神保町シアターで、浪花の映画の物語。
55年東京映画杉江敏男監督『忘れじの人(176)』
喫茶店に、葉子(安西郷子)を探して、島村(小泉博)がやってくる。母親と文楽を見に行っていると聞いて、困っている。その頃、葉子は、母親の雪子(岸恵子)が涙を流しているのを見て苦笑する。休憩時間、堂島の叔母・勝子(浪花千栄子)が雪子と涙を拭いていると、葉子が二人に手拭いを買ってくる。あまりに泣くので、ハンカチでは足りないだろうと言う。葉子を呼び出すアナウンスがある。雪子と勝子に、島村が大至急相談があるので、先に抜けていいかと言って帰宅する、
夜遅く、雪子が帰宅すると、葉子が泣いている。芸者の娘を、長男の嫁には出来ないと言われたのだ。母親の商売を恥じたことは無いが、島村と結婚出来ないことは耐えられないと言う葉子。雪子は、一生話すことはないと思っていたが、この機会にあんたに話しておこうと言いながら問わず語りで、自分の半生を話し始める。
54年大映東京伊藤大輔監督『春琴物語(177)』
57年大映東京伊藤大輔監督『いとはん物語(178)』
京マチ子の強力なブスメイク。今の特殊メイクでなく、ただの化粧だけで、一本前の春琴とおかめ顔のお勝さま、同一人物には思えない。ということは、お勝さまも春琴になると言う逆もまた真なり。映画製作から50年を経て、世の中に美人が増えたのも道理だなあ。
銀座シネパトスで、滝田洋二郎PINK&BLACK。
86年滝田洋二郎監督『コミック雑誌なんかいらない(179)』
成田空港、桃井かおりにマイクを突き付け、放送作家の高平哲郎とのスキャンダルを問う芸能リポーター木滑敏明(内田裕也)。桃井は何も答えない。木滑は、東亜テレビのズームアップTODAYの突撃レポートで話題を呼んでいた。番組のキャスターは小松方正、番組プロデューサーは原田芳雄だ。
夜の六本木を歩く木滑。WAVE、スクエアビル、ロアビル、ハードロックカフェ…。バーに入る。ママは村上里佳子。店にいた安岡力也、桑名正広が、絡んで来る。大手事務所に所属しないロックミュージシャンは不祥事を起こした時だけ取り上げ糾弾するので、蛇蝎のように嫌われている。他の客は長友啓典、川村光生、篠原正之など、結構恐ろしい店だ。店を出る木滑。夜の野球場(川崎球場か?)、マウンドに立つ木滑は玉を投げる。その姿を見ている少女・麻生祐未。
朝電話が鳴り起こされる。金の先物取引の金城商事のセールスだ。電話を切る木滑。目が覚めてしまい、起き出す木滑。冷蔵庫からグレープフルーツジュースを出し、食卓の上に出ているパンとジャムを取り、居間に行く、6台あるテレビのスイッチを全部入れ、パンにジャムとビタミン剤を挟んで食べ始める。食べながら、リモコンを使い、各局の音声を順番に上げる。妻(渡辺えり子)が、桃屋のめんつゆの生コマーシャルに出演している。家を出る木滑。マンションの前で、隣の老人・兵藤(殿山泰司)が独りでゲートボールの練習をしている。再び成田空港、今日はロス疑惑の三浦和義だ。到着ロビーはマスコミがごった返している。しかし混乱の中、三浦は何も話さずに車に乗った。マスコミが取り囲む三浦の店(フルハムロード?)のドアにクローズドの札が下がっているが、マイクを手に店に入る木滑。いきなり三浦にマイクを突き付け、インタビューをしようとして拒否される木滑。木滑より、三浦の方が圧倒的に滑舌がよく、話す内容も理路整然としている。
石原真理子の自宅のインターホンを押し、安全地帯の玉置浩二との交際の真偽と今後の展開について質問する木滑。勿論答えが返る訳ではない。島大輔が若い女とマンションから出てくる。止まっていた宅配便の車から木滑とクルーが飛び出す。女を庇い、木滑を殴る島大輔。サングラスを掛け、レポーターの若い女(小田かおる)と車に乗っている木滑。きれいな奥さんがいるし、遊びでもいいと言う女。ラブホテルで関係する2人。ポケベルが鳴るが、取らない木滑。帰宅すると妻が寝ている。ダブルベッドに入ると妻がくっ付いてくるが、背を向ける木滑。
