸したことが、料亭三島な女将や従業員の証言があった。
柴田の身柄を押さえようと、署に戻ると、入江(遠藤辰雄)が課長が呼んでいると言う。課長のところに、行くと、次長のところに、行けと言う。次長は、三共組の花井和夫(清村耕次)と言うヤクザを知っているかと言う。知らないと言うと、麻薬取引で捕まった花井が、運搬を菊地が手伝い金を要求したと自白していると言う。有り得ない話に笑う菊地だったが、その日、知らない男を親切心で横浜から東京まで、車に乗せたのは事実で、更に菊地の知らないところで、妻の恵美子(北あけみ)が花井から金を受け取っていたことが判明。菊地は、悪徳警官としてスキャンダルになり、城南署の署長は辞表を提出、懲役2年と判決が下った。
2年の刑期を終え、出所してきた柴田が、満員の国電に乗っている。混雑した中を乗客を出し掻き分け、強引に進んでくる男(高堂正典)がいる。男は掏摸だった。東京駅を降りたところで、柴田は男を捕まえる。盗んだものを見ると、切れかかった女名前の定期券と小銭とか名刺など大したものは入っていない。
柴田は、興信所で働くことになった。旧知の元刑事の松野誠太郎(大坂志郎)が、後輩の柴田を事件以来何かと気を配ってくれ、出所後自分の働く塚本興信所に誘ってくれたのだ。松野は、柴田に稲村清一という名刺を渡し、これからは稲村清一という人間として生きること、かっての事件を忘れること、刑事ではないので捜査権はないことを約束させた。興信所の所長の塚本(志村喬)は、芝田の過去を全て知った上で、松野の言葉を聞き入れてくれたのだ。
しかし、稲村清一となった柴田は、城南署に出かける。署員たちは、幽霊を見たように視線が凍りついている。今では警部補になっていた入江の前に立つと、「あの多摩川の女の土左衛門の事件はどうなった。」と声を掛ける。入江は迷惑そうな顔を隠しもせずに、「復讐でもするつもりか?あの事件は、お蔵入りさ。三京組の花井も死んだんだ。」「!?」「あんたよりも、半年早く出所したが、やくざ同士のつまらない喧嘩で、刺されたんだよ。もう忘れた方がいい。」「いや、俺は忘れない。邪魔したな。」蒲田の駅前で、稲村の心の中に浮かぶ血だらけの花井と自問自答する稲村。
興信所でつまらなそうに、新聞を読んでいる稲村。新聞記事に、犬吠崎で服毒自殺未遂という見出しが出ている。浅井節子という名前を見て、数日前に掏摸から取り上げた定期券の持ち主だということを思い出す。犬吠崎のホテルで、眠っている浅井節子(新珠三千代)の前で、石原良子(富田慶子)が節子の叔父と話している。「2、3日は動かせないわね。会社の方は資本金250億の上場企業、第一造船として、クビにはならないで済みました。社長のお気に入りだったから・・。でも社長秘書からは外れて、役員室で庶務をやってもらうことになると思います。でも、自殺の理由は何だったんでしょうね。」「石原さん、血縁者は他にいなくなった叔父と姪といっても、別々に暮らしているんので、さっぱり。」「そうよね。」節子が「艶ちゃん・・・・。」と寝言を言う。
稲村は、突然、妻の恵美子の元を訪れる。「いつ・・」と絶句する恵美子に、「そりゃそうだ。2年前に離婚届けに判をついたのは俺だ。けっこうな暮らしをしているじゃないか。お前は嫌でも、俺はお前に用がある。今どこで働いているんだ?」
日進商事のビルの前に立つ稲村。専務の江口に面会し、あのヒルマンはどうしましたか?と尋ねる稲村、「売ってしまいました。」「社長は、海外市場の視察に行ってらっしゃるんでしたよね。」「これは、何の捜査ですか?」「いえ、信用調査です。こちらのような大企業では役員方々を調べさせていただく必要もありましてね。」「社長の視察への出発は、2年以上たちますね。」
60年松竹大船中村登監督『いろはにほへと(524)』
60年松竹大船野村芳太郎監督『最後の切札(525)』
ナイトクラブを出る外車を尾行するタクシー。タクシーには中央新聞社の旗が翻っている。車が不滅教会総本部と札が掛かった大きな門の前に止まる。降りてきた男の前に新聞社のカメラマンがストロボを焚く。西川為次郎(竜崎一郎)さんですねと声を掛け、中央新聞社の名刺を出す記者。西川は慌てて門の中に姿を消す。
中華料理屋の2階で、吉村(宮口精二)と、立野駿介(佐田啓二)が、汗を拭いながら、ラーメンを食べている。街頭写真の男がびびっちゃって、困りましたよと立野。では、教会にはいつ行こうか、でもその信者はゲロっちゃわねえかと吉村。警察の取り調べ室で、刑事の渡辺(松本克平)に問い詰められている不滅教会の信者(浜村純)。話の矛盾を突かれて、お題目を一心不乱に唱え始める。
60年松竹大船吉田喜重監督『血は渇いてる(526)』
