2010年2月24日水曜日

昨年公開のロック映画2本、観ていないことを後悔。

    多分大学卒業以来なので、28年振りの早稲田松竹で、

    サーシャ・ガヴァシ監督『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(61)』
  日本のスタジアムイベント、スーパーロック84(西武球場を始め全国を回ったらしい)。スコーピオンズ、ホワイトスネーク、ボン・ジョビと共にカナダのメタルバンドアンブィルも出演していた。他のバンドはアルバムを数百万売るスーパーグループとなったが、アルバム「メタル・オン・メタル」がスマッシュヒットしたもののアンブィルだけは売れなかった。
   雪景色のカナダトロント、スティーヴ・“リップス”・クドローの朝は7時から始まる。車でチョイス・チルドレン・ケータリングに行き、バンに毎日の給食を積んで、幾つかの小学校に配達するのだ。車の中で、超ポジティブに語り続けるリップス。
   リップスと15歳の時からバンドを組み始めたドラムのロブ・ライナーは、建築物の解体の仕事をして食べている。
   オンタリオ州エトピコのクラブで、アンヴィルはライブをやる。奇しくもその日は、リップスの50歳の誕生日だった。決して多くはないが、熱狂的なファンを前に熱い演奏を繰り広げるアンヴィル。マッド・ドッグと?という二人の熱烈なファンは300本以上アンヴィルのライブを観たと言う。
   15歳のリップスは、ある日近所の家から、ブラックサバスやグランドファンク、カクタスが大音量で聞こえてきた。それがロブとの出会いだ。それから、ずっと一緒にバンドを続けて来たのだ。ある日、ティジーナというツアーマネージャーからヨーロッパツアーをやらないかという熱烈なメールを貰う。久し振りの本格的なツアー、それもギャラは1500ユーロ出るという最高な話だ。このツアーに成功すれば、話題を呼びレコード会社も見に来るだろう。
    飛行機に乗り、最初の会場は、スウェーデンのセルベスでのスウェーデン・ロック・フェスティバルだ。マイケル・シェンカー、カーマイン・アピス・・・・メジャーのロックミュージシャンに、本当に久し振りに再会し、子供のように喜ぶリップス。日本人の熱烈なファン(実名)やコンサートイベンターの江藤昌宏にも会い、スーパーロック84の思い出とぜひ日本に来てくれという声もかけられる。昼間の出演だが、観客の反応も悪くない。最高のヨーロッパツアーの始まりだとリップスは確信する。
    しかし、翌日乗車する筈の列車に、前売りを買っていなかったことで乗れなかったことからケチが衝きはじめる。電車やレンタカーでの移動、リップスは健気に「ビッグになるまでは我慢しないと」前向きに言うのだが・・・。スペイン、ヘルシンキ、ギリシャ、コペンハーゲン、クロアティア・・・。小さなクラブで演奏をするアンヴィル。満員の会場もあるが、ガラガラでメンバーよりも少ない観客の前で演奏することもしばしばだ。ブタペスト、ポーランド・・・・。プラハのスミホフでは、読めない道路標識に2時間遅れで会場に到着し、演奏したものの、ギャラは払えないと言う。リップスとロブはブチ切れる。やっと5週間に及ぶヨーロッパツアーの最終日、ルーマニアのトランシルバニア、トランシルバニア・ロック・フェスティバル。ティジーナによれば1万人のアリーナだと言う。しかし、入場者174人。ガラガラのアリーナ、それでも全力で演奏するアンヴィル。
    5週間に及ぶヨーロッパツアー、ギャラは0円、レコード会社は1社も来なかった。時折、愚痴も出るが、あくまでもリップスは前向きだ。オンタリオ州のペリアーナ、ティジアーナがギタリストのアイヴァン・ハードと結婚した。やけに広い披露宴会場でアンヴィルは演奏をする。全力で演奏するステージの前には、親戚が3人。他の着席している親類は耳を塞いでいる。ただ一人、ティジアーナは満足げだ。
