2009年3月24日火曜日

六本木~八丁堀~渋谷

   シネマート六本木で、新東宝大全集
   55年伊藤大輔監督『下郎の首(180)』。
   ある川沿いに藤ノ木地蔵が立っている。徳川末期の頃、東北のとある温泉場で、湯治とは名ばかり、囲碁相手を探すために長逗留している大旦那結城新兵衛(高田稔)と息子新太郎(片山明彦)がいた。大旦那は、そこでやはり碁好きの作州津山藩の元家臣、磯貝某と言う好敵手を得たが、金打してまで、待ったなしを約したが、諍いを起こし新兵衛は斬られ、磯貝某は遁走した。顔にある9つの大きな黒子と、争いの際に落とした左手の人差し指を頼りに、新太郎と下郎の奴の訥平(田崎潤)は仇討ちの旅に出る。
   しかし三年に渡る旅は路銀も尽き、新太郎は病で手足の自由が利かなくなり、橋の下の乞食宿で寝込むようになった。訥平は、大道芸人として、街中や寺の境内で奴踊りをして、主人の薬代を稼いで口糊をしのいでいる。ある日激しい俄雨に雨宿りをしていると借りた軒下の主が、ご当家の槍持ち奴かと間違えて、家の中に呼び入れる。主は、ある侍の妾のお市(嵯峨三智子)だった。お市は主人への忠義の厚い訥平を気に入り、傘を貸す。
  訥平が家から出てきたのを見つけた偽いざりの銀五郎は、あんないい玉は、金になるから山分けしようと持ち掛けるが、真面目な忠義者の訥平は全く相手にしない。
   乞食小屋に戻ると、若旦那が尺八を吹いている。お前のお陰で、手がここまで動くようになったと言われ嬉しい訥平。翌日訥平は、お市のもとに傘を返しにいくと、ばあや(浦辺粂子)が鳥籠の雲雀を逃がしてしまい途方に暮れている。訥平は、鳥笛を作り、雲雀を呼び戻してやる。しかし、お市は、籠の鳥の自分か鳥を籠で買うのは道理に遭わないと言って、逃がすように頼む。そして、要らなくなった鳥籠を、鳥好きな主人に差し上げてと渡す。
    鳥籠を下げて家を出てきた訥平を銀五郎は待ち伏せしていた。くどく付きまとう銀五郎を押しやる際に槍は銀五郎の目を突き、片目を失明させる訥平。覚えてやがれと捨て台詞を吐く銀五郎。しかし鳥籠を新太郎は喜ばなかった。大道芸をするおまえのお陰でこうしていられるが、乞食になれと言うのかと詰め寄られ、ただただ謝罪をする訥平。
   翌日鳥籠を返しに行く。お市は風邪気味で伏せっていたが、二階の寝間に訥平を上げる。家に入ったのを見て、銀五郎はお市の旦那のもとにいざって行き、下郎が間男をしていると注進した。訥平が涙ながらに主人と話をしていると、不意にお市の旦那がやってくる。藩の兵法顧問の須藤巌(小沢栄太郎)だ。慌てて逃がそうとするが、足が痺れて思うように歩けない。何とか押し入れに隠れるが、そもそも間男が潜んでいることを知る巌雪には通用しない。どんな弁明も通用しない相手に、お市は腹を括った。姦通は4つに斬る。巖雪は刀を抜くが、屋内のことゆえ、なかなか訥平を斬れない。命が惜しいと言うよりも、ここで死んだら主人の面倒を見られなくなるという忠義一心で必死で逃げまくる訥平。夢中で揉み合ううちに、訥平は巖雪を討つ。落ち着いてよく見ると、巖雪は、顔に9つの黒子があり人差し指もない。主の新太郎の仇討を下郎の分際で、果たしてしまったことに困惑しながらも、巖雪の顔を改めて貰おうと乞食小屋に走り、おぶって戻ってくる訥平。新太郎は、下郎の分際で自分の仇を討った訥平を殴る。しかし、巖雪の門弟たちが来れば、新太郎も訥平もお手打ちになりかねない。お市は、逃げることを提案、女も一緒だと目立つので、主従とお市別々に逃げようと、路銀も用意し、落ちあう宿屋も決めた。
  隣の宿場の一文字屋に、何とか着き、新太郎を寝かし、薬屋に向かう訥平。その前に、向かいの国分屋に入ったお新を訪ねる。お新は、訥平に、国に帰ったら妻にして欲しいと言う。主人に代って仇を討ったのだから下郎の身分から取り立てられるのではないかというお新に、この度の仇討は自分でなく、新太郎が果たしたことであり、自分が手を掛けたなどと死んでも口に出来ない、しかし、主人のために命を賭けて尽くすことが下郎の喜びなのだと言う。しかし、夫婦になることは承諾する。
   その後に回った薬屋で巖雪の門下の追っ手たちに姿を見られ、一文字屋に主人共々泊っていることを突き止められたのだ。巖雪門下よりの手紙が、新太郎のもとに届く。巖雪の仇討のために、訥平を差し出せというものだった。仇討を訥平に横取りされ、もし訥平を差し出さなければ、主従ともに討つという内容に、鬱屈した気分に囚われていた新太郎は、下郎の訥平を自由にしろという返事を書き、先方からの指示通りの、藤ノ木地蔵前に、そこにいる友人宛の文を持って行くよう訥平に偽りの指示をして向かわせる。訥平は藤ノ木地蔵に行くが、そこは河原しかなく、言われた屋敷などありはしない。巖雪の門下たちに捕まり、文を取り上げられる。その内容を読まれても、新太郎が自分を売ったとは信じない訥平。字が読めない訥平が、その文を持って野次馬たちに読んでくれと頼む姿は哀れだ。結局、尋常な勝負と刀を持たされ、10人ほどの武士と、巖雪の息子たちと闘う訥平。
   後ろめたさに、国へ旅立った新太郎。お市は、新太郎と訥平が宿から消えたと聞いて不安になる。河原で仇討だという声に、慌てて駕籠を走らせるお市。相手の槍を奪って大暴れもしたが、所詮多勢に無勢、徐々に傷ついて行く。河原にお市の駕籠が着く。訥平の元に走らずにはいられない。勿論、巖雪を裏切った妾のお市。お市と訥平は4つに重ねて斬られた。新太郎は、不自由な手足で仇討の河原に戻る。巖雪の門下に、下郎の仇と言うが、自分の下郎を売った卑怯者を斬るのは武芸の恥だと相手にされない。嘲笑され川面を泣きながら見つめる新太郎。訥平とお市の手は固く握られていた。
    
