2010年6月17日木曜日

シングルマザーが主人公の映画2本。

   美大生と、渋谷シネクイントで、中島哲也監督『告白(105)』

 富丘三中1年B組の教室。パックの牛乳を飲む生徒たち。担任の森口悠子(松たか子)が話をするが、生徒たちは、私語、携帯メール、イジメ相手に軟球をぶつけたり、ほとんど聞いてはいない。「このアダルトビデオのDVDは、?君から私が没収したものです・・・。皆さんは、ちゃんと牛乳を飲んで、空き箱を自分の名前が書いてあるケースに入れて下さい。この学校は、全国中高生乳製品促進運動のモデル校になりました。第2次性徴期にあるあなた方には、牛乳に含まれるカルシウムが神経伝達に働きかけ、4月の身体測定で効果が表れることでしょう。私は、今月一杯で学校を辞めるので、その時にはいませんが・・・」
   3月25日の終業式。相変わらず生徒たちは騒がしいが、悠子の話が続く中で、教室内は静まり返って行く。「私は、みなさん御存じのようにシングルマザーです・・・」夫となる人との挙式前に、妊娠していることを知ったが、婚約者は検査の結果、HIVに感染していることが分った。幸い、自分と胎児は感染していないことが分ったが、HIV感染者の子供という世間からの目を避けるため、結婚しない道を選んだ。そして、産まれた娘の愛美を、独りで愛情を注いで育てて来た。しかし・・・。

  
   
   カフェでお茶ケーキ。映画の話し。ただのオッサンの長話に付き合ってくれて有難う。学校に行く彼女を見送り、


   新宿ピカデリーで、吉田大八監督『パーマネント野ばら(106)』
   
   高知県の田舎町定市、文机で眠っているなおこ(菅野美穂)の姿。下の店から、呼ぶ声がする。娘のもも(畠山紬)が「おばあちゃんが、店が忙しくなってきたので、手伝えって」と呼びに来る。エプロンをして店に出るなおこ。母まさ子(夏木マリ)がやっている美容院パーマネント野ばらだ。ここの客の殆どはパンチパーマを当て、ストレートなシモネタばかりを話している。

   「女の子ものがたり」の失望感が激しく、久しぶりの菅野美穂を見るだけのつもりだったが、意外な掘り出し物。昨日のアカシアと違い、映像の奥行きなどきちんとしていて、時々説明的で耳障りな音楽以外は、ちゃんとした映画だ。
   女の子ものがたりでは、何だか都会の女の子みたいなキャスティングだったが、小池栄子、池脇千鶴と並べば文句はない。特に、水子が二人憑いた貧乏で不幸な女、池脇良かった。
  最初からどうも男の登場人物が全て薄っぺらいと思っていたら、非実在先生という狙いだったのか。しかし、宇崎竜堂以外の全員が、女たちの話しの中に出てくるだけの存在感の薄さは微妙でもある。

   音楽について、やはり気になってしまう。考えるに、製作委員会や、依頼を受けたミュージシャンに、映画音楽に対して素人的に思い入れが過剰で、どうも映像を盛り上げようと張り切ってしまうためトゥーマッチになるんじゃなかろうか? 野菜や肉の具材のおいしさを引き立てるスパイスというか、セットの中の小道具のように、そこにあるだけで、リアリティが一目盛り上がる程度で充分じゃないかと思ってしまうのだが。その分、沢山の音楽を使っている「告白」の方が、選曲、バランスともに絶妙で、スパイスとしての絶妙なバランスを保っている。やはり、CM制作から続く中島組として“わかっていらっしゃる”と思えてしまうのだ。

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