    リップスは、かって「メタル・オン・メタル」をプロデュースしてくれたクリス・タンガリーディスにデモテープを送る。クリスは、シン・リジィ、ブラック・サバス、ジューダス・プリースト、デペッシュ・モード、マウンテンなどをプロデゥユースしたブリティッシュ・ヘビーメタルの名プロデューサーだ。リップスは今までのプロデューサーはクリスを除くと酷かったと思っている。カセットを封筒に入れ、切手を舌で舐めて貼り、大事そうにポストまで運ぶ。希望を込めるように投函するリップス。
    再び、給食の配達の仕事をするリップス。ある日、電話が鳴る。クリス・タンガリーディスだ。ドーバーのスタジオにいると言う。良かったら、会ってこれからのことを話そうじゃないかというクリス。喜ぶリップス。リップスとロブは飛行機に乗りドーバーに出掛ける。しかし・・・、200万出せばアルバムを作れると言うクリス。自分たちで費用を出して、最高のアルバムを作り、レコード会社に持ち込めばいいじゃないかと言うのだ。
    喜びも束の間、200万なんて大金は、リップスにもロブにも作れない。ファンの?が経営している電話セールスの会社で一攫千金を狙うが、突然見も知らない他人の家に電話をして、適当なことを言って売りつけるインチキな商売は、リップスには向かない。3日間で1件も、契約出来なかった。失意のリップスを、姉がお金を貸してくれることになった。父親の反対で、兄弟姉妹の中で、ただ一人成功をしていない弟の夢を叶えてやりたいと思ったのだ。さっそく、ドーバーのクリスのスタジオでレコーディングが始まる。13枚目のアルバムのタイトルは「This is Thirteen」。とても順調にレコーディングを進んでいく。しかし、ストレスを感じていたリップスは爆発し、ロブと激しく衝突してしまう。ティムが間に入り、冷静にこんがらがった感情を整理させる。苛立った気持ちのぶつける相手として、家族のようなロブに甘えているのだと泣いて謝るリップス。
   仲直りした二人は、ベースのG5、ギターのアイヴァン・ハードたちと、ストーンヘンジを見に行く。巨大石遺跡は、彼らを癒す。レコーディングは終わった。
   帰国した彼らは、今までの失敗が、メジャーレーベルと契約してこなかったことだというクリスのアドバイスもあり、西海岸にある米メジャーに自信作を持って回る。しかし、どこからも彼らと契約しようと言う声はなかった。最後に、地元カナダのEMIミュージクのA&Rプロデューサーの元に二人は会いに行く。CDを掛けるプロデューサー。しかし1曲目の途中で音を止め、「今我々が求めている音楽とは違うようだ」と言う。しかし、「ずっとバンドを継続してきたことが大変重要だ」という一言に、最後の望みをかけ、リップスとロブは、EMIミュージックカナダを後にする。
   数日後、届いたメールは、リップスを失望させる。残念ながら、我々が求めている音楽ではないというものだった。肩を落とすリップス。しかし、二人は、自分たちでCDを1000枚プレスし、自分たちの音楽を求めているファンに届けることにする。
   リップスの家の電話が鳴る。日本のプロモーターから、ニューアルバムを聞いて、アリーナコンサートへの出演依頼して来たのだ。大喜び、ロブの家に報告に行く。
   成田空港に着いたリップスには、既視感を味わった。25年近く前に来日した時と同じ成田空港だ。成田山新勝寺だろうか、再び日本を訪れた幸福に抱き合うリップスとロブ。ホテルの部屋に入るリップスとロブ。明日は、幕張メッセで開かれるラウドパーク2006だ。昼間の最初の出演だと聞いた二人に、不安がよぎる。2万人入るという会場に果たして客はいるのだろうか・・・。また観客が5人しかいなかったら・・・、自分たちを呼んでくれた日本のプロモーターは・・・、それ以上に自分たちを求めている人間が世界に誰もいないのではないだろうか・・・。考えれば考えるほど、心は塞いでいく・・・、ステージに上がる直前まで。
   しかし、ステージに上がった彼らを待っていたのは、アンヴィル!!と叫び続ける満員の観客だった。84年のステージと同じように、日本の観客は熱くアンヴィルを迎える。全力で歌い演奏をするメンバー。「メタル・オン・メタル」のコールアンドレスポンスも最高だ!!!
演奏を終え、4人並び観客に頭を下げるアンヴイル。
   渋谷のスクランブル交差点にやってくるリップスとロブ。行き交う人々を満足げに眺める二人。

ラーズ・ウルリッヒ(メタリカ)/レミー(モーターヘッド)/スラッシュ(ガンズ&ローゼズ)/トム・アラヤ(スレイヤー)/スコット・イアン(アンスラックス)

   最高だ!!!!!!!!!!!

   リチャード・カーティス監督『パイレーツ・ロック(62)』
    母親に寝る時間でしょと言われ、自分の部屋のベッドに入る男の子。しかし、机の引き出しからトランジスタラジオを出して、枕の下に隠す。夜9時、今から刺激的な音楽といかしたDJの番組が始まるのだ・・・。
   1966年、英国はブリティッシュロックが席巻していた。しかし、当時唯一の放送局BBCラジオには、1日たった45分しかポップスを流す番組がなかった。そんな状況に不満を持つ若者たちに、圧倒的な支持を受けていたのは、北海の公海上の船からの海賊放送局だった。
   英国の閣議、首相は、放送担当大臣のアリステア・ドルマンディ(ケネス・ブラナー)に、海賊放送を1年以内に決着をつけるように命じた。ドルマンディは、現在の長髪の担当者が無能であるとクビにして、トゥワット(ジャック・ダベンポート)を担当にする。
   そんな海賊放送局の一つ、RADIOROCKがあるポンコツ船に、荒れた海の中、近付くタグボートがある。煙草と大麻で放校処分を食らった17歳のカール(トム・スターリッジ)が母親に言われて、名付け親のクエンティ(ビル・ナイ)のもとに、送り込んだのだ。しかし、ラジオ・ロックは思春期の若者が更生するには、真逆の環境だった。


ザ・カウント(フィリップ・シーモア・ホフマン)/クエンティ()/ギャヴィン(リス・エヴァンス)/ニュース・ジョン(ウィル・アダムズデイル)/シック・ケヴィン(トム・ブルック)/アンガス(リス・ダービー)/デイブ(ニック・フロスト)/カール(トム・スターリッジ)/ドルマンディ(ケネス・ブラナー)サイモン(クリス・オダウド)フェリシティ(キャサリン・パーキンソン)マーク(トム・ウィズダム)ハロルド(マイク・ハミルトン)ボブ(ラルフ・ブラウン)マリアン(タルラ・ライリー)デジリー(ジェマ・アータートン)エレノア(ジャニュアリー・ジョーンズ)シャーロット(エマ・トンプソン)トゥワット()ミスC(シネイド・マシューズ)

  1960年代後半、正にスウィンギングロンドンの時代を綺麗にいい話しに纏めようとしているところが鼻につくが、ストライクゾーンの名曲の数々、更に可愛い女の子が出てくる青春映画には全く点が甘くなる(苦笑)。最後に水に浮かぶLPレコードのシーンは、床上浸水で、壁一列分のLPを駄目にした自分には切ない。小品のようで、邦画の世界だと異様にハイバジェットの作り方に、製作者たちの身を心配する。ずっと自分だけは貶そうと思いながら観た映画に、好感を持ってしまうのは悔しいなあ。
   買わないつもりのプログラム買ってしまう。映画で流れる曲の解説を1970年生まれの宇野維正というライターが書いている。何だかWiki臭が感じられてしまう。やっぱりせいぜい若くても萩原健太さんとかに依頼して欲しかったというのは、50代のオヤヂだからなのか・・・。

  その後、高田馬場王将で、餃子とビール。安いなあ。

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