病室で、白血病の少女足立恭子(石橋杏奈)を見守る医師(大杉漣)と看護婦、父親(宮藤官九郎)と母親、心電図が停止する。両親が恭子!!と名を呼ぶと、また動き出す。医師が、娘さんは白血病ですが、これだけ持っているのは奇跡です。母親、恭子は恋人が来るのを待っているんです。そこにギターを抱えた若者が現れる。恭子の目が開いて、「純くん…。私の歌を聞かせて…あなたの歌を…」枕元で歌い始める純。歌い終わると、愛する恭子は亡くなっていた。恭子にキスをしようとする純。しかし、目の前に、なぜか僧侶の像がある。全て妄想だった。
1974年京都、仏教系私立男子高の講堂で、詰襟姿の全校生徒が集められている。彼らは、ほうねん!!ほうねん!!とシュピレヒコールを叫んでいる。講堂の舞台後部の幕が厳かに開き、巨大な法然像が姿を表し、生徒たちが歓声を上げる。ここ法然高校では、ひと月に1回聖日と定め、全生徒が仏歌を歌う行事が行われている。ヤンキーの生徒が多く、歌の意味など殆ど理解していない。今日も校長の説話を、てめえの話はなげーんだよと野次って、教室から連れ出される須藤(古川雄弥)は、同じクラスの札付きのワルだ。朝鮮高校の生徒をボコボコにしたらしい。
主人公の乾純いぬいじゅん(渡辺大和)は、不良にもなれない典型的な文科系男子だ。純の友達の伊部(森田直幸)と池山(森岡龍)。男子校の3人の頭の中は、セックスへの妄想でいっぱいだ。今日も伊部が言うには、口は外に露出している唯一の性器だと言う。唇の形を見るとその女の好きもの度が分ると言う。向こうから、マリア女子の制服を着た二人の女子が来る。伊部は、マリア女子にあんな可愛い子がいたのかと言い、ぽっちゃりした唇は、かなりのものだと断言する。実は、その女子は、純の初恋の相手の足立恭子だった。小学校は一緒だったが、純が中高一貫校に受験したので、それっきりだった。伊部に、そんな下品なことはないと怒りだす純。
帰宅した純は、小学校の卒業アルバムの恭子の写真を見ながら、曲を歌っている。そこにおかん(堀ちえみ)がやってくる。「純くん、どうしたんそのアルバム。この頃から純くんが一番かわいいとおもっててん。いつになったら、私に、純くんの作った曲を聞かせてくれるの?」「うるさいなあ、早く出て行ってくれよ」いくつになっても、おかんは、純を子供扱いだ・・・。
隠岐の島のユースホステル
シネマート六本木で、中川信夫没後25周年レトロスペクティブ生きてゐる中川信夫。
39年東宝東京中川信夫監督小國英雄脚本『エノケンの頑張り戦術(498)』
防弾チョッキ株式会社の稲田(榎本健一)と三田(如月寛多)は、自宅も隣同士で、家族構成も、妻と息子の3人暮らし。しかし、この上なく意地っ張りで、仲がとても悪い。昼食に行けば、トマトかトメトかで言い争いから、喧嘩になる。ある夜、稲田は妻からクラスで、夏休みに海や山に家族旅行に行かないのは息子だけたと聞かされる。息子は榎本の仕事が忙しいので、我慢しているのだと言う。営業成績が悪くボーナスが出なかったので、仕方ないと言おうと思ったが、隣の三田家が、海に出掛けると聞いて、うちも出掛けると言う稲田。
82年磯田事務所=ATG 中川信夫監督『怪異談 生きてゐる小平次(499)』
逆さ吊りで、平清盛の?を演じている小平次(藤間文彦)と囃子方の太九郎(石橋正次)が太鼓を叩きながら合いの手を入れている。太九郎の背に立ち、小平次の目を見つめながら、簪を太九郎の首に刺そうとするおちか(宮下順子)。
家の庭で、おちかが行水をしている。外から、小平次が、観音様を拝ませておくれでないかいと声を掛ける。おちかは高くつくよと返事をする。太九郎は、戯作者をめざしているが、芝居小屋の太夫は、けんもほろろだ。三人は幼馴染みだ。おちかは大家の娘として、太九郎は寺子屋の師匠の息子として、小平次は旅役者の子として出会い、ずっと一緒だった。太九郎は、おちかを女房にしていたが、ある日、小平次は、おちかに太九郎と別れて自分の女房になってくれと言い出した。その話を聞いてしまった太九郎は、小平次とおちかとの関係を疑い出す。おちかは、そんなに信じらんないのなら、三行半を書いておくれと言う。
