やっぱり、スポーツ、音楽、アメリカのエンタメビジネスの話は面白い。エネルギーある人と話していると、二日酔い気味の緩みきった脳味噌が覚醒してくる。いい例えではないが、人間が覚醒剤(笑)。覚醒剤止めますか?人間止めますかと言う標語あったが…。Nさんと昼飯食い、渋谷に出て、
シネマヴェーラ渋谷で、妄執、異形の人々 Ⅳ。
69年大映東京弓削太郎監督『いそぎんちゃく(505)』
下町にある川合クリーニング店、女店員の石田浜子(渥美マリ)は、無愛想で、やる気もない。店の主人の健三(高原駿雄)は、弱り顔だ。あんたここに来るまでどうしていたの?と妻の房代(目黒幸子)が問い詰めると、浜子は、田舎から汽車に乗って上野に着いた。ブラブラ歩いていると、この店の前に女店員募集と紙が貼ってあったと言う。呆れる妻。銀座のクラブのホステスが洗濯物を受け取りに来たが、外国製のパンティが無いと言う。探しても見つからない。浜子に二階の物干し場を見ておいでと言う房代。物干し場に上がり、外の景色を眺めている浜子。
今日は定休日だ。房代は寄り合いがあって留守だ。健三と浜子がラーメンを食べている。どこか遊びに行ってきたらと主人は言うが、別に見たい所も行きたい所もないと浜子。お前は若いのに、変わっているなあと健三。二階の自分の部屋で、給金を嬉しそうに何度も数え、天井裏に隠す浜子。健三が物干し場で、シーツなどを干している。浜子は服を脱ぎ、外国製のパンティに履き替え、姿見を見ている。健三が覗いて、それは昨日探していたお客さんの物だろと怒る。パンティを脱いで健三の前に放る浜子。別に脱げと言った訳じゃない。黙っておいてやるから二度とするんじゃないぞと言ってから、脱いだ服で前を隠す浜子を改めて見て、若い娘の裸に生唾を飲む健三。たまらなくなり、浜子!!優しくしてやるからと抱き付く。抵抗をしていたが、力を抜き、感情のない目で天井を見上げる浜子。
その夜、主人夫婦の寝室。暑くて眠れないので、眠れるようにしておくれと甘える房代。主人は眠っているのか鼾をかく。起きておくれようと房代は揺するが目覚めない。しばらくして、健三が房代に、おい寝たか?と声を掛ける。もう一度確認してから寝室の襖を開け出て行く健三。案の定、二階の浜子の部屋に上がり、浜子いいかとのしかかっていく健三。夢中でいると、二階の襖が開く。妻が鬼の形相で立っている。横にいないので、気になって来たらこんなことにと言って、泥棒!!人の夫を盗みやがって!!と、浜子を叩く妻。平然と、私からじゃないと無表情のまま答える浜子。妻の怒りに更に火を点ける。あなた!!こんな女叩き出して!!さもないと私が出て行きますと房代が言う。すまなかった出て行ってくれと房代に言う健三。健三を殴り続ける房代。
健三と浜子しかいない店に近所の主婦が来た。あら奥さんは?と尋ねると、奥さんは病気で休みですと答える。重いのかい?と興味津々な客に、この前のシャツ2枚分のお代まだ頂いていませんと無愛想な浜子。奧ではふて寝なのか房代が布団で横になっている。
昼飯なのか健三と浜子が卓袱台で食事をしている。そこに疲れ切った顔の房代が入ってくる。封筒を出して、これをあげますから出て行って下さい。お願いだから夫を返して下さい、10万円用意しましたと頭を下げる。浜子は中身を改めて、色々お世話になりました、明日出て行きますと答える。惜しそうな表情の健三。
風呂敷包やバッグを下げて、商店街を宛てもなく気怠そうにブラブラ歩く浜子。関西割烹福助と言う店に女中募集と貼り紙がある。皿洗いをしている浜子。店に老人(加藤嘉)が入って来る。女将の福子(関千恵子)と夫の板前が「会長、いらっしゃいませ」と声を掛けると、もう引退したんだからご隠居でいいよ、もう女と金勘定は御免だよと言う。しかし、奧で洗い物をしている浜子を目に留めて、「見つかったらしいね女中」「浜ちゃん、ご挨拶なさい」「こんにちは」「すみません、田舎の子なので挨拶もちゃんと出来なくて…」「どこの出身だい?」「どこだったかしら…、浜ちゃん田舎は?」「山形…」「雪国育ちか…」。
