2009年9月15日火曜日

星由里子、野川由美子、藤純子、三田佳子。ヒロイン4連発。

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、CINEMA☆忍法帖

   63年東宝岡本喜八監督『戦国野郎(529)』
   木曽谷で、越智吉丹(加山雄三)に襲い掛かる武田方の忍者の雀の三郎左(中丸忠雄)。三郎佐は谷底に落ちて行く。吉丹は、抜け忍だった。次々追って来る忍者たちを、倒し、逃げていた。銅子播磨(中谷一郎)も追っての一人だったが、腕が立つ吉丹を見て考えを変えたと言う。18人も、お前は斬ったなと播磨。数えていないが、それが正しければ、19人目だと言って、忍者を倒す吉。
    二人が歩いていると、一人の山猿のような男(佐藤允)が、現れる。自分は一国一城の主になると大言壮語する男。山道を馬借隊の隊列がやってくる。馬借隊とは、塩や米を運ぶ馬方たちだが、山賊たちが跋扈する戦国時代、武装した命知らずの集団だ。男は、吉丹と播磨に、追っ手から逃れたいならば、あの連中に潜り込めと知恵を授ける。隊列は、坂本の馬借、有吉党の頭、有吉宗介の娘、佐霧(星由里子)が率いていた。二人は臭い芝居を打って、子分にして貰う。
   有吉党の屋敷に戻ってくると、剣の稽古をしている侍崩れの男たちは、胡散臭い者ばかりだが、頭の有吉宗介(田崎潤)は、馬が使えるか、腕が立てば誰でもよいと言う。やってきたばかりの六(長谷川弘)と地獄(天本英世)の弓の腕は勝るとも劣らない。佐霧は、吉をキチキチバッタからバッタ、播磨を針鼠と呼ぶ。武士出身の夏(江原達怡)は、佐霧に懸想して付け文をするが、相手にされない。山で出会った男は、桶狭間で名を上げた木下藤吉郎だった。堺で、武田方が買う約束をしていた種子島三百丁を、金に物言わせて横取りし、堺港から摂津城への運搬を、有吉党に依頼しに来たのだ。いつもの塩や米と違い大量の種子島の運搬は命懸けだ。大事な子分たちの命を考え、腕組みをして考え込む宗介。その頃、吉たちを追ってか、有吉党と藤吉郎を探ってか、武田方の間者が忍び込んでいる。種子島の件は聞かれてしまう。その夜、六は、人足たちと賽子博打をやって、身ぐるみ巻き上げる。  
   宗介は、手下を全員集めて、この話に乗るか尋ねる。1日につき金一枚の運び賃で7日の旅、更に成功したら有吉党にまとまった軍資金を渡そうと言い、銀をバラまく。結局受けることに。
   藤吉郎は、種子島の担ぎ手を一人貸せと頼み、吉が行くことになった。二人で堺に向かう。吉はやけに健脚で、藤吉郎は疲労困憊だ。途中、山伏姿の武田方の間者が、2騎で追ってくる。気配に気付いた吉は、藤吉郎を突き飛ばし、崖を駆け上がる。そして飛びかかり、二人を倒した。馬を奪い、藤吉郎と堺港に向かった。堺で、藤吉郎は村上水軍の百蔵(滝恵一)に、堺港から熱田港まで、種子島三百丁の海路での運搬を依頼する。元々、海賊である村上水軍の龍神丸、女首領の滝姫(水野久美)は、種子島三百丁を自分たちのものにする魂胆で、運搬を了解する。その話に、種子島を運ぶのは有吉党じゃないかと言う表情の吉に、さあてどっちで運ぶかと笑う藤吉郎。
    堺港で、網を直す漁師に、龍神丸を尋ねる山伏姿の二人組は、武田方の間者たちだ。漁師姿の男は、雀の三郎佐だ。お頭の無事を喜ぶ二人に、ようやく吉と藤吉郎を追い詰めたと笑う三郎佐。しかし、 馬上から、生きていたのかと声を掛け、走り去る吉。再び歯軋りする三郎佐。
有吉党の物見櫓のてっぺんに、佐霧の姿がある。夏が、そんなにバッタの野郎が気になるんですかと声を掛ける。図星なのでうろたえ怒る佐霧。播磨が、剣で決着をつけろと言う。佐霧が紙一重の差で腕が立つようだ。そこに吉が現れる。


