神保町シアターで、男優・佐田啓二。
57年松竹大船中村登監督『集金旅行(486)』
旗良介(佐田啓二)が、アパートの大家の山本仙造(中村是好)と競輪場に来ている。旗は擦ってしまうが、仙造は大穴を当てる。帰り道露天商から、妻への土産にシミーズとブラジャーを買う仙造。しかし、帰宅してみると、仙造の妻の浜子は置き手紙と息子の勇太(五月女殊久)を残して、三号室の若い男三番と駆け落ちしていた。暴れまわる仙造。その夜、妻に買って来た筈のシミーズを来て酎を呷る仙造。アパート望岳荘の住人の五番さん(桂小金治)や八番さん(関千恵子)が慰めていたが、もっと若く、グラマーな女と再婚して見返してやる!!と叫んだ仙造は心臓麻痺で亡くなった。アパートの住人たちが通夜に出席する。一人寂しく花火をする勇太に、妾だと噂の小松千代(岡田茉莉子)は、相手をしてやる。翌日、高利貸しの香蘭堂(十朱久雄)が、仙造に貸していた金のカタに家財道具一式を持って行こうとする。勇太の今後のこともあり、アパートの住人が額を寄せ合って相談した結果、仙造は、何人かに金を又貸ししており、証文をみる限りそれを集めれば40万以上になることが分かり、潰れそうな内外実話と言う雑誌の編集者の旗と、勇太の境遇に同情して、自分のかっての男たちから慰謝料を巻き上げながら勇太を浜子のもとに届けたいと言う千代が出掛けることになる。千代は神戸か博多のバーで働いていたらしい。
駅で出征兵士のように派手に日の丸を振って集金旅行への旅立ちを見送られる旗。客室に入ると、千代と勇太が並んで座っている。離れたところに座ろうとしたが、勇太に強引に呼ばれ一緒に座る旗。
まずは岩国の街に行く。錦帯橋を臨む旅館に入り、旗は、アパートのかっての住人で大学の先輩の松平公夫(大泉晄)を訪ねる。松平は、料亭に誘い、芸者を二人呼ぶ、東京の大学の後輩で雑誌記者だと紹介すると旗だけモテて不満顔だ。時間が無いのでと言って証文を旗が出すと、ごまかして受け取り、料亭の女将(桜むつ子)に、東京から親父のスキャンダルを強請に雑誌記者が来たので、三万円貸してくれと頼む。宴会代か何かで請求してくれと言うと、あまりに簡単に女将が出してくれるので、五万に吊り上げ、その内、三万だけ旗に渡し、芸者たちの前で、困った時には、いつでも相談してくれたまえと言う。宿屋に戻ると、千代に来客があると言う。地元では人格者で通っている松尾六造(伊藤雄之助)が来ている。千代は、松尾と別れた時に妊娠しており、流産してしまったとでまかせを言う。それ以来、堕ちるところまで堕ちてしまったが、来年売春防止法が施行されてからどうしていいのか分からないと言う。松尾は、言われた通り、10万円を持って来たが、岩国を案内してやると、何とか千代をモノにしようとす る。困った千代は、外に旗と勇太がいることに気がつき、旗に部屋に電話をするようジェスチャーをして、雑誌記者の男が同行していると言う一芝居を打つ。地元での人格者という看板に傷をつけると脅され、すごすごと帰って行く松尾。
次に山口に行き、千代は市会議員の藤沢車庫(市村俊幸)に電話をする。藤沢は今日は日曜なので教会に行くと答える。藤沢と妻の歌子(沢村貞子)と長女(佐谷ひろ子)と次女が教会から戻るところを、勇太を連れて待伏せする千代。
萩に行き、東京から鶴屋雄三を訪ねて来たと言うと案内されたのは寺だ。本人の葬式の最中で、保険金が500万程下りてようやく鶴屋は再建出来そうだと聞いて、千代は泣き、旗は証文に金を包んで仏前に供える。
中四国の観光要素を混ぜながらの軽喜劇とも言うのだろうか、笑っているうちに、ちょっと切ないエンディング、中村登の演出冴え渡る。岡田茉莉子やっぱり最高だ。三白眼気味の白眼に萌え。徳島でアチャコと踊る阿波踊りのステップの見事さは見ものだ。軽薄だが実は誠実な役の佐田啓二もはまり役だ。