銀座シネパトスで、「日本映画レトロスペクティブ-PART3-」
~愛と性、体制と権力 大島渚 闘いの歴史~。
59年松竹大船大島渚監督『愛と希望の街(500)』
川崎(?)の駅前で、靴磨きの女たちの隣で、鳩を売っている少年(藤川弘志)がいる。そこに女子高生たちが通り掛かる。その中の一人京子(富永ユキ)が、「何を売っているの?」「鳩です。」「何で売っているの?」靴磨きの女の一人が、この子の母親は同業者だけど、今病気をしているのだと説明する。「いくら?」「700円です。」「でも、デパートでは1000円です。」「分かったわ。頂戴」と千円札を出す京子。少年は、お釣りが…と言うと、「いいわ」と京子。そう言う訳にはと少年は言い、宝くじ売りに走り、崩して300円の釣りを渡そうとする。受け取ろうとしたい京子に、鳩の籠に無理矢理小銭を押し込む少年。靴磨きの女たちは、貰っておけばいいのに、と口では言うが、少年の真面目さを好ましく思って笑顔だ。少年は売上の一部を場所代として女たちに渡した。
京子は、病気の弟泰三(坂下登)の所に見舞いに行き、鳩を渡す、あまり嬉しそうでない弟に、お母さんが病気でこの鳩を売っている男の子は、やっちゃんの年と同じ位だったわ、偉いわと言う。
少年は、文房具屋で、クレパスと画用紙を買い、八百屋で野菜などを買い、帰宅する。家の近所の空き地で、ネズミの死骸を見つめている少女がいる。少女の名前は保江(伊藤道子)、すこし知能の発育が遅れ、内気で無口な娘だ。少年は保江の兄で正夫、中学3年だ。「鳩は?」「お母さんの所に飛んで行った、明後日には帰ってくるよ」。
家では、母親のくに子(望月優子)が臥せっている。ちょうど民生委員の?さんが来ていて、話をしている。「ちゃんと体を休めないと」「でも、正夫が高校に入学したら、生活保護止められちゃうんだろ、でも正夫を絶対高校に進学させるんだ。」「無理はいけないよ」民生委員が帰ると、母親が、鳩は売れたかい?と聞いてきた。正夫が食事の支度を始めると、母親が起きてきて、自分がやるよと言う。僕がやるよと言う正夫に、男が、あんまり家事が巧くなるのはよくないと言う。
久しぶりのご馳走だ。食事が済み、母親は内職を始める。保江を連れて風呂に行っておいでと言う母に、お金は?と正夫が尋ねると、ようやく内職の賃料を半分払ってくれた、こんな1日100円の仕事の支払い溜められても、本当に困ると愚痴を言う。銭湯の前で、正夫が待っている。?が出て来たので、兄ちゃんは体が冷え切ったよと声を掛けると、近所に住むいさ子(瓜生登代子)が一緒だった。「体を洗って貰っていたのか、保江、垢だらけだったろう」と正夫が言うと、そんなことないわ失礼でしょうといさ子。すると、近所の不良たちが、おっ、暑い、暑い、知恵遅れの妹を出しにデートかと囃し立てる。怒ってかかっていく正夫。家に帰ると、鳩が帰ってきていた。喜ぶ保江。
学校で、秋山先生(千乃赫子)が、正夫に、進路のこと決めたの?と声を掛ける。首を降る正夫に、お母さんと話をしに家庭訪問をするわと言う。秋山が正夫の家に来ている。とく子は、片親で靴磨きの息子が生意気かと思われるかもしれませんが、この街にいたのでは、中学を卒業して、このあたりの町工場で働き、ここから出ていくことは絶対できない。正夫には、なんとしても高校を出してやりたいんですと、頭を下げる。駅まで、秋山を送る正夫。しかし、正夫は、自分の気持ちは、就職して夜間高校に通おうと思っていると言う。
駅の近くで、京子が、秋山と正夫に声を掛けてきた。買った鳩の2羽の内1羽が逃げ出したが、帰ってきていないかと尋ねる。いいえ帰っていませんと言う正夫に、この子は嘘を言うような子ではありませんと秋山。家に帰らなきゃと走り去る正夫。秋山は、京子に少し話さないかと声を掛ける。