神戸ではユニバーシアードの開催中は山口組と一和会の抗争が停戦になっているのを突撃レポートする木滑。局のディレクターは完全に及び腰になっているが、木滑はマイクを向ける。山口組幹部の小学生の息子にもインタビューをする。関西の小学生は、世慣れしている。孤独な老人の部屋に、金城商事のセールスウーマン(橘雪子)が上がっている。豊満な肉体を利用して、色仕掛けで籠絡する。
木滑の留守番電話には、いつものように芸能人のファンや取材先からの罵詈雑言でいっぱいだ。その中に、映画を見ませんかというメッセージが残っている。情報屋(蛍雪次朗)からで、ドライビングシアターに木滑が車を入れると、情報屋の車が隣に停まる。マッチと明菜、さんまのマンションに研ナオコ、阪神の岡田とカルーセル麻紀、ジュリーの宿泊先で、松本カオリが待っていたという話に食いつきかけたが、松本カオリはダンプ松本の本名だと聞いて車を出す木滑。局のトイレの個室にいると、木滑の番組の視聴率が落ちてきたと噂をする局員たちの会話を聞く。夕焼けニャンニャンの収録現場に木滑がいる。放送後、メンバーにインタビューする木滑。番組プロデューサーの原田の指示で、歌舞伎町の連れ込みホテルで殺害された女子中学生の告別式に突撃し、母親に娘が少女買春をしていたという事実の感想を問い、連れ出される木滑。再び、球場のマウンドにいる木滑。少女がバッタボックスでバットを振る。
松田聖子の自宅を張るマスコミたち。もちろん木滑の姿もある。コメントは取れないが、帰宅後、「お嫁サンバ」を口ずさむ聖子の歌声の録音に成功する(笑)。雨の中、門前にクリーニング屋が来たところに、金を出すので変わってくれと迫る。しかし、そのクリーング屋は、フォーカスの記者が既に金を出して変わってもらった姿だった。更に、自宅前の電柱に電話局員を装って、登っているところにパトカーが来る。家の敷地内から各社が逃げ出す。木滑は逮捕される。原田Pが貰い受けにやってきた。神田正輝・松田聖子の世紀の結婚式の会場に突撃する木滑。石原プロの人間に包囲され排除される木滑。原田Pに、しばらくの間、23時台の番組の体験レポーターをやってくれないかと切り出される。新宿歌舞伎町の風俗街の体験レポートだ。ノーパン喫茶、店のママも客も全員見事な刺青姿のスナック「モンモン」、ピンク映画の撮影現場など、歌舞伎町に突撃する木滑。
八百屋の店頭でメロンを買う兵頭。木滑の部屋で、北海道の息子が送ってくれたメロンだと言って、二人で食べている。金の話をし始め、2000万投資したという兵頭。今夜は、ホストクラブでのホスト体験レポートだ。ホストたち(片岡鶴太郎、久保新二、港雄一)らの話を聞いている木滑。店のNO.1のジョージ(郷ひろみ)を目当てに来ている和装の女(片桐はいり)。出張ホストとして喫茶店で待ち合せる木滑。現れた女とラブホテルに行く。女は、夫に内緒で、300万金の先物取引で、換金できない証書しかなくなったと言う。帰宅し、兵頭の家のブザーを押すが応答はない。金城商事について調べ始める木滑。被害者の老人たちのコメントを丹念に集める。しかし、どの番組も無関心で企画を受けてくれる番組はない。フォーカスに木滑の交際が取り上げられている。フィリピーナのジャパゆきたちを取材に行く。インタビューをしていると、やくざが現れ、おれたちには生活があるんだ。芸能人のケツでも追っかけていろと言われ、暴行を受ける。女たちから助けてくれと言われても、無力な木滑。御巣鷹山のジャンボ機の墜落事故の現場に行く木滑。酒を飲み、徐々に壊れ始める木滑。金城商事の金城が潜伏するマンションの前にマスコミが集まっている。そこに二人組の男(ビートたけし、スティービー原田)がやってくる。報道陣の中を通り、ドアを叩きドアが開かないと分かると、台所の窓を割り、部屋の中に入る。金城を持ってきた刀で刺し殺す。その経緯を、報道陣は取りつかれたように撮影を続ける。木滑は部屋の中に入り、二人の男の犯行を止めようとするが、腹を刺される。金城を殺害した二人は、報道陣の前に顔を曝し、堂々と帰っていく。追いかけていくマスコミ。倒れたままだった木滑が腹を押さえて、ドアから出てくる。マスコミたちは戻ってきて、木滑を取り囲む。無言を続けた木滑は、一言 I Can't Speak Fuckin' Japanese.