浜子と福子が銭湯で湯船に入っている。「いいわね浜ちゃんは若いから」隣の男湯から長唄が聞こえてくる。「あらあ、柏木さんだわ。いい喉。柏木さんってさっきお店にいらしたご隠居さんよ。駅前スーパーの社長さんで、何人もお妾さんがいらして駅前に大きなお屋敷に住んでいらしたの、ご商売は息子さんに譲られて、のんびりしていらっしゃるの」と話好きな福子。銭湯から柏木が出てくると、福子が待っている。「お隣でいい喉が聞こえたのでお待ちしていましたわ。」「声を掛けてくれれば良かったのに」「そんな恥ずかしい…」福子の後ろに浜子の姿を見つけて、「女将、湯上がりの散歩に、この子を少し借りていいかい」「散歩いいわねえ、あたしも…、お邪魔のようね、じゃあ浜ちゃんをよろしくお願いします。」
浜子にワンピースを買ってやり、高級料亭に連れて行く柏木。手を付けずに料理を眺めている浜子。「どうした食べないのか?」「こんなご馳走生まれてから一度も見たことがないんです。」「そうか…でらよく眺めてから食べなさい。」
浜子は母との貧しい生活を思い出している。寝込んでいる母親(村井扶美子)。「どっか行くのかい?」「こんな貧乏生活は嫌だ。」「うちだってお父ちゃんが生きていれば」「変わっていないよ。結局、お父ちゃんもお母ちゃんも、本気で貧乏な暮らしから逃げ出そうって考えなかったんだよ…」
旺盛な食欲で、美味しそうに食べ始めた浜子を見ながら酒を飲む柏木。自分の料理を、これも食べなさいと渡すと、嬉しそうに微笑む浜子。
隣の部屋に布団が敷いてある。それを見ても、浜子の表情は変わらない。「何も怖がることはない、私が服を脱がしてやる。私が嫌いかい?」「いえ、銭湯の時も急いで上がって、待っていました。」
福助に、柏木が戻って来る。長いお散歩でしたねと福子。何しろ年寄りは、足が悪くってねと言う柏木の後から、買って貰ったワンピースを着た浜子が入って来て、恥ずかしそうに二階に上がって行く。「ご隠居さん、まさか?やっぱり…。よりによって酔狂が過ぎますよ。いかもの食いがご趣味だったんですか。」「イカモノどころか、掘り出し物だ。私はこの年まで、あんな絶品に会ったことはない。長生きはするもんだ。」
新築の高級アパートで福子と浜子が片付けをしている。柏木がやってきた。福子が「浜ちゃん、ご隠居さんが何から何まで用意してくれて、本当にあんたは幸せね」と言う。福助で、働く浜子。とても垢抜けて綺麗になり 、客あしらいも明るく、客たちの人気ものだ。福子が、浜ちゃん本当に綺麗になって…と、カウンターで飲む柏木に声を掛ける。
浜子のアパート、浴室で、浜子の身体を洗う柏木。寝室で、浜子を愛する柏木。「浜子に会えて、本当に良かった…」しかし、体を動かし始めると、突然気を失う柏木。悲鳴を上げる浜子。
浜子の部屋で、鼾をかきながら寝かされている柏木。医者と看護婦が帰って行き、枕許に福子と浜子が座っている。柏木の息子の貞吉(大辻志郎)と嫁の静江(田中三津子)がやって来る。「外聞も悪いし、病院に運んだ方が」と静江。「心筋梗塞で、絶対安静です」と浜子。「で、親父はどうしていたんです?」と尋ねる貞吉に、「一緒にお風呂に入りました」「血圧が高いから医者に止められていたのに」「それから、一緒に布団に」露骨に嫌悪する表情の静江。「僕は附いているから、君は帰っていいよ」と妻に言う貞吉。福子も帰って行った。
