2009年1月20日火曜日

女は男のふるさとかあ・・。

    午前中は赤坂でメンタルクリニック。独身美人OLに差し入れに行くと風邪で休んでいた。元同僚とお好み焼きを食べ、少し胸焼けしつつ、渋谷へ。
渋谷シネマヴェーラで森崎東の現在
  71年松竹大船森崎東監督『喜劇・女は男のふるさとョ(26)』。満員の山手線の中で大学生(佐藤蛾次郎)が痴漢をしようと手を伸ばす。触られた女性は大声で「学生さん、せっかくやから、もっとよう触り~」と言う。乗客みなが大笑いの中恥ずかしそうな大学生。
   新宿芸能社は、しっかりものの金沢竜子(中村メイ子)と、ちょっと軽薄で朝トルコが日課の父さん(森繁久彌)が、ストリッパーの派遣業を家族的に経営している。ストリッパーたちは、金沢夫婦をお父さんお母さんと慕っている。山手線の中にいた女笠子(倍賞美津子)が7年振りに帰ってきた。彼女もムササビの笠子またの名をアンジェラと言うストリッパーだ。笠子は帰るなり、結婚したいと言い出す。相手は、男を見る目が確かなお母さんが認めたなら誰でもいいと言う。2人は向かいの菊さん(犬塚弘)はどうかと話す。数日前に妻を亡くしたばかりだ。しかし、父さんが隣家に行くと、店を手伝いに来ていた亡妻の末妹に手をつけてしまったと相談される始末だ。
   お座敷ストリップに笠子と行った村枝(園佳也子)から、笠子が関西弁のヤクザらしい男に連れて行かれたと電話が入る。隣のバイク屋の時夫(山本紀彦)にハイヤーだと叫んで、バイクの後ろに載せて貰って、笠子が連れ込まれたというバーコスモスに乗り込んでいく父ちゃん。しかしその店は関西の暴力団今里組の暴力バーで、女の子が飲んだ酒代だと、懐の一万円だけではなく、靴下に隠してあった虎の子の一万まで取られてしまう。更に殴られ怪我をさせられてしまう。さっぱり頼りにならない警察(花沢徳衛)や地回りのヤクザに、竜子は時夫に手伝わせ、糞尿を入れたバケツをバーコスモスにぶちまけ、営業出来なくする。勿論ヤクザたちも新宿芸能社に落とし前をつけにやって来る。笠子の大阪時代のヒモも、その一人だ。しかし、ヤクザに鋼鉄入りのハンドバッグで一発お見舞いする竜子。糞尿攻撃で暴力バーは営業不能になった。
   責任を感じて笠子は、またふらっと出て行った。石巻劇場で踊る笠子。毎日笠子目当てに通う気の弱そうな自動車修理工の男照夫(河原崎長一郎)がいる。気味悪がっていた笠子だが、公演を終えて暖かい南の小屋に行こうとしていると照夫に会い、考えを変える。潰れた小屋主から貰ったボロマイクロバスを男に修理させ、運転手としてただ働きさせようと思ったのだ。照夫は、笠子を先生と呼びマイクロバスを、キッチン、シャワー、水洗トイレ、寝室付きの完璧なキャンピングカーに改造、これでホテル代を節約出来ると笠子は大喜びだ。
   笠子が出た後、トンボと言う体の柔らかい娘が客の財布を盗んだ上借金を踏み倒して逃げた。肩を落とす母ちゃんの元に、風采の上がらない娘星子(緑魔子)が笠子の紹介だと言ってやってきた。あまりに不景気な顔に、ストリッパーは無理だと料亭の女中の仕事を紹介するが、女将にお客の言うことにはすべて従えと言われ、セックスさせてほしいという客に、部屋がないためトイレで相手をし、クビになって金沢夫婦の元に返された。皆困ったが、片方ずつ二重まぶたに整形し、村枝の指導もあり、何だかさまになってくる。近所でケチで有名なケチ権(伴淳三郎)が星子を気に入り、50の年の差を顧みず嫁に欲しいと言ってくる。
   笠子と照夫のキャンピングガーでの旅も順調だ。熱海から東海道を西に、岡山から四国高松に渡り、高知から九州宮崎へ。笠子は照夫の指導のお陰で、無事運転免許も取得、最終目的地の鹿児島の南国ヌードセンターの公演が終われば、照夫は石巻に帰ることに。笠子との別れが辛い照夫は、笠子の舞台を見て笠子には会わずに鹿児島駅に。土砂降りの雨の中、舞台を引けた笠子がキャンピングガーに戻ると置き手紙が。照夫は鞄を忘れている。中には、石巻で毎月1万、2万と貯めた預金通帳が入っていた。しかし、笠子と会った日以降90万の預金が引き落とされている。笠子は、初めてこの車が放置されていたボロマイクロバスではなく、照夫が別の車を買って改造したのだと知る。照夫は忘れた鞄を取りに戻ってくる。笠子は、照夫に結婚しようと言う。
