シネマヴェーラ渋谷で紀伊國屋書店レーベルを讃える。
58年新東宝中川信夫監督『毒婦高橋お伝(132)』。
明治初年の東京、逃げる女(若杉嘉津子)と追いかける巡査たち。屋敷町の中を走り続け、墓場に逃げ込む。中で追っ手を撒きまんまと出てくる女。ちょうど通りかかった人力車に乗り込み、急いでおくれと車屋をせかし、ほくそ笑む女。どんどん加速し走り続ける車屋。頼んだ方角と違うじゃないかと言っても返事はない。しばらく走り続けた上で停まる。車屋は手拭いを外し、お伝久しぶりじゃねえか、お前は忘れたかもしれねえが前の夫の陣十郎だという車夫(中村彰)。あんた、世が世なら200万石の古賀陣十郎ともあろう男が落ちぶれたもんだ。まあ放蕩三昧で私を泣かせ続けたとんでもない男だから無理もないとお伝。そこに唄を歌いながら子供が通りかかる。お伝覚えてねえか、おみつ。男手一つで育ててきたが、今でも寝ぼけて母ちゃんと夜中に言ったりしている。そのおみつは、今病気で寝込んでいるが医者にかからす金もねえと言う陣十郎に持っていた金を渡すお伝。
数日後、洋装の貴婦人が、宝石商舶来屋を訪れる。ダイヤモンドやサファイアを見せて貰う。ダイヤを下に落し、日よけ傘の先に嵌めこんで盗む。ダイヤが無くなり、店の番頭たちは、店の奥にお伝を連れていく。サイフの中にも、女中が服を脱がせても見つからない。そこに舶来屋の主人大沢伊兵衛(丹波哲郎)が帰ってくる。葉巻をくゆらせながら何も言わない伊兵衛。そこに、巡査並河和馬(明智順三郎)がやってきて、全裸にまでさせるのは行き過ぎだ、自分が責任を持つと言って引き取った。途中まで送った並河は、しかし、日傘の先にダイアモンドが輝くものを発見する。家がすぐ近くなのでせめて着替えだけでもさせてくれと言われ、認める並河だったが、お伝が借りている部屋に引きずり込まれ、寡婦の暮らし向きの厳しさに初めてやったと泣き落しの上、色仕掛けで垂らし込まれ見逃してしまう。
お伝は、夫の待つ家に帰る。夫の高橋浪之助(松本朝夫)は肺病を病み伏せっている。外泊ばかりして不貞を罵りながら、一緒にいてくれと懇願する浪之助。あんたの薬代を稼がなければならないのだからと外出するお伝。並河は、東銀座の警察署にいる。先輩の倉田格之助(舟橋元)が妹の梢(山田美奈子)を連れて来て、今晩は妹が腕によりをかけて御馳走を作ると言うのでうちに来てくれと誘うが、今晩はどうしても駄目だと断る並河。いそいそと、お伝が借りている家に入っていく、若い並河はお伝の虜だ。その様子を窺う男がいる。舶来屋の番頭、長虫の市三(芝田新)だ。
倉田格之助が、古物商の元に宝石泥棒の触れ書きを渡している。見つけたら知らせるようにと言われて肯く主後藤吉蔵(沢井三郎)。しかし、裏に回り、まっとうなことばかりはやっていられないと言う吉蔵は、お伝の持ってきた宝飾品を買い取る。勿論舶来屋から盗んだダイヤモンドも。やはり、店の外には市三が見張っている。
お伝の前に、市三が現れ、古物商の金蔵はみんな吐いたぜと言い、ちょっと来いと伊兵衛のもとに連れていく。伊兵衛は、お伝の手を取り、万引きまどさせておくには惜しい腕だと言う。札束と拳銃をお伝の前に投げる伊兵衛。屋敷の地下牢を見せる吉蔵。中には拐かしてきた娘たちが泣いている。十分な分け前は頂けるんでしょうねとお伝。帰ろうとするお伝を無理やり、手込めにする伊兵衛。
口入屋から肩を落としてきた娘に仕事を世話すると声を掛けるお伝。簪を見ている娘に話しかけるお伝。並河が、お伝が借りている部屋を訪れる。しかし、貸し間という札が下がっていて、大家に数日前に引っ越しましたよと言われ、肩を落とす並河。下宿に戻ると、梢が待っている。自分には思う人がいるので諦めてくれと言う並河。
しばらく後、並河が巡回していると、逃げてくるお伝。追いかけてきた同僚たちに、こっちには来なかったと庇ってしまう。結局、舟宿舟忠に入る二人。もう、お伝から離れられない並河。
雨の中、お伝が陣十郎と会った神社に現れる。陣十郎は、おみつが重病なので、金を無心する。一度会わせてくれというお伝に、ようやく母親を忘れた娘に会わせるわけにはいかないと言う。去る陣十郎を涙で見送るお伝。お伝からの金で酔っ払って家に帰り、お腹が空いたというおみつに、酒を買いに行かせる陣十郎。市三は、陣十郎の部屋まで尾行している。
市三に教えられ、おみつの元に行くお伝。隣の老婆が、ほとんど帰らない父親と二人で可哀そうな娘だと言う。お伝は、おみつに人形を渡し、老婆に金を渡し、陣十郎に内緒で、おみつに食べさせてやってくれと頭を下げる。
