2009年6月18日木曜日

映画三昧。

   シネマヴェーラ渋谷で、神代辰巳レトロスペクティブ
   73年日活神代辰巳監督『恋人たちは濡れた(349)』
   千葉県勝浦のはずれにある港町、ひとりの男(大江徹)が自転車を漕いでいる。荷台には映画のフィルム缶が積んである。黒スーツ姿の男を避けようとして、フィルム缶は転がり落ちた。転がったフィルムを巻く男。映画館に着き、映写技師に遅かったじゃねえか、間に合わねえかと思ったと怒られる。フィルムを拭く男。代わりのフィルムを積んで自転車で戻る途中。ダンプを運転している男(清水国雄)に中川の克じゃねえかと声を掛けられる。否定しても、三浦と名乗る運転手は、いや、この街を五年前に出て東京に行った克だろう。何か事情があるにしても、いつも連んでいた親友で、麻雀仲間だった俺には本当のことを言ってくれと言われる。
    映画館に戻る。この幸楽館で働き始めたのだ。料金窓口にいる社長の妻のよしえ(絵沢萌子)は一緒に館内の掃除をしながら、あなたは何者なの?警察に追われていたりする過激派の学生?と尋ねる。そんなインテリじゃないですよ。詮索されるのは好きではないと答えるが、私は雇い主だから、身元の怪しい人は不安なのと言う。社長の帰りは遅いですねと男が言うと、使用人のくせに生意気ねとよしえが言う。
   翌朝、映画館の舞台で男が、三波春男でございますと挨拶し、世界の国からこんにちわを歌い出す。よしえは、あんたは役者だったの?と聞くが、否定する男。今日もフィルム缶を隣町の映画館まで運ばなければならないが、雨が降っている。雨の中、ビニール合羽と傘で自転車を漕ぐ。ついついない、更にパンクだ。自転車を押していると、社長の庄三(高橋明)が車で現れ、何やっているんだ。フィルムは俺が車で運ぶから、お前は自転車のパンクを直して帰ろと言う。自転車を屋根に積んで、自分も車に乗せてくれと頼むが、さっさと走り去る社長。今日も三浦が声を掛けてくる。何度否定しても執拗に俺だけには本当のことを言ってくれと迫る三浦。結局殴り合いななり、雨の中、道路に延びる男。
    ずぶ濡れ、泥だらけで幸楽館に戻ると社長がパンク直しておけよと言う。直しましたと答えると、社長は今日もどこかに出掛けてしまう。どうやら愛人がいるらしい。よしえは、泥だらけの男を見て驚き、着替えを持ってきてくれた。その夜も、社長は帰宅しない。妻が相談があると言って、港に碇泊中の船に連れて行く。辞めないで、ずっとここにいて欲しいと言い、キスをしてくれと迫って来る。抱き合う二人。よしえの声が大きく夜の海に響く。
    翌日、男か海岸を散歩していると、全裸で抱き合っているカップルがいる。近づいて、見続ける男。カップルの光夫(堀弘一)洋子(中川梨絵)は、終わってから男に蹴りを入れる。這いつくばって歩いていると、二人は車を止め、乗せてやると言う。そんなに女が欲しいのなら、紹介してやるという光夫。幸子(薊千露)というその女も、男を中川の克でしょうと言う。腹が立った男は、無理矢理幸子を強姦する。しかし、抵抗する幸子に果たせなかった。

    72年日活神代辰巳監督『濡れた唇(350)
    金男(谷本一)は、田舎から出て来て働いている材木工場の社長の娘幸子(嵯峨雅子→山科ゆり)と交際中だが、身持ちの堅い幸子は、最後まで許してくれない。どうも辛抱出来ない金男は、デートクラブのチラシに電話してみる。クラブの男は入会金が千円、二時間のデート代が千五百円だと言う。女は洋子(絵沢萌子)と言い、喫茶店で話しをして、金男が直ぐにホテルに行こうと言うと、そんなに安い女じゃないと言って焦らした挙げ句、トイレに行くと言ってトンズラする。喫茶店の店員の男が、あの子は気に入らない客だと逃げると言うので、初めて自分が騙されたことに気がつく。金男が歩いていると、ラーメン屋で悠々と食事をしている洋子の姿が。怒って中に入ると、お腹がすいたが、客に奢らせるのは嫌いなので、食事をして戻るつもりだったと言う洋子。二度と騙されまいと頑なな表情の金男に、二時間延長料払ってくれれば、ホテルに一緒に行ってもいいと言う。喜びいさんでホテルに行く金男だが、初体験の悲しさ。あっという間に終わってしまう。洋子は、子供の頃、家で飼っていた鶏は、雄鶏が雌鶏に乗っかるが、一瞬で終わり、その後は雄鶏も雌鶏も何事も無かったかのような素振りなのが、子ども心にもおかしかったと言う話をする。傷ついた金男。
     しかし、金男は翌日も洋子を指名する。二回目は入会金はいらないが、指名料がかかるので、結局二千五百円取られる。金男は、愛しているんだと、恋人気取りで、洋子に馬鹿にされる。