61年松竹大船木下恵介監督『永遠の人(487)』
阿蘇、朝靄の中を蒸気機関車が走る。デッキに二人の若い男女が立って外を見ている。新しい生活を二人で築く決意を確認し合うように肩を寄せ合う二人。大きな屋敷の前に立つさだ子(高峰秀子)。汽笛を耳にして決意したような険しい表情の後、笑顔になる。
第一章。昭和七年。この一帯の大地主の小清水平左衛門(永田靖)の跡取り息子の平兵衛(仲代達矢)が海軍から凱旋帰国し屋敷まで、楽隊付きでパレードをしている。脚を怪我し名誉の負傷だ。馬車の御者は、小作人の草二郎(加藤嘉)だ。 屋敷に着き盛大な宴会が行われた。草二郎の娘のさだ子は番茶も出花で、色気付いたと周りからからかわれている。さだ子は、やはり小作人の力造(野々村潔)の弟で陸軍で出征している隆(佐田啓二)と相思相愛だと村の誰もが知っていた。脚の戦傷に加え、子供の頃から優等生であった隆への反感から、平兵衛は、さだ子を呼び、酌をするように命じ、上海で隆に会ったが、その後戦闘が激化し、死んだかもしれないと言う。さだ子は、顔色を変え、外に出て泣いた。
数日後、下女として小清水家で働くさだ子は、平兵衛の脚を揉まされているうちに乱暴をされそうになる。必死に抵抗し逃げるさだ子。残った平兵衛に、平左衛門は、小作人の娘の一人も手込めに出来ないようではお前もまだまだだなと笑う。
草二郎は、さだ子を平左衛門から息子の嫁にと言われ困っていた。隆の兄の力造は平左衛門に喚ばれて、貸している田圃を半分返せと言われる。平兵衛は隆を憎いのだ。力造は草二郎に、小清水家は千両箱が沢山埋められている千両塚だと呼ばれているが、実は千人の人間が殺され埋められた千人塚だと話し合う。
その夜、草二郎が平左衛門に喚ばれ留守の家に平兵衛がやってくる。危険を感じたさだ子は雨戸を閉めようとするが、かえって逃げ場を失い、平兵衛に強姦されてしまう。その時、平左衛門の前で酒を勧められていた草二郎は、親子の魂胆は分かっていたが、拒絶することは出来ない。そこに平兵衛が戻った。草二郎に、杯を寄越せ、親子の杯だと言い放つ。さすがの草二郎も、杯を置き、帰らせてくれと下がった。帰宅するとさだ子の姿が見えない。草二郎は慌てて力造のもとに走り、共に捜してくれるよう頼む。力造は近くの川に身を投げた、さだ子を見つけ、自ら飛び込んで助ける。
暫くの後、隆が復員してきた。村で凱旋の宴会をすると言うが、迎えに現れないさた子を心配して、会いに行こうとする。力造は、必死に止め、さだ子は平兵衛に手込めにされた上、嫁になることが決まったと告げる。お前が今更何をしても村の物笑いになるだけだという力造に、どうしても軍服姿で、無事に帰ったことをさだ子に報告したいのだと言う。泣いて床に臥せていたさだ子に、君も辛い思いをしていたんだねと優しく声を掛け、翌朝日の出前に駆け落ちをしようと言った。
翌日待ち合わせの場所に現れたのは、馬に乗った父親の草二郎だった。力造にさだ子宛ての手紙を残して、隆は一人消えたと言う。自分と一緒に駆け落ちしても多分君を幸せに出来ない。小清水家に嫁に行って幸せになってくれと言う手紙を読んでさだ子は失神する。
第二章、 昭和19年、力造に赤紙が来たと言う。その話を聞いた草二郎は、村長の平兵衛の足の悪い馬でさえ供出させられる位だから、いよいよこの戦争も厳しいなと呟く。力造の挨拶を、小清水家の嫁になっていたさだ子は聞き、平兵衛にまとまったお祝い金を出さないと駄目だと言う。嫌な顔をした平兵衛だったが、力造の家には、隆の嫁と息子が疎開をして来たと聞いて、隆の嫁に、小清水家の手伝いに寄越すよう言う。何か平兵衛の魂胆を感じたさだ子は、私が責任を持って面倒を看るので安心して寄越してくれと付け加える。