  笠子が照夫と新宿に現れた。おかあさんおとうさんの前で結婚したいから戻ってきたという笠子。新宿芸能社のオフィス兼住居で、ささやかながら幸せな結婚式を行う。笠子と照夫に2階の部屋を譲り、1階の一部屋に金沢夫婦、もうひと部屋に、村枝、礼美、星子が寝ている。初夜を思い出し、竜子の布団に父さんが入ってきたモゾモゾし始めた頃、2階から怒り狂った笠子が降りてくる。実は、照夫の実家は農家だったが、万博用地になったことで、億万長者になり、家族が金の亡者になって、嫌気がさした照夫は蒸発し、石巻で自動車修理工をやっていたと言うのだ。父さんは照夫と一緒に大阪に行き、口べたな照夫を助けて、財産分与と離婚を片付けてきた。しかし、笠子が怒ったのは、照夫に妻子がいたということだった。そんな笠子の気持ちを、実親に捨てられた竜子は99が本当でも1が嘘なら許せないのだと夫に説明した。
  ある日、警察からの電話が入り、星子が逮捕されていると言う。時夫のハイヤーで慌てて警察に行く竜子。新宿の警察は、ケチな犯罪者で溢れている。調書を読み上げる刑事(山本麒一)。星子は、線路にかかる陸橋で思いつめた表情の若者に出会った。声をかけると、山梨の受験生で、大学の合格発表を見に上京したが、落ちていたと言う。来年頑張ればと言うと、父親が亡くなったのでそんな余裕はなく、母親に合わせる顔がないので、死のうかと思っていたと答えた。そんな思いつめた若者にセックスの喜びを教えてあげたら、思いなおすのではないかと考えた星子はそこで若者を抱きしめ、公然猥褻の現行犯で逮捕されたのだ。売春の容疑もあるという刑事に、絶望した若者を慰める手段が肉体しかない貧しい女の哀しさを分からないのかと詰め寄る竜子。留置所にいる星子の元に行くと、お母さんの顔に泥を塗ってしまったと竜子に詫びる。そんなことはないから、一緒に帰ろうと優しく言う竜子。
   星子が、ケチ権と結婚することになった。中華料理屋で行われた披露宴は、ケチ権だけにとても倹しい。しかし、星子の親族がやってきた。兄たち、兄嫁たち、甥、姪、凄い人数だ。兄弟がたくさん来てくれてよかったねという竜子に、星子は笠子姉さんに一番祝って欲しかったという。
   森崎東らしいというのだろうが、猥雑な社会の片隅で生きる人たちの笑って泣ける喜劇。倍賞美津子、緑魔子は、もちろんいい。しかし、中村メイ子が、森繁久弥の軽妙なサポートもあって光っている。
    神保町シアターで男優・森雅之
    49年新東宝島耕二監督『グッドバイ〈女性操縦法〉(27)』。銀座の交差点をフラフラと出てくる男がいる。交通巡査に呼ばれ注意される。男は婚約者に何の前触れもなくグッドバイされたショックだと語る。交番の前に、雑誌「オベリスク」6月号のポスターが貼ってある。「私は何故に男と別れたのか」といった内容の見出しがある。雑誌「オベリスク」の編集長の田島周一(森雅之)の部屋。小説家の山崎夏子(清川玉枝)が、自分はお金についてあれこれ言うのは好きではないが、今回の原稿料はあまりに安すぎて侮辱しているんではないかと、田島に文句を言っている。更に女事務員の持ってきたお茶は熱く、火に油を注ぐことに。田島は女事務員や編集員たちを呼んで謝罪をさせ、二人になったところで、山崎を懐柔する。田島は美男子で口もうまい。改めて山崎と会食をすることで、追い返す。
   オベリスクの社長の関根建造(江川宇礼雄)が出社してくる。この会社の経営状態はあまりよくないらしい。有力な金主である大資産家船越恭平(斎藤達雄)から電話があり、あわてて関根が飛んでいくと、田島のことを聞かれる。船越の娘が、どういう訳か田島を見染めたのだという、ぜひ見合いをということになる。しかし、現在田島には4人の愛人がおり、その関係を清算しなければならず、困ったことに。4人それぞれとても美人だが、それ以上の美人の妻でも連れて行かないとグッドバイということにはならないのではないかと思う。