久し振りにお伝が、帰宅すると夫の浪之助は荒れ狂う。日本刀を抜き、斬ってやるというが、吐血して倒れる浪之助。困ったお伝に、知り合いの箱根の温泉に連れて行って湯治させるのがいいと言う吉蔵。駕籠に乗せ、箱根に向かう、浪之助と市三。しかし、六郷の渡し場まで来ると湯治用の金を奪った上、刺殺して川に死体を流す。市三は戻ると、お前の望みどおり浪之助を始末してやったぜと言う。怒るお伝と揉み合になる吉蔵。銃声がして吉蔵は倒れる。伊兵衛が拳銃を握っている。
市三の死体を川に捨てる伊兵衛とお伝。そこに警ら中の並河が通りかかる。逃げ出すお伝を捕まえて驚く並河。お前は人殺しまでしたのかと言い、捕縛して連行する並河。急に座り込み、さしこみなのでどこかで休ませてくれと言うお伝。結局、舟宿みよしに二人の姿がある。浅川の子を身ごもっている。子供がかわいそうなので一緒に逃げてくれと言うお伝。翌朝、並河が目覚めるとお伝はいない。簪と、妊娠しているというんは嘘だと告白し、謝罪する手紙が残されていた。
倉田格之助と梢が並河の下宿に来ている。講道館の試験もあるし、生活を改めろと迫る倉田に、放って置いてくれと言って部屋を出る並河。梢は、外まで追いかけ、いつまでもお待ちしていますと言う。お伝は、再びおみつの元に行く。しかし三日前亡くなったと言う。陣十郎はもう長いこと帰ってないという。泣き崩れるお伝。
1年後、横浜に金獅子感という外人向けの高級カジノがある。そこでお伝はマダムになっていた。伊兵衛がやってくる。二人は本拠地を横浜に移していた。お伝の背中には、夜叉の刺青がある。その頃、横浜署に倉田が来ている。行方不明の並河と、並河を追って姿を消した梢を、横浜で見かけたという話を聞き、探したいと署長に言う倉田。このあたりは、治外法権的な場所も多いので気をつけるようにと言う署長。その時署内で大騒ぎが起きる。酒に酔って暴れている男がいる。並河だ。
また、お伝の元夫の陣十郎も、横浜でお伝が儲けているらしいと聞いて金獅子館にやってくる。陣十郎を唆して、伊兵衛を殺させようとする、揉み合いになった二人を、拳銃で殺す。並河は、お伝を求めて金獅子館にやってくる。地下に降り、何とかお伝に迫るが、伊兵衛の貯めた金にしか興味はないと言って突き飛ばされ、ランプが倒れ炎が上がる。近くに、牢があり、女たちが閉じ込められている。その中には梢の姿もあり、扉を壊し、逃がす並河。金を包んだ風呂敷包みを抱えたお伝は、しかし倉田に取り押さえられる。倉田のサーベルを抜き自殺しようとするところを取り押さえられた。横浜から新橋に向かう陸蒸気の中に、梢と並び座っている虚ろな表情の並河。視線の先に、倉田に捕縛されたお伝の姿がある。
毒婦・・・。
70年クロード・シャルブル監督『肉屋(133)』
フランスの小さな田舎町トレモラ、エレーヌ(ステフィーヌ・オードラン)は、同僚レオンの結婚式で、肉屋の主人をしているポポール(ジャン・ヤンル)と親しくなった。ポポールは、父親が嫌いで、15歳から軍隊に入り10年以上軍隊にいた。アルジェリア、インドシナ・・。父親が亡くなり肉屋を継ぐために故郷に戻ってきていたのだ。若くして美しいエレーヌは10年前にこの小学校に来て、3年前から校長をしている。結婚式の帰りにいい肉が入ったら持って行っていいかと尋ね、その日子羊の足を持って学校に現れるポポール。その日の夕食をエレーヌは誘い、二人は急速に親しくなる。
しかし、小さな町は、警察の車両が走り回り、騒がしくなる。レオンの結婚式にも列席していた少女が、カンタルベールの森の中で、惨殺死体として発見されたのだ。エレーヌはポポーロを誘って、学校の裏の丘にキノコ採りに出かける。そこで、エレーヌは、10年前に辛い別れがあり、そのためにこの村にやってきた。それから傷つくことが、新しい恋が出来ないのだと言う。誕生日プレゼントとしてポポーロにライターをプレゼントするエレーヌ。
数日後、エレーヌは生徒たちを連れて洞窟に見学に行く。そのあと、休憩をしようとした山で、結婚したばかりのレオンの新妻が殺されているのを発見する。殺害現場に自分がポポーロに渡したライターが落ちていてショックを受けるエレーヌ。郡警察の刑事が、事情聴取に現れ、エレーヌと生徒たちに、何か気が付いた事はなかったかと尋ねる。全く犯人の検討がつかなく刑事もいらだっている。結局エレーヌは、ライターのことを話さなかった。引出しにライターをしまうエレーヌ。夜ポポールがやってくる。死体を発見したと聞いたが大変だったろうと慰めるが、怯えるエレーヌ。涙を流すエレーヌ。疲れているだろうから僕は帰ると言って、ポポールは煙草を出してライターで火をつける。私のライター?そうだよ、よく火が付くから手放せないんだというポポール。エレーヌの涙はうれし泣きに変わり、もうしばらく一緒にいてくれと言うエレーヌ。