    男勝りの星由里子!!ツンデレ具合が素晴らしい。

    64年東映京都中島貞夫監督『くノ一忍法(530)』
    燃え盛る大阪城、落城前夜、大阪方の智将、真田幸村(北村英三)が、配下のくノ一を5人集め、明日には城は落ちる。城と共に秀頼公も最期を遂げられる。 家康(曽我廼家明蝶)も孫娘の千姫の命を救えと命じている。残念ながら千姫さまには子が出来なんだ。そなたたちは、直ぐに大奥に行き、秀頼さまの子種を信濃忍法壺吸いの術で戴き、必ずや秀頼様の子を産み、徳川家を呪うのだと言う。
    翌日、猿飛佐助(市川小金吾)を呼ぶ幸村、しかし、直ぐに流れ弾に当たり亡くなる二人。二人の魂が抜け出る。お互い呆気ない最期でございましたなという佐助の魂、極楽浄土に行く前に、一つだけこの娑婆に未練があると言う幸村の魂。
   結局、坂崎出羽守(露木茂)が、千姫を助け出した。駿府城に連れて来られた千姫(野川由美子)は、家康(曽我廼家明蝶)の気持ちに反して、自分は豊臣の人間だと言う。服部半蔵が言うには、千姫の腰元1人の内5人は、真田の息の懸った女忍者で、秀頼の子を懐妊しているとの情報を得た。「半蔵、その方が申したこと本当でじゃろうのう。千の腰元の中に、敵真田の息の掛かった女忍者が紛れ込んでいるとを言うのは・・・。」
   そこで、駿府城にやってきた千姫に家康が問いただすと、「千は戻りとうございませんでした。私は、豊臣の女にございます。」「秀頼の子を孕んだ女が混ざっていると聞いたが。」「ご存知でございましたか。お千が産ませて育てます。命の限り、徳川の家に祟るように…。たとえ、お祖父様であろうとも、千はお手向かいいたしまする。」と開き直る。千姫の傍らには、12人の腰元がついている。
    千姫は千姫御殿に籠もった。腰元として傍に仕えるくノ一は、お眉(芳村真理)お由比(中原早苗)お瑶(三島ゆり子)お喬(金子勝美)お奈美(葵三津子)の5人。全員が秀頼の子を授かっていた。   
   家康は、服部半蔵(品川隆二)に命じ、くノ一に対抗できる者を集めさせた。半蔵の手下の黒鍬者たちでは、間者は出来ても、忍術ではかなわない。伊賀の上士五名が、集められた。。鼓隼人(大木実) 七斗捨兵衛(待田京介)般若寺風伯(吉田義夫)雨巻一天斎(山城新伍)薄墨友康(小沢昭一)。しかし、家康が要件を伝えると、斯様なことなはらば、我らのうち、一人で充分でござると皆薄笑いを浮かべる伊賀衆。