   そんな思案中の田島に、声を掛けてきた娘がいる。普段の乞食のような格好とは正反対の正装をしていたので全く見違えてしまったが、雑誌の紙の手配をしてもらってつきあいのある担ぎ屋の永井きぬ子(高峰秀子)だ。彼女はひどいズーズー弁だが、何も喋らせなければ深窓の令嬢のようだ。事情を話し、契約を結ぶことに。まず、田島はきぬ子を連れ、一人目の愛人の美容院のマダム青木蘭子(霧立のぼる)の元に。きぬ子と結婚したのだという田島に蘭子はグッドバイすることを承諾する。次に、芸妓の鈴竜(藤間紫)のもとに。更に飲み屋の内儀たま子(清川虹子)は、焼酎を何杯飲んでも変わらないきぬ子を気に入って田島との別れを承諾した。
   あと一人を残すだけになったある夜、田島は、きぬ子が借りているアパートを、高いウイスキーを持って訪ねる。何もなく殺風景な部屋で、田島はきぬ子と一緒に酒を飲もうと言う。つまみはないかと聞かれて本場もののカラスミがあると言う。無造作に切って出されたカラスミをうまいと田島が言うと、これは商売物だから金を払えと言う。唖然としながらも、仕方なしに支払う田島。酒を飲みながらきぬ子を口説いてくる田島。危ういところを非常ベルを押して、逃れるきぬ子。4人目のカフェの女給の水原啓子(三村秀子)は、二人が店にやってくる前に、グッドバイと書いた手紙を残し、姿を消した。きぬ子を食事に誘う田島。きぬ子が好きになってしまったので結婚したいと言い出す田島。そもそも、見合いをするために身辺を整理するために自分と契約したのだろうと言うきぬ子。更に、別れ際、見合いをして気持ちが変わらなければ、自分の部屋に来てくれと言うきぬ子。
   いよいよ、見合いの日がやってきた。関根に連れられ、船越の邸宅を訪れる田島。変わりものの娘として紹介された絹代は、きぬ子と瓜二つである。驚く田島が、こっそりアパートに電話をかけると、管理人の取次ぎできぬ子が出た。安心する田島。絹代の部屋に案内される。絹代が今一番凝っていると父親が言った油絵は、抽象画で首をひねるようなものだ。ピアノを弾く絹代。曲は、きぬ子の部屋を訪れたときに、どこからか聞こえてきた「月光」だ。絹代を称賛し、甘い言葉で口説く田島。しかし、急に外出すると言って出かけてしまう絹代。何だか狐につままれたような田島は、きぬ子のアパートを訪ねてみる。管理人は、既にきぬ子は部屋を引き払ったと言う。更に田島本人かと尋ねた上で、蓄音器を掛けると、船越邸からの電話できぬ子がしゃべった言葉が流れてきた。きぬ子は絹代の自作自演だったのだ。
  しばらく後、絹代は、友人の啓子の部屋を訪ねる。4番目の女、カフェの女給の啓子は、絹代の女学校時代の親友だった。そこに、田島の姿がある。友情のため、田島に仕返しをしようと自分が手伝ったことは何だったんだと啓子をなじる絹代。啓子は、絹代のたくらみに傷ついた田島が、雨に打たれて自分のもとにやってきたときに、それでも田島を愛している自分に気がついたのだと言う啓子。
  絹代は、些細なことで別れを告げた許嫁の多田啓太(若原雅夫)に会いたいと電話をする。お互いを求めて走り出す二人。銀座の交差点で、二人は再開する。交通巡査は交通違反だと注意をする。しかし、幸せそうな二人に、苦笑いをしながら、あちらに行けとウィンクをする巡査。
    49年大映東京木村恵吾監督『痴人の愛28)』。サンエス電機工業の技師川田譲治(宇野重吉)は、同僚たちからは、独身で聖人君子の面白みの全くない男と思われている。しかし、彼には秘密がある。数年前神戸に出張した時に、カフェの女給ナオミ(京マチ子)に出会い、彼女を身請けし一緒に暮らしている。ナオミは、家事は一切せず、浪費家で、譲治が身につけさせようとしている英語もピアノも全く努力をしないので、無学で無教養だが、肉体的には譲治の理想と合致し、ナオミの肉体に譲治は溺れる。
   ナオミはスクーターを買ってくれと言って聞かない。それでなくとも浪費家のナオミのせいで、譲治の家計は大変だ。スクーターは絶対駄目だ、不満なら出ていけと譲治が突っぱねるとナオミは出て行く。学生のボーイフレンドたちと夜遊びをして結局帰宅するのだが、ナオミを失うことを怖れる譲治は、帰宅したナオミに全て許し、ナオミの馬になるとまで言うのだ。そんな譲治の足元を見て、ナオミの我が儘は無限に増長し、ボーイフレンドたちとの火遊びも目に余るものになっていく。