   奴の訥平は、すぐに足が痺れる(苦笑)。足の痺れが、訥平を、危機に遭わせ、また救いもするんだが・・・。

    八丁堀のオフィスに、今立ち上げを手伝っているプロジェクトのオフィス準備室で打合せ。文字通り準備室というか準備中という感じ。まあWBCを携帯ワンセグで見ながら打合せ。

    シネマヴェーラ渋谷で昭和文豪愛欲大決戦!
     65年大映田中重雄監督『帯をとく夏子(181)』
上岡夏子(若尾文子)は、佐久間(船越英二)の2号をしている。先代社長が温泉芸者をしていた夏子を挽いたが、3ヶ月で亡くなり、会社や財産ともに佐久間が継いで5年になる。

     54年東宝成瀬巳喜男監督『山の音(182)』
     尾形信吾(山村聡)は、妻の保子(長岡輝子)と長男夫婦秀一(上原謙)と菊子(原節子)と鎌倉に暮らしている。尾形は、幼いころ亡くなった姉に面影の似た菊子を可愛がっている。しかし、息子の秀一は、尾形が専務を務める会社で働いているが、毎晩、社長秘書の谷崎英子(杉葉子)とダンスホールに行き、遅くならないと帰ってこない。菊子は、よく出来た嫁で、舅姑によく仕えている。今日も、尾形が家に帰る途中の魚屋でサザエを買って帰る。菊子は伊勢海老を買っており、江ノ島の出店みたいですねと笑う菊子。尾形が買ってきたサザエが3個しかなかったので、秀一の分を取って置こうと舅姑には、半分ずつにして、お年寄りには、堅いかと思ってと言って笑う菊子に、保子は、あなたが3個しか買ってこなかったのが、悪いんです。本当に気が利かないんだから、と言うが、この2人と嫁の菊子は、こんなことも言い合える仲なのだ。しかし、遅くに帰ってきた夫の秀一は、疲れたと言って、風呂にも入らず、服を脱ぐや横になる。濡れたタオルを絞って、顔だけでもお拭きになったらというがいいと言う。秀一菊子との間はうまく行っていないのだ。秀一には女がいるらしい。長い間、商売女と遊んできた秀一には、菊子が子供にしか思えないのだ。
   嫁に行った房子(中北千栄子)が娘の幸子と乳飲み子を連れて帰ってくる。子供のころ、尾形が修一ばかり可愛がって、房子を邪険にしたせいか、何につけても房子は僻みっぽい。房子の娘の幸子は親の喧嘩をするのを見ながら育ったためか、いつも房子の影に隠れている内気な子で、大人の顔色を窺い、嘘泣きをする。

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