2009年6月8日月曜日

恋愛映画の基本はすれ違いだ。

    赤坂のメンタルクリニック。赤坂で銀行等の手続きを片付け、午後中目黒のデザイン会社で映画配給の打合せ。

    シネマヴェーラ渋谷で、シナリオライター小國英雄のすべて。

    56年東宝日高繁明監督『眠狂四郎無頼控 円月殺法(333)』
    一作目の予定がフィルムの状態が悪く二作目に変更。シリーズなのにどうかとも思ったが、前作のあらすじが書かれているのですんなりと。

     51年東宝稲垣浩監督『海賊船(334)』
    九州の遥か西。南シナ海に、千里丸と言う海賊船があった。シナ海の虎と自称する船長(三船敏郎)の方針で、密輸船だけを狙っていた。今日も一隻の密輸船に襲い掛かる。虎の合図で、甲板士のチャック(森繁久彌)が白地に墨で虎と一文字書かれた旗を揚げ、一等航海士の二の字(大谷友右衛門)が、正確に船を追い込んで行く。機関銃射手の飛車(田崎潤)が威嚇射撃をし、通信士の下駄(冨田仲次郎)が、密輸船が海上保安庁に無線を打ったと言う。虎たちに密輸品を奪われるくらいなら、自分たちも千里丸と一緒に捕まってしまえと捨て身に出たのだ。船長は、15分で荷を運ぶぞと言って、密輸船の船員たちを縛り上げて、甲板員の牛皮(高原駿雄)金時(松尾文人)海坊主(福原秀雄) 総出で密輸品を千里丸に運んだ。そこに海上保安庁の巡視船が二隻サイレンを鳴らしながらやってくるが、楽々と逃げ切る千里丸。
    中国かどこかの港の酒場で祝杯を上げる船員たち。コックのウド(上田吉二郎)独りが留守番する千里丸を埠頭から見ている影がある。男装している少女の薫(浅茅しのぶ)、稔(飯田健晋)、一郎(山本豊三)、俊夫(三井正吉)の三人はまだ幼い。子供たちだけで逃げてようやく港に着き、密輸船に密航して家族がいる日本に帰ろうとしていたのだ。なんとか船倉に隠れる子供たち。酔っ払った船員たちが船に戻ってくる。業平(大泉洸)が甲板に倒れている。二の字がこんなところに寝るなと声を掛けると、みんな実の母親を殺した苦しさが分かるかと話し掛けてきた。二の字が驚いて聞き返すと、酔っ払って悪い夢でも見ているかのようだったので、船室に連れて行く。
     出航だ。しばらく経ち沖に出ると、 忍路(谷晃)が、ここからなら一人で大丈夫なので少し寝てくださいと二の字に言う。眠る前に船内をもう一回りする二の字。船倉に懐中電灯を照らす。何も無いと思ったところに、一番幼い俊夫が寝言を言い、見つかってしまった。とりあえずその晩、寝たままにし、翌日船長に報告すると、そんな厄介者はボートに乗せ海に流してしまえと言う。今すぐでは、夢見が悪いので、何とか牛島近くにさせてくれと懇願し、かろうじて認めて貰う二の字。コックのウドは、ウドの大木から渾名がついた役立たずだが、気持ちは優しく、腹がすいた子供たちに心尽くしの食事を振る舞った。
     すると、見張りの五右衛門(大久保正信)がお客さんだと叫んだ。子供たちは、無邪気にこの船を密輸船を取り締まる保安船だと信じ込んだ。二の字は、何とか船長を軟化させようと、子供たちが歌を歌えると聞いて、甲板で酒盛りをしている船員たちの前に立たせた。しかし子供たちが歌う曲は賛美歌だ。初めは手拍子をしていた船員たちも勝手が違い意気消沈した。

    神保町シアターで、川本三郎編昭和映画紀行 観光バスの行かない街
    54年キヌタプロ家城巳代治監督『ともしび(335)』
    とある農村新田村中学校の職員室で、校長(加藤嘉)が、前任の校長だった杉田村長(花澤徳衛)の還暦祝いの胸像の除幕式の段取りを指示している。杉田の孫娘の照子が血縁者として紐を引くのだ。そこに村長と、県議で川村酒造所の社長でもある村一番の有力者の川村(永井智雄)、教育長の戸川(石島房太郎)らとやってきた。ペコペコする校長や、教師たち。校庭に全校生徒が整列している。まず校長の挨拶があり、優秀生徒の表彰がある。川村の息子で3年の茂(河原崎長一郎)が成績優秀で呼ばれる。皆川村さんのご子息は本当に聡明であられますなとおべっかを言っている。次に2年B組の松代(松山梨絵子)が、母を亡くしたが、父親の仕事をよく助けながら、妹を背負って勉強する姿は二宮金次郎のようだと表彰された。村長の挨拶がある。口癖の「やぱし」がやぱし何度も出てくる。いよいよ除幕式だ。照子が紐を引くが布は落ちない、慌てて教師が駆け寄り、直してやり直しだ。生徒全員が息を詰めていると布が落ちる。胸像があまりに村長そっくりだったので、みんな笑い出した。教師たちは、慌てて止めようとするが、なかなか大笑いは止まらない。村長は憮然として校舎に入り、校長たちも着いて行く。
    その頃、仙太(平田洪太)は姉ちゃんのきみ(香川京子)と二人で萱を背負って家に運んでいた。姉ちゃん、学校に行っていいかいという仙太に、きみは今日は半日行事だべ、午後から行けと言う。二人の父親は戦死、母親も亡くなり、祖母と三人で暮らしているが、本家に借金もかなりあって、生活は厳しい。
    生徒たちが2年B組の教室に戻る。とても騒がしい。松熊先生(内藤武敏)が教室に来た。先生も笑っていたよねと言う子供たちを落ち着かせ、授業を始める松熊。

