2009年9月1日火曜日

九月の風

    台風一過、一気に洗濯をして干してから、新宿でプレゼン一件。その後N氏とランチミーティング。

    シネマート新宿で、トム・リン監督『九月に降る風(502)』
    竹東高校の制服のシャツが掛かっている。胸には、卒業生と書かれた赤いリボンが付いている。近くに、日新スポーツ用品店と印刷された段ボールが置かれている。
    96年9月、新竹市立球場、時報イーグルスと俊国ベアーズ(?)の試合を応援する新竹高校の男子生徒7人の姿がある。イーグルスのリャオ・ミンシュンは、ヒットを打つが、3塁ランナーは、本塁でタッチアウト。審判の判定に、イーグルスファンの観客は大ブーイング。客席から色々な物が投げ入れられる。チョンハン(リー・ユエチェン)の靴を誰かが投げた。グランドに取りに行こうとするチョンハンを大笑いしながら、必死に止める仲間たち。
    翌日、校内放送で、3年のタン、イェン、チンチャオ、2年のヤオシン、ポーチュ-、1年のチョンハン、チーション、7人の名前が次々に呼ばれ、大至急教官室に出頭するよう告げられる。女性教官は、キチンと立てと言って、いつも問題を起こすのは、あなたたち、もう1回警告を受けたら退学処分よと脅かす。
   全くコタえていない彼らが、煙草を吸いながら校庭の隅で、タムロしていると、リーダー格のイェン(リディアン・ヴォーン)に、ガールフレンドのユン(ジェニファー・チュウ)が、ブラスバンド部の後輩のペイシン(チー・ベイホイ)を連れてやって来て、「わたし、帰るわ」と声を掛ける。しかし、冷たいイェン。
    一緒にバスに乗りながら、先輩は何であんな不良のイェンさんを彼氏にしているんですかと尋ねるペイシン。クラスメートのチーション(チウ・イーチェン)とチョンハンを不良グループから抜けさせるために、ブラスバンド部に入部させたいと相談をする。ペイシンは、チーションが好きなのだ。
   ユンと言う彼女がいながら、可愛い女の子を見ると直ぐにナンパをするイェンと気持ちが優しく成績優秀なタンとは、なぜか気が合う。今日も、女子高の生徒に声を掛け、ポケベルの番号を聞き出す。しかし、イェンはポケベルを持たないので、女の子たちからの連絡を受けるのは、タンのポケベルだ。ユンの部屋で、数学の家庭教師をするタン。間近で見るユンの美しさに、胸がときめくタンだが、イェンの浮気性に悩みながらも、イェンしか見えないユンにとって、タンはあくまでも親切で優等生な、彼氏の親友でしかない…。
    当時の高校生の恋人たちは、MTVと呼ばれる個室ビデオで、いちゃつくのだ、イェンとユンも、ディープキスをしている。それ以上求めるイェンの手を払って、ダメと言うユン。

    90年代の台湾の男子高校生たちの青春。卒業式までの1年の物語で、野球・・・と考えると「ROOKIES-卒業」を思い出す。同じように国民的大ヒットになったことを考えると、日本人はみんな、とても幼くて、簡単な物語しか理解出来なくなったんだろう。でなければ、不良高校生(残念ながら凶悪犯罪を犯すような大物ではなく、いきがっているだけの自分たちのような連中だ)が煙草を吸う場面があるのを、未成年の喫煙は、法律で禁止されていますなんて、テロップ入れないだろう(苦笑)。殺人だって、強盗だって、賭博だって、強姦だって法律で禁止されていることを忘れているのかTBS。大宅壮一が警鐘を鳴らした所の、テレビによる日本人一億総白痴化は、完了(涙)。
   高校時代の青春には、夏が似合う。イェンが亡くなって、学校の屋上のユンの後姿。夏服の紺のスカートが風に揺れるのが、彼女の悲しみを写している。