舅の平左衛門は、脳卒中で半身不随になっていた。鈴を鳴らしてさだ子を呼ぶのだが、体が思うように動かないため癇癪を起こしがちだ。平兵衛とさだ子の間には、長男の栄一と次男守人、長女直子の三人があった。平兵衛に強姦されて出来た栄一に、さだ子はわだかまった感情を消すことが出来ない。栄一も、その空気を感じて屈折し乱暴者になった。
隆の嫁の友子(乙羽信子)が、翌日から働きに来た。栄一や守人のお下がりの服や靴を、隆の息子の豊に上げるが、ある日から突然友子の態度が変わる。平兵衛は、さだ子と隆の過去と、自分がしたことを友子に全て話したのだ。隆と自分との結婚生活に感じていたことの原因がさだ子にあったと知り、さだ子を激しく憎悪する友子。
あの日以来、平兵衛の足のマッサージをしなくなっていたさだ子への面当てのように甲斐甲斐しく平兵衛の世話をする友子。極力平静を保とうとするさた子だったが、平兵衛が友子に襲いかかり、未遂に終わったことを知ったさだ子は、平兵衛を罵り、友子に暇を出した。その時、隆は胸を患い呉の陸軍病院に入っていたが、友子は、隆のもとへ行かず、里に帰って行った。
決して美人と言う訳ではないが、魅力溢れる娘時代から、夫への恨みにのみ生きている主人公までの幅の広さは、高峰秀子ならではだ。かって俗にしか思えなかった木下恵介作品。何故今の自分を捉えて離さないのだろうか。
横浜に元の会社の先輩の新オフィスに相談事。
都内に戻り、やはり元の会社のM先輩が、とある大組織内の異動に凹むMさんを励ます飲み会を開くと言うので、合流。両M氏最高だな。結局、その後、先輩M氏と立ち飲み屋に流れ、言いたい放題。仕事を通じて知り合った先輩朋輩後輩全てに恵まれていると痛感する。それだけに、先週の後輩Oのことが切ない。
次に山口に行き、千代は市会議員の藤沢車庫(市村俊幸)に電話をする。藤沢は今日は日曜なので教会に行くと答える。藤沢と妻の歌子(沢村貞子)と長女(佐谷ひろ子)と次女が教会から戻るところを、勇太を連れて待伏せする千代。
萩に行き、東京から鶴屋雄三
中四国の観光要素を混ぜながらの軽喜劇とも言うのだろうか、
61年松竹大船木下恵介監督『永遠の人(487)』
阿蘇、朝靄の中を蒸気機関車が走る。
第一章。昭和七年。この一帯の大地主の小清水平左衛門(永田靖)
数日後、下女として小清水家で働くさだ子は、
草二郎は、さだ子を平左衛門から息子の嫁にと言われ困っていた。
その夜、
暫くの後、隆が復員してきた。村で凱旋の宴会をすると言うが、
翌日待ち合わせの場所に現れたのは、
第二章、 昭和19年、力造に赤紙が来たと言う。その話を聞いた草二郎は、
舅の平左衛門は、脳卒中で半身不随になっていた。鈴を鳴らしてさだ子を呼ぶのだが、体が思うように動かないため癇癪を起こしがちだ。平兵衛とさだ子の間には、長男の栄一と次男守人、長女直子の三人があった。平兵衛に強姦されて出来た栄一に、さだ子はわだかまった感情を消すことが出来ない。栄一も、その空気を感じて屈折し乱暴者になった。
隆の嫁の友子(乙羽信子)が、翌日から働きに来た。栄一や守人のお下がりの服や靴を、隆の息子の豊に上げるが、ある日から突然友子の態度が変わる。平兵衛は、さだ子と隆の過去と、自分がしたことを友子に全て話したのだ。隆と自分との結婚生活に感じていたことの原因がさだ子にあったと知り、さだ子を激しく憎悪する友子。
あの日以来、平兵衛の足のマッサージをしなくなっていたさだ子への面当てのように甲斐甲斐しく平兵衛の世話をする友子。極力平静を保とうとするさた子だったが、平兵衛が友子に襲いかかり、未遂に終わったことを知ったさだ子は、平兵衛を罵り、友子に暇を出した。その時、隆は胸を患い呉の陸軍病院に入っていたが、友子は、隆のもとへ行かず、里に帰って行った。