   新宿ピカデリーで、熊澤尚人監督『おとなり(336)』
   古いアパートの隣同士に、野島聡(岡田准一)とフラワーショップで働く登川七緒(麻生久美子)が住んでいる。二人は顔を合わせたことはないが、生活音が全て筒抜けな生活に馴染んでいた。七緒は、野島のコーヒー豆を挽くコーヒーミルの音に、野島はフランス留学の準備でフランス語の練習をする七緒の声や、家にある切り花のために点けている加湿器の水切れのアラーム音に、会話をするように行き交い、独り暮らしの孤独を癒されていた。野島は、かってスタジオマンだったが、大学のボート部の友達だったシンゴがモデルとして大人気になった時に、人間関係に神経質なシンゴのために、事務所の社長の荒木(平田満)から写真集を撮らないかと言われ、カメラマンデビューしたのだ。
    野島は本来風景写真を撮りたかったが、シンゴのカメラマンとして有名になったために、ファッション誌でモデルたちを撮り続ける毎日に嫌気がさしていた。カナダに風景を撮りに行くつもりだったが、親友で彼のお蔭で今があるという引け目からシンゴには言い出せずにいる。最悪なことに、事務所の後輩で付き人の桜井(郭智博)経由でその話を聞いたシンゴは、そのせいか、全く連絡が取れなくなった。社長の荒木は、今進んでいる映画デビューの話が壊れることを恐れ、半年カナダ行きを延ばし、映画のスチールカメラとして付くことを承認してくれれば、カナダでの写真を風景写真集で一流の山と谷出版で、写真集を出してもらうよう動いてやると言う。
    七緒は、フラワーデザイナー1級の試験を目指している。ショップの店長(とよた真帆)やバイトの男の子の山賀(清水優)、定期的にアレンジメントをしに通うコーヒーショップのマスター(森本レオ)なと理解者に囲まれているが、帰りにコンビニで翌日の朝食用にメロンパンと牛乳のバックを買う時に、雑誌棚に、30代女性の生き方と書いてある女性誌に思わず手が延びてしまうように、少しだけ寂しさを感じていた。
    ある日、いつも帰りがけに寄るコンビニの店員の氷室肇(岡田義徳)が、花屋にやって来て、5000円で花束を頼む。話したこともない女性に愛の告白をするのだと言う。その女性の好きな色はと尋ねると、分からないので、七緒の好きな色でいいと言う。こんなことをするとストーカーみたいで気持ち悪がられますかと聞かれて、花束を貰って喜ばない女性はいないと思いますよと七緒。花束のラッピングが終わり、氷室に渡すと、そのまま七緒に手渡し、あなたに差し上げたかったんですと言う氷室。驚く七緒。いつもうちの店に来る度に気になっていたのだと言うのだ
    野島が自宅の暗室で現像をしていると、部屋のチャイムが鳴る。開けてみると、突然若い女が部屋に飛び込んで来て、勝手に部屋中をシンゴ!シンゴ!と探し回る。暗室まで開けられて苦心のプリントも駄目になった。シンゴがいないと分かると、絶対シンゴは聡のところに来るので、この部屋で待たせて貰うと言う。野島は、面食らいながらも訳を尋ねると、女はシンゴの恋人の茜(谷村美月)で妊娠中だという。聡がカナダに行く話を直接しなかったことを知った日から家に帰って来なくなったと言う。なんだか責任を感じた野島は寝室のベッドを茜に譲り、自分はリビングのソファーで眠る。
    翌日、オフィス荒木に行くと、マネージャーの平井由加里(市川実日子)に、シンゴが行きそうな場所を知らないかと尋ねる。由香里は、分からないが、雑誌の表紙の写真を早く決めなければならないが、早くシンゴに自分の気持ちを伝えないと駄目だと言う。シンゴの携帯にメッセージを残し、マンションのインターホンから語り掛けてみるが、反応はない。帰宅すると茜は、部屋を掃除し、串揚げを作っていた
to be continued.


 


0 件のコメント: