渋谷シネマヴェーラで、62年日活蔵原惟繕監督『銀座の恋の物語(179)』学生時代、何度もテレビで放送していたので見ていた気になっていたが、スクリーンで観直して、印象は一変。まあ、歌謡メロドラマだが、テレビ用に編集されトリミングされ、カットされて部分にあっただろう映画的な文法。当時の銀座という街、音楽と絵画という芸術。ジェリー藤尾よかったな。
神保町シネマで53年松竹大船、川島雄三監督『東京マダムと大阪夫人(180)』。川島雄三の松竹時代の傑作という呼び声と、SKD時代の芦川いずみのスクリーンデビュー作と、郊外の隣り合わせの社宅に住む2夫人のコメディというどこか、昨日の「しとやかな獣」を思わせる設定に、かなり期待に胸ふくらませて行ったが、まあ、ちょっと期待が大きすぎて、少しがっかり。夫のNY赴任という昇進でライバル意識を高める2夫人と、大阪夫人の弟のパイロットと、老舗の店の番頭との縁談に悩む東京マダムの妹(これが、芦川いずみ。かわいー!!)と、昇進に影響を持つ会社専務の娘との三角の恋愛が絡まって、展開するストーリーはテンポもあって、とてもよく出来ているし、社宅という閉じた世界での婦人達の会社的なヒエラルキーを反映しつつ噂話に終始する日常をアヒルのガアガア啼くさまに喩えたところなど面白いのだが、サラリーマン的な悲哀や滑稽は、まだ、一流の会社の社員はエリートで牧歌的な時代。麻のスーツに蝶ネクタイとパナマ帽。笑いのつぼは、やはり今昔を感じるなあ。
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