栄一は中学に入り更に問題を起こした。時計やカメラを平兵衛にねだり、跡継ぎと思う平兵衛も溺愛していたが、学校では頻繁に暴力事件を起こし、その度にさだ子は学校に呼び出されるのだった。戦後のある日、隆が村に戻って来た。力造に、薬代などいくらでも援助するので、気を使わずに相談に来いと言った。そのことで、平兵衛と言い争いになるが、その最中に平左衛門は亡くなった。しかし小清水家が農地解放に寄って、山林以外の田畑を手放さざるを得なくなるのを見ずに死んだ平左衛門は幸せだったのかもしれない。
その後、小清水家には大きな不幸が続いて襲いかかる。自分の生を受けた話を聞いた栄一(田村正和)は、自分は生まれない方が良かったのだと遺書を残して阿蘇山の火口に飛び降り自殺をする。次男の守人(戸塚雅哉)は、東京の大学に進むが、アカになり全学連の活動家として指名手配を受けて逃走中だ。
そして冒頭のシーンに戻る。長女の直子(藤由紀子)が、隆の一人息子の豊(石浜朗)と大阪に駆け落ちしていくのを見送ったさだ子は、平兵衛を起こし、自分が独断で二人の駆け落ちを認めた。平兵衛は怒り狂い、草二郎に今すぐ隆を呼んで来いと言い、さだ子に向かい、栄一は自殺し、守人はアカになりお尋ね者だ。さだ子は俺に復讐したと思って愉快だろうが、俺の面倒を看てくれることを直子に期待していた、お前は俺に人生を台無しにされたと憎んでいるだろうが、俺の人生もまた、お前に台無しにされたのだ。駐在に言って、娘を誘拐したと言って逮捕させると叫ぶが、さだ子は鼻で笑う。
そこに駐在(東野栄治郎)が現れる。元村長という名家の小清水家をおもんばかって、遠慮勝ちに切り出し、守人が逃走中に実家に立ち寄る可能性があるが、出来るだけの配慮をするので、届けてほしいと頭を下げる。そこに、電話が鳴り、さだ子が取る。今、駐在さんがお見えなので、あとで伺いますと返事をする。
草二郎に案内され、隆が小清水家に向かっていると、年老いてやつれた友子が現れる。自分の命はもう長くないと思うので、豊に一目会いたいと出て来たのだと言う。隆は、病気の私に、隆を押しつけて、一人出て行ったのに、今さら勝手なことを言うなと激高する。しかし、その瞬間、回復していたと思っていた隆が吐血をして倒れる。
先程の電話は、実は、守人からだった。どこにいる?という平兵衛に、金を届けに私一人で出かけますと言う、これは私が一存でしたことほうが、後後のことを考えるといいでしょうと言うさだ子。お前は、隆の治療代やら何でも一存で、このうちの身上に手をつけやがってと言う平兵衛に、私は意地でも小清水家の身上に手をつけていません。隆さんのために一銭でも汚い金を使うもんですかと言うと、隆が吐血してこれないと伝えに戻ってきた草二郎は、私が旦那さまに頂戴した田圃を売ったお金ですと言った。更に、旦那様が私を呼んで酒を勧めた時に、全てのことを理解していたが、何も言えなかった。そして、娘のさだ子を不幸にさせてしまった。悔やんでも悔やみきれない、今日こそ言わせてもらうと、怒りに震えた目で、吐き捨てた。
守人の元に向かおうと家を出たさだ子は、友子に会う。もう長くないと思うので、ひと目息子の豊に会いに来たが、隆さんは私を許そうとしません。それは最もだが、どうしても息子に会いたいのだという友子に、今日、豊と娘の直子は、結婚して大阪に今朝発ったことを伝え、豊が置いて行った大阪の住所と、交通費を渡すさだ子。