    家康が怒ると、薄墨は、ここにいる最も貞操堅固な娘を一人お貸し下されと言い、家康が、お志津(笹みゆき)を指名すると、突然、薄墨は、お志津に、タンポポの羽根よりも細い針を吹きかけた。するとお志津は、ふらふらと薄墨の下に寄って行く。すると薄墨は、家康が止める間もなく、お志津の口を吸い抱き締めた。するとあら不思議、薄墨がお志津の姿になっているではないか。足元には脱け殻のようになったお志津の肉体が転がっている。驚愕する家康に、薄墨は伊賀忍法くノ一化粧と言い、他の伊賀忍術たちは笑った。
   その頃、千姫を救い出した者には、嫁に遣わすとの家康の約束を反故にされかかっている坂崎出羽守は、直接千姫に訴えようと、家来の中で一二を争う遣い手3名を千姫御殿に使者として使わせた。しかし、千姫は、自分は秀頼の妻であり、余計なことをした出羽守の妻になるつもりはないと言う。3名の使者は、おめおめ帰れないと居座ろうとする。すると、お眉が観音菩薩像を取り出す。すると、不思議にも、使者たちは突然劣情を催し、夢幻の中に舞う裸女たち(OSMのダンサー、星ひとみ、久美エリカ、右京ナオミ、阿井美紗子、ミッチ佐藤)に導かれるように、庭の井戸に自ら飛び込んで死んだ。お眉の信濃忍法幻菩薩と言う声を聞いた千姫は、井戸の上に祈仏堂を建立せよと命じた。
    祈仏堂の観音菩薩像を、お奈美が拝んでいると、これは秀頼の菩提だなと声がする。お志津の姿になった薄墨である。お奈美に襲い掛かり、女の法悦を味わせてやると薄墨。花開きの術で、お奈美の姿に変わるが、お奈美は息絶える瞬間、信濃忍法月の輪と呟く。お奈美の姿に変わり、屋敷に戻ろうとすると、お眉に、間者だなと見破られる。信じられない薄墨に、お奈美が命に代えて、そなたに掛けた月の輪の術、池に顔を映してみよとお眉。薄墨が池に顔を映すと、額に三日月模様が浮かんでいる。驚いた表情のまま、息絶える薄墨。
   出羽守は一向に千姫への使者が戻らぬことに苛立っていた。自ら出向くと言うのを必死に押し止め、家老の十兵衛が小姓を連れ、千姫御殿に向かう。十兵衛も、お眉の幻菩薩の術に掛かり、連れ出され、更に忍法露枯らしを掛けられる。小姓は忍法幻菩薩に掛からない。使者の一人?の許嫁の?が男装していたのだ。許嫁と再会するがよいと祈仏堂の井戸に落とされる?。十兵衛は信濃忍法露枯らしの術にかかり、ミイラのような姿で屋敷に戻る。出羽守に、千姫を求めてはいけない。お家が絶えてしまいますと言って、出羽守の腕の中で絶命した。
   井戸の底の?の上に花びらが舞い落ちる。伊賀忍法花開きの術だ。これを浴びた女は、その男の体が欲しくて堪らなくなり、死ぬまで追い求めると言う恐ろしい術だ。一天斎は、?を我がものにする。
   次に祈仏堂に現れたお喬に同じ術を掛ける。お喬は術に掛かりながら、自らも、一天斎の逸物を貝のように閉じて離れなくなる信濃忍法天女貝と言う術を掛ける。一天斎はお喬から離れることが出来なくなり、命を落とす。
   元和元年、家康は、駿府を出て、江戸に入った。徳川方は、伊賀忍者の二人の行方が分からなくなった。このままでは、家康の御威光にも差し支える。 阿福(木暮実千代)は、 策略を提案する。今建立中の江戸城の人柱として、乙女の(処女の)娘を選抜し、千姫の腰元も差し出させたらどうかと言う。自分配下の腰元たちは、生娘ばかりだという阿福に、般若寺風伯は「果たしてそうかな」と笑う。 それに対し阿福は、ここにいる娘は全て生娘だと言うが、現実には、婚外で男と契った娘はいたのだ。風伯が術を掛けると、腰元中で、阿福もよもやと思う桔梗(松代章子)がふらふらと風伯の元に歩み寄る。桔梗は乙女ではなかった。伊賀忍法忍法日影月影の術といい女の肉体に入り込み、この腰元の腹の中には子供がいると言う風伯。ここにいる腰元は20人、しかし心の臓の音は21個聞こえたのだと言う。風伯は、小さな鼓動さえ聞き分けられる。そうすれば、やってきた千姫の腰元が秀頼の子を宿しているか分かると言う。
   家康からの書状を読み、千姫は顔色を変えた。お眉は自分が家康の下に行くという。お由比もお瑶も、それでは私どもがと言うが、誰も行かなければこちらで三人とも殺されるだろう。たぶん何かの魂胆もあるに違いないが、おめおめと殺されはしないと言う。