しばらく僕は起きているから、少し寝たらと貞吉が浜子に言う。ありがとうございます、座布団を借りますと浜子。布団は、柏木が寝かされている一組しかないのだ。別室で、浜子が眠っている。襖を開け、貞吉が入ってくる。浜子を好色そうに眺めていると、目を覚ます浜子。トイレはどこ?と言うので、トイレなんておかしいわと浜子。親父と何をしていたんだと言って襲い掛かる貞吉。別室の柏木の様子が変だ。
柏木の屋敷で通夜が行われている。浜子が入ってきて、遺影の前に座り、大きな声で泣き出す。静江が貞吉に、ほんとにお義父さんいい年齢して恥ずかしいわ、あの人のこと、お金払ってもキチンとして下さいねと言う。年配の参列者に混ざって、浜子が寿司をバクバク食べている。貞吉が別室に呼び、君も大変だろうけど、何でも相談にのるよと未練がましい。二百万の小切手を渡し、あの部屋も君に上げるよと言う。
福子が、浜子のアパートに行くと、古道具屋が家財道具一切を運ぼうとしている。買取金額の交渉で、テレビだけで、二万になると電気屋さん言っていたわと吊り上げる浜子。福子は、引っ越しちゃうの?と言う。こんな立派な部屋私にはもったいなさすぎるので、部屋も売ってしまったらしい。色々とお世話になりましたと頭を下げる浜子に、あんた目当てのお客さんも沢山いるので、それだけは考え直してと懇願する福子。
ネグリジェサロンのようなところで働く浜子。テレビ局の営業担当の田村(早川雄三)と、スポンサー宣伝部員の岡崎(牟田悌三)と盛り上がっている。田村が岡崎さんが君のこと気に入ったみたいだから頼むぜと言って?万円を浜子に渡す。連れ込み旅館で、風呂から出て来た沢田が、明日会社早いから先に帰るな、宿代払ったから君は泊まっていけばいいと言って、車代をくれる岡崎。岡崎が帰るなり、フロントに電話をして、今から帰るから、泊まりの宿代を返してと言う浜子。
浜子が夜道を歩いていると目の前に車が停まる、運転席には、ネグリジェサロンでトランペットを吹いているバンドマンの室井(平泉征→成)がいる。君が心配で待っていた。君を愛しているから他の男と関係して欲しくないと言う室井。直ぐに二人は同棲する。
ある時、アパートに柏木の息子貞吉がやって来る。心配していたんだ、大丈夫?相談にのるよと言った所に、室井が帰ってくる。私結婚したの、芸術家なのと貞吉には言い、室井には以前とってもお世話になった方なの、今日も私を心配して、お店の商品をこんなに持って来てくれたわと言う。
渥美マリの初主演作だったのか、大映の末期の延命を貢献した女優の一人。生まれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか。でも、この時代の大映、好きなんだよな。
69年東映京都中島貞夫監督『日本暗殺秘録(506)』
京橋フィルムセンターで、特集・逝ける映画人を偲んで 2007-2008。
63年東映京都工藤栄一監督『十三人の刺客(507)』
素晴らしい、時代劇の傑作の一つだと再認識した。ビデオでしか見たことがなかったが、モノクロでシネスコの映画は、やはりスクリーンで見ないと全然駄目だ。特に時代劇。映っている情報量が、全く違うと思う。
片岡千恵蔵、嵐寛寿郎の存在感は、断トツだ。剣の達人の浪人役の西村晃も、キレと渋さにシビレる。こんな凄い映画を三池崇史をリメイクするという企画が恐ろしい(笑)。個人的には、工藤栄一版の公開前後の劇場上映を希望。
シネマヴェーラ渋谷で、妄執、異形の人々 Ⅳ。
69年大映東京弓削太郎監督『いそぎんちゃく(505)』
下町にある川合クリーニング店、女店員の石田浜子(渥美マリ)
今日は定休日だ。房代は寄り合いがあって留守だ。
その夜、主人夫婦の寝室。
健三と浜子しかいない店に近所の主婦が来た。あら奥さんは?