疑惑は晴れ、再び二人の交際は続いた。殺された新婦の葬儀に雨の中参列する二人。刑事が寄ってきて、折り畳みナイフが兇器だったことが分かっただけで、全く手掛かりがなく迷宮入りしそうだと嘆く。殺人現場を見てしまったエレーヌの気持ちを和らげるためにエレーヌの部屋の天井のペンキを塗り替えをし始めるポポール。ある日、エレーヌの外出の間、苦手な算数を教えて貰っている学級委員の?とふたり留守番で、脚立に乗りペンキ塗りをするポポール。ペンキをこぼしてしまい、ベンジンと布の場所を探すポポール。学級委員から布はそこの引き出しに入っていると教えられ、引き出しの中にライターを見つけるポポール。ポケットの中に入れるポポール。そして、エレーヌが帰ってくると、ペンキを乾かさなければならないからと帰って行った。エレーヌが、煙草を吸おうとライターを探すと、引き出しには無くなっている。誰か引出しを開けた?と聞くと、布を探してポポールさんがという返事に再び寂しい目になるエレーヌ。
夜、不安になり、学校の全ての扉や窓の鍵を閉めまくるエレーヌ。しかし、ポポールが外から声を掛ける。具合が悪いので帰ってくれというエレーヌに、今晩中に話がしたいんだと言うポポール。断ったが、教室の裏口からポポールが入ってきた。一瞬教室が暗くなる。自分の腹に折り畳みナイフを刺したポポーロの姿がある。2CVの助手席に瀕死のポポールを乗せ、病院へと向かうエレーヌ。
ステフィーヌ・オードランの美しさ。ロンパリ気味の灰青色の眸と、薄い唇と、ブロンドのショートカット。静かな悲しみを湛えた表情と、10年ぶりの恋心に華やいだ表情との微妙だが、非常に対照的な表情。サスペンスだが、哀しいラブストーリーだ。
ユーロスペースで、園子温監督『愛のむきだし(134)』。
本田ユウ(西島隆弘)は小学生時代に母親(中村麻美)を亡くす。クリスチャンだった母は、マリア様のような結婚相手を見つけて紹介してと言っていた。父親のテツ(渡部篤郎)は、妻の死後、聖書の勉強をしてクリスチャンから神父になった。父は、ユウに毎日厳しくその日犯した罪を告白し、懺悔を強いた。次第に懺悔し、主と父から許されるために、悪い事をするようになるユウ。
不良達の仲間になり、万引きや喧嘩をするようになるユウ。ある時不良仲間から姦淫こそが、一番神父を怒らせるだろうから、パンチラマスターに弟子入りし、パンチラの腕を磨く。しかし、そんなユウの行動をチェックし、教会や家庭を盗聴する怪しげな女コイケ(安藤サクラ)たちがいる。
ある日教会に現れた派手な身なりの女カオル(渡辺真起子)が、教会に通いつめた末、テツに激しく迫り、一線を越えてしまってからテツは変わっていく。しかしカオルは一向に結婚しない(神父を辞めない)テツに愛想を尽かす。ユウのパンチラは神業になり、不良仲間が弟子入りし、チームとして活動するように。週に一度各自がベストショットを競っていたが、ある時、初めてユウは負け、女装して街で、好みの女の子に声を掛けてキスをするという罰ゲームとなった。女囚さそり風のファッションが、割と似合ってその気になったユウ。目の前で、女子高生が沢山の不良たちに囲まれている場面に遭遇。助けに出ようとするが、娘もとても強い、ユウと二人で、大勢の不良たちをバッタバッタとなぎ倒す。お互いに非常に魅かれあう二人。
不良グループをやっつけ、ヨーコ(満島ヒカリ)に名を聞かれ、さそりと答えてしまうユウ。かわいいわねと言ってヨーコにキスをするユウ。今まで、ユウは宗教的な抑圧から男性器が勃起したことはなかったが、その日からヨーコの事を考えると勃起が治まらなくなってしまう。一方ヨーコも、女たらしで、何度も母親を変える父親のもとで育ち、近親相姦さえ、されそうになったこともあり、男性に対して激しい憎悪を抱いて育った。最後に父親が連れてきたのがカオルで、まるだしの愛に生きるカオルとは何故か馬があい、昔の男を忘れられないと言うカオルに付いて父親を捨てて出て来たのだ。カオルからはレスビアンは変態だと言われるが、さそりのことを想うと胸が熱くなり眠れないヨーコ。
翌日転校生としてヨーコがユウのクラスにやってくる。ユウはヨーコが気になってしょうがないが、ヨーコにはユウがさそりだとわからない。ジロジロ自分を見るユウに虫唾が走る。しかたなしに、ユウは再び女装し、さそりとしてヨーコの前に現れる。さそりに会えたことでヨーコは大喜びだ。別れ際に携帯番号を渡すユウ。その夜、テツは会って欲しいと言ってユウを夕食に誘っていた。ユウの悪い予感の通りカオルが現れる。しかし、カオルの娘としてヨーコが来たのには驚く。ヨーコもカオルが結婚することは認めたが、まさか同じクラスの気持ち悪い男が家族になるのは耐えられない。席を外し、トイレでさそりの携帯に電話をするヨーコ。慌てて自分も男子トイレに行って、たぶんその男は、あなたが家族になることを知っていて、学校でも気になっていたんじゃないか、兄と認める努力をしたらどうかと諭すユウ。それから、ヨーコは毛嫌いする気持ちを押し隠してユウを兄として接するようになる。
隣の部屋で、ヨーコのことを考えると勃起してしまうが、電話では、さそりとしてヨーコの相談相手になるユウ。しかし、ユウの周囲を徘徊するコイケの陰謀は徐々に姿を現す。コイケは、ゼロ教会という新興宗教の地区責任者をしている。ゼロ教会は、洗脳で狂信的な信者を作り、集金マシンとして社会問題になっている。コイケは、父親(板尾創路)から家庭内暴力を受けて育ち、クラスメイトの男子を刺殺し少年院に入り、その後父親が脳溢血で倒れた際も、父親の男性器を切除している。コイケがユウとヨーコのクラスに転校してくる。そこに、ヨーコの指示で、さそりに復讐すると不良学生が現れる。コイケは彼らを叩きのめし、ヨーコに自分はさそりだと告白する。初めての出会いや、さそりとヨーコしか知らないことを知っているコイケをさそりだと信じるヨーコ。次第に、コイケはユウの家族に入り込んでくる。まずは、ヨーコの家庭教師として、次に、テツとカオリたちとも親しくなり、カオリとの結婚が教会によって認められずに悩んでいたテツもコイケを信奉し始める。
ある日、コイケはヨーコやテツ、カオリに、ユウの盗撮とヨーコの下着を盗んだことをばらし、一気に家庭内で孤立させる。また学校でも教室内にユウが撮ったパンチラ写真をばら撒くことで退学に追い込んだ。ヨーコへの思いに苦悩するユウは、さそりの姿でヨーコの前に現れ、自分がさそりだったと告白するが、ヨーコは激しく否定し走り去った。居場所の無くなったユウを不良仲間は支えてくれた。しかし暫くして家に戻ると、家族は失踪している。コイケたちゼロ教会からヨーコに会いたいなら、あるAVメーカーのオーディションを受け、活動するように指示され、従うユウ。変態は、性欲ではなく原罪だと言うユウは、そこに来ていた変態やAVメーカーの人間を感動させる。それから盗撮ビデオを撮り続けることになるユウ。
変態さん集合というイベントに変態神父として出演し、参加者の懺悔を聞くユウ。そこに、仲間たちが今、ニュースでゼロ教会が報道されていてヨーコが映っているという。確かに報道陣に囲まれて、ゼロ教会には何のやましいところはないと言う信者たちの中にヨーコの姿がある。コイケのアシスタントの女二人がイベント会場に、ポータブルの受像機を持ってきてヨーコと会話をさせる。しかし、ユウと不良仲間は、ヨーコを拉致し、海辺に放置されたマイクロバスの中にヨーコを監禁する。食事も取らず、ヨーコと二人きりで数日過ごす。しかし、ゼロ教会に発見され、袋叩きにされながらも、ヨーコの股間を見ると勃起してしまうユウに、コイケはヨーコにこの汚らわしいものを切り取れとナイフを渡す。怯えるヨーコ、。結局、ユウは、ゼロ教会の研修に参加することを承諾する。
模範的な信者を演じ続けるユウ。ヨーコの股間を見ても勃起するかしないかが、何故か信仰心の基準だ(苦笑)。富士の合宿に参加することを認められる。そこで、ヨーコが本部の6Fにいることを知る。いよいよユウは、コイケたち、ゼロ教会との戦いを決意する。変態さんの一人で爆弾を作ったと懺悔した男から爆弾を受け取り、不良仲間に刀やナイフを集めて貰い、ゼロ教会本部に単身乗り込むユウ。教祖を刺殺し、本部内を探し回った末、テツ、カオル、ヨーコと、コイケが炬燵を囲んで、幸せそうに鍋を食べているところを見つける。襲いかかってきたボディーガードを斬るユウ。テツたちが取り押さえようとする。コイケが、ボディガードを下げさせる。コイケはユウに最後のとどめをさそうとしたのかもしれないが、ユウは、爆弾のスイッチを押す。ゼロ教会本部のビルは激しく揺れる。大混乱の中、コイケはユウが持ってきた日本刀で自殺する。
精神病院のレクリエーションルームに、さそりの扮装をしたユウの姿がある。ユウは、自分がさそりだと思い込んでいる。テツとカオルはゼロ教会被害者の会のリハビリ合宿に参加、ヨーコは親類の家に預けられている。そこの娘の交流の中で、心の安らぎを取り戻していくヨーコ。ヨーコはユウのいる病院に行く。ヨーコのことが分からないユウ。あなたはさそりではなくユウだ。私はレスビアンではなかった。さそりを愛していたんではなく、ユウを愛していたことを気が付いたのだと言う。ユウはとても動揺し、ヨーコは病院の警備員に捕まり、警官に引き渡される。パトカーで連行されるヨーコ。しかし、ユウはヨーコのこと、ヨーコを愛している自分のことを思い出す。病院の人間たちに追いかけられながらも、パトカーを追って走り続けるユウ。ヨーコは追ってくるユウに気が付き、警官の首を絞め停止させる。パトカーの窓ガラスをユウは割って(苦笑)、手を差し出すユウ、その手を握るヨーコ。