喫茶店に二人の姿がある。秋山に正夫の境遇を聞いて、涙を流す京子。何か私に出来ることはないかしらと言う京子の父親が、光洋電機の重役だと聞いて、うちの学校から採用してくれない大企業ねと溜息をつく秋山に、父に採用のこと頼んでみますと京子。
光洋電機の川崎工場を訪ねる秋山の姿がある。京子の兄の勇次(渡辺文雄)が、会議室に案内し、父親で重役で父親久原(須賀不二夫)と、労務課長(土紀洋児)を紹介する。挨拶をして、労務課長と話してくれと久原が去る。うちの工場では、工員は地方から採用して、独身寮に入れることに決まっているという。
「鳩を売る少年」を、松竹が「愛と希望の街」とタイトルを勝手に変えて公開して、大島渚を怒らせたと言うデビュー作。素晴らしい作品だが、愛と希望の街と言うタイトルは、現実に対する強烈な皮肉としては最高だが、貧困と絶望の街を描いた内容を正反対のタイトルに、デビュー作を台無しにされたと絶望する大島の気持ちには、同情する。
60年松竹大船大島渚監督『太陽の墓場(501)』
何度観ても、炎加代子の目の力は素晴らしい。2本立て、結局観てしまう。
下北沢440で、浅草の歌姫、辻香織のライブ。4人の女性アーティストイベントのトリでの、出演。 やはり、彼女の声は素晴らしい。先日の自分の誕生日の時に来ていた3人と客席で一緒に酔いしれる。
1974年京都、仏教系私立男子高の講堂で、
帰宅した純は、小学校の卒業アルバムの恭子の写真を見ながら、曲を歌っている。そこにおかん(堀ちえみ)がやってくる。「純くん、どうしたんそのアルバム。この頃から純くんが一番かわいいとおもっててん。いつになったら、私に、純くんの作った曲を聞かせてくれるの?」「うるさいなあ、早く出て行ってくれよ」いくつになっても、おかんは、純を子供扱いだ・・・。
隠岐の島のユースホステル
シネマート六本木で、
39年東宝東京中川信夫監督小國英雄脚本『
防弾チョッキ株式会社の稲田(
82年磯田事務所=ATG 中川信夫監督『怪異談 生きてゐる小平次(499)』
逆さ吊りで、平清盛の?を演じている小平次(藤間文彦)
家の庭で、おちかが行水をしている。外から、小平次が、
銀座シネパトスで、「日本映画レトロスペクティブ-PART3-
~愛と性、体制と権力 大島渚 闘いの歴史~。
59年松竹大船大島渚監督『愛と希望の街(500)』
川崎(?)の駅前で、靴磨きの女たちの隣で、
京子は、病気の弟泰三(坂下登)の所に見舞いに行き、鳩を渡す、
少年は、文房具屋で、クレパスと画用紙を買い、
家では、母親のくに子(望月優子)が臥せっている。
久しぶりのご馳走だ。食事が済み、母親は内職を始める。保江を連れて風呂に行っておいでと言う母に、お金は?
学校で、秋山先生(千乃赫子)が、正夫に、
駅の近くで、京子が、秋山と正夫に声を掛けてきた。買った鳩の2羽の内1羽が逃げ出したが、帰ってきていないかと尋ねる。いいえ帰っていませんと言う正夫に、この子は嘘を言うような子ではありませんと秋山。家に帰らなきゃと走り去る正夫。秋山は、京子に少し話さないかと声を掛ける。
喫茶店に二人の姿がある。秋山に正夫の境遇を聞いて、涙を流す京子。何か私に出来ることはないかしらと言う京子の父親が、光洋電機の重役だと聞いて、うちの学校から採用してくれない大企業ねと溜息をつく秋山に、父に採用のこと頼んでみますと京子。
光洋電機の川崎工場を訪ねる秋山の姿がある。京子の兄の勇次(渡辺文雄)が、会議室に案内し、父親で重役で父親久原(須賀不二夫)と、労務課長(土紀洋児)を紹介する。挨拶をして、労務課長と話してくれと久原が去る。うちの工場では、工員は地方から採用して、独身寮に入れることに決まっているという。
「鳩を売る少年」を、松竹が「愛と希望の街」
60年松竹大船大島渚監督『太陽の墓場(501)』
何度観ても、炎加代子の目の力は素晴らしい。2本立て、結局観てしまう。
下北沢440で、浅草の歌姫、辻香織のライブ。
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