2008年10月16日木曜日

久松静児監督、本日リスペクト。

  大門の歯科。 来月はようやく仮歯から本歯に。ただ保険適用でいいですね、と再確認され頷く。
   神保町シアターで56年東京映画久松静児監督『女囚と共に(199)』。女子刑務所の職員たちと受刑者たちの話。所長は田中絹代、保安課長に原節子、所員側に、十朱久雄、上田吉二郎、菅井きん(若い!)。受刑者側は、夫に裏切られ、子供を殺して焼死しようとしたことを殺人放火の罪に問われ収監された著名な法律家の娘だが、原節子に反発する問題児の久我美子と、満州からの引き揚げで両親を無くし開拓団の知り合いの夫婦に引き取られたが、妻が亡くなった途端豹変し襲いかかった男を殺した娘香川京子の二人が美しくメインだが、幼子を抱いて収監され、子供が死んだことで自殺する岡田茉莉子、子供と別れて暮らすことを余儀なくされて苦悩する小暮実千代、久我美子に恋し嫉妬のあまり、仮出所した後に原節子を刺してしまうヒロポン中毒の女淡路恵子、ちょっと一本ネジが抜けたヌードダンサーの谷洋子、恋人の面会を待ちながら闘病、結局獄死する安西郷子、仮釈放され保険の外交員になる前向きで社交的な女だが前科者と密告されて結局失業し、最後に刑務所に帰ってくる中北千枝子、妊婦で何事も調子のいい詐欺師千石規子、刑務所に出たり入ったり10回の関西弁の女掏摸浪花千栄子などオールスターで盛り沢山だが、それぞれキャラクターがはっきりと立っていて、バランスがとれている。文部省、東京都教育委員会、全国PTA協議会他の推薦で、本来、非常に社会啓蒙的で説教くさい目的で制作された映画の筈で、事実そういうシーンもあるのだが、完璧にエンターテイメントとして成立している。原節子が刺された話が受刑者の間を広がっていき、所内が収拾がつかなくなっていく過程、群像劇として素晴らしい!久松監督侮れないなー。駅前シリーズとかの多作な監督のイメージしかなく、自分の不見識を反省。日活で撮った作品の美術は木村威夫さんが担当しているし、この機会にもっとちゃんと見ようと思う。
   神保町から秋葉原まで歩いて、UDXビルで開催されているコ・フェスタの一環のJAM(ジャパン・アニメコラボ・マーケット)、中村伊知哉さんがモデレーターを務めるシンポジウム『ジャパンクールから、世界のデザイン、ものづくりへ』。女子高生の携帯、プリクラ、デコリなどのカワイイ文化についてブームブランニングの中村泰子さん、ゲルマン的なものの対極にある日本の非合理的モノ作り(デコトラ、オバチャンデコリ、痛車・・・。)についてアーサー・D・リトルジャパンの川口盛之助さん、「オタク・ジャポニカ」を書いたフランス人エチエンヌ・バタールさんらがパネラー。バタールさんの「欧米のアニメ、漫画に比べて日本のものは、タブーがない部分が魅力的。親や教師が反対するものを見たい」という発言、性や暴力に対して日本は寛容だからなあ。ある意味、日本人の無宗教と緩い道徳観が、クールジャパンを作った。女子高生による商品企画の話も良かったなあ、みさかやバームクーヘン・ラブリング。九州限定なのが気になる。また、徳川幕府を作った家康がものづくりの団塊世代、貴族的な家光が自由に携帯、インターネットを使いこなす女子高生や団塊ジュニア。二代将軍秀忠が、30~40代のオタク世代。自分たちが上手くやれれば、徳川300年政権が成立するという川口さんの妄想力(笑)。クールジャパンの熱い話で時間オーバーしたが抜ける気は起きなかった。
   で、本当は続いて新宿バルト9で『ボクらのミライは逆回転』観るつもりが、間に合わなくなる。なかなか観られない(苦笑)。西荻に戻り買い物をして博華で餃子とビール。帰宅して『七瀬ふたたび』

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