58年新東宝中川信夫監督『毒婦高橋お伝(132)』
明治初年の東京、逃げる女(若杉嘉津子)と追いかける巡査たち。屋敷町の中を走り続け、墓場に逃げ込む。中で追っ手を撒きまんまと出てくる女。ちょうど通りかかった人力車に乗り込み、急いでおくれと車屋をせかし、ほくそ笑む女。どんどん加速し走り続ける車屋。頼んだ方角と違うじゃないかと言っても返事はない。しばらく走り続けた上で停まる。車屋は手拭いを外し、お伝久しぶりじゃねえか、お前は忘れたかもしれねえが前の夫の陣十郎だという車夫(中村彰)。あんた、世が世なら200万石の古賀陣十郎ともあろう男が落ちぶれたもんだ。まあ放蕩三昧で私を泣かせ続けたとんでもない男だから無理もないとお伝。そこに唄を歌いながら子供が通りかかる。お伝覚えてねえか、おみつ。男手一つで育ててきたが、今でも寝ぼけて母ちゃんと夜中に言ったりしている。そのおみつは、今病気で寝込んでいるが医者にかからす金もねえと言う陣十郎に持っていた金を渡すお伝。
数日後、洋装の貴婦人が、宝石商舶来屋を訪れる。ダイヤモンドやサファイアを見せて貰う。ダイヤを下に落し、日よけ傘の先に嵌めこんで盗む。ダイヤが無くなり、店の番頭たちは、店の奥にお伝を連れていく。サイフの中にも、女中が服を脱がせても見つからない。そこに舶来屋の主人大沢伊兵衛(丹波哲郎)が帰ってくる。葉巻をくゆらせながら何も言わない伊兵衛。そこに、巡査並河和馬(明智順三郎)がやってきて、全裸にまでさせるのは行き過ぎだ、自分が責任を持つと言って引き取った。途中まで送った並河は、しかし、日傘の先にダイアモンドが輝くものを発見する。家がすぐ近くなのでせめて着替えだけでもさせてくれと言われ、認める並河だったが、お伝が借りている部屋に引きずり込まれ、寡婦の暮らし向きの厳しさに初めてやったと泣き落しの上、色仕掛けで垂らし込まれ見逃してしまう。
お伝は、夫の待つ家に帰る。夫の高橋浪之助(松本朝夫)は肺病を病み伏せっている。外泊ばかりして不貞を罵りながら、一緒にいてくれと懇願する浪之助。あんたの薬代を稼がなければならないのだからと外出するお伝。並河は、東銀座の警察署にいる。先輩の倉田格之助(舟橋元)が妹の梢(山田美奈子)を連れて来て、今晩は妹が腕によりをかけて御馳走を作ると言うのでうちに来てくれと誘うが、今晩はどうしても駄目だと断る並河。いそいそと、お伝が借りている家に入っていく、若い並河はお伝の虜だ。その様子を窺う男がいる。舶来屋の番頭、長虫の市三(芝田新)だ。
倉田格之助が、古物商の元に宝石泥棒の触れ書きを渡している。見つけたら知らせるようにと言われて肯く主後藤吉蔵(沢井三郎)。しかし、裏に回り、まっとうなことばかりはやっていられないと言う吉蔵は、お伝の持ってきた宝飾品を買い取る。勿論舶来屋から盗んだダイヤモンドも。やはり、店の外には市三が見張っている。
お伝の前に、市三が現れ、古物商の金蔵はみんな吐いたぜと言い、ちょっと来いと伊兵衛のもとに連れていく。伊兵衛は、お伝の手を取り、万引きまどさせておくには惜しい腕だと言う。札束と拳銃をお伝の前に投げる伊兵衛。屋敷の地下牢を見せる吉蔵。中には拐かしてきた娘たちが泣いている。十分な分け前は頂けるんでしょうねとお伝。帰ろうとするお伝を無理やり、手込めにする伊兵衛。
口入屋から肩を落としてきた娘に仕事を世話すると声を掛けるお伝。簪を見ている娘に話しかけるお伝。並河が、お伝が借りている部屋を訪れる。しかし、貸し間という札が下がっていて、大家に数日前に引っ越しましたよと言われ、肩を落とす並河。下宿に戻ると、梢が待っている。自分には思う人がいるので諦めてくれと言う並河。
しばらく後、並河が巡回していると、逃げてくるお伝。追いかけてきた同僚たちに、こっちには来なかったと庇ってしまう。結局、舟宿舟忠に入る二人。もう、お伝から離れられない並河。
雨の中、お伝が陣十郎と会った神社に現れる。陣十郎は、おみつが重病なので、金を無心する。一度会わせてくれというお伝に、ようやく母親を忘れた娘に会わせるわけにはいかないと言う。去る陣十郎を涙で見送るお伝。お伝からの金で酔っ払って家に帰り、お腹が空いたというおみつに、酒を買いに行かせる陣十郎。市三は、陣十郎の部屋まで尾行している。
市三に教えられ、おみつの元に行くお伝。隣の老婆が、ほとんど帰らない父親と二人で可哀そうな娘だと言う。お伝は、おみつに人形を渡し、老婆に金を渡し、陣十郎に内緒で、おみつに食べさせてやってくれと頭を下げる。