昼飯なのか健三と浜子が卓袱台で食事をしている。
風呂敷包やバッグを下げて、
浜子と福子が銭湯で湯船に入っている。「
浜子にワンピースを買ってやり、高級料亭に連れて行く柏木。
浜子は母との貧しい生活を思い出している。寝込んでいる母親(村井扶美子)。「
旺盛な食欲で、
隣の部屋に布団が敷いてある。それを見ても、
福助に、柏木が戻って来る。長いお散歩でしたねと福子。
新築の高級アパートで福子と浜子が片付けをしている。
浜子のアパート、浴室で、浜子の身体を洗う柏木。寝室で、
浜子の部屋で、鼾をかきながら寝かされている柏木。
柏木の屋敷で通夜が行われている。浜子が入ってきて、
福子が、浜子のアパートに行くと、
ネグリジェサロンのようなところで働く浜子。
浜子が夜道を歩いていると目の前に車が停まる、運転席には、
ある時、アパートに柏木の息子貞吉がやって来る。心配していたんだ、
渥美マリの初主演作だったのか、大映の末期の延命を貢献した女優の一人。生まれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか。でも、この時代の大映、好きなんだよな。
69年東映京都中島貞夫監督『日本暗殺秘録(506)』
京橋フィルムセンターで、特集・逝ける映画人を偲んで 2007-2008。
63年東映京都工藤栄一監督『十三人の刺客(507)』
弘化元年九月五日早く、筆頭老中土井大炊頭利位の屋敷前で、明石藩江戸家老間宮図書(高松錦之助)が切腹した。訴状は、主君である藩主松平斉韶の生来の粗暴な性格と淫蕩三昧の日常と、悪政により藩民が困窮し、一揆が多発していることを訴え出るものであった。しかし、斉韶は将軍家慶の寵愛された弟であり、家慶は、斉韶を翌年老中に抜擢するよう命じていた。斉韶が老中となっては、御政道は乱れ、幕府に禍根を残すと悩んだ土井大炊頭(丹波哲郎)は決意し、直参旗本で、大目付の 島田新左衛門(片岡千恵蔵)を呼ぶ。
間宮図書の書状を見せた上、極秘に呼び寄せた尾張領木曽上松陣屋詰総支配の牧野靭負(月形龍之介)と面会をさせる。昨年の参勤交代、中仙道を江戸に向かう明石藩一行が、木曽上松陣屋に泊った折りの出来事を語る牧野。将軍の弟でもある松平左兵衛督斉韶(菅貫太郎)が泊るということで、牧野と息子の牧野妥女(河原崎長一郎)は、細心の気遣いを心掛けた。采女が二か月前に娶った妻の千世(三島ゆり子)は、美しく気配りの細やかな嫁であったが、その美しさを見染めた斉韶は、千世を手籠にする。妻を探しに来た采女を、無礼者と脇差で刺し殺す斉韶。翌日千世も自害した。あまりの侮辱に牧野靭負は腹を召そうと思ったが、主君尾張大納言の名誉を守るため、証言をしようと思い止まったと言う。
聞いていた新左衛門も、その斉韶が老中になると言う話に侍としての死に場所を得たと言った。
土井大炊頭の屋敷に置かれていた間宮図書の遺体は、三日後錯乱による死としてお咎めなしとして明石藩に返された。