   美しい腰元が集められた。その中に勿論お眉もいる。阿福がやってくる。風伯は、伊賀忍法忍法日影月影の術を使い、阿福の中に入り込む。やってきた阿福に、お眉は観音菩薩像を見せ、幻菩薩の術を使う。阿福には、風伯が入りこんでいるため男にかかる術が掛けられたのだ。そして、お眉は別室に連れ込み、自分の腹の子を、阿福の胎内に移す。信濃忍法やどかりの術だ。
   次々と、風伯が潜む廊下を腰元があるいていくが、皆心音は一つしかない。最後に部屋から出てきたお眉を凝視して、風伯は、心の臓の音は一つだと言う。しかし、急に腹を押さえ苦しみだす。何か犯されたように苦しいのだと脂汗を流す。阿福の心の臓の音が二つあることが分かった。さすが、真田のくノ一、やどかりの術で阿福に秀頼の子を移すとは・・・。阿福は、風伯たちを罵倒する。服部屋敷で、中絶をすることが決まった。
   戻って来たお眉から話を聞き、お瑶は今度は私が参りますと言う。お瑶は、自分の腹の子をお眉に移し、服部半蔵の屋敷におもむく。半蔵の手下で厳重に幾重も警備がされているが、黒鍬者も所詮は男、幻菩薩の術の前では、裸女の舞に導かれ、持場を離れてしまう。
   中では、風伯が阿福に迫っていた。この年で、女に惚れるとは思わなかった。必ず、うまく子を始末するので、一夜お前を抱かせて貰えまいかというのだ。用意が出来たら、畳を二度叩けと言う風伯。怒りに震える阿福だが、秀頼の子を宿したという事実が知れたら、どんなことになるかも知れない。寝所に入る。
    畳が二度叩かれ、好色そうに笑いながら布団に入る風伯。やはり、くノ一が入りこんでおったか、殺す前にといって、お瑶を押さえ襲いかかる風伯。しかし、信濃忍法露枯らしの術に遭い、年老いた顔が更にミイラのようになり亡くなった。そして、お瑶は、阿福の腹から無事に自分の腹に取り戻した。
 家康は天海僧正と話し合い、半蔵を呼び、女忍者たちを千姫もろとも斬り捨てよと最後の決断をする   
    雪の中逃げる4人を七斗捨兵衛が待ち受けていた。お瑶が、ここは私が引き受けるので、逃げてくださいと言った。悲痛な声で、お瑶の名を呼ぶ千姫を庇い、連れて去るお眉とお由比。捨兵衛は、伊賀忍法花開きの術を掛ける。捨兵衛に抱かれ、信濃忍法露枯らしを掛け返すお瑶
     真田の隠し砦の洞窟に隠れた千姫とお眉とお由比。臨月が近づいた二人を気遣い、自ら食事の支度をする千姫。ふと気配を感じたお眉が、外に出て行く。千姫も出ようとするが、お由比が、お腹のややこが動きましたと苦しい息の中、呼び止める。お由比の懐に手を入れた千姫の顔が輝いた。
   外では、捨兵衛が様子を窺っていた。お眉は、幻菩薩の術を掛けたが、捨兵衛は手裏剣で、観音菩薩像を破壊し、辛くも逃れた。形勢は逆転し、お眉は捨兵衛に討たれるが、死に際に?の術を掛け、壮絶な同士打ちをした。
    半蔵が、火縄銃を持った黒鍬者の集団を連れ現れた。激しい陣痛に苦しみながら、お由比は洞窟の外に出て来る。皆が撃とうとすると、千姫が身を持って立ちふさがる。千姫諸共討ち果たせと言われていても、家康の愛孫を撃つことは躊躇われた。突然、お由比は、信濃忍法夢幻泡影を放つ。下半身からピンク色の妖しげな煙りが噴出する。半蔵は、その煙りを吸うなと止めようとしたが、黒鍬者たちは次々と絶命した。遂に、半蔵が火縄銃を撃ち、お由比を射殺する。それを見ていた鼓隼人が駆け寄り、半蔵を斬り捨てた。鼓隼人は徳川を裏切り、千姫に付いたのだ。お由比に駆け寄る千姫。お由比は死んだが、子供を出産する。遂に、秀頼の血は受け継がれたのだ。
   精一杯の産声を上げる赤ん坊を抱き上げる千姫。千姫を仰ぐ鼓隼人。
   家康が原因不明の高熱で、苦しんでいる。そこに「千姫さまが!!」という家臣たちの声がする。秀頼の子を抱いた千姫が艶然と微笑みながら、祖父家康の臨終に立ち会いにやってきたのだ。た家康は「女が、女が、襲ってくる、、」と苦しい息の下で叫ぶ。勝ち誇った笑顔で、江戸城の廊下を進む千姫。