久し振りにお伝が、帰宅すると夫の浪之助は荒れ狂う。日本刀を抜き、斬ってやるというが、吐血して倒れる浪之助。困ったお伝に、知り合いの箱根の温泉に連れて行って湯治させるのがいいと言う吉蔵。駕籠に乗せ、箱根に向かう、浪之助と市三。しかし、六郷の渡し場まで来ると湯治用の金を奪った上、刺殺して川に死体を流す。市三は戻ると、お前の望みどおり浪之助を始末してやったぜと言う。怒るお伝と揉み合になる吉蔵。銃声がして吉蔵は倒れる。伊兵衛が拳銃を握っている。
市三の死体を川に捨てる伊兵衛とお伝。そこに警ら中の並河が通りかかる。逃げ出すお伝を捕まえて驚く並河。お前は人殺しまでしたのかと言い、捕縛して連行する並河。急に座り込み、さしこみなのでどこかで休ませてくれと言うお伝。結局、舟宿みよしに二人の姿がある。浅川の子を身ごもっている。子供がかわいそうなので一緒に逃げてくれと言うお伝。翌朝、並河が目覚めるとお伝はいない。簪と、妊娠しているというんは嘘だと告白し、謝罪する手紙が残されていた。
倉田格之助と梢が並河の下宿に来ている。講道館の試験もあるし、生活を改めろと迫る倉田に、放って置いてくれと言って部屋を出る並河。梢は、外まで追いかけ、いつまでもお待ちしていますと言う。お伝は、再びおみつの元に行く。しかし三日前亡くなったと言う。陣十郎はもう長いこと帰ってないという。泣き崩れるお伝。
1年後、横浜に金獅子感という外人向けの高級カジノがある。そこでお伝はマダムになっていた。伊兵衛がやってくる。二人は本拠地を横浜に移していた。お伝の背中には、夜叉の刺青がある。その頃、横浜署に倉田が来ている。行方不明の並河と、並河を追って姿を消した梢を、横浜で見かけたという話を聞き、探したいと署長に言う倉田。このあたりは、治外法権的な場所も多いので気をつけるようにと言う署長。その時署内で大騒ぎが起きる。酒に酔って暴れている男がいる。並河だ。
また、お伝の元夫の陣十郎も、横浜でお伝が儲けているらしいと聞いて金獅子館にやってくる。陣十郎を唆して、伊兵衛を殺させようとする、揉み合いになった二人を、拳銃で殺す。並河は、お伝を求めて金獅子館にやってくる。地下に降り、何とかお伝に迫るが、伊兵衛の貯めた金にしか興味はないと言って突き飛ばされ、ランプが倒れ炎が上がる。近くに、牢があり、女たちが閉じ込められている。その中には梢の姿もあり、扉を壊し、逃がす並河。金を包んだ風呂敷包みを抱えたお伝は、しかし倉田に取り押さえられる。倉田のサーベルを抜き自殺しようとするところを取り押さえられた。横浜から新橋に向かう陸蒸気の中に、梢と並び座っている虚ろな表情の並河。視線の先に、倉田に捕縛されたお伝の姿がある。
毒婦・・・。
70年クロード・シャルブル監督『肉屋(133)』
フランスの小さな田舎町トレモラ、エレーヌ(ステフィーヌ・オードラン)
しかし、小さな町は、警察の車両が走り回り、騒がしくなる。レオンの結婚式にも列席していた少女が、カンタルベールの森の中で、惨殺死体として発見されたのだ。エレーヌはポポーロを誘って、学校の裏の丘にキノコ採りに出かける。そこで、エレーヌは、10年前に辛い別れがあり、そのためにこの村にやってきた。それから傷つくことが、新しい恋が出来ないのだと言う。誕生日プレゼントとしてポポーロにライターをプレゼントするエレーヌ。
数日後、エレーヌは生徒たちを連れて洞窟に見学に行く。そのあと、休憩をしようとした山で、結婚したばかりのレオンの新妻が殺されているのを発見する。殺害現場に自分がポポーロに渡したライターが落ちていてショックを受けるエレーヌ。郡警察の刑事が、事情聴取に現れ、エレーヌと生徒たちに、何か気が付いた事はなかったかと尋ねる。全く犯人の検討がつかなく刑事もいらだっている。結局エレーヌは、ライターのことを話さなかった。引出しにライターをしまうエレーヌ。夜ポポールがやってくる。死体を発見したと聞いたが大変だったろうと慰めるが、怯えるエレーヌ。涙を流すエレーヌ。疲れているだろうから僕は帰ると言って、ポポールは煙草を出してライターで火をつける。私のライター?そうだよ、よく火が付くから手放せないんだというポポール。エレーヌの涙はうれし泣きに変わり、もうしばらく一緒にいてくれと言うエレーヌ。