阿蘇山へ向かうバスにさだ子の姿がある。草千里というバス停で一人下車すると、成長した守人(戸塚雅哉)が待っている。5万円の金を渡すさだ子。怪我をした仲間の治療費や逮捕されたものへの差し入れに必要なのだと言い、かって小清水家が、千両塚でなく、千人塚と呼ばれていたのは本当らしいという。かって、大がかりな百姓一揆が計画された時に、小清水家の先祖が裏切ったためために、沢山の人々が殺された。その千人の亡骸を谷に埋め、その上に、小清水家は、今の礎えを築いたのだ。その呪いで、兄さんも死んだのだ。自分はその償いのために、戦っているんだ。お父さんがお母さんを許さない限り、僕もお母さんを許さないと言って、去る守人。
第五章、子供を連れた豊と直子の姿がある。バス停に出迎えるさだ子。いよいよ隆が危ないくなり呼んだのだ。2人が隆に面会し、子供の顔を見せる。孫に会いたさに、持ちこたえていたのだ。隆が、外で待っていたさだ子を呼びに来る。隆は、こうやってみんなに会えてよかった。家内も1月に死んだそうですね。あれが、私の前に現れた時に、私は怒り許さなかった。しかし、あなたは、隆の行き先を教え、旅費までくださったそうですね。隆たちにみとられて、最期は穏やかになくなったと聞きました。今私が後悔しているのは、あいつをとうとう許すと言ってやらなかったことです。あなたを置いて去って以来、私は平兵衛さんを恨んでいた。しかし、平兵衛さんを苦しめていたのは私ではないかと思うのです。最期に許してほしいと伝えてほしいと言う。さだ子は、豊さんと直子が結婚して、30年振りに、私たち二人の子供が産まれたような気がしているのです、元気を出して下さいと涙を流す。それから、急に思いついて、小清水家に走り出す。必死に走り続けて、家に入ると、平兵衛がお茶を飲んでいる。さだ子は、夫に頭を下げ、隆さんが死にそうです、隆さんはあなたを苦しめたのは自分だったのではないかと謝ってくれと言いました。私を許して下さい。30年も俺を苦しめて、今わの際に、頭を下げられて、はいそうですかと簡単に許せるものか、勝手に死ぬがいい、お前が俺を許さないように、おれもお前を許しはしないのだと言う平兵衛。守人に、「お父さんがお母さんを許さない限り、僕もお母さんを許さない」と言われたのですと泣くさだ子。
とぼとぼと、隆の最期を看取ろうと戻り始めたさだ子に、後ろから声が掛かる。平兵衛が松葉杖をつき必死に歩いて来る。もう自分とお前しかいないのだ、隆に直接、許すと言いに行くと言う。嬉し涙を流すさだ子。財産も子供たちもみな無くなった、たまには自分の足を擦ってくれと言う平兵衛に、うなずくさだ子。間に合わないといけない、お前は先に行きなさいと言って、走り出すさだ子を松葉杖で追う平兵衛の姿がある。
その後、小清水家には大きな不幸が続いて襲いかかる。
そして冒頭のシーンに戻る。長女の直子(藤由紀子)が、
そこに駐在(東野栄治郎)が現れる。元村長という名家の小清水家をおもんばかって、遠慮勝ちに切り出し、守人が逃走中に実家に立ち寄る可能性があるが、出来るだけの配慮をするので、届けてほしいと頭を下げる。そこに、電話が鳴り、さだ子が取る。今、駐在さんがお見えなので、あとで伺いますと返事をする。
草二郎に案内され、隆が小清水家に向かっていると、年老いてやつれた友子が現れる。自分の命はもう長くないと思うので、豊に一目会いたいと出て来たのだと言う。隆は、病気の私に、隆を押しつけて、一人出て行ったのに、今さら勝手なことを言うなと激高する。しかし、その瞬間、回復していたと思っていた隆が吐血をして倒れる。
先程の電話は、実は、守人からだった。どこにいる?という平兵衛に、金を届けに私一人で出かけますと言う、これは私が一存でしたことほうが、後後のことを考えるといいでしょうと言うさだ子。お前は、隆の治療代やら何でも一存で、このうちの身上に手をつけやがってと言う平兵衛に、私は意地でも小清水家の身上に手をつけていません。隆さんのために一銭でも汚い金を使うもんですかと言うと、隆が吐血してこれないと伝えに戻ってきた草二郎は、私が旦那さまに頂戴した田圃を売ったお金ですと言った。更に、旦那様が私を呼んで酒を勧めた時に、全てのことを理解していたが、何も言えなかった。そして、娘のさだ子を不幸にさせてしまった。悔やんでも悔やみきれない、今日こそ言わせてもらうと、怒りに震えた目で、吐き捨てた。
