2008年10月15日水曜日

日米、今昔、腹をくくった女子には、所詮勝てない。

   阿佐ヶ谷ラピュタで64年松竹大船前田陽一監督『にっぽんぱらだいす(197)』。敗戦から昭和33年売春防止法施行日迄の赤線桜原(吉原?)が舞台。光子(香山美子)は、孤児だったが、女郎屋の主人(加藤大介)に育てられた。敗戦で木こりから材木王になった成り上がり紀伊国屋(益田喜頓)に水揚げされ、その後妾になるが、赤線に戻ってくる。赤線最後の夜、事業に失敗して山に帰る紀伊国屋が光子を訪ねてくる。占領軍への慰安施設で光子を守り、その後女郎の組合のリーダーになるハルミ(ホキ徳田)や、赤線取材のため潜り込んだ女子大生(加賀まりこ)ら女たちの明るい逞しさが眩しい。対照的に、成金の紀伊國屋や、父親の商売を毛嫌いしながら、結局店を継いで、女を更正させるためと言いながら大儲けしてトルコ風呂に商売替えする息子(長門裕之)や、光子に大人にしてもらい結婚を申し込みながら、結局最終日に光子に相手されず他の女を選ぶ大学生(勝呂誉)ら、本音と建前が見え隠れする男たち。女たちは、生きることに、はるかに正直である。最後によい条件先を自分たちで決めて出て行く女たちのトラックの行列が描かれるので見終わった印象は爽快だが、前夜赤線最期に客と女達が一緒に蛍の光を合唱する光景は多分に感傷的だ。まあ、自分も聖人君子では全くないので偉そうなことは言えないが(苦笑)。ただ赤線で育った篭の鳥であるヒロインが、赤線と共に自ら命の灯を消すのは切なすぎる。他の女は「バカヤロー」とか叫びながらトラックの荷台に乗って赤線を去るのに、彼女は霊柩車に納められて運び出されるのだ。
   映画観ても時間あるが、検査で食事出来ないので、渋谷に出て散髪。溜池山王で糖尿病の経過観察。遅い昼ご飯を食べ渋谷紀伊國屋で時代小説漁っていると声を掛けてくる人がJというバンドをデビューさせた時の社長のIさん。会社を辞めたばかりの頃に挨拶に行って以来ご無沙汰で恐縮。来週電話して遊びに行きますと答えて、
   渋谷シアターNで『ゾンビストリッパーズ(198)』。エロゾンビというかゾンビポルノというか、予告編見てからずっと気になっていた。まあ単なる馬鹿映画。意外だったのは、邦題が原題のままなのと、多分ジェナ・ジェイムスン(アメリカの現セックスシンボルらしい。いわゆるアダルトジャンルNO.1)の出演とタイトルを思い付いただけで作ったらしいこと。エログロへの思いだけでSPEというメジャー配給で一本撮ったことは素晴らしい。突っ込みたいところも含め楽しんだ。
  夜は元会社同期で今は出版社の役員をしている友人と久しぶりに飲む。一軒目は渋谷では長い店だが、Iが入ったことがないというので玉久に。続いて道玄坂を登って、元映画業界のBさんがやっているバー。調子に乗って酔っ払っているて、以前Bさんと一緒の会社にいたMさんが偶然隣に。Mさんの会社のKJという雑誌を、偶然今日買っていたので自慢する。

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