2009年8月28日金曜日

俺はお前のフーチークーチーマン。

  テアトルタイムズスクエアの閉館特別上映で、「2001年宇宙の旅」を観るつもりで気合いを入れて出掛けたのに、明日だった。明日は体験入学の講師なので駄目だ。日本一デカいスクリーンで見たかったなあ(泣)。
 
   気を取り直し、新宿ピカデリーで、ダーネル・マーティン監督『キャデラック・レコード(492)』
    ポーランド移民2世のレン・チェス(エイドリアン・ブリュ)が、彼女のレベッタ(エマニュエル・シュリューキー)と抱き合っていた。いつ結婚してくれるの?と言うレベッタに、金を稼いでからだ、親父のようにはなりたくないと答えるレン。そこにレベッタの父親がやって来る。レンは、今の金属回収業を辞めて、黒人向けのクラブを開こうと思っていますと言うと、おれの娘を黒人向けのバーで働かせるつもりか、お前の親父とは同郷だが、大事な娘を貧乏人のポーランド人にやるつもりなどないと言い放ち、娘を連れ帰る父親。
    ミシシッピの小作人のマディ・ウォーターズ(ジェフリー・ライト)が畑を耕しながら、歌を歌っている。ある日、大学の教授アラン・ローマックスが、君の歌うフォークを録音させてくれとやってくる。簡易型のアセテート盤に録音された自分の歌を初めて聞いたマディは、音楽に賭けてシカゴに出た。
    ミシシッピ-の広大な畑の中で歌うのと違い、シカゴの路上でギターを弾いても、雑踏や騒音にかき消され、小金を持った黒人からは、田舎の小作人の音楽なんざ誰も聞きたくないと吐き捨てられる始末だ。しかし、マディは、生涯の妻となる看護婦のジェニーヴァ・ライド(ガブリエル・ユニオン)と知り合う。ジェニーヴァはあなたの歌を聞くと哀しくなると言って、マディの歌を認めてくれた。ジェニーヴァの二人の子供の継父になるマディ。ジェニーヴァの部屋から電源を取ってアンプに通して演奏をすると、たちまち人だかりがする。ある日、街でブルースハープを吹いている少年を見掛ける。リトル・ウォルター(コロンバス・ショート)と言う少年のハモニカの音が、自分の演奏にとても合うと直感し、強引にセッションし、自宅に連れてきた。
     その頃、黒人向けのバーを開店させたレンは、大きなキャデラックに乗った白人女が、黒人向けのレコードレーベルのプロデューサーだと言って名刺を渡していった。儲かっているらしい。
マディ・ウォーターとリトル・ウォルターたちは、バンドとして活動を始める。まずは、他のバンドを食うことからだ。ヘッドハンターズと名付け、レンの店にやってきて、演奏しているバンドに挑戦する。当然揉めて、リトル・ウォルターは拳銃をぶっ放す。呆れ顔のレン。マディはリトル・ウォルターを外に出し、取り敢えず頭を下げる。マディが氷屋で働いていると、レンが随分捜したぜと言って現れる。店を壊したことを因縁付けてきたのかと思うと、直ぐにレコーディングをしようと以外な話しだった。
    ラジオ局のDJの前に、レンとマディがいる。各レーベルからレコードを流してくれとスコッチが届いているが、俺は7$キャッシュを払うよとレン。DJは紙幣を手にして、マディのレコードを掛ける。黒人向けレーベルの女プロデューサーは、これは買収だから付き合いきれないので、後は勝手にやれと出て行った。
    南部の黒人向けラジオ局を、レンとマディは、宣伝して回る。当時、南部では、白人と黒人が、一緒に車に乗ることは、黒人が運転手の場合以外は有り得なかった。レンとマディの二人の宣伝旅行は奇異な目で見られた。とあるラジオ局に出演した後に、地元のモーテルの二人の部屋のドアが叩かれる。モーテルの黒人従業員の女が3人立ち、ラジオで曲を聞いたと言う。マディの部屋ど、ギターを弾き、歌い、盛り上がる。夜も更け、部屋を出るレンに、マディが3人は相手に出来ないので、一人どうだと声を掛けると、人種差別ではなく、自分は結婚しているので妻以外の女は抱かないと答えるレン。
    レンとマディのチェスレコードは全て上手く行っていた。レコードはヒットの兆しが見えていた。マディは、お前と俺は信頼しあっている、何で契約書にサインをする必要があるんだと言う。結婚と同じで契約することが大事なんだと言う。マディがサインをすると、キャデラックのキーを投げるレン。今日は運転する番かと普通に思うマディに、キャデラックは君の物だと言うレン。満面の笑みがこぼれるマディ。
    マディのレコーディングに、リトル・ウォルターが参加する。ウォルターは、ハモニカをマイクで拾いアンプリファする。レコーディングエンジニアは、音が割れてしまうので、ハモニカをカットしようと慌てるが、そのままで行こうとレンが言う。ウォルターのハモニカとマディ・ウォーターのギターと声は溶け合って、強いパッションを生み出し、レコードはヒットする。
   ある時、マディはウォルターに演奏させてやってくれと言う。ウォルターのハモニカが歌いまくる?は、No.1ヒットとなった。新しいキャデラックがスタジオに横付けされる。ボスかっこいい新車だねと、ジュニアが声を掛けると、鍵を投げ、お前の車だぜとレンが言う。涙を流し、白人の父さんだとレンに言うウォルター。
   ある時、作曲家兼ベーシストのウィリー・ディクソンが、ウォルターだけでなく、マディにも曲を書いてきたと言う。マディは自分で曲を掛けるぜと言うレンに、最近マンネリになって来ている、マディを理想の男とするために書いてきたと言う、アイ・アム・ユア・フーチー・クーチー・マン(俺は絶倫男だぜ)。大ヒットとなり、マディは一躍黒人女性たちのセックスシンボルとなった。
   ある日、ウォルターのレコーディングの日、レンが沈痛な面持ちでやってきた。ウォルターの母親が亡くなったので、レコーディングを中止して、今すぎ郷里に帰って葬儀に参列しろと言う。スタジオの外で、ウォルターとマディが話している。せっかく掴んだ自分の椅子をみんな狙っている。自分を産んで、直ぐに里子に出した女は自分の母じゃない、自分の母親は、ハモニカだ、しかし、レコーディングに集中出来ないと嘆くウォルターに、酒を飲ませるマディ。


  チェスレコード。後ろ暗い部分を抑えて、ブルース、R&Bを愛する男たちの美しい話しに作って、成功している。登場してくるアーティストと名曲の数々をリスペクトしているスタッフ、キャストに依って作られた素晴らしい音楽映画だ。泣ける、泣ける。ビヨンセ歌上手かったんだな。さて、マディ・ウォーター、リトル・ウォルター、ハウリン・ウルフ、エタ・ジェームス、みんなアナログしか持っていないので、聴こうと思っても聴くまで大変だな。
    中学時代、どういうきっかけだったが、ブルース好きだった。トリオレコードが、突然ブルースのアルバムを出しまくり、日比谷野音の第1回ブルース・カーニバルは何年だったか。

    その後、品川のエキナカで、友人N氏と京都の西村きもの兄妹と打合せ。その後渋谷へ。元の会社の辞め同期四人で飲む。

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