    ラピュタ阿佐ヶ谷で、武満徹の映画音楽

    68年勝プロダクション勅使河原宏監督『燃えつきた地図(503)』
    逆回しで燃える地図。粟津潔による、等高線をピーコックカラーに塗リ分けられた地図によるオープニング。
   (東京の空撮に乗せて市原悦子によるNA)調査依頼書、失踪人根室洋34歳大燃商事販売拡張課長、依頼人根室ハル、昭和43年2月20日、日ノ出興信所人事調査部長殿
    喫茶椿の主人(信欣三)がコーヒーを入れ、愛想のないウエイトレス(吉田日出子)に渡す。ウエイトレスが男の客(勝新太郎)に、やる気のなさそうに出す。男がマッチをくれないかと言う。煙草に火を付けてたじゃないのと答えので、ケチケチしなくていいじゃねえかと男。仕方なしにマッチ箱を渡す。男は、懐からハンカチに包んだマッチ箱と見比べ仕舞う。ウエイトレスに、仕事終わったらメシでも食わないかと声を掛ける。お客さんとの私語は禁止されているのと女。音楽でも掛けないのかと言う男。耳にしていたイヤホンを男に差し出す女。
    男は、店を出て、駐車場の管理人(小笠原章二郎)に金を払い、車(スバル360)に乗り込もうとすると一人の男(大川修)が声を掛けてくる。「何だ。尾けていたのか」「偶然ですよ。興信所の人でしょ」「偶然ということはないだろう。俺は降りてもいいんだ。」男は、ジャケットの襟についたZと書いたバッジを見せる組織の人間らしい。「僕は根室の義弟ですよ。」「もう一度、そこのコーヒー屋に戻ろうか。着手金は返してもいいんだ。」「やはり直ぐにここを突き止めるとは、優秀な探偵のようですね。」義弟と名乗る男は、駐車場の車を見ながら、「奴さんは、2級整備士の資格を持っていたから、自動車修理にはそれなりの腕前だった。それで内職して、小遣いには不自由していなかったんだ。」探偵は不愉快になり、「俺は降りるぜ」「お手伝いしようと思っているんですよ。彼の日記がありますよ。お渡ししようと思っていました。」
    探偵は、車を出す。急な坂道を上がっていくと、上から猛スピードで自転車が下って来る。避け切れず転ぶ自転車。気をつけろ!と探偵は叫び、再び車を出す。坂の上にある団地の一角に車を止める。団地の一室のブザーを押す。依頼人の根室ハル(市原悦子)がドアを開ける。探偵を上にあげる。女は黄色いカーテンを閉め、「また、おビールでよかったかしら、お茶とか買うのを忘れていて」「いや、車なので結構です。」自分だけビールをおいしそうに飲む女。「あんたは、こっちに話していないことが沢山あるようだ。探してほしいのなら、ちゃんと話して貰わないと困るんだ。降りさせてもらってもいいんだ。」「いえ、隠していることなんて・・。」「あんた弟がいるだろう。それに、夫が自動車整備士の資格を持っていることも・・。」「いえ、弟は住所不定だから、めったに会わないからいいと思ったの・・。資格のことも、あの人は資格マニアなのよ。免状を9つも持っていたわ。免状は人生における碇だというのが口癖だったわ。2種免許に、大型2種、無線技師・・・・中学教員もあったわ・・・あと二つは何だったかしら・・・。」男は、煙草を吸おうとして、灰皿を探し、最近使ったものなのか、光に当て、臭いを嗅ぐ。「着手金の3万円というのは、不首尾になっても却って来ないんですよ。分かっていますね。」部屋を出る男。
    再び、喫茶椿の近くに車を止める男。既に日は暮れ、店も閉店時間だ。ウエイトレスが外に出て来る。マスターが出てきて、女に何か声を掛ける。女は、タクシーを待っていたようだったが、歩き始める。後をつける男。近くのアパートの階段を上がっていくのを確認してところで、喫茶店のマスターはお前はどこの者だ!!と言う。「根室って男を探しているだけだ。」「根室?運転手の奴か?」といって、しまったという顔をして「知らないな」と言う。
   翌日、失踪人が働いていた大燃商事に出かける。専務(小松方正)と根室の部下だったという田代(渥美清)に失踪の時の話を聞く。「あれから、もう半年になりますか・・。部下の田代くんと待合せしていたが、それっきり現れなかったんですよ。」田代は失踪前日に、ある書類を翌日渡するので、きてほしいと連絡を貰ったが、結局根室は、そこに現れなかったという。収穫がなく、車を出そうとすると、田代という男が追いかけてきた。車の助手席に乗せ話を聞く。「ちょっと、気が咎めて・・。あの書類の届け先知っているんです。前日、根室課長が、前田燃料店という炭屋です。確か鳥尾町の町会議員をしている筈です。それと・・・、根室課長の知られざる一面を知っているんです。ヌード写真を自分で撮ることなんです。その写真は僕が預かっています・・。」「じゃあ、それを明日の晩見せてくれ。酒でも飲もう」 
   探偵は、鳥尾町の前田燃料店に行ってみる。外で、プロバンガスのボンベを運んでいる2人の従業員(梅津栄、三夏伸)に、タバコを勧め、取引先の大燃商事の根室と言う男を知らないかと言って写真を見せる。「電話だけだからなあ。」「社長と会う約束をしていたらしいんだ。社長はいるかい?」「今日はいないよ。何だか怪しい男が社長が帰るまで居ると言って居座って、ウチの女事務員を泣かしているよ。お宅も同業者かい?」事務所に行ってみると、ヤクザは根室の義弟だった。「今日は本業の方ですよ」と言って女事務員(西条美奈子)にお客さんだからお茶ぐらい出せと言う。女事務員は膨れっ面で、お茶を運んで来た。社長は戻らないことが分かったので、探偵が帰ることにすると、義弟が俺も引き上げるので車に乗せてくれないかと言う。
   途中、シノギの