明石藩筆頭家老鬼頭半兵衛(内田良平)が、江戸表屋敷に戻ってくる。斉韶が、間宮家の者全て、藩の目付を捕らえさせ、処罰すると聞いて、慌てて止めに来たのだ。斉韶に、せっかくお上が、間宮の件は不問にし、間宮家の一族郎党の罪も問うなと言って来たのだから、明石藩として断罪するのは如何なものかと進言したのだ。しかし、お上と言っても、土井の決めたこと、一老中ごときの判断に従ったとあらば、松平直系の面子が潰れるわと言って、自ら老婆から子供に至るまで切り捨てた。間宮図書の書状を見せた上、
聞いていた新左衛門も、
土井大炊頭の屋敷に置かれていた間宮図書の遺体は、
家老の浅川十太夫(原田甲子郎)は、お咎めもなく、来年に殿が老中になれば、お家も安泰ですなと言うが、半兵衛は、三日間掛かって、何もないのが心配なのだと言って、家臣に土井大炊頭の屋敷に、この三日間出入りしたものを全て調べろと命じた。
一方、新左衛門が帰宅すると、食客としてしていた浪人平山九十郎(西村晃)に命を預けてくれと頭を下げ、更に片腕として信頼している与力の倉永左平次(嵐寛寿郎)に、配下の使い手で、信頼出来るものを集めさせた。倉永配下の三橋軍太夫(阿部九州男)、三橋配下の樋口源内(加賀邦男) 、堀井弥八(汐路章)、日置八十吉(春日俊二)、大竹茂助(片岡栄二郎)、石塚利平(和崎俊哉)。彼らを前にも、新左衛門は自分に命をくれと言う。
新左衛門の甥で部屋住みの島田新六郎(里見浩太朗)は、深川芸者おえん(丘さとみ)に養われていた。ある日、叔父の新左衛門を深川の茶屋で見かけたとおえんに聞いた新六郎は、叔父御が珍しいものだと言う。
その時、新左衛門と倉永左平次、三橋軍太夫の三人は、深川の茶屋の二階座敷で、平山九十郎が連れてきた弟子の小倉庄次郎(沢村精四郎)と武州浪人の佐原平蔵(水島道太郎)と会っていた。若い小倉庄次郎を惜しんだ平山は、師弟の縁を切ろうとしたが、どうしても一緒に死なせてほしいと懇願し、着いて来たのだ。倉永が親御さんはと尋ねると二親とも既に亡くしていると答える。佐原平蔵は、200両貰えないかと言う。その金で、借財を返し、妻子と自分の入る墓を建て、恩義のある人間たちに酒を振舞い、今までの借りを返すのだと言う。十一人の刺客が集まった。皆を屋敷に呼び、近々国表に帰参する参勤交代の途中で、松平斉韶を暗殺するのだと告げる新左衛門。徳川の世になって、200余年、侍といえども、実際に切り結んだ経験のあるものは少ない。多勢無勢の戦いなので、ここだという最善の機会を選んで、確実に任務を遂行しなければならないのだ。
島田家の屋敷を辞した倉永、三橋、樋口、堀井、日置、大竹、石塚を、明石藩の浅川は、藩内の使い手二人に、一人を生けどりにし、何をしようとしているのか吐かせろと命ずる。仲間と別れた?を二人は取り囲む。?も必死に刀を抜くが、道場での稽古では優秀でも実践経験の少ない哀しさ、剣を簡単に弾かれてしまう。絶体絶命の?を、平山九十郎が救った、それぞれ一太刀で斬り捨てる平山。凄い腕だ。
明石藩上屋敷で、鬼頭半兵衛は、浅川に、軽挙を慎めと言っていると、浅川が放った二人の死体が仙台掘に浮かんだという知らせが届く。死体の刀傷を見て、凄い腕だ、しかし、これで島田の狙いが我が藩であることが分かったと呟く鬼頭半兵衛。