ビルのトイレで、鏡を見つめている男(佐田啓二)。疲れ果て、思い詰めた表情で、ポケットから拳銃を出し眺めている。顔を洗い、決心したように顔を上げる男。ビルの屋上で、社員を集め、社長らしき人間が、「昨今の経済状況は、我が社のような中小企業には、到底生き残っていくことが出来なくなった。様々な努力をしてきたが、限界になった。よって社員の皆さんを全員解雇しなければならないことになった。何とか理解をしてもらえないだろうか」
先ほどの男が社長の前に進み、拳銃を頭に当てて、「皆さんの首を切らないで下さい」と叫び、引き金を引く。
病院に新聞記者や雑誌記者が集まっている。週刊日本のトップ屋の原田(三上真一郎)とカメラマンの米沢(佐野浅夫)が、近くの記者に、死んだのか?全治?で助かったと訊き、面白くねえと帰って行く。自殺しようとした会社員は木口高志。彼を止めようとした年配の金井(織田政雄)が記者に囲まれている。木口くんは、みんなを救おうと言っていました。私は危ない!!と夢中で飛びつきましたと話している。そこに木口の家内の幾代(岩崎加根子)がやって来た。自殺の理由は何ですか?と記者たちが取り囲む。それを聞きたくて来たんですと幾代。
外苑前の粥屋喜々で、元いた会社の後輩たちの誕生日をダシにした飲み会。喜々店主は、こういうのが好きだなあ。
64年宝塚映画堀川弘通監督『悪の紋章(523)』
多摩川に女の全裸死体が発見された。バー・
柴田の身柄を押さえようと、署に戻ると、入江(遠藤辰雄)
2年の刑期を終え、出所してきた柴田が、
柴田は、興信所で働くことになった。旧知の元刑事の松野誠太郎(大坂志郎)が、後輩の柴田を事件以来何かと気を配ってくれ、出所後自分の働く塚本興信所に誘ってくれたのだ。松野は、柴田に稲村清一という名刺を渡し、これからは稲村清一という人間として生きること、かっての事件を忘れること、刑事ではないので捜査権はないことを約束させた。興信所の所長の塚本(志村喬)は、芝田の過去を全て知った上で、松野の言葉を聞き入れてくれたのだ。
しかし、稲村清一となった柴田は、城南署に出かける。署員たちは、幽霊を見たように視線が凍りついている。今では警部補になっていた入江の前に立つと、「あの多摩川の女の土左衛門の事件はどうなった。」と声を掛ける。入江は迷惑そうな顔を隠しもせずに、「復讐でもするつもりか?あの事件は、お蔵入りさ。三京組の花井も死んだんだ。」「!?」「あんたよりも、半年早く出所したが、やくざ同士のつまらない喧嘩で、刺されたんだよ。もう忘れた方がいい。」「いや、俺は忘れない。邪魔したな。」蒲田の駅前で、稲村の心の中に浮かぶ血だらけの花井と自問自答する稲村。
興信所でつまらなそうに、新聞を読んでいる稲村。新聞記事に、犬吠崎で服毒自殺未遂という見出しが出ている。浅井節子という名前を見て、数日前に掏摸から取り上げた定期券の持ち主だということを思い出す。犬吠崎のホテルで、眠っている浅井節子(新珠三千代)の前で、石原良子(富田慶子)が節子の叔父と話している。「2、3日は動かせないわね。会社の方は資本金250億の上場企業、第一造船として、クビにはならないで済みました。社長のお気に入りだったから・・。でも社長秘書からは外れて、役員室で庶務をやってもらうことになると思います。でも、自殺の理由は何だったんでしょうね。」「石原さん、血縁者は他にいなくなった叔父と姪といっても、別々に暮らしているんので、さっぱり。」「そうよね。」節子が「艶ちゃん・・・・。」と寝言を言う。
稲村は、突然、妻の恵美子の元を訪れる。「いつ・・」と絶句する恵美子に、「そりゃそうだ。2年前に離婚届けに判をついたのは俺だ。けっこうな暮らしをしているじゃないか。お前は嫌でも、俺はお前に用がある。今どこで働いているんだ?」
日進商事のビルの前に立つ稲村。専務の江口に面会し、あのヒルマンはどうしましたか?と尋ねる稲村、「売ってしまいました。」「社長は、海外市場の視察に行ってらっしゃるんでしたよね。」「これは、何の捜査ですか?」「いえ、信用調査です。こちらのような大企業では役員方々を調べさせていただく必要もありましてね。」「社長の視察への出発は、2年以上たちますね。」
60年松竹大船中村登監督『いろはにほへと(524)』
60年松竹大船野村芳太郎監督『最後の切札(525)』
ナイトクラブを出る外車を尾行するタクシー。
中華料理屋の2階で、吉村(宮口精二)と、立野駿介(佐田啓二)
60年松竹大船吉田喜重監督『血は渇いてる(526)』
ビルのトイレで、鏡を見つめている男(佐田啓二)。疲れ果て、
先ほどの男が社長の前に進み、拳銃を頭に当てて、「
病院に新聞記者や雑誌記者が集まっている。
外苑前の粥屋喜々で、
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