    遊撃の美学、中島貞夫の初監督作品。成人指定だが、カラーで、オールセット、かなり豪華だ。OSミュージックダンサーの中の2人とお喬(金子勝美)お奈美(葵三津子)志津(笹みゆき)といったなかなか美人に目移りしながらも、当時の松竹、日活などの現代劇でのクールでギラギラしていかした役とは正反対のくノ一役、芳村真理かっこいいなあ。しかし、何と言っても一番は、千姫役の野川由美子だ。美しさ、演技、素晴らしい。代表作の一つといっていいのではないのだろうか。鈴木清順「肉体の門」が映画デビューの筈だが、正直、好きか嫌いかというと好きなタイプの顔ではないと思い込んでいた。同じ年にこんな演技していたとは・・・。

   池袋新文芸坐で、鮮烈なる東映'50s~'70s

   66年東映京都マキノ雅弘監督『日本大侠客(531)』
   明治中期、戸畑の大瀧組の闘鶏で、勝ち続ける吉田磯吉(鶴田浩二)。もう若松に帰るので換金してくれと言うが、大瀧組の連中は勝ち逃げはないとイチャモンを付ける。わしゃもう帰らんといけんと言う磯吉と喧嘩になる。金を掴んで逃げ出す磯吉。若松新開地の大吉楼の居候の吉田磯吉だと名乗り小舟に飛び乗る。若松に着くと、岡部亭蔵(大木実)に取ってきた金を渡し、折尾行きの乗合馬車に乗せる。亭蔵は、船大工になるのが嫌で、長崎に行って船乗りになりたいと言うのだ。その旅費を稼ぎに行っていたのだ。
   大吉楼に戻り、姉のスエ(木暮実千代)に怒られる磯吉。私たちが留守の間に、店の売り上げを持ち出したばかりか、これだけの借金を作るとはと嘆かれると、たった一人の肉親のスエに嘆かれると磯吉も辛いのだ。あんたは、舟船頭になりたいと言うから船を買えば、友人に渡してしまう。義兄加山正一(徳大寺伸)は、磯やん、金ば、持ち出していることを咎めているんじゃない、使い道を言ってるんだ。また誰かに渡したんだろう。あんたのそのお人良しは直らんだろうなと笑う正一。スエは、伊予の松山藩の名家、吉田の家の後継ぎは磯やんだ。吉田家の再興を望んでいる両親の気持ちだけは裏切らないでおくれと言うスエ。そんなスエに、分かったが、お父やんの形見の短刀をくれないと言う磯吉。
   その頃、大吉楼の玄関は、居候の吉田磯吉を出せと言う大瀧組の連中が押し掛けていた。老番頭の塩谷源之助(河野秋武)が相手をして、そんな男は知らないと言っても男たちは納得しない。出て行こうとする磯吉を、正一とスエは何とか押し留める。女中のおふじ(三島ゆり子)に、二階のどこかの部屋に隠してお貰いというスエ。おふじは、芸者お竜(藤純子)の部屋に匿ってもらえないかと頭を下げる。あんたも男だったら、来る場所が違うんじゃないのかいと磯吉に言い、下にいる大瀧組の連中に、あんたたちが探している男はここにいるよと声を掛ける。お竜の持つピストルを腕ごと借りて、上がってきた大瀧組の連中を外に出す。ピストルを前に手も足も出ない。玄関には、岩万組の代貸の桜井義三郎(近衛十四郎)が客人を連れて着いたところだった。こん若松のことは岩万組が預かると言う。製鉄所社長の奥田嘉兵衛(市川裕二)を連れて来たのだ。ワシの顔を潰したら、金輪際仕事がでけんようなるぞと言う儀三郎。磯吉の撃つピストルに蜘蛛の子を散らすように戸畑に逃げて行った。ピストルの弾を、一発残して撃ち、おなごがこん危なかモン持っていたらいけんので、ねえさんが女の操ば立てる時に使う一発だけ残しちゃったといって、お竜にピストルを返す磯吉。その上で、ワシがこん家にばいたら、姉やんに迷惑しか掛けんばいと言って、大吉楼を出る。大吉楼の人間だけでなく、若松新開地中の人間が、若大将!若大将!と心配をして声を掛ける。
   若松港の蓄炭場、仲士に混じって、ショベルを振う磯吉の姿がある。仲士の大谷組の組頭の堺平助(品川隆二)たちが、「兄やん。うちの組に入って、組頭やってくれないか」と言うが、ワシはこれでええんじゃと耳を貸さない。
  岩万組の岩崎万吉こと岩万(内田朝雄)が、蓄炭場にやってきて、たまにはうちの賭場に遊びに来いと平助に声を掛ける。平助たちは、ヤクザが嫌いだ。磯吉が、かって自分の持ち物だった船を見つける。懐かしそうに見ていると、花山精吉(天津敏)が、兄やん!!と声を掛ける。二人で昼飯を食べることに。かって、磯吉は、自分の船を精吉にやった。そのことに精吉は感謝し、いつでも恩返ししようと思っているという。そこに大吉楼の女中のおふじが、スエから預かった着替えを持って来る。それとお竜からの手紙も渡す。磯吉は、精吉に誘われ、小倉に出掛ける。
   その夜、大吉楼で、暴れる大瀧組の連中がいる。平助たちが走ってきて、叩き出す。さあみんな上がって呑んでいってとスエが言うと、ワシら服が汚いので迷惑かかると遠慮し、いつでも何かあったら呼んでくれと言う。平助たちに叩きだされた二人が戸畑に帰ろうとしていると、男たちが二人を襲う。一人は殺された。
  翌朝、戸畑の大瀧組が人を集めて、若松に殴り込みにやってくると言う。仲士たちも血の気は多い。喧嘩仕度をしていると、義三郎がやってきて、この喧嘩を買わせてくれないかと言う。戸畑大瀧組の大滝喜一郎(中村竹弥)を岩万が誘い、大吉楼の二階で、この件自分が買うと言う。喜一郎は、人の命は千両だぞと言う。そこに、事情を聞いた磯吉が平助を連れて現れる。こん男がおたくの若い衆と喧嘩をしたが、殺していないと言っちょる。この喧嘩わしに買わせてくれないかと頭を下げる。喜一郎は了解するが、岩万の面子は潰れた。
 