疑惑は晴れ、再び二人の交際は続いた。殺された新婦の葬儀に雨の中参列する二人。刑事が寄ってきて、折り畳みナイフが兇器だったことが分かっただけで、全く手掛かりがなく迷宮入りしそうだと嘆く。殺人現場を見てしまったエレーヌの気持ちを和らげるためにエレーヌの部屋の天井のペンキを塗り替えをし始めるポポール。ある日、エレーヌの外出の間、苦手な算数を教えて貰っている学級委員の?とふたり留守番で、脚立に乗りペンキ塗りをするポポール。ペンキをこぼしてしまい、ベンジンと布の場所を探すポポール。学級委員から布はそこの引き出しに入っていると教えられ、引き出しの中にライターを見つけるポポール。ポケットの中に入れるポポール。そして、エレーヌが帰ってくると、ペンキを乾かさなければならないからと帰って行った。エレーヌが、煙草を吸おうとライターを探すと、引き出しには無くなっている。誰か引出しを開けた?と聞くと、布を探してポポールさんがという返事に再び寂しい目になるエレーヌ。
夜、不安になり、学校の全ての扉や窓の鍵を閉めまくるエレーヌ。しかし、ポポールが外から声を掛ける。具合が悪いので帰ってくれというエレーヌに、今晩中に話がしたいんだと言うポポール。断ったが、教室の裏口からポポールが入ってきた。一瞬教室が暗くなる。自分の腹に折り畳みナイフを刺したポポーロの姿がある。2CVの助手席に瀕死のポポールを乗せ、病院へと向かうエレーヌ。
ステフィーヌ・オードランの美しさ。ロンパリ気味の灰青色の眸と、薄い唇と、ブロンドのショートカット。静かな悲しみを湛えた表情と、10年ぶりの恋心に華やいだ表情との微妙だが、非常に対照的な表情。サスペンスだが、哀しいラブストーリーだ。
ユーロスペースで、園子温監督『愛のむきだし(134)』
本田ユウ(西島隆弘)は小学生時代に母親(中村麻美)を亡くす。クリスチャンだった母は、
不良達の仲間になり、
ある日教会に現れた派手な身なりの女カオル(渡辺真起子)が、教会に通いつめた末、テツに激しく迫り、
不良グループをやっつけ、ヨーコ(満島ヒカリ)に名を聞かれ、さそりと答えてしまうユウ。かわいいわねと言ってヨーコにキスをするユウ。今まで、ユウは宗教的な抑圧から男性器が勃起したことはなかったが、その日からヨーコの事を考えると勃起が治まらなくなってしまう。一方ヨーコも、女たらしで、何度も母親を変える父親のもとで育ち、近親相姦さえ、されそうになったこともあり、男性に対して激しい憎悪を抱いて育った。最後に父親が連れてきたのがカオルで、まるだしの愛に生きるカオルとは何故か馬があい、昔の男を忘れられないと言うカオルに付いて父親を捨てて出て来たのだ。カオルからはレスビアンは変態だと言われるが、さそりのことを想うと胸が熱くなり眠れないヨーコ。
翌日転校生としてヨーコがユウのクラスにやってくる。ユウはヨーコが気になってしょうがないが、ヨーコにはユウがさそりだとわからない。ジロジロ自分を見るユウに虫唾が走る。しかたなしに、ユウは再び女装し、さそりとしてヨーコの前に現れる。さそりに会えたことでヨーコは大喜びだ。別れ際に携帯番号を渡すユウ。その夜、テツは会って欲しいと言ってユウを夕食に誘っていた。ユウの悪い予感の通りカオルが現れる。しかし、カオルの娘としてヨーコが来たのには驚く。ヨーコもカオルが結婚することは認めたが、まさか同じクラスの気持ち悪い男が家族になるのは耐えられない。席を外し、トイレでさそりの携帯に電話をするヨーコ。慌てて自分も男子トイレに行って、たぶんその男は、あなたが家族になることを知っていて、学校でも気になっていたんじゃないか、兄と認める努力をしたらどうかと諭すユウ。それから、ヨーコは毛嫌いする気持ちを押し隠してユウを兄として接するようになる。
隣の部屋で、ヨーコのことを考えると勃起してしまうが、電話では、さそりとしてヨーコの相談相手になるユウ。しかし、ユウの周囲を徘徊するコイケの陰謀は徐々に姿を現す。コイケは、ゼロ教会という新興宗教の地区責任者をしている。ゼロ教会は、洗脳で狂信的な信者を作り、集金マシンとして社会問題になっている。コイケは、父親(板尾創路)から家庭内暴力を受けて育ち、クラスメイトの男子を刺殺し少年院に入り、その後父親が脳溢血で倒れた際も、父親の男性器を切除している。コイケがユウとヨーコのクラスに転校してくる。そこに、ヨーコの指示で、さそりに復讐すると不良学生が現れる。コイケは彼らを叩きのめし、ヨーコに自分はさそりだと告白する。初めての出会いや、さそりとヨーコしか知らないことを知っているコイケをさそりだと信じるヨーコ。次第に、コイケはユウの家族に入り込んでくる。まずは、ヨーコの家庭教師として、次に、テツとカオリたちとも親しくなり、カオリとの結婚が教会によって認められずに悩んでいたテツもコイケを信奉し始める。