新六郎の元に、樋口源内と堀井弥八が訪ねて来て、俺は芸者のヒモでいい。やっとうよりもこっちを極めたいと三味線を取る。樋口、堀井は見損なったぞと吐き捨て帰ってゆく。おえんが新左衛門様がお見えですと言う。何だか迷惑を掛けたな、ワシもお前くらいの年齢の頃は放蕩の限り、三味線で身を立てようとしたのだが、上手くはいかず、結局、これで生きるより、侍として死ぬ方が楽だと思いなおしたのだと、新六郎から受取り、弾き始めた。玄人はだしというよりも、かなりの腕で、激しく絃をかき鳴らす新左衛門の姿を見て、驚く新六郎。叔父が帰ったあと、少し真剣に生きてみたくなったと言う。おえんが小さな声で「やめてください・・・・・・いつお帰りですか?」「早ければ一か月余り・・・、長ければ、来年のお盆には帰ってくるので、迎え火を焚いて待っていてくれ。」といって、大小を腰に差して、新左衛門の屋敷に戻っていく。涙で見送るおえん。
十月二十七日早朝、明石藩江戸上屋敷を参勤交代の行列が出ていく。それを見送った半兵衛は、馬を飛ばし、島田の屋敷を訪れる。半兵衛と新左衛門は旧知の仲だった。直参旗本で大目付の新左衛門に対し、半兵衛は知力で、何とか、明石藩の千石取りの筆頭家老にまで登り詰めたのだ。他の者を部屋から出して、お主ワシを切りに来たなと丸腰で語る新左衛門。緊迫感のある光景が進む。全力を挙げて阻止すると言って新左衛門の屋敷を辞す半兵衛。
参勤交代の一行が江戸を出て、中仙道の戸田の渡し付近での決行を決める新左衛門。待ち伏せする彼らを待っていたのは、水も漏れない完璧な陣容での防御体制と、松平斉韶の乗っている筈の駕籠が二つ登場。まったくどちらと判断できないまま、新左衛門たちは、川を渡っていくのを歯ぎしりして、見送るしかなかった。
* 丹羽隼人=北龍二
* 小泉頼母=明石潮
* 出口源四郎=有川正治
* 仙田角馬=小田部通麿
* 間宮織部=神木真寿雄
* 間宮小浪=高橋漣
* 大野多仲=堀正夫
木曽落合宿総代、三州屋徳兵衛(水野浩)
徳兵衛の娘加代(藤純子→富司純子)
木曽落合宿郷士木賀小弥太(山城新伍)
一方、新左衛門が帰宅すると、
新左衛門の甥で部屋住みの島田新六郎(里見浩太朗)は、深川芸者おえん(丘さとみ)に養われていた。ある日、叔父の新左衛門を深川の茶屋で見かけたとおえんに聞いた新六郎は、叔父御が珍しいものだと言う。
その時、新左衛門と倉永左平次、三橋軍太夫の三人は、深川の茶屋の二階座敷で、平山九十郎が連れてきた弟子の小倉庄次郎(沢村精四郎)と武州浪人の佐原平蔵(水島道太郎)と会っていた。若い小倉庄次郎を惜しんだ平山は、師弟の縁を切ろうとしたが、どうしても一緒に死なせてほしいと懇願し、着いて来たのだ。倉永が親御さんはと尋ねると二親とも既に亡くしていると答える。佐原平蔵は、200両貰えないかと言う。その金で、借財を返し、妻子と自分の入る墓を建て、恩義のある人間たちに酒を振舞い、今までの借りを返すのだと言う。十一人の刺客が集まった。皆を屋敷に呼び、近々国表に帰参する参勤交代の途中で、松平斉韶を暗殺するのだと告げる新左衛門。徳川の世になって、200余年、侍といえども、実際に切り結んだ経験のあるものは少ない。多勢無勢の戦いなので、ここだという最善の機会を選んで、確実に任務を遂行しなければならないのだ。