マウンドに立つ木滑。ズボンの股間からマイクを取り出し投げる。
正直な話、内田裕也の芝居は、台詞かみかみ、アドリブが利かないので三浦和義を前に言っていることは滅茶苦茶だ。しかし、では今、この木滑に誰をキャスティングするかと考えると、思いつかない。こんな面構えの人間は、農業か漁業従事者か土木現場、プロ野球選手か・・。そう考えると、内田裕也だからこそ成立しているのかもしれない。ピンク映画の現場叩き上げの滝田洋二郎だからこそのゲリラ的、ドキュメンタリー的撮影も成功している。
喫茶店に、葉子(安西郷子)を探して、島村(小泉博)がやってくる。母親と文楽を見に行っていると聞いて、困っている。その頃、葉子は、母親の雪子(岸恵子)が涙を流しているのを見て苦笑する。休憩時間、堂島の叔母・勝子(浪花千栄子)が雪子と涙を拭いていると、葉子が二人に手拭いを買ってくる。あまりに泣くので、ハンカチでは足りないだろうと言う。葉子を呼び出すアナウンスがある。雪子と勝子に、島村が大至急相談があるので、先に抜けていいかと言って帰宅する、
夜遅く、雪子が帰宅すると、葉子が泣いている。芸者の娘を、長男の嫁には出来ないと言われたのだ。母親の商売を恥じたことは無いが、島村と結婚出来ないことは耐えられないと言う葉子。雪子は、一生話すことはないと思っていたが、この機会にあんたに話しておこうと言いながら問わず語りで、自分の半生を話し始める。
かって雪子は、西横堀の瀬戸物卸商伊吹屋のとうはんだった。18歳になった雪子には多くの縁談が持ち込まれていたが、北浜の井村家のボン・君夫(金子朝雄)との話には母親も前向きだった。しかし、雪子は、店の小番頭秀吉(山内明)を慕っていた、
54年大映東京伊藤大輔監督『春琴物語(177)』
57年大映東京伊藤大輔監督『いとはん物語(178)』
京マチ子の強力なブスメイク。今の特殊メイクでなく、
銀座シネパトスで、滝田洋二郎PINK&BLACK。
86年滝田洋二郎監督『コミック雑誌なんかいらない(179)』
成田空港、桃井かおりにマイクを突き付け、
夜の六本木を歩く木滑。
朝電話が鳴り起こされる。金の先物取引の金城商事のセールスだ。
石原真理子の自宅のインターホンを押し、
木滑の留守番電話には、いつものように芸能人のファンや取材先からの罵詈雑言でいっぱいだ。その中に、映画を見ませんかというメッセージが残っている。情報屋(蛍雪次朗)からで、ドライビングシアターに木滑が車を入れると、情報屋の車が隣に停まる。マッチと明菜、さんまのマンションに研ナオコ、阪神の岡田とカルーセル麻紀、ジュリーの宿泊先で、松本カオリが待っていたという話に食いつきかけたが、松本カオリはダンプ松本の本名だと聞いて車を出す木滑。局のトイレの個室にいると、木滑の番組の視聴率が落ちてきたと噂をする局員たちの会話を聞く。夕焼けニャンニャンの収録現場に木滑がいる。放送後、メンバーにインタビューする木滑。番組プロデューサーの原田の指示で、歌舞伎町の連れ込みホテルで殺害された女子中学生の告別式に突撃し、母親に娘が少女買春をしていたという事実の感想を問い、連れ出される木滑。再び、球場のマウンドにいる木滑。少女がバッタボックスでバットを振る。