    63年東宝恩地日出夫監督『素晴らしい悪女(504)』
    大庭葉介(久保明)は大学4年。コツコツ勉強し優を30個も取り、学生運動にも参加せず、1流企業に就職し、恋人の伊東晴子(田村奈己)と、綺麗な社宅に住み、ステレオと沢山のレコード、電気冷蔵庫と中に冷えたビールが入っているような生活することを夢見ている。一流企業の専務の息子で、自家用車を乗って遊び回る山下(内田裕也)にノートを見せてアルバイトをしている。
   ある時、晴子から横浜の高級アパートの夜の管理人のアルバイトを紹介される。晴子と横浜に行った帰りに、川崎の兄の栄一(神山繁)のもとに行こうと考えていると、助手席で車のセールスマンに説明を受けていた義姉明子(木村俊恵)に声を掛けられる。大庭の兄は、一流企業に勤め、正に社宅に住み、ステレオと電気冷蔵庫に囲まれた暮らしをしている。更に自家用車を買って義姉は自動車教習所に通おうと思っているのだ。兄から、少なくない小遣いを貰い、夕食をご馳走になる。
   ある夜の横浜、アメリカの水兵二人が、飲み屋の支払いを拒み店の男を殴って歩いている。とある中華料理店に、マスターのミスター・崔(宮口精二)が閉店だと静止するのに入ってきた。更にカウンターにいた男ラブリオ(鹿内タケシ)に黒い豚の臭いがすると絡む。殴りかかって来たので受け流し、ナイフを出すラブリオ。
深夜、葉介が、管理人室で勉強をしていると43号室の嶋中ミカ(団令子)が入ってくるなり、男を一人匿えと有無を言わせない態度で言う。結局、葉介は、ラブリオを管理人室に匿う。刑事とMPがやってきて、ミカの部屋はどこだ?と聞いて、階段を上がっていく。勿論、ミカの部屋にラブリオがいる訳はなく、帰って行く。ラブリオと握手をする葉介。彼の手に何かのマークのような入れ墨に気がつく。ベッドを使うかい?と勧めると、布を床に敷いて寝ようとするラブリオ。自分の掛け布団を貸してやる葉介。小さな声で歌を歌うラブリオ。翌朝、葉介が目覚めると、布団がきちんと畳まれ、ラブリオは姿を消していた。
    葉介が、大学の就職課に行く。自信のあった2社とも不合格の通知が来ていた。成績も試験も自信があったのに、納得出来ない葉介に、就職課長は、君が一流企業への就職にこだわる気持ちは判らないでもないが、こうなったら、高千穂鉄鋼のような会社に入って業績を君の力で上げるのもいいじゃないか、確かに高千穂鉄鋼は君にとっては、二流企業かもしれないが、君みたいに優秀な学生が入社したら、大事にしてくれると思うがね、と言う。
    納得が行かない葉介が学生街を歩いていると、二階のビリヤード場の窓から山下が声を掛ける。約束通りノートを写させてくれと言う山下に、いいけど相談があると店に上がる葉介。「就職試験どうだった?その顔じゃ駄目だったんだな」「俺は優を30も取っている。何とか一流企業に入りたいんだ。」「ガリ勉して、結局駄目なんてイカかさねーよ」「君のお父さんは、キョクサン電機の専務だったね。何とか僕が入れるよう君から頼んで貰えないか。ノートをただで見せてやるよ」

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