    シネマート六本木で、
    ピーター・チャン監督『ウォーロードー男たちの誓いー(351)』
    兵士たちの死体で埋め尽くされた戦場。文字通りの死屍累々、死体の中から立ち上がる男の姿がある。清軍の将軍パン・チンユン(ジェット・りー)だ。19世紀末清朝末期、太平天国との鶴川での戦いで、後詰めのホー・クイ将軍(シー・チャオチー)率いる塊軍が兵を止めると言う裏切りに合い、山軍の部下1600名は全滅し、一人奇跡的に生き残ったのだ。パンは、よろよろと歩き続けたが、一人の女の前で倒れ気を失う。気がつくと、女はパンを廃屋に寝かせ、看病していた。粥を与え、パンの横に添い寝をする女。翌朝パンが目を覚ますと、女の姿は無かった。
    近くの村まで歩き、刀と甲冑を売り、僅かな銭に替え、どこかで食べ物はないかと尋ねると、裏の空き地で待っていればいいと言う。そこに、盗賊のチェン・ウーヤン(金城武)が仲間と現れ、辺りの人々に食料を配り始めた。ウーヤンは、パンの足元を見て、履いている靴が、清軍の将校のものだと気がつき、刀を向けてきた。難なく受け流すパンの武術に感心したチェンは、兄貴に紹介するので、一緒に来いと言う。
    ウーヤンとパンたちが村に戻ると、偶然にもウーヤンの兄貴分で盗賊の首領のツァオ・アルフ(アンディ・ラウ)が帰って来た所だった。パンは昨晩介抱してくれた女を村人たちの中に見つける。女もパンに気がついたようだったが、何故か頭に被っていたスカーフで顔を隠した。女は、アルフの妻リィエン(シュー・ジンレイ)だったのだ。アルフは旅の間に、死んだ仲間に食事と酒を用意し、追 悼の気持ちを表した。アルフは、パンにあなたは官吏だが、自分は盗賊だ。仲間になることはできないと言う。その夜、パンは、リィエンの姿をみつけ追いかけ てきた。あの夜、リィエンは、家から逃げてきたのだと言った。楊州の貧しい娘は、芸や教養を仕込まれて高い値段で売り飛ばされるのだ。15歳になり売られ るリィエンを幼馴染のアルフは助けて、村を逃げだした。そして山に入って盗賊になったのだ。リィエンは、アルフに恩を感じ妻となった。しかし、自分の売値 を吊りあげるために教え込まれた貴族的な教養は、荒くれ者で無教養なアルフに満たされないものがあり、アルフが盗賊の旅に出ると、逃げようとした。しか し、今回も自分を救ってくれたアルフへの感謝が、村に戻らせたのだ。
    何で戻ってきたんだ?とパンが問いかけた時に、騒ぎが起こる。ホー・クイ将軍の塊軍が村にやってきて、略奪し、抵抗する老婆を射殺したのだ。止め ようとしたアルフは、魁軍に囲まれ、ホー将軍に馬鞭で顔を打たれる。武器を持たない悔しさに歯ぎしりする村の男たち。パンは、清軍に入隊して、武器と軍服 を貰おうと提案する。給金も貰えるのだ。アルフは同意し、ウーヤン、パンと三人で義兄弟となる投名状の誓いをする。しかし、盗賊の仲間でも、清に仕えること を嫌ったシーたちのグループは、別れて行った。
    清に仕える手土産に、太平軍の大隊を待ち伏せし襲う。パンの指揮の下、奇襲攻撃は成功する。しかし、敵の将軍と闘い劣勢になったウーヤンを身を挺してパンは救 う。その時に、チェンは、戦闘では、敵の大将を倒すことが勝利への近道であることを教えられた。パンの軍略と武術と勇気に感服したアルフとチェンは、パン を信じて付いて行こうと思った。清軍の軍法会議では、1600名の部下を全滅させたこと責められたが、権謀術数で覇権を競う三大臣の中で、ホー・クイ将軍 を部下に持つことで、発言力を増すジアン大臣(クゥ・パオミン)への対抗い迫られた、チェン大臣の後押しで、チェンの部下ルー将軍(チョウ・ポー)の緑軍と共同 で、太平軍討伐を行うことを認められた。
    舒城を攻めるパン。しかし、ルー将軍は、多勢に無勢で死人を出すだけの無益な戦闘はしないと言う。そこで、パンはたった800人で、5000人の太平軍と戦うことを決意する、圧倒的に兵力も弱いので、相手の銃器に対して肉弾で突撃をして、銃の射程距離300Mの内側を自分たちの弓矢が届く200mまで迫って、戦うという戦法だ。怯む兵士たち、しかし、ウーヤンが俺は突っ込むと叫び、アルフは、死んだ者には2倍の報酬、生き残った者には3倍の報酬を渡すと宣言し、皆勇気を奮う。戦いの火蓋は落とされ、予想通り、太平軍の銃器の前に、倒れていく歩兵たち。圧倒的な兵力の差だ。敵の将軍は、ルーの緑隊が動かないのを見て、賢明な選択だと呟く。