松田聖子の自宅を張るマスコミたち。もちろん木滑の姿もある。コメントは取れないが、帰宅後、「お嫁サンバ」を口ずさむ聖子の歌声の録音に成功する(笑)。雨の中、門前にクリーニング屋が来たところに、金を出すので変わってくれと迫る。しかし、そのクリーング屋は、フォーカスの記者が既に金を出して変わってもらった姿だった。更に、自宅前の電柱に電話局員を装って、登っているところにパトカーが来る。家の敷地内から各社が逃げ出す。木滑は逮捕される。原田Pが貰い受けにやってきた。神田正輝・松田聖子の世紀の結婚式の会場に突撃する木滑。石原プロの人間に包囲され排除される木滑。原田Pに、しばらくの間、23時台の番組の体験レポーターをやってくれないかと切り出される。新宿歌舞伎町の風俗街の体験レポートだ。ノーパン喫茶、店のママも客も全員見事な刺青姿のスナック「モンモン」、ピンク映画の撮影現場など、歌舞伎町に突撃する木滑。
八百屋の店頭でメロンを買う兵頭。木滑の部屋で、北海道の息子が送ってくれたメロンだと言って、二人で食べている。金の話をし始め、2000万投資したという兵頭。今夜は、ホストクラブでのホスト体験レポートだ。ホストたち(片岡鶴太郎、久保新二、港雄一)らの話を聞いている木滑。店のNO.1のジョージ(郷ひろみ)を目当てに来ている和装の女(片桐はいり)。出張ホストとして喫茶店で待ち合せる木滑。現れた女とラブホテルに行く。女は、夫に内緒で、300万金の先物取引で、換金できない証書しかなくなったと言う。帰宅し、兵頭の家のブザーを押すが応答はない。金城商事について調べ始める木滑。被害者の老人たちのコメントを丹念に集める。しかし、どの番組も無関心で企画を受けてくれる番組はない。フォーカスに木滑の交際が取り上げられている。フィリピーナのジャパゆきたちを取材に行く。インタビューをしていると、やくざが現れ、おれたちには生活があるんだ。芸能人のケツでも追っかけていろと言われ、暴行を受ける。女たちから助けてくれと言われても、無力な木滑。御巣鷹山のジャンボ機の墜落事故の現場に行く木滑。酒を飲み、徐々に壊れ始める木滑。金城商事の金城が潜伏するマンションの前にマスコミが集まっている。そこに二人組の男(ビートたけし、スティービー原田)がやってくる。報道陣の中を通り、ドアを叩きドアが開かないと分かると、台所の窓を割り、部屋の中に入る。金城を持ってきた刀で刺し殺す。その経緯を、報道陣は取りつかれたように撮影を続ける。木滑は部屋の中に入り、二人の男の犯行を止めようとするが、腹を刺される。金城を殺害した二人は、報道陣の前に顔を曝し、堂々と帰っていく。追いかけていくマスコミ。倒れたままだった木滑が腹を押さえて、ドアから出てくる。マスコミたちは戻ってきて、木滑を取り囲む。無言を続けた木滑は、一言 I Can't Speak Fuckin' Japanese.
マウンドに立つ木滑。ズボンの股間からマイクを取り出し投げる。
正直な話、内田裕也の芝居は、台詞かみかみ、アドリブが利かないので三浦和義を前に言っていることは滅茶苦茶だ。しかし、では今、この木滑に誰をキャスティングするかと考えると、思いつかない。こんな面構えの人間は、農業か漁業従事者か土木現場、プロ野球選手か・・。そう考えると、内田裕也だからこそ成立しているのかもしれない。ピンク映画の現場叩き上げの滝田洋二郎だからこそのゲリラ的、ドキュメンタリー的撮影も成功している。
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