2009年4月14日火曜日

清水宏監督いいなあ。

    神保町シアターで、昭和の原風景
    41年松竹大船清水宏監督『暁の合唱(243)』
    秋田の女子専門学校の入学試験。国語のチェックをしている教師たち。珍解答に笑うと、一人の教師が、作文を力作だと読み上げる。子供の時の怪我がもとで、一本の指が不自由になっていると言う。今までの試験は上手く行っているものの、決して裕福ではない親のことや、本来この学校の身体検査では、彼女の障害はいくら学科試験がよくても不合格になると聞いたことなどを考えると、果たして受験したことがいいことだったのかと悩んでいると、現在の率直な気持ちを、ウイットに富んだ表現で綴られた作文だ。
   この作文をを書いたのは齋村朋子(木暮実千代)。あと1日残した試験の帰り、ふと朋子は、小出自動車と言うパス会社に、車掌募集と出ているのを見かけ、中にはいる。中では男二人が将棋をしている。事務所から和装の小出米子(川崎弘子)が、御用は?と声を掛ける。朋子は、この会社に入りたいと言う。将棋をしていた男(佐分利信)は、浮田兼輔と言う運転手の責任者だった。女子専門学校の受験を止めて、将来は運転手になりたいと言う朋子に、まずは両親の承諾を貰いなさいと言う浮田。あとで、連絡すると言う浮田に、名前も住所も言っていないので、連絡のしようもないと思うわと指摘する朋子。浮田の将棋の相手の小出三郎(近衛敏明)は、近くにある映画館の支配人をしながら、小出自動車を経営する兄が亡くなったので、姉の経理を手伝っている。横手の実家に帰る朋子。父・兵吉(坂本武)も継母・美代(吉川満子)も、異母弟の銀二郎(沖田儀一)ともとても良い家族を築いている。上の学校に進学せず、パスの運転手になると言う朋子の話を承諾する兵吉。
    小出自動車に入社した朋子に、浮田はまず車掌をやらせる。初乗車には、浮田自ら運転手となった。朋子に興味のある三郎も、パスに飛び乗った。物怖じせず、愛想もいい朋子は、少し気が散りやすいのと、思ったままを口に出すのがたまに傷だ。いつも三郎は、バスにタダで乗っていたが、三郎さんの切符はどうします?と尋ねる朋子に、浮田はバスを持っていない客は誰でも運賃を貰わなければ駄目だと答えたことで、三郎から運賃を取る朋子。バスは終点に着く。折り返しの出発の時に、三郎は停留所前の茶屋の軒先で、昼寝をしている。結局三郎を置き去りにして、バスを出す浮田と朋子。

   42年松竹大船清水宏監督『(244)』
   とある山あいの温泉宿を目指して、蓮華講の団体が歩いている。その中に、太田恵美(田中絹代)とお菊(川崎弘子)もいる。尚振りに太陽の下を歩くのは気持ちがいいと話している。温泉宿に着く。幹事は、空いている按摩12人を全員抑える。若い娘たちが中心の蓮華講の騒がしさは格別だ。二階の部屋にいる学者の片多江先生(斎藤達雄)は苛立ち、周りの客に当たり散らしている。まず隣の納村(笠智衆)が、賑やかですなと言うと、これは騒がしいだけで賑やかとは言えないと言う。また、二人の孫を連れて逗留している隣の老人(河原侃二)が景気がいいですなと言うと、あんたはこれが景気がいいと思うんですかと絡む、更に向かいの部屋の妻(三村秀子)連れの広安の若旦那(日守新一)が今夜は派手ですなと言うと、これは派手とは言えないと、またまた文句を言うのだった。学者先生の苛立ちは、団体のせいで、按摩を頼めないと知ってピークに達する。
   翌日、納村が温泉に入っていると、湯船の中に落ちていた簪を足に刺してしまう。昨夜の団体に腹が立っていた学者先生は、ここぞとばかりに、宿の主人(坂本武)や番頭(松本行司)や湯守に文句を言う。納村は、これもまた情緒ですよと言う。太田恵美から、簪の忘れ物はなかったかという手紙が宿に届き、主人は、温泉内に落ちていて宿泊客が怪我をしたと手紙を出した。太田恵美からは、謝罪のために、宿に来ると言う電報が来る。学者先生は、納村の情緒的イリュージョンのためにも、簪の持ち主が美人だったらいいと言う。もし、不美人であった場合に、納村の失望を癒す必要が出てくると、無責任な心配をしていたが、現れた太田恵美は幸い美人であった。
   老人の孫二人と、歩行訓練をしている納村に付き添う恵美。恵美はある男の妾だが、その立場に嫌気がさしている。家政婦に電話をし、もし、男がやってきて、荷物を持って帰ると言うのであれば、引きとめはせず、そのまま別れたいのだと話している。

 池袋新文芸坐で、スティーブン・ウォーカー監督『ヤング@ハート(245)』。
   昨年度、もう一度お金を出しても見たい映画の筆頭に挙げられるドキュメンタリー映画。後輩Sを誘って見に行く。本当は、自分が見た映画の中で、もう一度お金を払ってでも見たい映画を一緒に見に行く会を、開催する予定が、私の人徳で、平日の4時過ぎから映画を観ることのできる人間がSしかいなかったのが真相だ。しかし、今でも、誰にでも見て欲しいと切に思う。

  映画のあと、Sの友達と姪と一緒に晩御飯を食べようということになり、つい先日行って、空いていて、うまかった新宿歌舞伎町のベトナム料理屋に。やっぱり、美人と飲むと緊張しつつ嬉しくなって、オーバーペースになり、昨日に続いて深酒状態に・・・。

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