角川シネマ新宿で、50年大映黒澤明監督『羅生門 デジタル完全版(351)』。戦乱の世、焼け落ち、朽ち果てた京の羅生門。激しい雨が降る中、杣人(志村喬)と旅の僧(千秋実)が頭を抱え、「分からない」と繰り返し呟いている。そこに盗人(上田吉二郎)が雨宿りしに来て、何が分からないのかを尋ねた。杣人は、先程まで彼らがいた検非違使での話を語り始めた。3日前、彼が、山に薪を伐りにいくと、女ものの笠や踏みつけられた烏帽子などが落ちていた。その先に男の死体を見つけ、慌てて検非違使に届け出た。直ぐに盗賊の多壌丸(三船敏郎)と死んだ男(森雅之)の妻(京マチ子)が呼ばれた。僧は、その少し前に、男が栗毛の馬に妻を乗せているところを目撃していた。多壌丸、男の妻、また巫女が降臨させた男の霊が話すことは、食い違っている。僧は人を信じられなくなったと嘆いているのだ。
検非違使では関わりを恐れて言わなかったが、実は杣人は藪の中からことの始終を覗いていたという。しかし、その話を聞いて、盗人は杣人の話も本当ではないだろうという。宝石が散りばめられた短刀が見つからないのはネコババしたからだと言う。返す言葉がない杣人。気がつくと、羅生門の裏に捨子が泣いている。その高価そうな服を剥いで、雨の中を去る盗人。子供を見ながら、杣人は、六人子供がいるので、一人増えても大して変わらないので、捨子を引き取ると言う。旅の僧は、誰も人間を信じられなくなって来たが、その話を聞いて救われたと言う。
今更説明もいらないが、デジタル修正、復元された羅生門。子供の頃から幾度となく見てきたが、フィルムの傷はともかくとして、音声がかなり歪んでいて相当苦痛だった。かなり改善されたと思うが、やっぱり大映黒澤映画のセリフ聞きずらい。 かっての記憶では、雨が凄いと思っていたら、その後のシーンになって、太陽が出ていても、雨が降っていてフィルムの傷だと分かるようなものも沢山あったと思うが、きれいなものだな。
溜池で糖尿病の経過観察の検査。
新宿ピカデリーで、ベン・スティラー監督・脚本・原案・製作『トロピックサンダー史上最低の作戦(352)』。落ち目の3人のハリウッドスターが、ベトナム戦争当時ベトコンに捕えられた戦友を救出に行く実話小説の映画化に出演することになる。イギリス人の若手監督も、役者たちを抑えきれないまま、製作費が超過していく。本当の戦場の死と隣り合わせの環境に置くことが必要だという原作者のアドバイスから、ミャンマーの黄金の三角地帯で撮影が再開される・・・。
うーん、ハリウッドも企画の袋小路に入っているんだろうな。笑えることは笑えるんだが・・・。
志村喬について書かれた澤地久枝の「男ありて」読みながら、博華で餃子とビール。
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