岡部亭蔵(大木)小野田修次(岡田英次)中村秀四郎(神戸瓢介)
岩崎万吉河童の五郎(楠本健二)ダルマ兼(大木五郎)浪七(汐路章)熊辰(加賀邦男)柳川大六(千利介)源蔵(小田部通麿)松五郎(国一太郎)六蔵(脇中昭夫)

   63年東映東京石井輝男監督『昭和侠客伝(532)』
   昭和5年浅草(エンコ)、関東桜一家、三代目千之助(嵐寛寿郎)と一人娘の良子(三田佳子)と、子分の深見(内田良平)が浅草寺裏を歩いている。千之助が、突然「深見!傘を貸せ。刃物に臭いがする。良子を頼んだぜ」と言う。直ぐに10人近くの男たちが、千之助を取り囲む。抵抗するが、多勢に無勢で腹を刺される千之助。
   関東桜一家の重宗(鶴田浩二)は、翌日の出店の段取りをしていると、親分が刺されたと知らせが入る。千之助は何とか一命を取り止める。皆が、殺気立つが、千之助は、相手の見当はつかないと言う。若頭の?に、おめえが落ち着かないでどうする。わけえ奴らが、何かしでかさねえようにするのがおめえの仕事だと一喝される。戻ってきた重宗は、枕許に、良子と池上の叔父貴(三井弘次)がいるのを見て、何も言わずにいたが、深見が思い詰めた表情で、出て行くのを見て、後を追う。深見は自分が付いていながら、こんなことになったことを恥じていた。黒帯組にちげえねえと言う深見に、証拠がないなら今日のところは、一緒に帰ろうと誘う。
   翌日、浅草の街では、掏摸、かっぱらいなどが多発している。中華料理屋でもチャリンコの信坊(岡部正純)ハイダシの吉(潮健児)が、ここは油虫の入ったもん食わせるのかと暴れ始める。そこに黒帯組の常(大木実)が現れ、チンピラたちを叩きだし、今後警備をやっているので、みかじめ料を寄こせと言う。浅草寺の裏に、掏摸やチンピラたちが集まっている。常がやってきて、関東桜組のシマで、どんどん揉め事を起こせといって、小遣いをやる。
   牛鍋屋に、愚連隊青空一家の勝男(梅宮辰夫)譲次(待田京介)がやってくる。ここで働く雪子(丘さとみ)は、勝男の姉で、梨江(坂本スミ子)は譲次の女なのだ。


   黒帯組二代目土井(平幹二朗)雄三(亀石征一郎)松(佐藤?也)隆(室田日出男)辰(山本麟一)
宮地(芦屋雁之助)富子(安城百合子)夢子(木村俊恵)仙吉(志摩栄)

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