パンの胸を槍が貫通する。しかし、パン、アルフ、ウーヤンの義兄弟3人の獅子奮迅の働きは、最後にルーの重たい腰を上げさせた。一気に攻め込み、相手の大将の首を挙げるウーヤン。戦いは勝利に終わった。舒城の街に入る。戦利品を確認していると、兵が女を強姦ンしたとして引き立てられてきた。盗賊だけでなく、当時戦の結末は、殺戮と収奪と女だ。パンは、貧しい自分の理想は、誰もが他人を賤しめない国家の建設だと説明し、殺戮と収奪と強姦を行った兵士を斬首刑に処すると宣言した。その意味に心を打たれたウーヤンは自ら同郷の仲間の首2つを刎ねる。その後、ルーはパンの指揮下に入る。更にディー大臣(ワン・フィワン)は、5大隊をパンに与える。
   続いて、蘇州城を攻める。3か月で戦いを終わらせ、故郷の村に戻すと言っていたパンだが、堅牢な蘇州城の守りは固く、1年経っても平行線だった。山軍の武器と食糧は尽き、兵士たちは先行きの見えない消耗戦に疲弊していた。やはり今回も、はるか後方でホー・クイ将軍の塊軍は、監視しているだけだ。三大臣の本音は、パンが蘇州を落とし、その勢いで南京まで解放し、太平軍との戦いを終わらせ、パンの力がこれ以上強くなることが嫌なのだ。そこで、何度も武器と食糧の追加要請を認めなかった。リィエンが戦場に現れた。パンとウーヤンが三大臣に交渉しにいった時に、アルフは、英雄になりたいのだとリィエンに言葉を伝え、単身城内に潜行した。城内でも、食料も尽きこれからは人肉を食べるしかないと言う声が漏れているほどの酷いありさまだ。アルフは太平軍蘇州城主ホアン(グオ・シャンドン)にアヘンを届ける運び屋に変装していたのだが、ホアンは、目の前にやってきたアルフは、私は11年前に商売を全て処分し、太平軍に加わった自分は、城内の人間の顔は全て知っている。君はアルフだろうと言う。実は、盗賊の仲間だったシンたちは、ホアンの部下になっていたのだ。刀を向けるシンたちに、刀を捨てろというホアン。アルフに刀を渡し、一対一で決闘をするが、元より自分の命に代えて、城内の民衆と兵士の命乞いをしたのだ。
   三大臣への、武器食糧の要請を断られたパンは、ホー将軍に食糧を頼む。いつまでも老人の下にいるつもりはないだろう。南京を解放する名誉を分けようというパン。10日分の食糧を持ち、部隊に戻るパンとウーヤン。パンは、リィエンと再会する。二人の微妙な表情に何かを感じるウーヤン。アルフが単身城内に潜行した話を聞き、アルフが作戦に成功した場合に翌朝兎の刻に城内から烽火を上げると言うその時間に総攻撃をすると伝える。ようやく食事を得て、盛り上がる兵士たち。兎の刻になった。烽火の代わりに、門があき、城内から疲労困憊した民衆が出てきた。その中にアルフの姿を見つけて喜ぶ兵士たち。しかし、城内にいる4000人の兵士たちを、武装解除して自軍に入れると言うアルフとホアンの約束を、パンは認めない。南京陥落まで10日分しかない食糧は、4000人軍隊が膨れ上がることは想定外のことだ。饅頭を与え、城内に閉じ込められた4000人の兵士に矢を放つよう命ずる。男を賭けて開城させたアルフは、鎖で門外の柱に繋がれた。4000人の兵の死体の前で、涙を流し、郷里に帰ることを決意するアルフ。


1870両江提督。
  シュー・ジンレイきれいだなあ。新宿インシデント見逃していることが痛恨だ。

   木村祐一監督『ニセ札(352)』

   三池崇史監督『クローズZEROⅡ(353)』
   ジャニーズ以外の若手男優全員集合のような映画だな。テレビドラマやCMのつまらなさで、かっこいい役をやりたい若者のストレスの解消の場のようだ。そうした彼らの欲求不満を三池監督は、エレルギーとしてうまく映画にしていると思う。しかし、煙草吸う不良高校生たちが、みな20歳以上で、最後に未成年に煙草と飲酒は禁止されていますというテロップが入るのはどうなんだろうか(笑)。煙草吸う高校生は20代の役者だから問題ないですよと小狡るく言い訳する製作委員会の大人たちの本音と建前が見え隠れする(苦笑)。普段、10代のタレントの喫煙・飲酒を鬼の首取ったように追及するメディアサイドは、よもやお金を出していないだろうなあ(笑)
   まあ、かっこいい映画を作ろうと意気がっている若手男優にケチをつけるつもりはないが、テッペン取るなら、日本じゃなくて、海外に行こうよ海外に。

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