守人の元に向かおうと家を出たさだ子は、友子に会う。もう長くないと思うので、ひと目息子の豊に会いに来たが、隆さんは私を許そうとしません。それは最もだが、どうしても息子に会いたいのだという友子に、今日、豊と娘の直子は、結婚して大阪に今朝発ったことを伝え、豊が置いて行った大阪の住所と、交通費を渡すさだ子。
阿蘇山へ向かうバスにさだ子の姿がある。草千里というバス停で一人下車すると、成長した守人(戸塚雅哉)が待っている。5万円の金を渡すさだ子。怪我をした仲間の治療費や逮捕されたものへの差し入れに必要なのだと言い、かって小清水家が、千両塚でなく、千人塚と呼ばれていたのは本当らしいという。かって、大がかりな百姓一揆が計画された時に、小清水家の先祖が裏切ったためために、沢山の人々が殺された。その千人の亡骸を谷に埋め、その上に、小清水家は、今の礎えを築いたのだ。その呪いで、兄さんも死んだのだ。自分はその償いのために、戦っているんだ。お父さんがお母さんを許さない限り、僕もお母さんを許さないと言って、去る守人。
第五章、子供を連れた豊と直子の姿がある。バス停に出迎えるさだ子。いよいよ隆が危ないくなり呼んだのだ。2人が隆に面会し、子供の顔を見せる。孫に会いたさに、持ちこたえていたのだ。隆が、外で待っていたさだ子を呼びに来る。隆は、こうやってみんなに会えてよかった。家内も1月に死んだそうですね。あれが、私の前に現れた時に、私は怒り許さなかった。しかし、あなたは、隆の行き先を教え、旅費までくださったそうですね。隆たちにみとられて、最期は穏やかになくなったと聞きました。今私が後悔しているのは、あいつをとうとう許すと言ってやらなかったことです。あなたを置いて去って以来、私は平兵衛さんを恨んでいた。しかし、平兵衛さんを苦しめていたのは私ではないかと思うのです。最期に許してほしいと伝えてほしいと言う。さだ子は、豊さんと直子が結婚して、30年振りに、私たち二人の子供が産まれたような気がしているのです、元気を出して下さいと涙を流す。それから、急に思いついて、小清水家に走り出す。必死に走り続けて、家に入ると、平兵衛がお茶を飲んでいる。さだ子は、夫に頭を下げ、隆さんが死にそうです、隆さんはあなたを苦しめたのは自分だったのではないかと謝ってくれと言いました。私を許して下さい。30年も俺を苦しめて、今わの際に、頭を下げられて、はいそうですかと簡単に許せるものか、勝手に死ぬがいい、お前が俺を許さないように、おれもお前を許しはしないのだと言う平兵衛。守人に、「お父さんがお母さんを許さない限り、僕もお母さんを許さない」と言われたのですと泣くさだ子。
とぼとぼと、隆の最期を看取ろうと戻り始めたさだ子に、後ろから声が掛かる。平兵衛が松葉杖をつき必死に歩いて来る。もう自分とお前しかいないのだ、隆に直接、許すと言いに行くと言う。嬉し涙を流すさだ子。財産も子供たちもみな無くなった、たまには自分の足を擦ってくれと言う平兵衛に、うなずくさだ子。間に合わないといけない、お前は先に行きなさいと言って、走り出すさだ子を松葉杖で追う平兵衛の姿がある。
決して美人と言う訳ではないが、魅力溢れる娘時代から、
横浜に元の会社の先輩の新オフィスに相談事。
都内に戻り、やはり元の会社のM先輩が、
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