ある日、コイケはヨーコやテツ、カオリに、ユウの盗撮とヨーコの下着を盗んだことをばらし、一気に家庭内で孤立させる。また学校でも教室内にユウが撮ったパンチラ写真をばら撒くことで退学に追い込んだ。ヨーコへの思いに苦悩するユウは、さそりの姿でヨーコの前に現れ、自分がさそりだったと告白するが、ヨーコは激しく否定し走り去った。居場所の無くなったユウを不良仲間は支えてくれた。しかし暫くして家に戻ると、家族は失踪している。コイケたちゼロ教会からヨーコに会いたいなら、あるAVメーカーのオーディションを受け、活動するように指示され、従うユウ。変態は、性欲ではなく原罪だと言うユウは、そこに来ていた変態やAVメーカーの人間を感動させる。それから盗撮ビデオを撮り続けることになるユウ。
変態さん集合というイベントに変態神父として出演し、参加者の懺悔を聞くユウ。そこに、仲間たちが今、ニュースでゼロ教会が報道されていてヨーコが映っているという。確かに報道陣に囲まれて、ゼロ教会には何のやましいところはないと言う信者たちの中にヨーコの姿がある。コイケのアシスタントの女二人がイベント会場に、ポータブルの受像機を持ってきてヨーコと会話をさせる。しかし、ユウと不良仲間は、ヨーコを拉致し、海辺に放置されたマイクロバスの中にヨーコを監禁する。食事も取らず、ヨーコと二人きりで数日過ごす。しかし、ゼロ教会に発見され、袋叩きにされながらも、ヨーコの股間を見ると勃起してしまうユウに、コイケはヨーコにこの汚らわしいものを切り取れとナイフを渡す。怯えるヨーコ、。結局、ユウは、ゼロ教会の研修に参加することを承諾する。
模範的な信者を演じ続けるユウ。ヨーコの股間を見ても勃起するかしないかが、何故か信仰心の基準だ(苦笑)。富士の合宿に参加することを認められる。そこで、ヨーコが本部の6Fにいることを知る。いよいよユウは、コイケたち、ゼロ教会との戦いを決意する。変態さんの一人で爆弾を作ったと懺悔した男から爆弾を受け取り、不良仲間に刀やナイフを集めて貰い、ゼロ教会本部に単身乗り込むユウ。教祖を刺殺し、本部内を探し回った末、テツ、カオル、ヨーコと、コイケが炬燵を囲んで、幸せそうに鍋を食べているところを見つける。襲いかかってきたボディーガードを斬るユウ。テツたちが取り押さえようとする。コイケが、ボディガードを下げさせる。コイケはユウに最後のとどめをさそうとしたのかもしれないが、ユウは、爆弾のスイッチを押す。ゼロ教会本部のビルは激しく揺れる。大混乱の中、コイケはユウが持ってきた日本刀で自殺する。
精神病院のレクリエーションルームに、さそりの扮装をしたユウの姿がある。ユウは、自分がさそりだと思い込んでいる。テツとカオルはゼロ教会被害者の会のリハビリ合宿に参加、ヨーコは親類の家に預けられている。そこの娘の交流の中で、心の安らぎを取り戻していくヨーコ。ヨーコはユウのいる病院に行く。ヨーコのことが分からないユウ。あなたはさそりではなくユウだ。私はレスビアンではなかった。さそりを愛していたんではなく、ユウを愛していたことを気が付いたのだと言う。ユウはとても動揺し、ヨーコは病院の警備員に捕まり、警官に引き渡される。パトカーで連行されるヨーコ。しかし、ユウはヨーコのこと、ヨーコを愛している自分のことを思い出す。病院の人間たちに追いかけられながらも、パトカーを追って走り続けるユウ。ヨーコは追ってくるユウに気が付き、警官の首を絞め停止させる。パトカーの窓ガラスをユウは割って(苦笑)、手を差し出すユウ、その手を握るヨーコ。
4時間弱の尺。うーん評価は分かれるところかもしれないな。ずっと手持ちのカメラで、主観的に被写体の役者を追っているので、登場人物の気持ちとかに入り込める時は凄くいいが、ちょっと説明的な構図になると途端に、テレビの再現ドラマか、深夜ドラマのテンションに落ちてしまう。決して上手くない若手や異常に多いカメオ出演の素人のところは、少しキツい。逆にそうした緩いシーンも相当あるので、観る側も、長丁場を乗り切れるのかもしれない。ただ、自分は、その波の大きさを楽しめたとは言えない。正直なところ、そうしたシーンをカットした方が遥かにスピード感あって爽快だった気もする。しかし、音楽やテロップでチャンネルを変えさせないようにしないと耐えられない現テレビ世代には、この緩さがちょうどいいかもしれない。
ただ、洋子役の満島ひかりの、痛いくらいの捨て身の熱演は、よかった。NHKの朝の連続テレビ小説での榮倉奈々のダンス仲間と言う意識しかなかったが、日本版ジャクソン5のFOLDER5のメンバーだったのか。浦山桐郎のような星一徹タイプのドS監督にもっといたぶって欲しい。安藤さくらと渡辺真起子は、演じている方の気持ちよさに、そのまま付いていく演出が、自分はあまり楽しめなかった。渡部篤郎は、自然体の演技過ぎて何かカメラとの微妙なズレが気になり続けた。ユウ役西島隆弘は、アイドル映画の主人公だな。
ただ、洋子役の満島ひかり
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