島田家の屋敷を辞した倉永、三橋、樋口、堀井、日置、大竹、石塚を、明石藩の浅川は、藩内の使い手二人に、一人を生けどりにし、何をしようとしているのか吐かせろと命ずる。仲間と別れた?を二人は取り囲む。?も必死に刀を抜くが、道場での稽古では優秀でも実践経験の少ない哀しさ、剣を簡単に弾かれてしまう。絶体絶命の?を、平山九十郎が救った、それぞれ一太刀で斬り捨てる平山。凄い腕だ。
明石藩上屋敷で、鬼頭半兵衛は、浅川に、軽挙を慎めと言っていると、浅川が放った二人の死体が仙台掘に浮かんだという知らせが届く。死体の刀傷を見て、凄い腕だ、しかし、これで島田の狙いが我が藩であることが分かったと呟く鬼頭半兵衛。
新六郎の元に、樋口源内と堀井弥八が訪ねて来て、俺は芸者のヒモでいい。やっとうよりもこっちを極めたいと三味線を取る。樋口、堀井は見損なったぞと吐き捨て帰ってゆく。おえんが新左衛門様がお見えですと言う。何だか迷惑を掛けたな、ワシもお前くらいの年齢の頃は放蕩の限り、三味線で身を立てようとしたのだが、上手くはいかず、結局、これで生きるより、侍として死ぬ方が楽だと思いなおしたのだと、新六郎から受取り、弾き始めた。玄人はだしというよりも、かなりの腕で、激しく絃をかき鳴らす新左衛門の姿を見て、驚く新六郎。叔父が帰ったあと、少し真剣に生きてみたくなったと言う。おえんが小さな声で「やめてください・・・・・・いつお帰りですか?」「早ければ一か月余り・・・、長ければ、来年のお盆には帰ってくるので、迎え火を焚いて待っていてくれ。」といって、大小を腰に差して、新左衛門の屋敷に戻っていく。涙で見送るおえん。
十月二十七日早朝、明石藩江戸上屋敷を参勤交代の行列が出ていく。それを見送った半兵衛は、馬を飛ばし、島田の屋敷を訪れる。半兵衛と新左衛門は旧知の仲だった。直参旗本で大目付の新左衛門に対し、半兵衛は知力で、何とか、明石藩の千石取りの筆頭家老にまで登り詰めたのだ。他の者を部屋から出して、お主ワシを切りに来たなと丸腰で語る新左衛門。緊迫感のある光景が進む。全力を挙げて阻止すると言って新左衛門の屋敷を辞す半兵衛。
参勤交代の一行が江戸を出て、中仙道の戸田の渡し付近での決行を決める新左衛門。待ち伏せする彼らを待っていたのは、水も漏れない完璧な陣容での防御体制と、松平斉韶の乗っている筈の駕籠が二つ登場。まったくどちらと判断できないまま、新左衛門たちは、川を渡っていくのを歯ぎしりして、見送るしかなかった。
* 丹羽隼人=北龍二
* 小泉頼母=明石潮
* 出口源四郎=有川正治
* 仙田角馬=小田部通麿
* 間宮織部=神木真寿雄
* 間宮小浪=高橋漣
* 大野多仲=堀正夫
木曽落合宿総代、三州屋徳兵衛(水野浩)
徳兵衛の娘加代(藤純子→富司純子)
木曽落合宿郷士木賀小弥太(山城新伍)
素晴らしい、時代劇の傑作の一つだと再認識した。
片岡千恵蔵、嵐寛寿郎の存在感は、断トツだ。
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