   鎌倉に海水浴に2人で出掛け、平日は休めない譲治が出社し、最終電車で帰る予定が、都合で早く帰れて、夜の浜辺で、酔って卑猥な踊りをしていることと、熊谷(森雅之)と2人で会っていることを知り、怒って帰宅すると家の合い鍵を別の男に渡していたことを知った譲治は、流石に言い訳も聞かず叩き出した。
   暫くの間、ナオミは夜毎遊んでいたが、次第に所持金は尽き、着替えも無くなって街を彷徨うようになった。ボーイフレンドたちが、自分のことを白痴美で、真剣に付き合うに値しないと噂をしているのには流石に傷ついた。そこに現れた熊谷に結婚しようと言うが、親に決められた結婚相手がいると言われた。行くあての無くなったナオミは、穣治の元を訪ねる。冷たく突き放す穣治。強がっていたナオミも最後には、穣治の前に跪き許しを乞う。最後には穣治の馬になるとまで言う。ナオミの上に座った穣治は、ナオミを許すのだ。
    銀座シネパトスで燃やせ!俺たちの70'sジャパニーズ・グラインドハウス魂!。80年石井聰互監督『狂い咲きサンダーロード(29)』。幻の街サンダーロード。ストリートファイヤーに、“ドクロ”"ホンキートンク”“ドッグファイト”"魔墓呂死”など各暴走族の幹部たちが集まっている。警察からの圧力で、各暴走族は解散、エルボー同盟に一本化して"市民に愛される暴走族”を目指そうというのだ。そこに、覆面をした一団が現れ、幹部たちを滅多打ちにして去って行った。覆面をした一団は、暴走族“魔墓呂死”の特攻隊長のジン(山田辰夫)たちだ。“魔墓呂死”のリーダーの健(南条弘二)たちは、クロコダイルで飲んでいる。そこに、ジンたちが現れる。権力にしっぽを振って日和ることは嫌だと言って、健たちとの決別を宣言するジン。店でバイトをしている典子(北原美智子)は、私のために足を洗ったんでしょうと健に言う。
    暴走し続けるジンたちの天下になったが、他の暴走族たちの怒りも最高潮となり、頭を痛める健たちのもとに、8年前に“魔墓呂死”を作ったOBで、現在は右翼の幹部になっている剛(たけし)(小林捻侍)が現れた。自分がジンたちを預かると言う。ジンたちがアジトに戻ってくると、君が代を歌う剛がいる。熱く説く剛だが、ジンたちは何を言っているのかわからない。自分の名刺を置いてひとまず引き揚げる剛。朝帰りの忠(戎谷広)、栄二(中島陽典)、幸男(大池雅光)を“ドクロ”の特攻隊が襲う。幸男がさらわれてしまう。幸男を返して欲しければ、翌朝、デスマッチ工場跡に来いと言う。待ち受けているのが“ドクロ”だけではなく、全暴走族が集まっていると聞いて、皆逃げ出す。助っ人を頼みに行った茂を除き、結局、ジン、忠、栄二のたった3人で突っ込んでいく。多勢に無勢でやられているところに、健と剛たちが現れた。剛は、ジンたちを預かると言って連れ帰った。剛たち右翼団体で、忠、栄二、茂たちは軍事教練を受けている。そこにジンがやってくる。結局ジンも加わることに。
   しかし、ジンは、右翼団体の兵士として飼いならされることはなく、飛びだす。ジンを慕って後を追う忠と栄二。たった3人になったが、彼らは走り続ける。ジンたちの暴走行為は、剛のメンツを完全に潰した。顔を隠した戦闘服の男たちが、3人を襲う。ジンは片腕と片足を切られ、2度とバイクに乗れなくなった。更に、忠は植物人間になってしまった。栄二は、この街を出て行った。
   いらつくジン。どれだけトルエンを吸っても薬をやっても、走れないジンの気持ちは休まらない。ジンは、シャブ中の子供つっぱりの小太郎(大森直人)と武器つくりのおっさん(吉原正皓)のもとを訪ねる。ジンは全身武装の殺人マシーンとして蘇り、暴走族たちと、剛たち右翼団体に宣戦布告する。おっさん、小太郎の助けもあり、次々に倒していくジン。最後に、かっての仲間で右翼団体の幹部になった茂と剛を倒し、無理やりバイクにまたがり、爆走していくジン。

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