2009年6月19日金曜日

ライオンは寝ている

    朝起きて、朝食食べたところまで良かったが、全く調子悪く、午前中の約束を月曜に延期してもらい。病院に行こうと、少し横になったら爆睡。目が覚めたら午後になっている。もう一度寝たら夕方だ。何だか10代の頃のようじゃないか(苦笑)。
   十二分に寝たせいか、復活し今晩が最終日のレイトショーを。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、西山洋市Presents役に立つ山中貞雄
    37年PCL山中貞雄監督『人情紙風船(354)』
    雨の夜が明け、長屋の朝が来た。三日ぶりの晴れで仕事に出ようとした磨師の卯之公(沢村比呂志)や金魚売りの源公(中村鶴蔵)を岡っ引きが、調べが済むまで、長屋から出るなと止める。貧しい年老いた浪人が首を括ったのだ。大家の長兵衛(助高屋助蔵)は、身寄りの確かでない者を住まわせていたことで、同心に怒られている。浪人の向かいに住む髪結いの新三(中村翫右衛門)の戸が閉まっている。新三は、自殺騒ぎに全く気がつかずに眠り込んでいた。新浪人の隣は按摩の藪市(坂東調右衛門)が住んでいたが、目は見えなくとも音とか聞かなかったのかと大家に文句を言われる。大家と新三は番所に連れて行かれた。長屋の住人たちは、侍なら首を括るのではなく、腹を切るもんだろう。腰に下げていたのは竹光だからしょうがないと噂をしている。
    自身番から、長兵衛と新三が出てくる。お前ももっときっぱり言うかと思ったら、黙ったままだったね。大家さんが喋り続けだったから口の挟みようがありませんでしたぜと言い合っていると、金魚売りの源公が流している。売れているかい?と新三が声を掛けるとまだ5匹売れただけだと源公。酒でも飲みたいという源公の話を聞いて、新三は、長兵衛に、あの部屋の首吊りも3人目だ。通夜弔いをやりましょうと言う。ご酒5升出してくれれば、肴は自分が都合するので何とかしてくれと頼む。通夜弔いって言って、お前らは酒が飲みたいだけだろうと言う強欲な長兵衛だが、下駄の鼻緒が相次いで切れ、新三に直してもらいながら、承知する。
    その晩、棺桶の前で、長屋の住人たちは、飲めや歌えやの大騒ぎ。タダ酒が飲めるように計らってくれた新三に感謝する。夜泣きそば屋の甚七 (中村進五郎)が得意な踊りを披露している。あまりの賑やかさに魅かれて、新三の隣に住む浪人の海野又十郎(河原崎長十郎)が覗く。酒を勧められ、自分は不調法だからと言って部屋に戻る。妻のおたき(山岸しづ江)が黙々と内職の紙風船を作っている。一方、通夜の宴会は盛り上がる一方だ。藪市は、源公が隣で自分の肴を食べていることを注意する。みな藪市は、目が見えているんじゃないかと言う。そこに、大家の長兵衛がやってくる。お前らは、タダ酒だと思って調子に乗ってと怒るが、新三に勧められた刺身を見て、薄っぺらい刺身だなあと文句を言ったことを逆手にとった新三は、長兵衛の支払いで、お酒を更に2升とまる徳にもっと厚く切った刺身を10人前頼みに行けと与七(中村公三郎)に頼む。
   翌朝、甚七が二日酔いで唸っている。藪市は、自分の銀の煙管が無くなったが、隣に座っていた源公に心当たりはないかと尋ねる。手にしていながら、知らないと答える源公。珍しく新三が朝早く部屋を出てきたがこの辺りを縄張りにするやくざの弥太五郎源七の乾分猪助 (市川莚司→加東大介)たちがやってくるのを見て隠れる。猪助たちは、新三の部屋の表と裏を固めて飛び込む。しかし、新三は間一髪で、隣の又十郎の部屋に匿ってもらっていた。留守だと思った猪助たちは帰っていく。
   海野又十郎は外出し、旧藩で江戸詰の毛利三左衛門(橘小三郎→藤川八蔵)に出会う。毛利は又十郎の亡くなった父又兵衛のお陰で、ここまで出世したのだ。又兵衛から毛利宛の文を渡せば仕官が叶うと信じている又十郎は、幾度となく旧藩の江戸屋敷を訪ねたが、門番に毛利は不在だと言って門前払いされていた。ようやく直接会えた又十郎は、毛利に時間を貰えないかと頼む。しかし、毛利は、今御用の途中なので無理だと言う。これを逃すと、次の機会はないと思う又十郎は、毛利に付いて行く。この店に用があるので、明日江戸屋敷に来いという毛利に、この店の前でお待ちしますと言う又十郎。
    毛利が入った店は、質屋の白子屋だった。番頭に声を掛け、隠居の久兵衛 (御橋公)に会う毛利。毛利は、白子屋の箱入り娘お駒(霧立のぼる)と、15万石の家老の息子との縁談を進めており、お駒を自分の養女としたうえで嫁がせることにしていた。又十郎は、声を掛けられ、店の中で待つことにしたが、久兵衛 と妻のおなつ(岩田富貴子)に、又十郎のことを尋ねられた毛利は、浪人者に付きまとわれ迷惑しているのだと説明する。久兵衛は手代の忠七(瀬川菊之丞)にいつものように、源七のところに使いを出せと言う。忠七は丁稚の長松(市川扇升)に、通りの薬屋にいって、いつもの薬を頼んでこいと言う。これは、源七の若い衆に、強請り集りを追っ払いに来てくれと言う符丁だった。さっそくやってきた猪助たちに、取り囲まれ、店の外に連れ出されて殴る蹴るの暴行を受ける又十郎。そこに通りかかった新三は止めに入るが、逆に弥太五郎の所に連れて行かれる。
   弥太五郎源七(市川笑太郎)に、今日はお世話になりましたと頭を下げ金の包みを出す白戸屋の番頭の姿がある。ご隠居に宜しくと言って帰す。そして、隣の部屋には、新三と乾分たちがいる。お前がどうしてここに連れてこられたか分かっているかという。俺たちの縄張りの中で、盆茣蓙を広げられたんじゃ俺の面子がある。生身で帰れると思うなよと脅す。しかし乾分たちから殺りますかと言われて、昨日今日のチンピラにマジになるのは大人げないと答える源七。二度とやらねえというなら今日のところは返してやると言う。

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